市販薬の副作用 どう防ぐのか

重篤な薬の副作用の1つSJSの治療に、20年近く携わってきた外園千恵医師です。
外園さんは発症の初期に的確な治療を行えば、多くの副作用の重篤化は防げると考えています。
例えば目に症状が出た場合、効力を発揮するのはアレルギー反応を抑える薬、ステロイドの点眼です。

外園さんの調査によれば発症から1週間以内にステロイドを使った場合、7割以上の人が視力0.1以上を保つことができました。
しかし、そうでない場合、8割の人が0.1未満に悪化したのです。
治療の開始は早ければ早いほどその効果が期待される傾向が示されました。

外園医師
「早い時期にできるだけ早く診断する。
そして目薬で目の炎症を抑える。
それでも効かない方があります。
効かない方は他の治療法、まだ選択できるものがありますので、やはり早く治療を開始することは大事だと思っています。」

しかし、そうしたいち早い治療が難しいという実態が明らかになっています。
外園さんはSJSの患者が最初に何の病気と診断されたかを調べました。

外園医師
「40歳発症、おたふくかぜ。
20歳で発症されて水ぼうそう。
次の方は水ぼうそう。
多いですね、水ぼうそうって言われた。」

調査の結果、4割の人が誤診されていたのです。
発症の初期に薬の副作用だと見極めることの難しさが重篤化の原因になっていると外園さんは考えています。


外園医師
「他の病気でも出る症状、熱、発疹も他の病気でも出るし、のどが痛い、他の病気でも出るし。
そういう非特異的な症状が集まっているということで、決定打になるものがないんですね。
そこがなかなか難しいところだと思います。」

厚生労働省は医療関係者に薬の副作用の知識を広めようと対策に乗り出しました。
昨年度までに75種類の副作用について個別に詳しいマニュアルを作りました。
そこには誤診しやすいケースと正しく判別する方法が記されています。
マニュアルの作成に携わった飯島正文医師はこうした知識を広めることが不足していると感じています。

飯島医師
「マニュアルは作ったけど、その活用がまだまだ十分ではないなというのが実感です。
医療関係者ならびに一般国民に広く知ってもらって、なるべく早く専門家に相談をかけていただく。
それがやはり副作用対策の極みだと思います。」

さらに薬の副作用そのものを未然に防ごうという研究も始まっています。
副作用を発症した人たちから血液の提供を受け、遺伝子を解析したところ副作用を発症しやすい体質があることが分かってきました。
SJSの場合、発症との関連が明らかになったのが免疫に関係する2つの遺伝子HLAーAとTLR3です。
この2つの遺伝子が特定の型になっているとそうでない人に比べ、48倍もSJSを発症しやすくなることが最近分かってきました。
研究チームは今後さらに解析を進め、将来的には副作用発症の予防につなげたいと考えています。

京都府立医科大学 上田真由美医師
「こういう病気が発症しやすい体質であることを前もってお知らせすることによって、この病気の発症を予防したり、
万が一発症してもすぐ病院に行って、『自分はこういう病気の可能性が高いです』ということをお医者さんに伝えることで、早期診断、早期治療に結びつけばいいと思っています。」

 

●市販薬の副作用 医療側の取り組みは

まずは副作用に対する認識を高めるということで、病気かな、ヘルペスかな、水ぼうそうかなというのと同時に副作用の可能性っていうのの発想にきちんと結びついていけるような教育をしていくということは、とても大切なことかなと思うんですね。
私たち、患者から学ぶという授業をしているんですけれども、今日の岡村さんのお話、体験談をお聞きしていて、たぶん多くの医療者の人たちはSJSのことというのが非常によく分かったし、自分たちがどういうところに注意をしていかなければいけないかってことも分かったと思うんですね。
こういうことを、もっともっと医学や薬学の教育の中に生かしていくっていうことが重要なのかなというふうに思いました。
イギリスとかでは患者さんたちがインターネットのサイトで自分の経験談を広めていくという活動をされて、それをまた患者さんも見て学んでいくっていうこともできている。
それの日本版もあるんですけれども、もっともっとそういうことを広めていくっていうことが岡村さんの経験を次の方の発現を食い止めるために生かすということができるのかなというふうに思いました。

●市販薬の副作用 飲む側の社会的認知度を高めるには

実は今年の4月から中学校で医薬品に関する教育というのが始まったんですね。
保健体育の中で教えていくんですけれども、お薬の中の説明文書についてそういう教育の場でどういうふうに読んでいくのか、効き目や飲み方だけではなくて注意すべき事項をきちんと読み取っていくっていうことを教えていただく。
それを家庭に帰ってお子さんたちがお父さんやお母さんにこんなことを勉強したということを伝えることで、こういう重篤な副作用について予防していくことができるのかなと思います。