一人の看護師が私の名前を呼びました。
「橋本さん」
さ~て、これから何をされるんだろう?と思いながら腰を上げかけると、看護師さん、私の方にサササッと早足でやってきて、
「橋本さん、申しわけないですが、途中から申し込みがあったものですから、順番があってもうしばらくお待ちいただくことになります。申しわけございませんが、お願いします。」と丁寧に、丁寧に謝ってくれた。
つまり、かかりつけ医からの連絡で、検査の申し込みはされたはいいけれども、ちゃんと予約されている患者さんがたくさんいて、その方たちを飛ばして、あなたを先に診ることはできないので、待ってください、ということだった。
かれこれ、もう1時間近く待っているんだが、これからまだまだ待たないといけないらしい。
なにせ、この大病院に来るのは2回目です。
1回目は、20年も前の話で、30歳過ぎのころだったかな、ほっぺたのちょっと上のところに、小さなニキビみたいな、ニキビというのは20歳までの言い方で、それ以後は吹き出物というんだと、誰かから教わったおぼえがありますが、そんなものができたんです。それが少しずつ大きくなって目立つようになってきたんです。それを診てもらい。若いきれいな女医の先生があっさり手術で取ってくれたんです。入院なしでね。
そんなこんなで、さらに1時間ほど待った。
「橋本さん」と、やっと呼ばれた。
「はい」と中学生のように返事をして、そそくさと看護師さんのところへ行くと。
看護師さん「中の2番の前の待合でお待ちください」とおっしゃる。
よくわからないので「???…」としていると。
看護師さん「中にも待合室があるんです。そちらの2番の前でお待ちください。」とおっしゃる。
「はい」と、また中学生のようにいい返事をして、その中というところに進んでいくと。
本当に奥のほうに、さらに待合があって、番号札のある入り口の前に数人数座って待っていらっしゃった。
さらに、さらに30分ほど待った。もう昼食の時間も過ぎたころ、やっと、今度は本当に呼ばれた。
「橋本さん、2番へどうぞ」と
ドアをノックして、
「お願いします」と入ると、よくテレビに出てくるようなパーテーションで区切られた幾つも幾つもずらっと並んでいる診察室の一つだった。先生がパソコンの画面を見ながら
「はい、どうされましたか?」と尋ねる
私「はい、背中が痛いので、お医者さんに診てもらったら、血液検査でどうもよくないような…」と言うと
先生「う~ん、紹介状が来ていますね、この数値が異常に高いのは悪性腫瘍の心配があります。CTを撮りましょう。その後でまたお話しましょう。看護師さんの指示に従ってください。」
私「はい」
先生「では、はい、そういうことで後ほど、はい。」ということだった。
先生と私の時間は、たったの3分程度だった。
診察室を出ると看護師が手招きして私を呼んでくれた。
私のカルテのようなものが入ったプラスチックのケースを手渡して、「これを持って7番に行ってください。終わったら、内科の窓口にこれを出してください」と言われた。
私は、天井に吊された行き先案内の看板を見ながら7番の窓口に向かった。これがよくテレビで見る大病院のたらい回しなんだな~と思いながら、7番窓口でプラスチックのケースを渡した。
請負の医療事務員に「⑥のドアのところでお待ちください。」と言われ、またまた⑥のドアを探しながら歩く。
どんどん病院の奥に入っていく、周りの人が少しずつ少なくなっていく。
⑥の鉄製のドアの横にある長椅子に座って待っていた。私の前に2人待っていた。
腹が減ったが、CTを撮るのに食事はしてはいけないので、ここは我慢です。30分ほどして、やっと私の番が来ました。
生まれて初めてのCTです。
どんな状態なのかうすうすわかっているくせに、何か初めてのCTにワクワクしている変なおっさんになっていました。
看護師と技師の指示に従って、ズボンを下げ、ベッドに横たわり、撮影を待ちました。
「ウーン」という音とともにCTの本体が動きだした。
録音された女性の声で「楽にしてください」と言っている。
顔がすっぽり本体で隠れると、何だか息苦しさを感じる。どうも、私は閉所恐怖症の気があるようで、こういう狭いところに押し込まれるのが苦手だ。
何度かそんなことを繰り返しながら、
機械がしゃべった「息を止めてください」
さて、本番だ。レントゲンと同じだよな~なんて思いながら、息を止めていた。
何度かそんなことを繰り返して、CT撮影は終わった。
カルテの入ったプラスチックケースをもらって、また元の内科の窓口へそれを出した。
窓口の事務員は言う「しばらく座ってお待ちください。」
大病院というところは「お待ちください」しか言わないのかとだんだん腹が立ってきた。
再び待った。待つしかないから…。
看護師が私の名前を呼んでくれた。これで次の段階、中の待合まで進んだ。
そして医師が私の名前を呼んだ。
「橋本さん、2番へどうぞ」
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