私が長年、為替の世界で見てきたディーラーたち
「卑怯者、悪代官、リスクを取ろうとしない者・・・」
26年もの間、為替の世界に身を置いてきた著者が20年以上相場に携わった経験から得たディーラーの世界の裏話を披露。(バックナンバーはこちら)
為替相場のウソ
20年以上相場に携わっていると、為替相場をめぐる市場情報の裏や人間模様なども自然と見えてくるものである。
近年日本をはじめ世界中(私が生活するシドニーでも)で個人の為替を含めた金融商品取引が活発化し、昔は銀行のディーリングルームや事業法人の特定部署だけで取引されていた為替取引が、より多くの人々の手の届くグランドに降りてきたことは大きな喜びである。
しかしそれと同時に多くの為替関係記事やブログが氾濫し、多くのコメンテーターが登場して百家争鳴の様相であるが、相場情報などもを見ても率直には受け入れられないものも中にはあるように思われる。
為替相場の7割程度が投機マネー
今日世界の為替市場における取引高(ターンオーバー)は約3兆ドルで、その7割程度が投機マネーであるとよく言われる。
しかしBIS(国際決済銀行)の年次調査など見ると為替ポジションの発生するスポット取引とアウトライト取引(先日付)は全体の47%程度で残りは、オーバーオール・ポジション(売りや買いのポジション)が発生しないスワップ取引(直物買い-先物売り、直物売り-先物買い)であることがわかる。
またそのスポット取引やアウトライト取引も顧客玉を銀行につなぎ、銀行がカバーを取る。または個人為替取引玉を証拠金取引業者が銀行につなぎ、銀行がカバーを取るなど原取引からいくつもの取引が派生するため、巨額の投機マネーが常に市場を席捲しているような表現は正しくないと言えよう。
為替需給・大玉のインパクト
よく何十億ドルの玉が出て市場が崩壊し、何百ポイントも相場が暴落したなどという記事を目にする。
しかしそのようなことは年にほんの数回程度ではないか? わたしがいたシドニーの邦銀では最高で「AUDYEN 1bio」(豪ドル円 10億ドル)を1ショットで市場に売ったことがあるが、このときは確か50ポイントほど市場が下がったあとで、売ったレベルよりも逆に上昇したと記憶している。
つまり「大玉=相場が動く」と考えるのは間違いであり、その数倍(数十億ドル)の玉をさばきたい顧客がいれば、市場のアベイラビリティーを考慮して何日もかけて慎重に市場カバーを取るであろう。
わたしが記憶にある過去最大級の短期間における相場の変動は1985年にバーレーン市場にいた時に当時のドルマルク市場でブンデスバンク(独連銀)がドル売り介入し、目の前数時間でドルマルクが1.30から1.13に暴落した時、および1998年10月に米国ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネージメントが破たんし、数兆円規模の円キャリートレードポジションをクローズしたことによりドル円が2日間で134円から111円まで暴落した時であるが、まあこのような暴落は10年に一度であろう。
むしろ昨年のサブクライム以降は小口の集積がより巨大なポジションとなって市場に動きが出ているのではあるまいか。
銀行には一見姑息とも思える手を使う連中もいる
また「オプションバリアやオプション防戦売り(買い)のためそのレベルが突破できなかった」、などという記事もよく目にするが、こういった情報を鵜呑みにすることは危険だ。(次ページへ続く)
関連記事
注目リンク
この記事に登録されているタグ
本記事は、投資や貯蓄などマネーを活用するための情報提供を目的としており、