自称「12球団一、ヘボいドラ1」? 原樹理は燕を進化させるか【新・燕軍戦…

自称「12球団一、ヘボいドラ1」? 原樹理は燕を進化させるか【新・燕軍戦…

【写真】東洋大学ではエースとして活躍した原樹里(高木遊)

平均6回超えは小川だけ。「進化」が望まれる先発投手陣
「去年は『つばめ改革』ということで新しいことに取り組んだり、いろんなことにチャレンジしてきました。今年はさらに上を目指して進化していきたいという思いで、『燕進化』ということにしました」

 今シーズン、「燕進化」を新スローガンに掲げたヤクルトの真中満監督は、この3文字に込めた思いをそう話した。

「去年と同様では…やっぱり上積みがないとなかなか戦えないと思いますので、あらゆる分野で進化していきたいということです」

 昨年は混戦のセリーグを制して14年ぶりのリーグ優勝を成し遂げたものの、球団史上でも過去に1度しかない連覇、そして15年ぶりの日本一を目指すには、全体的なレベルアップが不可欠──。そんな思いがそこにはある。

 中でも真中監督が特に「進化」を望んでいるのが、先発投手陣だ。昨年は石川雅規と小川泰弘が2ケタ勝利を挙げ、シーズン途中で復帰した館山昌平はカムバック賞に輝く活躍を見せたものの、救援陣が両リーグNO.1の防御率2.67を誇る一方で、先発陣の防御率はリーグ5位の3.68。前出の3人を含め、計13人のピッチャーが先発マウンドに上がったが、平均投球回数が6イニングを超えたのは小川ただ1人だった。

 盤石だったリリーフ陣から中継ぎのオーランド・ロマン、そして絶対的な守護神のトニー・バーネットが抜けた今シーズンは、先発投手陣の「進化」がより重要になる。そのためにも欠かせないのは、小川に続く若手投手の台頭だろう。

 筆頭候補に挙げられるのは、昨年は先発として5勝を挙げた石山泰稚(27歳、2012年ドラフト1位指名)と、前年に続いて故障に泣かされながら、終盤に復帰して日本シリーズでも先発した杉浦稔大(23歳、2013年ドラフト1位指名)の「ドラ1コンビ」。そして、監督自身は「ルーキーに過剰な期待をかけるのは良くない」というものの、やはりドラフト1位で獲得した新人・原樹理に対する期待は、決して小さくはない。




ドラフトで外れて良かったと思われるように
 原は東洋大姫路高3年だった2011年夏に甲子園出場を果たし、ベスト8に進出。大学進学後は東都2部リーグで4年春に8勝を挙げて最優秀投手、秋には6勝して東洋大の2部優勝に大きく貢献し、最高殊勲選手、最優秀投手に輝いた。さらに駒大との入れ替え戦では3試合すべてに登板し、母校をみごと1部復帰に導いた。

 真中監督が阪神との競合となった明大・髙山俊の抽選で外れくじを「当たり」と勘違いし、話題となった昨年のドラフトでは、ヤクルトからその髙山の「外れ1位」で指名されて入団。そんな経緯もあってか、原は自らを「12球団のドラ1で一番ヘボいんで」と自嘲気味に話す。

「一番、能力ないですから。実際、(1位指名から漏れた中に)いいピッチャーがいっぱい残ってたじゃないですか。だから『ああ、もう2位以降か……』と思ってたんで、『あれ? オレ?』って(笑)」

 もっとも、彼には「実戦派」としての自負がある。
「打者との駆け引きだったり、いろんな球種、球質とかで打ち取っていくのが自分のスタイル。『剛腕』とかじゃないんで、そのへんで勝負していきたいですね。実戦は昔からずっと積んできて、バッターと対戦しながら『対バッターのピッチング』というのを追い求めてやってきたんで。ストレートの勢いとかスピードにこだわりはないんでブルペンでは華がないですけど(笑)、そこは周りがスゴくても焦らずにやっていきたいと思います」

 2月1日から始まる春季キャンプ、原はドラフト5位の外野手・山崎晃大朗とともに、一軍メンバーに抜てきされた。担当の酒井圭一スカウトも「完成度の高いピッチャー。ローテーションの一角を任せられる逸材」と話すなど周囲の期待も大きいが、本人に浮足立ったところはない。

「目標ですか? とりあえず一軍で登板して、自分に与えられた役割を果たせればいいかなぁって思ってます。でっかく『新人王』とか、そんなんじゃないです(笑)。あとは積み重ねッスね」

 だが、そんな原にも秘かにライバル心を燃やしている選手がいる。阪神に入団した高山である。

「高山を初めに指名して、それで外れて自分なんで……。そこは高山以上の成績を残して、『外れて良かったな』って思われるようにやっていきたいと思います」

 そう話していたのは、昨年12月の入団発表の後のことだったが、それぐらいの働きを彼がすれば、間違いなくスワローズ投手陣の「進化」につながるはずだ。原樹理、22歳。楽しみなルーキーシーズンが、間もなく幕を開ける。


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