剥脱性皮膚炎(紅皮症)

概要

剥脱性皮膚炎とは、体の広範囲の皮膚が剥がれ落ちる皮膚炎です。「剥脱」とは、皮膚が剥がれ落ちることです。「皮膚炎」とは、皮膚に起きる炎症のことです。中には、皮膚の剥脱が基礎疾患に関連している場合がありますが、一方で原因がわからないこともあります。

紅皮症と呼ばれる事のある剥脱性皮膚炎ですが、この疾患は深刻であるものの、比較的珍しい皮膚炎です。合併症には、感染、栄養欠乏、脱水症などがあります。

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原因

原因

剥脱性皮膚炎の根本的な原因は、皮膚細胞に起きる障害です。皮膚の「ターンオーバー(代謝回転)」と呼ばれる過程で、細胞が早すぎるスピードで死滅し剥がれ落ちます。皮膚細胞の早いターンオーバーにより、大幅に皮膚がうろこ状になり、剥がれ落ちる原因になります。皮膚がうろこ状になり剥がれ落ちる状態を落屑ということもあります。

基礎疾患

自己免疫疾患や乾癬、湿疹などの慢性皮膚疾患をすでに持っている人の多くは剥脱性皮膚炎を発症します。

薬剤への反応

さまざまな薬剤の副作用によって、大規模な皮膚の落屑が起きることがあります。その原因となる薬剤には次のようなものがあります。

  • サルファ剤
  • ペニシリン
  • バルビツール酸系催眠薬
  • フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)
  • イソニアジド

その他の原因

白血病やリンパ腫など、がんの種類によっては皮膚細胞のターンオーバーのスピードを速めるものがあります。ただし、すべての発症例のうち、25%は特発性剥脱性皮膚炎です。(Merck、2009年). 「特発性」とは、明らかな原因がわからない疾患や症状に対して使われる用語です。 

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症状

症状

皮膚と体の変化

剥脱性皮膚炎はほとんどの人において、体の大部分に極度の発赤が起きる事から始まります。この皮膚の色の変化は紅皮症とよばれます。紅皮症と剥脱性皮膚炎は同義に使われることがあります。  皮膚の発赤と炎症に続いて、大規模な剥脱が起こります。皮膚は荒れてうろこ状になったり、外観が革のようにガサガサになります。皮膚が乾燥し、剥けてくることにより、かゆみと痛みが起きることがあります。また爪が厚くなったり筋が増えることもあります。

インフルエンザのような症状

剥脱性皮膚炎がある人は、発熱や寒気など、インフルエンザのような症状がみられることがあります。これは、広範囲に及ぶ皮膚の落屑による体内温度調節への影響から起こるものです。言い換えると、体が体温をうまくコントロールできなくなるということです。

皮膚の落屑にともなう合併症

剥脱性皮膚炎の患者は、血液量に減少がみられる事があります。これは、落屑した皮膚を通して体液が失われることが原因です。

皮膚の落屑は、小さな斑状によるものから始まり、時間の経過とともに体の大部分に広がっていきます。皮膚は主にタンパク質からできていて、栄養素をほかの器官に運ぶ役割を果たしています。皮膚が絶えず剥がれ落ちることによって、必須栄養素の体への吸収が妨げられる場合があります。また、皮膚が剥がれ落ちることによって、タンパク質も失われます。従って、脱水症と栄養不良は、この疾患によくみられる合併症です。

重度の症状

剥脱性皮膚炎の症状が重度である場合、生命に関わることがあります。感染症や、体液および電解質異常、また心不全などの合併症を起こした患者においては、死亡率が高くなります。剥脱性皮膚炎患者にもっとも多い死因は、肺炎、敗血症、心不全です(Karakayliら、1999年)。

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治療

治療

剥脱性皮膚炎は、多くの場合入院治療によって行われます。脱水症状や血液量の減少、栄養欠乏症などについては、入院治療が必要となります。これらの合併症の治療に、輸液や栄養の静脈投与が行われます。

炎症を抑え、より快適な状態に導くことが主な治療目標となります。対症療法には、温浴や経口抗ヒスタミン薬などが含まれます。乾燥やかゆみのある皮膚に対し、潤いを与える薬用クリームを処方する場合もあります。

多くの患者に、重症の皮膚炎と落屑の治療として、経口および局所用ステロイド薬が用いられます(Karakayliら、1999年)。中には、感光剤であるソラレンとUVA(紫外線A)を用いた光線療法(PUVA)によって効果がみられる人もいます。また免疫システムが皮膚が落屑するスピードを鈍化させる免疫抑制剤が処方されることもあります。

抗生物質は、特に危険性が高く重篤な合併症である皮膚感染に対する治療と予防の両方に効果があります。

医師は、皮膚炎を悪化させる基礎疾患の治療にも取り組みます。おそらく、アレルギー皮膚反応の原因である可能性のある治療薬の服用を中止する必要があるでしょう。

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今後の見通し

今後の見通し

剥脱性皮膚炎の展望は、患者によって異なります。  薬剤に対するアレルギー反応である場合、治療は最も簡単です。アレルギーの原因である薬剤の使用を中止した後、数週間のうちに皮膚に症状がみられなくなります。がんや乾癬などの疾患を管理することで、治癒を早めることができる場合もあります。特発性の型である場合、生涯を通して再発を繰り返すことがあります(Merck、2009年)。