ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 Summer Days 32012年9月11日 02:58ベムワールドオールキャラ・夏の湖でみんなでリゾートな話、第3話。前半はほとんどお風呂のシーン。夏目さん自重しろ、な回です。後半は山田マジ泣きの、ハーブ摘みという名のガチ肝試し…森の名前はあえて書きませんが、多分誰でも推測できる、あの森です。あの森で森林浴ツアーとかトレッキングツアーとか、怖くて誰も参加しないだろ、と思ってたら、けっこう人気あるみたいで…散策中に、見つけちゃったりしないのかなあ。菜穂子とベラが「おーい、そろそろ上がっておやつにしましょう!」と岩の上から呼びに来るまで、優似たちは、さかなみたいに時間を忘れて、水と戯れていた。*************************************************「わーっ、美味しそう!」湖からあがってきたこどもたちが、テーブルを見てお昼と同じ歓声をあげた。二つに折った蒸したてのとうもろこしと、三角に切られた真っ赤なスイカが木陰のテーブルにたくさん用意してある。遊んでいる時には気にならなかったが、冷たい湖の水で冷えている体にあつあつのとうもろこしが、じんわりと染み渡るように嬉しい。泳いでいた組が、とうもろこしとスイカに次々と手を伸ばすのを眺めながら、泳がなかった女性陣と緒方教授は、小さな焼き菓子と薄いビスケットをつまみ、いつもより少しいい茶葉で淹れた紅茶で、優雅なティータイムを楽しんでいた。日差しは強いが、木陰を吹きわたる風は、都会と違いさらりと乾いてひんやり涼しい。森と湧水の香りの中で飲む熱い紅茶は、ほかで飲むお茶より、ずっとおいしかった。「ベラさんも、一緒に入らない?」お茶の後片付けをしながら、小春とケーキの話をしていたベラは、菜穂子に呼びかけられて「?」という顔をした。「もう夕方でしょ? そろそろ中に入って、温泉入ろうかって、優似と話してたの」「日出美さんも一緒に入るんだよ! ベラさんも一緒に入ろうよ!」(お風呂? そりゃ無理だ…)困った顔をしたベラを見て、小春が小声でベラにささやきかけた。「ベラ、もしかして、あの日?」…あの日? 何だそれ? …なんだっていいや。なんだかわからないけれど。ベラは「あの日」が何だかわからないままに、小春にうんうん、と頷いた。「そっか、生理じゃ、しょうがないよね」小春の言葉を聞いて、奈保子と優似も納得顔をした。「残念ね、旅行にぶつかっちゃうなんて」「寒くない? おなか、痛くない? 私のときは、いつもお母さん、湯たんぽ作ってくれるんだよ」「ベラさんにも、寝るときに作ってあげるね。おなかに当てて寝ると、朝、痛くなくて楽よ」じゃ、またあとでね、と夏目家のキャビンに上がっていく菜穂子と小春を見送るベラに「私も、断ったんだ。いつもひとりで入ってるから、誰かと入るのって、ちょっと恥ずかしくてさ」と、小春が肩をすくめて笑った。小春とメインキャビンにあがり、じゃ私もお風呂入ってくる、またあとでね、とお風呂道具を持って脱衣所に入っていった小春を見送ったベラは、風呂だ風呂ー、俺入りながらビール飲もーっと、と、冷蔵庫から缶ビールを取り出している山田をみつけ、「山田、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」と声をかけた。「なんすか姐さん、あ、夏目さんも飲みます? ベロはサイダー、っと。アニキもサイダーかな?。ベラ姐さんもサイダー? それともビールいきますか?」「あのさ、セイリって、なんだい?」「…はい?」「なんだか、腹が痛くなったり、風呂に入れなかったりするもんらしいけどさ」「ちょ…あの、その生理っすか? 