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| 増補改訂版・もうニオイで悩まない 体臭恐怖 | ISBN 4892955310 四六並製・216頁 五味常明 著 ハート出版(税込み)1365円 | 人が体のニオイで悩むのは、決して「クサイ」からではありません。 それは、その人がとても「やさしい」からなのです…。
「クサイ」と言われること あなたは、人からなにげなく「クサイ!」と言われた経験をお持ちでしょうか。 直接言葉でなくとも、話の途中で相手が急に顔をしかめたり、咳き込まれたことはありませんか。そんなとき、あなたは、自分の体から何かイヤなニオイでもしているのではないかと、内心深く傷ついたことでしょう。 人はなぜ、人から「クサイ」と言われて傷つくのでしょうか。そのときの心の痛みが、たとえば「ハゲ」とか「デブ」などのほかの中傷語よりはるかに強烈なのは、なぜでしょう? それは「クサイ」という言葉が私たちの心の中に、一種の「加害者意識」を生じさせるからです。 通勤電車の中で、隣の乗客が突然「クセー!」などと顔をしかめてあなたをにらみ、席を立った場面を想像してみてください。そのときあなたが感じる感情は、怒りやくやしさよりも、まず“自分がほかの乗客に迷惑をかけている”という気持ちではないでしょうか。あなたがマジメな人であればあるほど、その加害者意識は強まるでしょう。 つまり、「クサイ」という言葉は、ただでさえ責任感の強いあなたに、「多数の人に迷惑をかけている」という新たな“責任感”を押しつけてしまうのです。 もう一つの理由は、「ニオイ」という感覚が、目に見えないものであることによります。 「ハゲ」「デブ」「短足」「万年課長」など、人を蔑む言葉はたくさんありますが、そうした言葉を投げつけられても、人は“全人格を否定されたような気持ち”にはなりません。なぜなら我々は、そうした事柄――外見や役職など――については“自らの全人格のほんの一部分に過ぎない”と、ハッキリ感じることができるからです。 ところが、「クサイ」という言葉は、目に見えないあいまいなものであるため“自分の中の一部分に過ぎない”と受け流すことができないのです。「クサイ」と言われたとき、全人格を否定されたようなショックを感じるのは、ひとえにその「あいまいさ」ゆえです。 自分の体臭が人々に不快感を与えている――そうした意識は、体臭が目に見えないだけに、マイナスの自己イメージとなってふくれ上がっていきます。そして時に、自分自身のアイデンティティーの喪失にまで至ることもあります。 体臭で悩む人は、しばしば会社や学校での人間関係から逃れようとします。体臭の悩みの行き着く先は人間関係からの逃避であり、社会性の障害なのです。 私は、若者の登校拒否や引きこもりのかなりの部分が、「体臭の悩み」に原因があるとみています。今、このように自分の体臭を気にして人間関係をうまく築けない若者が急激に増加しているのです。 私は、そのように自己の体のニオイを気にするあまり、社会生活になんらかの影響が及ぶ状態を「体臭恐怖」と呼んでいます。
体臭・多汗の治療に必要なもの 私は、体臭の治療という、いささか特殊な分野の専門医として、多くの患者さんの手術やカウンセリングに長く従事してきました。 その長年の経験からつくづく感じるのは、自分の体のニオイで悩んで来院される患者さんの「心の痛み」の大きさです。 大半の患者さんは、何カ月も、時には何年も一人で悩み抜き、その果てに意を決して来院します。受診に至るまでの心のつらさは、察するにあまりあります。 にもかかわらず、体臭で悩んだことのない人には、そのつらさはとうてい理解できません。たとえば、体臭で悩んでいる人が最初にその悩みを打ち明けるとき――たいていは親や近しい身内に対してでしょう――打ち明けた相手の反応は、十中八九、次のようなものです。 「気のせいじゃないの? 全然クサくないよ」 「体臭くらいでクヨクヨ悩むことないわよ」 「なにをバカなことを言ってるんだ」 このような反応は、体臭で悩んだことのない人にはしごく当然であり、「たかが体臭」でしかないのですが、意を決して自分の悩みを打ち明けた患者さんにとっては、“自分の体臭が原因で周囲の人から嫌われ、避けられている”……、そんな拒絶感をすでに抱いている上に、今度は“自分の悩みを誰も理解してくれない”という疎外感が加わり、二重の苦しみを味わうことになります。 問題はこれだけにとどまりません。 患者さんの不安感をさらに増大させるのは、自分の悩みをどんな病院に行って相談したらよいかが皆目わからない、ということです。 