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甲田 大介(Daisuke Koda)Incubation Lead

我々BIC Japanは、現在開発中の日本初となるニオイの“見える化”標準プラットフォーム「HANA(High Accuracy Nose Assist)」を、3月22〜23日に開催されるグローバルのスタートアップが集まるイベント「パイオニアーズ・アジア(Pioneers Asia)」に参考出展することになりました。

そこで今回は、「HANA」開発の背景や想いをお伝えできればと思います。

■開発の背景
自宅やオフィスで漂う体臭や生活臭、工場や店舗など生産現場から発する排気臭、食品や化粧品などに添加される香りなど、人々は日々の生活で様々なニオイに接しています。不快に感じる臭いは周囲に悪い影響を与えたり、よい香りは食べ物を美味しく感じさせたり心地よい気持ちにさせてくれます。
そのニオイを感じ取る嗅覚には、3つの特徴があります。
まず第1に「疲労性(順応性)」という性質があります。これは、あるニオイを嗅ぎ続けているとそのニオイを感じなくなってしまう、いわゆる「鼻が慣れてくる状態」のことです。
第2に、ニオイは人によって好き嫌いの差が大きいことです。例えばキンモクセイのニオイが好きという人もいれば嫌いという人もいるように、自分は良い香りだと思っていても人によっては良くない印象を与えてしまうこともあります。
第3は、嗅覚は五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の中で最も、脳の本能部分に強く作用する感覚という特徴です。これにより、一度でも不快だと感じたニオイは、理屈抜きに嫌いになってしまいます。
以上のような嗅覚の特徴から、ニオイは嗅ぐ人の慣れや好みによって評価が異なるため、メートルやグラムのような定量化する単位が存在しません。
単位の存在しないニオイを「可視化」し、人間の嗅覚を模倣したシステムを開発してニオイに対する客観的な評価基準を作ることが実現できれば、今までにない価値を提供できるのでは、と考えました。

■どのような課題があるのか?
そこで我々は、普段生活している自宅やオフィスで発生している、ニオイにまつわる問題に着目しました。
特に身近なニオイ問題として、本人が気づかない「体臭」が周囲に不快感を与えてしまう「スメルハラスメント(スメハラ)」が、近年社会問題になっています。
他人の身だしなみにおいて、「どうにかして欲しいこと」の第1位は体臭で、「指摘しにくいこと」の第1位も体臭、という調査結果があり、体臭問題の解決は難しい課題になっています。
また、多くの人が「自分自身の体臭を気にしている」ということが我々の調査によって浮き彫りになりました。自分のどの部分のニオイが気になるか?という質問に対し、7割の人が「体臭」と回答しています。また、他人に会う前に自分の体臭が気になるか?という質問に対しても、8割以上の人が「気になる」と回答しています。
ところが、前述のように人の嗅覚は「慣れやすい」ため、自分のニオイは自分では分からないのです。
以上のとおり、人は他人の体臭が気になるが指摘できず、一方で自らも自分の体臭が気になるが自分ではわからずに常に気にしている、という解決されていないアンマッチが生じていました。

■どのように解決するのか?
自分が発している体臭を「見える化」できるデバイスがあれば、自分ではわからない自分の体臭を知ることができ、体臭に関する困りごとを解決できるのではと考えました。そこで我々は、「体臭(ニオイ)見える化プロジェクト」として、一般消費者向けにポケットサイズの体臭チェックデバイスとスマートフォンアプリの開発を進めています。このデバイスは、自分では慣れてしまいわからなくなった体臭の「種類と強さを測定」し、スマートフォンアプリに結果を通知します。利用者はその結果を見ることで、体臭防止対策が十分なのか、追加で対策しなければならないのかを常に判断することができ、周囲の人に迷惑をかけているのではないかという不安から解放され、安心して生活することができるようになると考えています。

■あらゆるニオイの問題を解決したい
ニオイにまつわる課題は体臭以外にも、工場などから発する臭気の対策現場や、食品などに使う香料を調合する現場などでも発生していることが、臭気判定士の方や調香師の方にお話をお伺いすることで分かってきました。これらの現場では、可視化・定量化手段がない「ニオイ」を扱うために、特殊な訓練を受けた専門家の嗅覚に依存してしまうことによる「高コスト化」という共通の課題が存在しています。これらの課題も、HANAシステムでニオイを可視化することで解決していけると考えています。

我々は、様々なニオイを“見える化”するこの標準プラットフォームを「HANA(High Accuracy Nose Assist)」と命名し、産学連携スキームで開発を進めています。現代社会の課題になっているあらゆるニオイ問題を、本プラットフォームとICTのサービスで解決へ導きます。

これからも、こちらのブログや、最新情報をメールでお届けする「ニュースレター」などで、開発状況をご報告していきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました!