一ヶ月前、冷たい物を飲むと奥歯に痛みが走った。
舌の先で奥歯に触れると少しだけ痛みがあった。
知覚過敏だと思ってそのままにして一ヶ月が過ぎた深夜、、、
奥歯からの激痛で目を覚ました。
痛すぎる。
慌てて家にあったロキソニンを飲むと、その日の夜は痛みが引いた。
疲れていただけかも、、、そんなことを思っていた。
そして次の日の深夜3時に、また激痛。
ロキソニンを飲んで痛みが引くのを待っていると、朝が明けた。
いつまで経ってもロキソニンが効かない。
熱い物を飲んでも痛みに耐えられないし、顔半分も痛い。
数時間ごとに痛みが引くこともあるけど、また激痛がやってくる。
これって、虫歯がひどくなっているんですかね?
この記事を読んでいただいているあなたは、今こんな症状に苦しんでおられるのではないでしょうか。
この症状は「歯髄炎」と呼ばれる症状の可能性が高いと言えます。
それでは、ここから痛みの対処法や歯髄炎の症状と原因についてお話していきます。
ぜひ参考にしてください。
歯髄炎とは
歯髄とは、歯の中にある神経や血管などで出来た歯の骨髄のようなもの。
この歯髄に炎症が起こると激痛にみまわれ夜も眠れなくなります。
激痛の理由は、歯の中で血液が溢れている状態となり、血液が神経を圧迫することで痛みが強くなっています。
気をつけて痛みを感じると、脈と同じドクドクという感覚に合わせて痛みがあると思います。
これは血液が流れるたびに神経が圧迫されているからなのです。
歯髄炎には3つの進行状態があります。
・軽症 ・・・刺激に敏感
・重症 ・・・刺激がなく、ズキズキ痛い
・さらに重症・・・歯髄が壊死して痛みも何も感じない
激痛を何とか耐え抜いて痛みがなくなった!
と、喜んではいけません。
それは「さらに重症」に症状が進行しているだけかもしれません。
歯髄炎になる原因
歯髄炎の原因の多くは虫歯だと言われています。
他には外傷や虫歯治療時の刺激なども原因のひとつではないかと言われています。
虫歯
虫歯を放置することで歯髄炎になる可能性が高くなります。
具体的には、
1)虫歯菌が発生
2)虫歯の症状が進行
3)虫歯菌が象牙細管と呼ばれる細い管から歯髄に侵入
4)歯髄内で炎症が発生
5)圧力が掛かって神経が圧迫され痛みが始まる
となります。
歯をぶつける
何らかの理由で歯をぶつけた時に強い力が加わり、骨髄と歯髄が切断され歯髄炎になることがあります。
歯が割れる
歯ぎしりや食いしばりを日常的に繰り返している人は、神経が生きている歯でも割れることがあります。
一度割れてしますと、その隙間から細菌が侵入し、歯髄に到達して炎症を起こします。
歯髄炎になると口の中や歯に違和感を持ったり、激痛を感じる場合もあります。
歯周病の後期
歯周病の症状が後期になると、歯を支えている歯槽骨と呼ばれる骨が溶けていきます。
どんどんと歯の根元に向かって骨が溶けていき、根の先から細菌が侵入。
歯周病と同時に歯髄炎を発症するケースです。
何度も治療した
虫歯が深いところにあったり、何度も同じ歯を繰り返し治療したりすると歯髄がダメージを受けます。
ダメージを受けた歯髄は炎症を起こし歯髄炎を発症します。
細菌が侵入しているのではありませんから、自然に治ることもありますし、自然に歯髄が死んでしまう場合もあります。
歯髄が骨を溶かす
理由はわかっていませんが、まれに歯髄が周りの骨を溶かしだすことがあります。
この症状を内部吸収と言います。
内部吸収によって歯髄炎が発症し痛みが起こります。
歯の根が溶ける
こちらも理由はわかっていませんが、まれに歯の根の外側から溶けだすことがあります。
この症状を外部吸収と言います。
外部吸収によって歯髄炎が発症すると治療が難しく、外部から溶け出す症状を止めることができない場合があります。
