大宮冬洋インタビュー(1) VS多賀正子~前編
「禁断のレシピ」の禁断の裏話、特別編。ライター・大宮冬洋が多賀さんのキッチンを訪れ、めくるめくハイカロリー料理の洗礼を受ける!
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『おおきなもののすきなおうさま』というロングセラー絵本をご存知でしょうか。チョコレートも植木鉢も何でも巨大なものが好きな王様を描いたお話です。僕は小さい頃に母親に何度も読み聞かせてもらっていました。30年ぶりにこの絵本を思い出したのは、多賀さんのキッチンスタジオに訪れたからです。
料理がとにかく大きくて、気持ちいいほどハイカロリー。しかもおいしいので食べ過ぎてしまいます。危険なキッチンだな~。
まずは「激辛エビチリあんかけ焼きそば」。エビがもっちりとしていますね。辛くてうまい。次に「豚足と手羽先のカレーうどん」。えっ? 今さっき焼きそばを食べたばかりなのにまた炭水化物ですか? しかも、豚足と手羽先の組み合わせがすごいですね。トロトロの食感とカレー味が食欲を倍増させてしまいます。
お口直しは「ピーナッツバター使い切りクッキー」。あのー、口直しなんだからもうちょっとさっぱりしたもののほうが……。半個で人の命が救えるのではないか、と思うほどファットな味わいです。
そして、直径40センチのフライパンでつくる「スパイシースペアリブ」! すでにお腹いっぱいですけれどテンションは上がります。簡単そうだから家でもやってみたいな、と思っていたら多賀さんが教えてくれるそうです。一緒にキッチンに立ち、手を動かしながら「大きなものの好きな女王様」の話を聞くことにしました。
――スペアリブを1本ずつ切り離すのって難しいですよね。
簡単ですよ。骨と骨の間にある軟骨を避けるようにして包丁を入れていくのがコツです。やってみますか?
――あ、本当だ。すぐに切れますね。
ついでににんにくの皮の楽な剥き方も教えましょう。根を切り落として、包丁の腹で軽く潰してみてください。ほら、スルッと剥けちゃうでしょう?
――おー、なるほど。というか、にんにくの量も尋常ではないですね。2片ではなく2個も入れるなんて……。多賀さんは子どもの頃からたくさん食べるのが好きだったんですか?
幼稚園生のときはごはんが嫌いで遊ぶほうが好きだったんですよ。母が京都人なので食卓がおばんざいばかりでした。子ども心にはテンション下がるでしょ。「暗いおかず」と呼んでいました。『世界の料理ショー』というアメリカのテレビ番組に憧れていたなあ。
――京都の人が嘆き悲しみそうなエピソードですね(笑)。
父は船乗りだったので、海外で買ってきた大きな肉やアイスクリームがお土産でした。4キロもある牛ヒレ肉でビフテキとかね。アイスは冷凍庫に入りきらないので、子どもたちで10cmぐらいワーッと食べて減らしたりしていました。
料理を覚えたのは20歳で結婚してからです。アジとサンマの違いがわからないぐらい和食がつくれませんでした。主人に呆れられてしまい、マズイ!と思って独学したんです。
――お話の途中ですけれど、スペアリブってこんなに弱火でいいんですか?
はい。じっくり30分ぐらい焼かないと肉が骨から離れません。
――そうなんだ……。ええっと、何でしたっけ。ああ、料理の話です。今日の大皿盛り具合にはびっくりしましたよ。
そう? うちは家族が多いので常に大皿盛りです。ジュースも1食につき4リットルは消費しますから。常に10リットルは用意してあります。
我が家は友だちを呼んで食べるのも好きなので、急にメンバーが増えてもいいように多めに作っちゃう。子どもの友だちがかち合うこともありますからね。
昔のCMで「大きいことはいいことだ」というフレーズがありました。大は小を兼ねるんです。食べるものが足りないことぐらい悲しいことってないですよね。外食でパスタを頼んだら、吹けば飛ぶような量しか出てこなかったりします。盛りが少ないのは犯罪ですよ。
――「盛りが少ないのは犯罪」。多賀さんならではの名言ですね……。
ちょっとだけいろんな料理を食べたい人もいますが、私の場合は「ちょっとだけ」では記憶に残りません。いくつかの料理を大皿でしっかり食べたいです。たまに行くローストビーフの店では1ポンド(約450g)を注文します。胃もたれすることもあるけれど、翌日には復活です。食べ過ぎ? いえいえ、日本人は食べなさ過ぎのやせ過ぎなんですよ!
(撮影:白根正治)
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次回、いよいよスペアリブが焼き上がり、さらなる禁断の料理が大宮の胃袋を襲う!
多賀正子さんと枝元なほみさんが美味しさだけを追求した「禁断」のレシピが満載です。