■化粧品やケーキ、天然水も
今年も咲くシーズンがきた。世界的なバラ生産地、ブルガリアの中央を横切るバルカン山脈とスレドナ・ゴラ山脈に挟まれた一帯「バラの谷」では、毎年6月上旬に「ダマスクローズ」という香料用バラの収穫を祝うバラ祭りが開かれる。このダマスクローズを使ったさまざまな商品が日本でも登場し、人気となっている。
≪母の日お薦め≫
甘くて優雅な香りをもち、シャネルやティファニーといった高級ブランドの香水などに古くから配合されてきたが、一般向け化粧品にも使われ始めた。
ファンデーションやボディーオイルなどのコスメ商品を販売しているDHCなどに続き、健康志向のコンビニを展開するナチュラルローソンは、無添加化粧品メーカーの松山油脂と「女性イメージにこだわった」(松山油脂営業企画部の鈴木美佐枝さん)という「Rose the Rose」シリーズを共同開発。2月の登場以来、売れ筋になっており、母の日のお薦め商品にも選定された。
また、富士フイルムが1月に発売した、ビタミンEの1000倍の抗酸化力をもつとされる「アスタキサンチン」を配合した美容液にも、ダマスクローズの香りが取り入れられた。
“バラ博士”と称されるカネボウ化粧品の香料研究室主席研究員、駒木亮一さんによると、その香りには鎮静やストレス緩和のほか、ホルモンの調整や肌を美しくする効果があることが最新の研究で分かってきた。同社でも、それらの効能を生かした化粧品の開発を進めている。
≪連日の完売≫
気分をリラックスさせる甘い香りは、飲料水や食品向けの新たな付加価値として注目されている。
伊藤園は、ダマスクローズのエキスを使ったミネラルウオーター「Aroma Rose WATER」を4月に発売。これに先駆けて昨夏に発売した大喜(岡山市中山下)の「朝摘みローズ天然水」は、ナチュラルローソンなどを中心に店頭で好調な売れ行きが続いている。
東京都世田谷区に店舗を構える有名パティシエ(菓子職人)の高木康政さんは、このバラを使ったショコラやケーキを続々と商品化し、連日完売という人気ぶり。高木さんに、ダマスクローズを提供する輸入販売のロム・プロジェクト(東京都港区)は、バラのお茶やジャムのほかに「ダマスクローズ アロマキャンデー」なども開発した。
玉川高島屋S・Cガーデンアイランド(東京都世田谷区)の第一園芸では、ジャムや飴、食用の花びらなどの各種商品を販売するフェアを13日まで開催し、人気を博している。16日から始まる「国際バラとガーデニングショウ」でも、これらの商品が販売される予定だという。
ダマスクローズの香油を輸入するブルガリア・ローズ・ジャパン(東京都中央区)の染谷日出輝社長によると、食品や化粧品メーカーから、この香りを生かした試作品をつくりたいという引き合いが今年に入ってから急増。「徐々にブームになってきた。来年は輸入量が倍増するかもしれない」と期待する。今後、関連商品がますます増えそうだ。
≪産地も期待≫
ブルガリアでは、毎年6月の約2週間という短い期間に、日が昇ると香油成分が蒸発してしまうため朝日が昇る前に、ダマスクローズを手摘みで採集する。
花弁を水蒸気で蒸留する伝統製法で香料「ローズオイル」を1キログラムつくるためには、4トンものバラの花弁を必要とする。ラベンダーのオイルが1グラム約200円であるのに対し、ダマスクローズの場合は1グラム約5000円。香料としては最高級だ。
ブルガリア大使館のトマ・チュパロフ参事官によれば、ローズオイル輸出量の9割は欧米化粧品メーカーの香水用であり、日本への輸出はまだ総輸出量の1割にも満たない。しかも、「バラ風味の清涼飲料は日本独特の商品で、欧州にはみられない」という。
ただ、ダマスクローズ人気が、この1月のEU加盟後に力を入れている観光産業の活性化につながってくれることを期待している様子。同参事官は、「日本の次は中国や韓国で同様の商品が増えるはず。ブルガリアを知ってもらうきっかけになれば」と願っている。(小坂真里栄)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070513-00000001-fsi-bus_all
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