折れたところから細菌が侵入
中心結節と呼ばれる突起が小臼歯の噛む面にあります。
この突起は意外ともろいので折れてしまうことがあります。
折れてしまいますと、そこから細菌が侵入し感染。
歯髄炎を発症し痛みが出てきます。
歯髄炎の症状
人の体に出る炎症は原因を取り除くと、ほとんどの場合は完治してゆきます。
しかし同じ炎症でも歯髄炎は治りにくいと言われています。
その理由は、歯髄は固いエナメル質、象牙質、セメント質などに守られているから。
炎症が起こると内圧が高まり、その圧力がさらに炎症を悪化させ、また炎症が強まる。
悪化のサイクルになり、治りにくくなっているのが歯髄炎です。
歯髄炎の症状には大きく分けて2つあります。
それぞれの特徴を見てみましょう。
急性状態の特徴
・何もしていなくてもズキズキ痛い
・刺激が強い物を食べたり飲んだりすると痛い
・噛むと痛い
慢性状態の特徴
・自覚症状がない
・不快感や違和感がいつもある
また、知覚過敏とも症状が似ていますから間違えることもあります。
知覚過敏と歯髄炎との大きな違いは、歯を軽く叩いてみる分かります。
軽く叩いて「痛みがない」のが知覚過敏。
軽く叩いて「痛みがある」のが歯髄炎。
どちらにしても、歯科で治療が必要ですから、痛みをガマンせず治療を受けてくださいね。
自宅で痛みを軽減する方法
激痛で眠れない、痛くて何もする気がおきない。
すぐに歯医者さんへ行ければ良いのですが、そうもいかないときもありますよね。
そんなとき、次の方法を試してみてください。
痛みがなくなって完治することはありませんが、痛みが軽減する可能性は高いです。
痛みが軽減している間に歯医者さんへ連絡して、治療に行ってくださいね。
痛み止めを飲む
ドラッグストアなど街の薬局で販売されている痛み止めを飲みましょう。
一時的にでも痛みを抑えることができます。
市販薬ですと「ロキソニンS」が有名です。
「ロキソニンS」は歯科医院で処方される痛み止めの成分とほとんど同じです。
注意事項を良く読んで正しく飲んでください。
痛み止めは応急処置です。
痛みが一時的に引いても、痛みの原因が治癒しているわけではありません。
しばらくすると痛みは繰り返してきます。
前よりも症状が悪化していることもありますから、早めの歯科医の診察を受けて治療することが必要です。
また、「ロキソニンS」が効かない場合は深刻な原因が隠れているかもしれません。
歯を冷やす
歯の痛みは血液の流れが多くなり、神経を圧迫するために起こります。
ですから、血液の流れを遅くすることで痛みが軽減されます。
そこで、市販されているものであれば「冷えピタ」などの患部を冷やす商品を使いましょう。
「冷えピタ」などが用意できない場合は、氷枕や濡れタオルで冷やしても良いでしょう。
要は冷たくして血液の流れを遅くできれば良いのです。
用意できたら、歯が痛いところの頬の表から「冷えピタ」で冷やしながら、口の中に氷を含んで、痛い歯のところを直接冷やします。
こうすると血の巡りが抑えられて痛みが軽減されます。
安静にする
歯に刺激や強い力を掛けないようにしましょう。
味の濃いものや堅いものを食べるのは避けましょう。
高カロリーゼリーなどが楽に栄養も取れますよ。
歯をブラッシングする
食べカスや口の中で繁殖した細菌が原因で、神経を圧迫し歯が痛くなることがあります。
歯と歯の間、歯と歯茎の間などに挟まっている食べカスや歯垢を、歯ブラシを使ってきれいにしましょう。
歯磨き粉はつけずに、歯ブラシだけでブラッシングしてもOKです。
これだけで痛みが軽減します。
薬を塗る
痛み止めを飲んだ、冷やしもした。
でも痛みが抑えられない。
そんなときには、歯が痛いところに直接、痛みを抑える薬を塗りましょう。
