ワキガに悩んでいる人にとって、ワキガ手術は一度は考えてみる手段の1つではないでしょうか。でも体にメスをいれるのはかなり抵抗がある、ましてや体臭で手術なんて恥ずかしいし1週間も安静にしていなければいけないなんてハードルが高いという人はまずボトックス注射を検討してみてはどうでしょうか。
軽度のワキガならエクリン腺の汗を止めるだけでもニオイはかなり減少します。ボトックス注射とはどんなものでどんなメリット、デメリットがあるのかまとめてみました。
ボトックス注射
ボトックスと言えば美容外科などで目尻や額など顔のシワを伸ばすために使用されているイメージですよね。しかし実は汗腺を麻痺させる作用もあるため多汗症や軽度のワキガにも使われているのです。
ボトックスとは?
ボトックスの主成分はボツリヌス菌が生産する『A型ボツリヌス毒素』というものです。毒素という言葉からも分かるようにボツリヌス毒は猛毒です。しかし内臓に毒が回ってダメージを与えるタイプの毒ではなく、筋肉を弛緩させるタイプの毒です。猛毒と言ってもボトックス注射に使われている成分は安全性が高いものなので安心してください。
筋肉や汗腺は運動神経からのアセチルコリンという神経伝達物質によって機能しています。ボツリヌス毒素はこのアセチルコリンを阻害することで筋肉を弛緩させてシワを伸ばしたり、汗腺の働きを止めてしまうというわけです。
もしもボツリヌス毒素を全身の筋肉に注射すると体が麻痺して動かなくなり呼吸器の筋肉も使えなくなるため呼吸できなくなって死に至るでしょう。そのため猛毒という扱いなのです。
しかし、ボツリヌス毒素は1ヶ所注射したところで全身に回る毒ではありません。脇の下に数ヶ所注射することで汗腺へ働きかける神経のみをブロックして脇の下の汗腺を麻痺させます。局所麻酔のようなイメージですね。
ボトックス注射のメリット
- 注射なので傷跡やアザが残らない。炎症も腫れもなくすぐにいつも通りの生活に戻れる。あまり時間が取れない人に向いている。
- 体にメスをいれるわけではないので手術をしたくない人に向いている。
- 脇の下に数ヶ所注射するだけなので施術時間は5分程度。
- 一時的に汗腺を麻痺させるだけなので後遺症がない。
- 基本的に注射するだけなので担当する医師の腕によって効果が左右されることは少ない。
- 効果は長くて半年ほど持続する。春に打てば涼しくなる秋まで汗を抑えられる。
- 何度も継続的にボトックス注射を打ち続けていると汗腺が萎縮して機能しなくなり、永続的に汗の量が減る効果が期待できる。
ボトックス注射のデメリット
- エクリン腺にのみ効果があるので軽度のワキガ体質の人にしか効果は感じられない。
- 汗腺を取り除くわけではないので3ヶ月から半年ほどで汗が復活する。制汗効果は期間限定である。
- 効果に個人差があり、早い人は3ヶ月ほど、長くても半年ほどで効果がなくなります。
- 2012年から保険適応になりましたが、薬剤そのものが高価なので1回の施術で三割負担でも3万円ほどかかる。効果が半年ほどであることを考慮するとボトックス注射を打ち続けるより手術をしてしまった方が安いとも考えられる。
- ワキガ手術のようにワキ毛に対する脱毛効果はない。
- 重症筋無力症や筋萎縮性側索硬化症などの神経筋接合部に疾患を持つ人は病気を悪化させることがあるので使用できない。
- ボトックス注射は皮膚の浅いところに複数ヶ所注射するのですが、まれに注射針が深いところまで達すると筋肉麻痺を起こす可能性がある。
ボトックス注射のワキガ治療に向いている人は?
汗を出す「汗腺」という組織にはエクリン腺とアポクリン汗腺の2種類あり、ワキガ臭の原因となるのはアポクリン汗腺の汗であるということは以前お話ししました。
ボトックス注射によって抑えられるのはエクリン腺のみです。アポクリン腺にも効くようなことが書いてあるサイトもありますが、嘘です。
ボトックス注射に含まれるボツリヌス毒素はエクリン腺に汗を分泌させる「アセチルコリン」を阻害する作用を持っているため汗を止めてくれるのです。
しかし、アポクリン汗腺は「アドレナリン」という物質によって管理されています。ですからボトックス注射にアポクリン汗腺を止める効果はないのです。
ただし、エクリン腺の汗は量も多く大半が水分の汗です。そのため蒸れて細菌を繁殖させアポクリン腺の汗の匂いを増強して蒸発するときにニオイを拡散する作用を持っています。
軽度のワキガであれば、エクリン腺の汗を止めるだけでもかなりのニオイの改善が実感できると思いますが、重度のワキガの人はアポクリン汗腺からの汗が多いのでエクリン腺を止めてもあまり意味がないのが現状です。
費用の面でも、保険適用になったとは言え、安心できる品質のボトックスは高価です。3割負担でも1回3万円以上はしますので、それなら重度のワキガの人はアポクリン汗腺そのものを取り除く手術の方が効果を感じられる可能性は高いでしょう。