料理に液体窒素?!新時代の料理。もはや芸術の域に達した「分子ガストロノミー(分子美食学)」

料理を科学的に解明し、それを応用する学問「分子ガストロノミー(分子美食学)」。今、これを利用した新時代の料理が次々と生み出されています。それは芸術といっても過言ではないほどの域に達しています。

フレンチ、イタリアン、中華。
ファーストフードにオーガニックフード。

様々な伝統的な料理と、時代に適した新たなジャンルが生まれる料理の世界において、歴史的には浅いが、間違いなく新時代のスタンダードとなっていく料理があります。

それが「分子ガストロノミー」です。分子ガストロノミーは調理を物理的、化学的に解析した科学的学問分野であり、本来は研究分野のみをさしていました。
昨今ではその研究結果を用いたり、非伝統的な方法・料理全般を「分子ガストロノミー」と表現することが多くなってきていますが、研究分野と調理分野を分けて料理分野を「分子調理法」と表現したりもします。

まるで、魔法のような体感したこともない食感、味わったこともない味の世界に誘ってくれる「分子ガストロノミー」をご紹介します。

歴史は浅く1992年

研究分野での分子ガストロノミーの歴史は1992年のイタリアで始まりました。科学者と料理人が集まり、伝統料理の化学的分析を行う研究会を開いたのが始まりです。
当初は研究分野に重点が置かれていたので、主に調理法により食材の変化や食事における感覚などを研究していました。

これらの研究で、例えば「青物を茹でるときには湯に塩を入れないといけない」などの伝統的常識が実は誤りであったことが解明されました。

「分子調理法」としての「分子ガストロノミー」の代表といえるのは、スペインのミシュラン三つ星店「エル・ブリ」のシェフ フェラン・アドリア氏です。

泡のようになったソースなどをテレビなどで見たことはありませんか?

これは「エスプーマ」と呼ばれるもので、空気で素材を泡立てる技術です。

これをはじめに行ったのがフェラン・アドリア氏であると言われています。この技法は、空気の力で素材を泡立てるので通常泡立たない食材でも泡立てることができます。
これにより、新たな食感と新たな魅せ方が誕生しました。

液体窒素に遠心分離機?!

一見科学の実験に使われそうなものも調理のために必要なアイテムと化すのが「分子調理法」です。

①液体窒素

常温では気体として存在している窒素を液体にした液体窒素はご存知の通り超低温(-195℃)。これを用いて食材を急速冷凍して通常ではありえない形・演出を行います。

②遠心分離機

DNAの解析などに使用されそうな遠心分離機も料理に新たな魅力を加えます。遠心分離アイスキャンデーは、果肉を潰し、遠心分離機にかけて凍らせることによって素材の均一な味、色ではなく階層によってことなる味とコントラストを楽しむことができます。

③アルギン酸ナトリウム

もはやイメージすらしにくくなりましたが、このアルギン酸ナトリウムに塩化カルシウムを加えると凝固するという性質があります。この性質を利用して、アルギン酸ナトリウムをジュースなどに加えて塩化カルシウムを溶かした液にいれることにより表面を固めることが可能です。

これを利用すると、下の写真のような料理が完成します。

キットが買える

この非常に美しい「分子ガストロノミー」ですが、家庭でやるのは大変そう。という不安もあるかと思います。たしかに、液体窒素や遠心分離機を買い揃えるのは大変です。
しかし、挑戦してみたいという方には「分子調理キット」がオススメです。

MMTUM社から発売されている「分子調理キット」は約1万4000円とお手軽な値段で販売しているので興味のある方は一度購入してみてもいいかもしれません。

日本でも味わえる

「分子調理法」を用いた料理の老舗はさきほど出てきたスペインの三つ星料理店「エル・ブリ」ですが、このお店は年間で200万件もの予約がくるほど大人気で、世界一予約が取れないレストランとして有名です。

さらには、スペインまで行くもの一苦労。しかし、実はこの「分子調理法」を用いた料理は日本でも食べることができます。

では、完全予約制限定8名で魅惑的な料理を提供しており、日本でも数少ない「分子調理法」を用いた料理が味わえるお店です。

ディナーは1万7000円と少し高いですが、記念日などに訪れてみるとこれまでとは全く異なる料理に圧倒されるはずです。

料理は伝統的に継承されるものであり、それが料理の魅力であるという意見ももちろんあります。しかし、「エル・ブリ」のシェフ フェラン・アドリア氏も「パエリアを作るなら誰が作ってもパエリアだ。しかし、料理とは創造的なものだ」と言っています。

科学が発展した世の中だからこそ、それらの技術を用いて新たな料理の世界を打ち立てることも必要なのではないでしょうか?
それが、このあと100年の伝統となるはずです。