ほかのほとんどの病気なら、こんなことはあり得ません。歯痛なら迷わず歯科医に行くでしょうし、喘息なら呼吸器科、不眠症なら精神科といった具合に、行くべき病院・治療施設に迷うことなどまずありません。 ところが、体臭の悩みは、何科の医師が専門なのかわかりません。「皮膚科ではないし、外科でもなさそうだ。心の悩みだからといって精神科に行くのも違うような気がする」……、そんなふうに思い迷って、一人悶々としていた人も少なくないはずです。 実際、体臭の治療を専門にしているのは、我が国で、私の医院を含めてほんの数施設に過ぎません。ましてや、手術治療だけではなく「心のケア」まで行っている病院となると、皆無に等しいのです。 それは一つには、体臭恐怖の治療が、非常に広い守備範囲を要求されるためです。 一口に体臭といっても、その様態は様々です。明らかなワキガ体質の患者さんには当然手術治療が最も効果的ですし、一方、本当はワキガではないのにそう思いこんで悩んでいる「自己臭」の患者さんには、心のケアこそが重要になってきます。このようにまったく異なる様態の患者さんに対処できなければ、体臭の正しい治療相談とはいえません。そしてそのためには、熟練した外科的手技と精神医学的知識・配慮が必要になります。つまり、体臭恐怖の治療者は、外科医であると同時にカウンセラーでもあることを要求されるのです。 しかし、そうあるべきことが、日本にあってはなかなか難しいことなのです。なぜなら、我が国の医学界は、多くの分野に通じた医師より、一つの分野に秀でた専門医のほうを重くみる傾向があるからです。 いきおい、外科医が精神医学を、また逆に精神科医が外科を同時に学ぶという機会は、まれになります。その結果、外科医は安易に手術療法に依存し、精神科医は精神療法(投薬やカウンセリング)のみによりかかる……、という偏りに陥りやすくなるのです。 外科的アプローチに偏れば、本来手術の必要のない患者さんに無意味な手術を施してしまいかねません。一方、精神医学的アプローチに偏れば、簡単な手術で治る体臭を、いたずらに言葉のみの治療で長引かせ、患者の貴重な人生を浪費させかねません。 ですから、体臭の医療分野では、患者さんの全体像を十分把握した上で、この二つのアプローチを、時と場合によって使い分けられる医師が必要なのです。私は、そうした医師であるために、「心療外科」という新たな医療分野を築きあげようと努力してきました。 「心療外科」は私の造語です。読んで字のごとく、“外科的治療(形成外科や皮膚科的手術など)を中心に据えつつ、患者さんの内面を重視して精神医学的アプローチをする臨床医学の分野”を意味して名づけました。正しい体臭恐怖の治療は、この心療外科的アプローチによってしかありえない、そう私は考え、実践しています。
家庭教育問題としての体臭・多汗の悩み さらに、体臭にまつわる様々な問題は、医療の分野だけにとどまるものではありません。それは、「教育問題」としての一面も合わせ持っています。 近年、学校での「いじめ」の中で、ワキガなどの体臭がきっかけになるケースも増加しています。 いじめだけではなく、それと関連した登校拒否、さらには大人の出社拒否においても、体臭に関する悩みが引き金となるケースも見られます。体臭の悩みは、いじめの原因となると同時に、いわゆる「引きこもり」の原因、ないしは遠因ともなるのです。 このような場合の体臭の問題は、単なる医療分野の問題としてだけでは語れません。 たとえば、体臭が引き金となって登校拒否に陥った生徒が手術によってワキガ臭がなくなったとしても、そのことによって以前のように元気に学校に通えるとはかぎりません。なぜなら、子どもにとっての「体臭の悩み」は、成長過程での人格の発達の「つまづき」にまで発展することもあるからです。ですから、たとえ体臭が原因で起こった引きこもりや登校拒否も、医療的アプローチと平行して、子どもたちの全人格がかかわる家庭教育問題として総合的にとらえる必要があります。 したがって、子どもたちの体臭の悩みについては、医師と両親、そして担当教師の三者が連携協力し、「治療教育」という側面から考えていくことが望まれます。 これら三者の連携がうまくできれば、次のようなミスを未然に防ぐことができます。 第一は、医師が安易に医療行為を行うことによって、患者自身が持っている、自分で自分の問題や悩みを解決して自立していこうとする力を阻害してしまうこと。 次に、親が、体臭の悩みを訴える子どもの初期のサインを見逃し、「どうしてニオイくらいで悩むの?」「甘えてるわ」などと一面的にとらえてしまい、「長引く引きこもり」という深刻な事態を招くこと。 さらに、教師が、子ども同士のニオイに関する“言葉の暴力”を見逃してしまい、いじめを放置し、登校拒否を招いてしまうこと、などです。 体臭恐怖の問題は家庭教育問題である――そうした意味から、本書は、自ら体臭で悩んでいる人ばかりでなく、体臭が原因でいじめが起きる可能性のある学校の先生や、体臭が原因で引きこもりがちのお子さんを持つご両親にも、ぜひお読みいただきたいと思います。