女子の?」冷蔵庫を開けたままベラを見てあっけにとられている山田に、キッチンに入ってきた夏目が「ダメだぞ山田、冷蔵庫開けっ放しにしちゃ」と声をかける。「いーとこ来た夏目さん! 姐さん、それ俺より夏目さんの方が絶対詳しいっす。奥さんも娘さんもいるから絶対!」じゃそーゆーことでっ! 俺、風呂行ってますねー、ベロ行くぞー、と、冷蔵庫をぱたんと閉めて缶飲料を抱えた山田は、風のようにキッチンから逃げていった。「夏目でもいいや。ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」「何ですか?」これからベラ相手に、よいこの性教育講座をしなければならない、とは夢にも思わない夏目はにこにこしながら、物訊き顔のベラに向かった。[newpage]***********************************************部屋のベッドにつくねんと腰掛け、ベムは思案顔でいた。ベムたちのキャビンに戻った時に、ベロと山田がはしゃぎながら脱衣所に向かうのに出くわし、「先入ってますねー」と山田に声をかけられたのだが…夏目さんとは、一緒に入ったことはあるけれど…山田も俺たちの体のことを、知ってはいるけれど…どうしようか、とベムが考えていると、部屋のドアをこんこん、とノックする音がして「ベムさん、いますか?」と、夏目の声がした。部屋に入ってきた夏目は、ちょっと赤い顔をしていた。「いやー、参りましたよ…涼しいのに、冷や汗かいちゃいました」「「どうか、しましたか?」」と、互いに聞く声がかぶってしまい、夏目は「なんか、考え込んでいたみたいだから…どうしたの、ベムさん」と訊き直した。「あ…山田と一緒に、お風呂に入っても、いいのか、と考えていて…夏目さんとは、一緒に入ったことが、あるけれど…」「ベムさんは、どうしたい?」お風呂の方から楽しげに聞こえてくるベロと山田のはしゃぐ声に目を向けたベムは「…夏目さんが、一緒にいて、くれるなら…」と、小さな声で言った。夏目は笑いながら、ベムの肩を抱いて「いいよ。みんなで一緒に入ろう」と、ベムに言った。「なんだか、恥ずかしがってる子供みたいだ」という夏目に「…すみません、お恥ずかしいです…」と、ベムはうつむいて答える。「いいよ、そういうあなたも、可愛いから…」夏目はギュッとベムを抱きしめて、顔をあげたベムに軽くキスした。「これ以上すると、俺、みんなと風呂入れなくなりそうだから、ここまでね」そうか、と訳知り顔で微笑むベムをベッドから立たせて、夏目はベムと一緒に脱衣所に向かった。「おー、きたきた。ビールとサイダー冷えてますよー」きゃあきゃあとはしゃぐベロを洗ってやっていた山田が、風呂場に来た夏目とベムに笑顔を向けた。「山田、すまないな。ベロの世話を、させてしまって」「いいんすよー。ベロは俺の弟分だもん! ベロー、おまえ、お腹ぽんぽんだなー」「こちょばい、こちょばいよ、お兄ちゃん!」くるくるとお腹を洗う山田の手がくすぐったい、と、ベロはきゃあきゃあ笑う。「ふわー、あったかいなー。生き返るよ」浴槽でながながと体を伸ばした夏目が、気持ちよさそうに目をつぶるのを、一緒に浴槽に身を沈めたベムは、幸せな気持ちで眺めていた。前に来た時と違い、壁を取り払って外のテラスとつながっている大きな風呂は湖からの夕風が、湯で火照った体にとても心地よく吹き渡る。「そうだ、夏目さん、懐中電灯ってあります?」浴槽の夏目とベムに缶ビールとサイダーを手渡しながら、山田が夏目に訊いた。「あるよ。何に使うの?」「アニキたちが夜に、森にハーブ探しに行くって言うんで、一緒に行こうと思って。いいっすかアニキ」「俺は、別に、かまわないが…」「おいらもいいよ! 一緒に行こ!」