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健康なボランティア64名を対象に、100階建てのビル(300 ~400m)から降りるテストを行い、負荷後 12 ~26時間で経口セレコキシブ200 mg を1日2回投与した群と、プラシ-ボを比較。セレコキシブで、ふくらはぎおよび大腿筋痛は12% ~13%減少。テスト3日後のピーク減少は2.7 for celecoxib vs 2.0 for placebo(P-value not reported)。
強力な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、ケトプロフェンの効果を調査したところ、疼痛軽快までの期間は延長しました。痛みの総量は、運動後1週間の痛みの重症度の曲線下面積(AUC)によって定量化。疼痛スコア(AUC)は、ケトプロフェン 462 (standard deviation 160) vsプラシーボ 376 (SD 159)でした (P=0.02) 。
最も重要な、疼痛軽快までの時間は、122時間 vs 105時間 (P=0.005)で、プラシーボの方が早く治っています。
別のグループによる研究では、ケトプロフェンは、セレコキシブと比較して、扁摘後の疼痛時間を延長させることが示されました (Otolaryngol Head Neck Surg 2005; 132: 287-294)。
また、ウルトラマラソンランナーにおける調査では、イブプロフェン服用でサイトカイン値は増加しました(Brain Behav Immun 2005; 9: 398-403)。
非ステロイド性抗炎症薬は、痛みと炎症状態の治療法として有効ではありますが、運動誘発性筋痛におけるベネフィットについてはさらなる検証が必要です。
Rother M, et al.
Is the inflammatory reaction an essential part of recovery after muscle injury?
EULAR 2012; Abstract FRI0457.
「筋肉痛」、「筋・筋膜性疼痛」、などと言われる筋痛や、「腓返り」などは、その病態やメカニズムは未だ完全には解明されていません。運動後の「遅発性筋痛」を確実に軽減させる、あるいは早期に軽減させる確かな方法もありません。研究が進展しないのは、医師は、業績にならない研究はあまりしたがらないからです。(ついでに一言付け加えたいのは、医療関係者は「筋肉」と言ってほしくありません。「筋」が正しい。)
「腓返り」の場合、痙攣している最中であれば(殷門穴の外側)鍼で即座に止まります。昔、オリンピックのマラソン中に、ロシアの女性ランナーが「腓返り」を起こしました。彼女はゼッケンを止めていた安全ピンを外し、直ちにこの大腿後側に刺し、その直後には、何事も無かった様に走り出しました。その数年後でしたか(?)、整形外科医が子供の「腓返り」がひどくて困り、診察室から私を呼んだこともありました。医師には手の打ちようがなかったのです。
但し、長時間痙攣が続いた後に痛みが残ってしまった患者では、通常、どの様な治療をしても直ちに疼痛が軽減することは無く、軽快までには数日から1週間程要します(中には、治療直後に軽減することも有)。
文献を調べても、明確な有効性が認められた治療法はありませんし、質の高い研究はあまり見あたりません。
長くなって恐縮ですが、ついでにもう少し雑談につき合ってください。
「里吉病」についてです。昔の筋病理学関連のテキストには、「全身腓返り病」と記されていた病気です。当時の記述では、痙攣が全身に及び、最終的には死亡するとありました。極めてまれな疾患で、未だお目にかかったことはないのですが、若干疑わしい症例に出会うことがあります。
「里吉病」は、1963年に、第1回の汎米神経学会で里吉氏(国立精神・神経センター名誉総長)が、特別講演で発表したのが最初の報告です。また、1978年に、進行性筋痙攣、脱毛、下痢症候群を呈する一群をまとめ(15例)、「A syndrome of progressive muscle spasms, alopecia and diarrrhea」として発表されています。
筋痙攣は初期には腓腹筋に起こり易く、数年以内に上部へと進行し、顔面筋、呼吸筋を除く全身の筋が痙攣します。痙攣は、数日ないし、1週間程度断続(クリーゼ)して生じます。痙攣は、強い随意的収縮や神経刺激で誘発されます。脱毛は本症に必発で全身に及びます。下痢症状は、1日に5~10回程度の水様便です。小児期の発症で痙攣が強い場合には、関節さえも変形します。
後天性全身性自己免疫疾患とも考えられていますが、未だ、原因は不明です。但し、昔に比べますと、治療によって症状が安定あるいは改善し、日常生活を送ることが可能となる症例は増えているようです。
当院の例では、夜間睡眠中に突然、強い疼痛性の痙攣が、波が押し寄せる様に断続的に繰り返し起きる方がいます。痙攣を起こしている筋よりも上位の筋の圧痛部位を探り、指圧してもらうことで大概は一端治まりますが、直後にまた痙攣が起きてこれを何度も繰り返します。この方の場合には、これが全身にまで拡大する様子は無く、強い痙攣にもかかわらず後には全く痛みは残りませんし、日中は異常ありません。下痢はし易いのですが長期間続くことは無く、脱毛も見られません。その後の様子などから判断して、痙攣の起き方は異常なのですが「里吉病」とは考えられません。この他にも、神経学的に診断はつかないものの、神経内科的に「怪しい症状」をもつ方は時々見かけます。
「里吉病」と似た痙攣性の原因不明の病気には、「Stiff- person 症候群」や、「Isaacs症候群」などがありますが、未だ、出会ったことはありません。
強力な非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、ケトプロフェンの効果を調査したところ、疼痛軽快までの期間は延長しました。痛みの総量は、運動後1週間の痛みの重症度の曲線下面積(AUC)によって定量化。疼痛スコア(AUC)は、ケトプロフェン 462 (standard deviation 160) vsプラシーボ 376 (SD 159)でした (P=0.02) 。
最も重要な、疼痛軽快までの時間は、122時間 vs 105時間 (P=0.005)で、プラシーボの方が早く治っています。
別のグループによる研究では、ケトプロフェンは、セレコキシブと比較して、扁摘後の疼痛時間を延長させることが示されました (Otolaryngol Head Neck Surg 2005; 132: 287-294)。
また、ウルトラマラソンランナーにおける調査では、イブプロフェン服用でサイトカイン値は増加しました(Brain Behav Immun 2005; 9: 398-403)。
非ステロイド性抗炎症薬は、痛みと炎症状態の治療法として有効ではありますが、運動誘発性筋痛におけるベネフィットについてはさらなる検証が必要です。
Rother M, et al.
