MRSA感染症(えむあーるえすえーかんせんしょう)

MRSAの略称で呼ばれるメチシリン耐性黄色ぶどう球菌の感染によって起こる病気です。

MRSA感染症(えむあーるえすえーかんせんしょう)

MRSA感染症とは、MRSAの略称で呼ばれるメチシリン耐性黄色ぶどう球菌の感染によって起こる病気です。

黄色ぶどう球菌は健康な人の鼻やのど、皮膚、腸管などに常在している細菌です。ときににきびやおできをつくり、化膿すると黄色いうみを出しますが、この場合は薬がよく効くので問題はありません。しかし、MRSA感染症の場合は同じ黄色ぶどう球菌なのに、薬が効きにくくなった細菌で、病院内での感染を起こす重要な原因菌として注目されるようになりました。

これまで人間はさまざまな薬をつくりだして、病原菌との闘いをくり広げてきました。しかし、細菌はそれらの薬が効かないような機構をみずから開発して、耐性を身につけた変異株に変身してしまうのです。そこで、また人間はその耐性菌に対抗するための新しい薬を開発すると、細菌はさらにその薬に耐性をもつ変異株をつくるというイタチごっこのなかで出現したのがMRSAです。

MRSA感染症の症状

MRSA感染症の症状としては、MRSAは健康な人の皮膚や鼻腔に存在していますが、ふだんは病原性があらわれず、健康な人が感染しても発症することは少ないものです。しかし、もともと別の疾患があって感染に対する抵抗力が低下している人がかかると、重い感染症を引き起こします。MRSA感染症を起こしやすい人は、未熟児、高齢者、大手術後の患者、抗菌薬を長期間使っている人、抗がん剤を使用している人などです。

MRSAによる主な感染症としては、敗血症、骨髄炎、手術後の傷の感染、肺炎、膿胸、褥創感染などがあげられます。

敗血症を起こすと、寒気やふるえ、冷や汗をともなう38~39℃の発熱が起こり、重症の場合は、尿量減少や意識障害があらわれ、血圧が急に下がって敗血症ショックと呼ばれるショック状態に陥り、数時間で死亡する場合もあります。骨髄炎を起こすと、感染した部位が赤くはれて激しく痛み、さらに発熱、嘔吐などの症状があらわれます。

肺炎を起こすと、38℃以上の発熱、激しい寒気、せき、たんなどの症状があらわれます。膿胸を起こすと、胸痛、せき、背部痛、寒気とふるえ、高熱などの症状があらわれます。

これらのMRSA感染症は、ふつうの黄色ぶどう球菌の感染でもよくみられるものですが、MRSAの感染だけに起こる特殊な病気にMRSA腸炎があります。MRSA腸炎は、胃の切除手術のあとなどに抗生物質を用いたさいにみられ、腸管内にMRSAが増殖して腸管毒をつくるため、激しい下痢が起こります。早期に治療しないと命を落とす場合もあります。

MRSA感染症の原因

MRSA感染症の原因は、MRSAの毒性は本来、ふつうの黄色ぶどう球菌の毒性と変わらないため、MRSA感染症はふつうの黄色ぶどう球菌感染症の一種といえます。しかし、通常使われている抗生物質のほとんどに耐性があるため、大腸菌感染症などほかの細菌の感染症を治療するさいに抗生物質を使うと、ほかの細菌は殺されても抗生物質のきかないMRSAだけが傷に付着することがあります。このため、大腸菌などの細菌に代わってMRSAの作用が活発になる場合があります。

このような変化は、抗生物質を使うことが多い病院内で起こりやすいため、MRSA感染症のほとんどは病院内で発生しています(院内感染)。抗生物質を服用していても自宅にいる場合は、大量のMRSAを保有する人が自宅にいないかぎり、MRSA感染症にかかることはありません。

しかしMRSA感染症の治療のため病院にいる人は、感染に対する抵抗力が低下しているため、MRSAに感染した場合に重い感染症になり、しかもほとんどの抗生物質がきかないために、治すのがむずかしくなります。とくに大手術のあとで、重症患者、免疫不全状態の人や抗がん剤を使用している人など、極度に抵抗力が弱くなっている人に感染すると治療は非常に困難です。 

MRSA感染症の検査

MRSA感染症の検査については、MRSA細菌感染の疑いがでた場合、血液検査が行なわれます。これによって白血球数の増加、CRP値の上昇など、炎症があることを示す指標の変化を調べ、さらに血液の抗体検査で感染の原因がMRSAかどうかを確認します。 

MRSA感染症の治療

MRSA感染症の治療は、抗生物質のバンコマイシンの注射が行なわれます。バンコマイシンに耐性をもつMRSAはまだ発見されていないため、バンコマイシンには抗MRSAの効果があります。しかし患者が衰弱している場合は、有効な抗生物質が用いられても、十分な効果があらわれません。長期入院中の衰弱した患者がMRSA感染症を起こした場合は、バンコマイシンの注射でも効果がでないことがあります。

MRSA腸炎の場合には、バンコマイシンを内服します。  

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