ガイドライン情報

国内のガイドライン

日本皮膚科学会(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016下敷き)

日本皮膚科学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016」1)には、『現時点において、アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静しうる薬剤で、有効性と安全性が科学的に十分に検討されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏』と記載されており、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏をいかに選択し組み合わせるかを治療の基本としている。
躯幹・四肢を対象としたタクロリムス軟膏(成人用0.1%)の有効性は、ストロングクラスのステロイド外用薬とほぼ同等であると考えられる。
強力な薬効を必要とする重症の皮疹を生じた部位に使用する場合には、原則としてまずベリーストロングクラス以上のステロイド外用薬により皮疹の改善を図ったのちにタクロリムス軟膏に移行することが推奨されている。

  • 1)日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会:日皮会誌 126(2), 121, 2016

日本アレルギー学会(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015下敷き)

日本アレルギー学会の「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015」2)でも、日本皮膚科学会と同様の位置づけが記載されている。

  • 2)一般社団法人日本アレルギー学会アトピー性皮膚炎ガイドライン専門部会:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015. 東京, 協和企画, 2015

<Section 2:局所療法におけるアトピー性皮膚炎の管理と治療より一部抜粋>

Eichenfield LF, et al: J Am Acad Dermatol 71(1),116, 2014.

●アトピー性皮膚炎に対する局所療法の推奨グレード

推奨事項推奨度エビデンスレベル
保湿剤の使用A
入浴と入浴習慣C
入浴後の保湿剤の塗布B
石けん以外の洗浄剤の限定的使用C
入浴剤、酸性泉水の非使用 C
ウェットラップ療法B
ステロイド外用薬(TCS)の使用A
 ・TCSの選択における様々な要因の考慮C
 ・塗布回数B
 ・寛解維持療法におけるTCSの間欠的使用B
 ・使用時の副作用の考慮の必要性A
 ・強力なTCS使用時の皮膚副作用のモニタリングの必要性 B
 ・TCSの全身的副作用のための定期的なモニタリングの不要性C
 ・使用への不安に関する説明B
カルシニューリン阻害薬(TCI)の使用A
 ・ステロイド代替薬としての使用A
 ・TCIの局所反応とTCSの先行使用に関する説明B
 ・寛解維持療法におけるTCIの間欠的使用A
 ・TCIとTCSの併用B
 ・使用に伴う皮膚感染症の理論的リスクの患者への情報提供C
 ・TCIの警告に対する注意喚起C
 ・TCI血中濃度の定期的モニタリングの不要性A
ブドウ球菌に対する日常的な局所療法の非実施A
臨床的に感染が認められる中等症から重症のアトピー性皮膚炎に対するBleach baths*とムピロシンの鼻腔内投与B
局所抗ヒスタミン薬の非使用B

*漂白剤を少量添加した入浴治療法

●アトピー性皮膚炎に対するカルシニューリン阻害薬(TCI)の推奨事項

TCIは成人および小児のアトピー性皮膚炎の急性期および慢性期治療、寛解維持療法に有効であり推奨される。特に特定の臨床状況に対して有用である(下記参照)。
TCIはアトピー性皮膚炎に対するステロイド代替薬として、活動性病変への使用が推奨される。
タクロリムス軟膏は、特に急性炎症性皮膚病変に塗布した際に、皮膚灼熱感とそう痒を引き起こす可能性がある。TCIによる塗布部位反応を最小限に抑えるために、アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用薬(TCS)による初期治療を考慮すべきである。アトピー性皮膚炎患者に対して、これらの皮膚反応の可能性について説明する必要がある。
再燃を繰り返す部位の寛解維持療法としての、TCIの間欠的使用は、ステロイド外用薬の必要性を低下させ、皮膚柔軟剤(emollients)の単独使用よりも効果的であり、再燃予防に推奨される。
アトピー性皮膚炎に対するTCIとTCSの併用は推奨できるであろう。
5年以内のTCIの継続的または間欠的使用により、皮膚のウイルス感染症の有病率の一貫した増加は認められていない。しかし、さらに長期での安全性データはないため、理論的には皮膚のウイルス感染のリスクがあることを、医師は患者に対して知らせるべきである。
医師は、アトピー性皮膚炎患者に対するTCIの使用に関する警告を確認し、その内容を患者に説明すべきである。
タクロリムスを使用しているアトピー性皮膚炎患者における、これら薬剤の血中濃度の定期的モニタリングは、現時点では推奨されない。

参照 ステロイド外用薬よりカルシニューリン阻害薬(TCI)を使用すべき臨床状況

・ステロイド抵抗性
・敏感な部位(例:顔、皮膚のひだ部分)
・ステロイド誘発性の皮膚萎縮
・ステロイド外用薬の長期連続使用

欧州皮膚科性病学会(Guidelines for treatment of atopic eczema [atopic dermatitis] )

欧州皮膚科性病学会の「アトピー性湿疹[アトピー性皮膚炎]の治療に関するガイドライン3)」では、コルチコステロイド外用薬は『特に急性期のアトピー性湿疹における重要な抗炎症薬である(-、D)』、『プラセボと比較して皮膚病変の有意な改善効果を有している(1b、A)』、『有効性はウェットラップ療法によって増す(1b、A)』等が記載されている。
一方、カルシニューリン阻害薬の外用は『アトピー性湿疹に使用される重要な抗炎症薬である(-、D)』、『短期治療および長期治療においてプラセボより明らかに高い効果を示す(1b、A)」、『問題の多い部位(顔面、間擦性部位)に特に適用される(1b、A)』等が記載されている。

  • 3)Ring J, et al: J Eur Acad Dermatol Venereol 26(8), 1045, 2012.