「ハーブ?」[newpage]みんなに水着をもらったり、美味しい食事をいただいたりしたお礼がしたい、と思った妖怪人間たちが夜になったら、近くの森にとても良い香りの香草があるので採りに行く、と聞いた山田は「俺もゴチになりっぱなしだし、お礼の手伝いしたいと思って」と、夏目に言った。「そういうんなら、手に持つタイプより頭につけるやつの方が良くないか?確か、事務所にそういうのあったぞ。なんかここ、森林ナイトツアーや洞窟ツアーがあるらしいし」「そうっすか? じゃ、あとで事務所行ってみるっす。こんどは人いるかなあ」ざばあっ、とベロに湯をかけ、自分も泡を落とした山田は「もうちっとあったまろーっと。ベロも来いよ」「アイアイサー!」と、缶ビールを持ってベロと一緒に浴槽にどぼん、と身を沈めた。「あー、気持いいっ! でっかい露天風呂っていいっすねー。俺、こんなふうに気心知れた人とみんなで風呂はいんの、初めてかも…」そう言いながら、山田は缶ビールをごくごく飲んで、幸せそうにぷはあっ、と息を吐いた。ベロは「パパさーん」と夏目にくっつき、「えへへー、パパさんのおなか、ふかふかで気持ちいいー」と目を細めた。「よーしよしよし、ベロくんもふわふわだなー。…なんか懐かしいなーこういうの」「優似ちゃんも、さすがにもうパパとは風呂入んないっしょ」「入んない入んない。最後に入ったの何年前かなあ」「パパさん、いっぱい傷があるんだね」ベロが、夏目の体のそこここについた傷跡を手でぺたぺた撫でながら、言った。「ほんとだ。なんか、満身創痍って感じっすね」「んー? みんな仕事中のやつだよ。名誉の負傷ってやつ?」夏目は笑いながら、山田に答えた。「どれも表面だけで、内臓までいっちゃった奴はないからさ。縫って消毒して終わりだよ」「ふーん…警察官ってのも、大変なんすね…」「まあ、生きてるだけで運がいい、ってか。マル暴や消防の連中なんて、たぶんもっとすごいぞ」夏目はそう笑いながら、ふたりでいるときに、ベムが夏目のからだの傷跡に傷を癒そうとするかのようにひとつひとつ、キスをしてくれたことを思い出した。なんとなく、浴槽につかっているベムに目を向けると、夏目を見ていたベムと目が合い、ベムははにかむように、目を伏せてしまった。(ベムさんも、思い出してたのかな…)「あーあっちー…あったまったなー。そろそろあがんぞ、ベロ! バーベキューの用意手伝おうぜ!」「アイアイサー! アニキ!」「おっ、アニキっていうの覚えた?」「うん! こーへいアニキ!」「なんかいいじゃん、そういうの。 じゃ、夏目さん、アニキ、先上がってますね」脱衣所に駆け込んだベロについて上がろうとした山田は、ちょっと振り向き、「ここの風呂場の声、わりとほかのキャビンにも聞こえるみたいっすから…気ィつけてくださいね」と、声を潜めて言い、いたずらっぽく笑って上がっていった。「何を、気をつけろと…まったく、しょうがない、奴だな…」赤くなってそう呟いたベムに、夏目も赤くなりながら「気を利かせすぎ、ですよね…まったく…」と、小さな声で返す。脱衣所できゃあきゃあと体を拭いていたふたりが部屋の方に行った気配に、夏目は「ベムさん、こっちにおいで」と、湯の中で膝を抱えて丸くなっているベムを、そっと引き寄せた。「でも…声が、聞こえるって…」「ん…声が出るほどは、しないから…ね?」[newpage]**********************************************キャビンの外での、炭火を熾しての楽しいバーベキューパーティーが終わり、ベムと山田は灯りをともしたリビングでこのあたりの地図を見ながら、あれこれと相談していた。「このあたりから、入ると、近かったと思うのだが…」「あ、ここに駐車場ありますね。