てんかんを治療する方法には、どのようなものがあるのでしょうか。
てんかんとは
てんかんは年齢や性別など関係なく、誰にでも発症の可能性がある脳の病気です。脳の神経細胞を通る電気信号がいきなり激しい混乱を起こし、脳と身体との連携が乱れ、正しい情報の伝達ができなくなります。
そして身体が誤作動を起こし、手足がつっぱる、意識をなくしてボーっとするなどの症状が繰り返し起こします。
抗てんかん薬の服用はてんかん治療の主流
てんかんの治療は薬物療法、つまり抗てんかん薬を飲むことが主となります。医師は10種類以上もの抗てんかん薬(詳しくは「てんかん薬にはどのような種類があるの?」をご覧ください)の中から薬を選びます。
抗てんかん薬の種類
脳の神経細胞には興奮系の細胞と、興奮を抑える抑制系の細胞があり、てんかんの発作はこの2種類の細胞の働きのバランスが崩れることで起こります。抗てんかん薬は、興奮系の細胞を抑える作用のある薬と、抑制系の細胞の働きを促す作用のある薬と大きく2つに分けられます。また、このどちらにも当てはまらない作用でてんかん発作を抑える薬もあります。
抗てんかん薬の選び方は?
ドクターは患者の発作の形、脳波検査、その他の検査の結果を参考にして抗てんかん薬を選びます。病院で行う検査は、脳波の検査、MRI、CTなどです。そのうち脳波の検査はもっとも重要です。てんかんの患者の脳波には発作が起こっていない間も特徴的な波の形がみられるからです。また、必要に応じて検査入院を行うこともあります。
抗てんかん薬は、適切に服用すれば安全に使用できます。しかし、中には妊娠中に使用すると胎児への影響が大きい薬剤があるので、計画的な妊娠・出産が望まれます。挙児希望の場合は主治医と相談してみてください。
抗てんかん薬の血中濃度
どのくらいの量の抗てんかん薬を服用するのかは個人差があります。血液中の薬の濃度を確認しながら慎重に決定します。
てんかんは薬を飲み続ければ治るの?
てんかん発作のうち70~80%は、抗てんかん薬や外科治療(手術)によって抑えることができるといわれています。抗てんかん薬は発作を抑えるもので、原因を治す効果はありません。脳の異常な電気信号の興奮が起きないようにすることが重要で、薬を飲み続けることによって発作をコントロールし健康な方と同じ生活をおくることができるようになります。治療がうまくいけば最終的には薬を止めることができます。
薬はどのくらいの期間飲み続ければいいの?
抗てんかん薬をいつまで飲み続ければいい、といった具体的な基準はまだありません。現在は、最後の発作から2~4年の間一度も発作がみられず、さらに、脳波の異常が2年以上みられないことが薬を止める条件とされています。また、止める場合もいきなり止めず、ドクターの指導のもとに少しずつ量を減らして中止します。
抗てんかん薬の副作用
好てんかん薬によって次のようは副作用が見られることがあります。
- 眠気、注意力・集中力・反射運動能力の低下
- 霧視や調節障害などの眼障害
- めまい、頭痛、吐き気などの消化器症状、体重増加
- まれに、急性腎不全、皮膚粘膜眼症候群、薬剤性過敏症候群、肝機能障害
抗てんかん薬によって副作用の疑いが見られたら、医師に相談して適切な対応を受けることが大切です。
その他の治療方法
てんかん治療は抗てんかん薬治療以外にも次のような治療方法があります。
外科手術
難治性てんかんで、薬によって発作が抑えられない場合に検討される治療法です。あまり聞かれない方法ですが最近では成功率が上がり、積極的に行われるようになってきました。
ケトン食療法
食事療法のひとつで、糖類や炭水化物を減らして脂質を増やすことで体内にケトン体を作る方法です。てんかん患者の約半数に発作回数を減らす効果があるといわれています。食事制限により便秘や下痢、嘔吐、低血糖などの症状がみられることもあるため、ドクター指導のもと行う必要があります。
迷走神経刺激療法
難治性てんかん患者を対象に直径5cm未満の小さな機械を体に埋め込み、迷走神経に毎日刺激を与えることでてんかん発作を減らす、または程度を軽くする方法です。
ACTH療法
ACTHとは副腎皮質刺激ホルモンのことです。筋肉内注射により体内のホルモン分泌を促し、てんかんを治療する方法です。即効性があり多くの場合投与開始から2週間程で効果が現れるとされています。
これ以外にも、睡眠時間を整えて夜ふかしをしない、光などの発作を引き起こす刺激を避けるなど日常生活を見直すことも、てんかん治療に有効な方法です。
てんかんの予後
てんかん患者の約80%は適切な薬を飲み続けることによって発作を抑制することができます。これにより健康な方と変わらない生活を送ることができます。
ただし、てんかんの発作は何の前触れもなく突然起こることもあります。予期せぬ発作によって熱湯の入ったコップを落とす、歩道を外れふらふらと車道を歩くなど深刻なケガを負う危険があるので、患者本人も周囲の方も発作の種類をよく理解することが大切です。