塗る歯の痛み止めで有名なのが「今治水」です。
患部に直接塗りますので、飲み薬よりも効果的ですし、即効性もあります。
歯の表面を傷つけない成分なので安心して使えます。
また塗り薬ではありませんが、患部に「詰める」薬として「正露丸」があります。
正露丸の主成分は鎮痛鎮静作用があり、歯科で使われている消毒用の成分とも同じ。
痛みがある虫歯に適量の正露丸を詰めることで、一時的に痛みを抑えることができます。
痛いときにやってはいけないこと
痛みのある歯に触れる
歯と歯の間、歯と歯茎の境目などの汚れを取ることは必要ですが、痛みが気になるからと言って、歯をぐりぐり押したり揺すったりしてはいけません。
手や指、爪の間に付着している細菌が歯髄炎を起こしている患部から侵入し、歯の状態がよけいに悪くなることがあります。
痛みのある歯が気になるのはわかりますが、触らず安静にしてください。
舌で痛みのある歯や歯の周辺を触るのもやめた方が良いですね。
アルコールを飲む
歯が痛いから痛みをやわらげるためにアルコールを飲む。
そういう人もいらっしゃいますが、アルコールを飲むと体温が上がります。
同時に血行も良くなり、歯髄炎の痛みが増してきます。
アルコールでの酔いが抜けると、痛みが今までよりも強くなっている可能性が高いです。
熱いお風呂に入る
体温が上がると痛みが増してきます。
これは血液の循環が良くなり、血液の流れが増すことで神経を圧迫。
圧迫された神経は痛みを強めてしまいます。
お風呂に入るときは、ぬるめのシャワーにするようにしてください。
運動をする
運動も熱いお風呂に入るのと同じように痛みが増します。
理由はお風呂と同じで、運動することで血液の循環がアップしますから、血液が神経を圧迫して痛みがどんどんと増してきます。
歯が痛いときは安静にしていましょう。
タバコを吸う
タバコは口の中の温度を上げるので痛みが増すということがあります。
そしてタバコには歯を刺激する成分が含まれているということを忘れてはいけません。
歯が痛いときは、刺激があると痛みが出てきます。
ましてタバコを吸うことで口の中の温度が上がり、血液が神経を圧迫していますから、痛みが治まることはありません。
自宅で応急処理をしたら次にやるべきこと
かかりつけの歯医者さんへ行く
応急処置をしたらまず、かかりつけの歯医者さんへ行きましょう。
今までの治療履歴や歯の状況も分かってもらっているので、すぐに治療を始めてもらえます。
近くの歯医者さんへ予約
かかりつけの歯医者さんに行けない場合、通院できるところの歯医者さんを探しましょう。
今は歯医者さんもホームページを持っておられるところが多いですから、検索すると見つけやすいと思います。
またタウンページなども活用して、通院できる範囲にある歯医者さんを探して予約をしましょう。
夜間・休日救急センター
診療が終わってる時間に激痛が始まった。
日曜日や祝日に痛くなった。
そんなとき、地域に差はありますが、「夜間・休日救急センター」を探しましょう。
1回だけの治療が基本ですが、いつもの歯医者さんが治療を始めるまでの間、応急処置など痛みを軽減する治療を行ってもらえます。
歯髄炎の診断
歯髄炎の診断には次のようなことを行います。
・問診
・視診
・触診
・打診
・歯の揺れ具合を検査
・レントゲン
・温度診
・電気歯髄診断
一般的な診断と同じですが、歯髄炎特有の診断として「打診」「温度診」と「電気歯髄診断」があります。
打診とは、歯を叩いた時に痛みがあるかチェックします。
温度診とは、冷たい物、熱い物を歯にあてて痛みがあるかチェックします。
電気歯髄診断とは、電気歯髄診断器という機器を使って、歯髄が生きているか壊死しているかを調べます。