なお本書は、既刊の拙著『デオドラント革命』の姉妹編です。前著が主に、明らかなワキガ体質の患者さんに向けて書いているのに対し、本書は、さらに幅広い体臭全般に関する悩みと、そこから生まれる「引きこもり」などの“対人関係の悩み”に重点を置いて書かれています。 また、体臭恐怖で悩む人々の実際の生の声や実例は、五味クリニックのホームページ「読者の共有メール」に数多く記載されています。本書と併せて読んでいただければ、現代社会の体臭恐怖の全体像が、よく理解できると思います。
…はじめに より… | 目 次
はじめに 「クサイ」と言われること 体臭恐怖の治療に必要なもの 教育問題としての体臭恐怖
第1章 人はなぜ体臭で悩むのか? 人はなぜ悩むのか 悩みは欲求のレベルで決まる 欲求の種類 ①生理的欲求階層 ②安全欲求階層 ③所属・愛の欲求階層 ④自尊の欲求階層 ⑤自己実現の欲求階層 欲求不満と悩みはどう違う? 体臭の悩みは人との比較から生まれる 体臭が劣等感になるメカニズム 対人恐怖としての体臭恐怖 ①赤面恐怖 ②表情恐怖 ③視線恐怖 ④醜形恐怖 ⑤自己臭恐怖 対人体臭恐怖の特徴 「自己実現」に向かう道
第2章 体臭恐怖と引きこもり 引きこもる若者が増加 引きこもりの背景 引きこもりの性格的要因 体臭恐怖による引きこもりの特徴 体臭といじめ
第3章 現代社会と体臭恐怖 現代人の清潔志向 社会から消えゆく生活臭 コミニュケーション能力の退化も体臭恐怖の原因 ニオイはコミュニケーションの手段 人間の嗅覚の変化 ニオイの役割の変化 体臭は今でもコミュニケーション・ツール 現代人にとってのニオイの意味 ニオイを気にする若者たちへのメッセージ
第4章 体臭恐怖の分類と治療法 体臭恐怖の分類 不潔過敏症 多汗恐怖を伴う体臭恐怖 神性発汗の仕組みと治療法 局所的体臭恐怖 ①頭臭 ②口臭 口内炎症 胃腸疾患 肝機能低下 腎機能低下 糖尿病 ③陰部臭 ④乳輪部のニオイ ⑤足のニオイ ワキガ恐怖の診断と治療 ①重度ワキガ症の診断と治療 ②中等度ワキガ症の診断と治療 ③軽症ワキガ症の診断と治療0 ④非ワキガ症(ワキガ・ノイローゼ)の治療 自己臭の分類と治療法 ①自己臭妄想 ②自己臭恐怖 嗅覚の異常感覚を伴う自己臭(異臭症)
第5章 様々なデオドラント法 便通を促進して便臭、口臭を抑える「メカブ納豆」 循環を活性化して体臭や口臭を防ぐ いい汗をかいて気になるニオイを防ぐクエン酸消臭術 体臭は生活の工夫でかなり軽減できる 皮膚を弱酸性にし細菌の繁殖も防ぐ ・クエン酸風呂 ・クエン酸ショウガドリンク ・クエン酸ローション 中高年女性の気になるニオイには抗酸化物質が豊富な食品を 女性ホルモンが減ると、ニオイの悩みも大きくなる? 女性なのにおじさんのニオイ、“加齢臭”とは? 抗酸化物質が豊富な食品が老化を遅らせ、加齢臭を防ぐ ミネラルウォーター消臭剤で頭臭対策 頭髪臭 ミネラルウォーター消臭剤の作り方 頭皮臭 にがりのマイルドな体臭予防効果 重曹のアルカリ性が体臭予防に効果 衣類が黄ばむ三つの原因 重曹で腋の消臭+服の黄ばみ対策 洗いすぎはニオイの原因。重曹石鹸&ミョウバン石鹸で上手に洗う ココアのリグニンが便臭を予防する お茶は最も身近で効果的な消臭剤 緑色野菜を食べて「刺激臭」対策 ①自己臭妄想 ②自己臭恐怖 便臭、腐敗臭に効果があるクロロフィリン デオドラント剤はなぜ効くのか デオドラント剤の上手な使い方 衣類につけるタイプの新しいデオドラント剤 「衣類DE消臭法」のコンセプト 「繊維の消臭剤」とどう違う? 「直接消臭剤」とは何が違う? メリットは? 「機能性衣類」との違いは? 「イオンクリア」と「イオンダッシュ」はどこが違う? こんな使い方もある 消臭繊維の利用 皮膚を保湿して脂性肌対策 善玉菌で腸を健康に保ち、良いオナラを出そう 過敏性腸症候群のオナラ対策 波動が原因の“第三の体臭”と波動療法
おわりに 想像できる自分 共感できる自分
参考文献
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