脂漏性皮膚炎の薬、ニゾラールやステロイドの役割と効果
鼻の周り、胸元、わきの下、太もも、そして頭皮・・・。
なぜここに?というところにかゆみが出て、赤くなったり皮膚がはがれてきたり、なんて経験はありませんか?
かゆみの症状が出る皮膚疾患はたくさんありますが、その中でも脂漏性皮膚炎という疾患かもしれません。
脂漏性湿疹とも呼ばれるこの症状は、実は真菌という特定の菌が引き金となって起こる感染性の皮膚炎でもあります。
今回はそんな脂漏性湿疹と、抗真菌薬についてみていきましょう。
脂漏性皮膚炎の特徴
さて、「脂漏性」という漢字からも分かるように、この湿疹には脂が関わってきます。
といっても、これは皮下脂肪ではなく、いわゆる皮脂というものです。
皮脂腺から分泌されるこの皮脂は、肌の潤いバランスを保ったり、肌表面のバリア機能に関与するものです。
しかし、落ちきれなかった角質や残存した石鹸、ごみなどにより毛穴の出口が塞がれると、毛穴にこの皮脂が詰まって炎症を起こします。
ここでアクネ菌が増殖するといわゆるニキビが発症するのですが、この皮脂を栄養として真菌が増殖して炎症が起こると脂漏性皮膚炎が発症します。
真菌というのはいわゆるカビの一種。
普段は特に悪さをすることなく皮膚に存在している常在菌の一種です。
こういった菌が異常に増殖することで疾患を引き起こすのです。
ニゾラールの効果について
さて、原因が菌の一種ならばその菌を殺菌すれば症状は改善するはず。
という事で、この脂漏性皮膚炎にはニゾラールという抗真菌薬が使われます。
これは、いわゆる塗り薬で、ヤンセンファーマという製薬会社から発売されています。
同じ真菌という菌には水虫の原因である白癬菌(はくせんきん)があるため、適応症には白癬や皮膚カンジダなどがあり、脂漏性皮膚炎もそのひとつです。
ニゾラール以外にも様々な抗真菌薬が存在しますが、実は脂漏性皮膚炎に適応のある薬はこのニゾラールのみとなっています。
主成分はケトコナゾール。ジェネリック医薬品も存在します。
このお薬にはローションとクリームの2剤形が存在し、場所によってそれぞれ使い分けることが可能です。
水虫などの場合は1日1回で使われるのですが、皮膚炎の場合は1日1~2回で使うことが出来るので、治りが悪い場合は1日2回で使うと良いでしょう。
ただし、既に原因菌が免疫細胞によってある程度減っていても、炎症だけが残ってかゆみが出続けることもあるのがこの疾患。
場合によっては炎症止めのステロイドが使われることもあります。
病院で相談し、症状にあわせてお薬を処方してもらいましょう。
ニゾラールが効かない場合に使用される、ステロイドなどの抗炎症薬
毛穴につまった皮脂をエサとして真菌という菌が増殖し炎症を引き起こす、というメカニズムはさきほど解説をしましたが、
実はこの症状、ニゾラールなど抗真菌薬のみでは治らないこともあります。
そんな時に使われるのが抗炎症薬であるステロイド剤です。
続いて脂漏性皮膚炎とステロイドについてみていきましょう。
そもそも、なぜ抗真菌薬だけでは治らない場合があるのでしょうか?
毛穴などで異常に増殖した真菌が原因で炎症が引き起こされるのですが、そもそも炎症というのは肌の防御反応のひとつです。
この炎症によって、原因となっている真菌が殺菌されることもあるのです。
では、無事に真菌がいなくなった後、患部ではどのようなことが起こっているのでしょうか。
一度炎症が起きると、患部には免疫細胞が集まってきます。
免疫細胞は体を外敵から守るために様々な成分を出して攻撃をしていくのですが、この攻撃因子によって体自体が傷ついてしまうことがあり、これが炎症の原因となります。
外敵がいなくなっても、攻撃因子が残っていれば細胞は傷つけられ続けてしまい、それがかゆみや痛み、赤みといった症状がなかなかなくならない要因のひとつなのです。
ステロイドは副腎から出るホルモンの一種で、この免疫細胞の働きを抑える効果があります。
通常であれば、感染症にステロイドを使うと免疫が低下し、ますます原因菌が増殖してしまいます。
しかし、すでに原因となっている菌が殺菌されていて炎症のみが残っている状態には、ステロイド薬が特に効くといわれています。
ステロイド外用剤の種類
ステロイド薬には
- 1.weak(ウィーク)
- 2.mild(マイルド)
- 3.strong(ストロング)
- 4.very strong(ベリーストロング)
- 5.strongest(ストロンゲスト)
の5段階があり、それぞれ炎症の程度によってどのランクのものを使うか選択されます。
抗真菌剤と一緒に処方されることもありますので、しっかりと原因菌を殺菌しながら、ステロイドで炎症を抑えていきましょう。
このステロイド薬、やめ方にややポイントがあります。
症状や体質に合ったステロイドを塗ると劇的に改善が見られる場合もあるのですが、よくなったから、と止めてしまった途端に炎症がぶり返してきてしまうことがあります。
できれば症状の改善と共に少しずつ弱いランクのものに下げていくのが理想です。
医師や薬剤師と相談しながら、薬を使わなくても問題が無い状態までしっかり治療をしていきましょう。