歯髄炎の治療法
歯髄炎の治療法には、歯髄を残す方法と歯髄を抜き取って治療する方法の2通りがあります。
軽度な炎症の場合
知覚過敏の歯は歯髄炎の初期症状とも言えます。
冷たい物など歯に刺激があるものによって、歯髄炎が起こり痛みを感じます。
温度の差があるものを食べたり飲んだりすることを控えましょう。
また知覚過敏の薬を使うことで痛みを抑えることができます。
消炎処置
虫歯がある場合には、虫歯の部分を削り、薬で炎症を抑えます。
症状が落ちいたら、かぶせ物や詰め物で歯髄を刺激から保護します。
しかし歯髄炎は炎症が一気に歯髄内に広がることがあります。
広がり始めると症状がひどくなる可能性が高いので、消炎処置は行わず最初から「抜髄(ばつずい)」を含む根管治療を行うことが多いです。
抜髄
抜髄(ばつずい)は、虫歯などで炎症を起こした歯髄を治療で残せない場合、炎症を起こした歯髄を取り除く治療を言います。
一般的には「歯の神経を抜く」と言われている治療です。
抜髄が必要になる症状としては、
・ズキズキ痛い
・痛みがある歯に軽く触れるだけで激痛がある
・体温が上がったり、血行が良くなると痛みが増す
・痛み止めが切れてくると再び痛みを感じる
・冷やすと一時だけ痛みがマシになる
抜髄の治療方法は、
1.歯や詰め物を削り歯髄を抜き取ります
2.根管を清掃、洗浄、消毒
3.治療による痛みや炎症が治まるのを待ちます
4.根管に薬を詰めて細菌が侵入しないようにします
5.かぶせ物や詰め物を入れます
このように治療することで、もう一度歯の機能を取り戻せます。
根管治療
歯髄炎の症状が進行した場合に行うのが「根管治療」です。
根管治療には、感染根管治療と再根管治療の2つがあります。
感染根管治療
細菌に感染して歯の中で腐ってしまった歯髄や溶けた象牙質を掃除してきれいにします。
感染根管治療が必要になる症状としては、
・普段は痛みはないが、疲れがたまったり体調不良のとき歯茎がうずく
・歯茎が腫れたり、潰れたりする
・運動して血行が良くなると上の奥歯が痛む
・激痛があり痛み止めを飲んでも効かない
・痛みで眠れない
・微熱があり体がダルイ
再根管治療
根管治療が終わった後、再び痛みや腫れが発症したときに行います。
再根管治療が必要になる症状としては、
・前回の治療後から数ヶ月、もしくは数年単位で違和感があり、うまく自分が思っているように噛めない
・痛み、腫れが再発した
・痛みはないが、根管治療をした歯と歯茎周辺から膿が出てきた
このような治療をすることで、再び歯の機能を取り戻すのが根管治療の目的です。
抜歯
どの方法の治療を行っても、歯を残すことが難しい場合には抜歯を行います。
具体的には
・虫歯が進行してしまい治療が困難
・歯が何らかの力や衝撃で大きく割れてしまった
歯を抜いたところには、ブリッジや入れ歯やインプラントを使って、抜けた歯を補うように治療します。
まとめ
知覚過敏と歯髄炎は症状が良く似ていますから、知覚過敏だと思って放っておかれる方が多いです。
そしてある日、突然激痛に襲われ、食事も出来ないし動くこともできない。
ロキソニンも効かない。
痛みが続くので体力も気力も消耗し、仕事も手につかない。
そんな状態になってしまうものです。
放っておいても歯髄炎は治りませんし、症状が進行して歯をなくすことにもなりかねません。
特にロキソニンが効かないとなると、深刻な症状になっているのかもしれません。
もし何か違和感を感じていたときは、痛みが小さなうちに、歯科医院で診察を受けて早期治療を行いましょう。
歯も抜かずに済みますし、何より痛みを抱えて生活しなくても良い。
好きな物を食べられて、ぐっすり眠れる毎日を手にするためにも、早めに受診してください。