歩くとけっこうあるから、車出しましょ」「大丈夫か?」「運転っすか? 夜の方が車も人もいないし、ゆっくり行けば大丈夫っすよ」「じゃ、行ってきますねー」と、車の鍵とヘッドランプを持って、いつもの服に着替えたベムたちと楽しそうに出かける山田を見送りながら、夏目はなんの気なしに、ベムと山田が見ていた地図を手にとった。(ベムさんたちが向かった森って…この森? …山田、知ってんのかな…?)「ちょっと…夏目さん、ベムさんたち、ここに行ったの? こんな暗いのに? うっわー…」夏目が見ていた地図を覗き込んだ小春が、顔をしかめた。「私、昼間でもここは行きたくないなあ。これって、ある意味ガチ肝試し、だよね…大丈夫かなあ」「まあ、ベムさんたちが一緒だし…大丈夫だろう」ベムさんたち、あの森がどういう森なのか、山田に教えなかったのかな…そう思いながら、夏目は(わかった時にどんだけ怖がるかな、あのトンガリ小僧は)と、ちょっと意地悪な微笑みが浮かぶのを、隠しきれなかった。[newpage]************************************************車がほとんどいない森沿いの駐車場に車を入れ、ひとつだけともった電灯の下に車を止めた山田は「さー、行きましょ! 夜の森って俺初めてっす。なんか、ワクワクしますねアニキ!」とはしゃぎながら、なんの気なしに隣に停まった車を見た。そのまま行き過ぎようとした山田は、強い違和感を感じて、隣の車を二度見した。(…なに、この車。いったいどんだけ停めてあるんだよ…)電灯の明かりにぼんやり浮かんだ隣の車のボンネットには、ぶ厚い砂ホコリとたくさんの落ち葉が積もっていた。落ち葉の下の方は黒く変色し、この車が数日どころではなくここに放置されているとわかる。窓をすかしてみる車の中にも、真っ白くホコリが積もり、長いこと誰も、この車に出入りしていないことを示している。山田が車のナンバーを見ると、遠い都会の地名がついていた。「なんすかね、この車。盗難車でも捨ててあるんすかね」「ああ…持ち主が、戻って、こなかったんだな…」痛ましげな目をして、車を眺めるベムたちを見ながら、山田はまたよくわからない違和感を感じた。「…まあいいや! 行きましょ! どんなハーブがあるんすか? うまいんすか?」「とってもいい匂いでねー、ちょっとあまくて、すっごーくおいしいんだよ!ピリッと辛いのもあってねー、それもすっごくおいしいよ!」「マジ? 楽しみっすねー!」そこはかとなく感じる不安を、山田はベロとのおしゃべりで紛らわせながら、森の中につづく道に入った。さえざえと輝く半月が、夜の空をうす明るく照らしているが、濃く茂った葉に隠されて、月の光はほんの少ししか、森に入ってこない。山田のヘッドライトに丸く照らされた遊歩道だけが、ほの白く光っている。「あ、なんか看板ありますよ。地図かな?」そう言いながら、山田はヘッドライトで道の脇に立っている看板を照らした。看板には、白いペンキで文字だけが書いてある。(山火事注意とか、そんなんかな)山田は、ヘッドライトを向けながら、看板の文字を読んだ。「なになに…いのちは、おやからいただいた、たいせつなもの…?もういちど、しずかに、りょうしんやきょうだい、こどものことを…?かんがえて、みましょう…? ………なんだよこれ…」下の方には、この森の所轄らしい警察署の電話番号と「自殺防止連絡会」という、団体の名前が書いてある…持ち主が帰ってこない、駐車場に放置された他県ナンバーの車…山田の背筋にぞわあっと這い上がる悪寒とともに、記憶も脳まで駆け上がってきた。「わ、わわわ、俺、俺思い出しちゃったよ森の名前! アニキ、アニキ、この森って、もしかしたら…」to be continue… :(;゙゚'ω゚'):