Is the inflammatory reaction an essential part of recovery after muscle injury?
EULAR 2012; Abstract FRI0457.
「筋肉痛」、「筋・筋膜性疼痛」、などと言われる筋痛や、「腓返り」などは、その病態やメカニズムは未だ完全には解明されていません。運動後の「遅発性筋痛」を確実に軽減させる、あるいは早期に軽減させる確かな方法もありません。研究が進展しないのは、医師は、業績にならない研究はあまりしたがらないからです。(ついでに一言付け加えたいのは、医療関係者は「筋肉」と言ってほしくありません。「筋」が正しい。)
「腓返り」の場合、痙攣している最中であれば(殷門穴の外側)鍼で即座に止まります。昔、オリンピックのマラソン中に、ロシアの女性ランナーが「腓返り」を起こしました。彼女はゼッケンを止めていた安全ピンを外し、直ちにこの大腿後側に刺し、その直後には、何事も無かった様に走り出しました。その数年後でしたか(?)、整形外科医が子供の「腓返り」がひどくて困り、診察室から私を呼んだこともありました。医師には手の打ちようがなかったのです。
但し、長時間痙攣が続いた後に痛みが残ってしまった患者では、通常、どの様な治療をしても直ちに疼痛が軽減することは無く、軽快までには数日から1週間程要します(中には、治療直後に軽減することも有)。
文献を調べても、明確な有効性が認められた治療法はありませんし、質の高い研究はあまり見あたりません。
長くなって恐縮ですが、ついでにもう少し雑談につき合ってください。
「里吉病」についてです。昔の筋病理学関連のテキストには、「全身腓返り病」と記されていた病気です。当時の記述では、痙攣が全身に及び、最終的には死亡するとありました。極めてまれな疾患で、未だお目にかかったことはないのですが、若干疑わしい症例に出会うことがあります。
「里吉病」は、1963年に、第1回の汎米神経学会で里吉氏(国立精神・神経センター名誉総長)が、特別講演で発表したのが最初の報告です。また、1978年に、進行性筋痙攣、脱毛、下痢症候群を呈する一群をまとめ(15例)、「A syndrome of progressive muscle spasms, alopecia and diarrrhea」として発表されています。
筋痙攣は初期には腓腹筋に起こり易く、数年以内に上部へと進行し、顔面筋、呼吸筋を除く全身の筋が痙攣します。痙攣は、数日ないし、1週間程度断続(クリーゼ)して生じます。痙攣は、強い随意的収縮や神経刺激で誘発されます。脱毛は本症に必発で全身に及びます。下痢症状は、1日に5~10回程度の水様便です。小児期の発症で痙攣が強い場合には、関節さえも変形します。
後天性全身性自己免疫疾患とも考えられていますが、未だ、原因は不明です。但し、昔に比べますと、治療によって症状が安定あるいは改善し、日常生活を送ることが可能となる症例は増えているようです。
当院の例では、夜間睡眠中に突然、強い疼痛性の痙攣が、波が押し寄せる様に断続的に繰り返し起きる方がいます。痙攣を起こしている筋よりも上位の筋の圧痛部位を探り、指圧してもらうことで大概は一端治まりますが、直後にまた痙攣が起きてこれを何度も繰り返します。この方の場合には、これが全身にまで拡大する様子は無く、強い痙攣にもかかわらず後には全く痛みは残りませんし、日中は異常ありません。下痢はし易いのですが長期間続くことは無く、脱毛も見られません。その後の様子などから判断して、痙攣の起き方は異常なのですが「里吉病」とは考えられません。この他にも、神経学的に診断はつかないものの、神経内科的に「怪しい症状」をもつ方は時々見かけます。
「里吉病」と似た痙攣性の原因不明の病気には、「Stiff- person 症候群」や、「Isaacs症候群」などがありますが、未だ、出会ったことはありません。
2012-06-15 09:24 nice!(0) コメント(0) トラックバック(0)
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