おしりの痺れって、普段あまり耳にしない症状かもしれません。でも一度この症状が出ると意外にしつこく厄介なものです。なぜこうしたおしりの痺れはおこるのでしょうか?今回は、その原因を解説します。

痺れは神経の痛み?

人間の身体にはたくさんの神経が行き渡っています。なかでもおしりは、坐骨神経という身体の中では非常に太い神経が通っています。

おしりの痺れは、この坐骨神経が何らかの原因で損傷されたり圧迫されることによっておこる症状です。

いわゆる坐骨神経痛といわれるものですが、坐骨神経痛は痛みだけではなくしびれを伴うことが特徴です。

椎間板と坐骨神経痛の関係

椎間板とは?

人間の身体を支える背骨は脊椎(せきつい)と呼ばれ、頭蓋骨の下からおしりまで椎骨(ついこつ)という骨が連結したものです。椎間板(ついかんばん)は、その連結の部分がこすれ合わないようクッションの役目をしていますが、椎間板は加齢やストレスによって水分が失われ、その変化は10代後半から始まります。

腰部椎間板ヘルニア

腰部椎間板ヘルニアは、椎間板がつぶれたり、飛び出したりして神経を圧迫するものです。腰やおしりだけでなく、その神経の走行に沿って、太ももの裏側から膝下の外側を通り、足先までしびれがおこることがあります。

働き盛りの男性に比較的多く見られ、運搬や運送などで腰を酷使する人長時間のデスクワークや運転に従事する人、ゴルフや野球などの身体をひねる運動を多くする人などに発症しやすいです。また、ニコチンによる血行不良が椎間板の変性を進めることから、喫煙も腰部椎間板ヘルニアの原因のひとつとされています。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、腰椎の内側にある脊柱管が周りの組織の変形によって圧迫されるもので、腰部椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経に沿った痛みと痺れがあり、上半身を反ることで症状が強くなります。

また、しばらく歩くと痛みやしびれで歩けなくなり、少し休むと痛みや痺れが緩和し再び歩けるようになる間欠跛行(かんけつはこう)という特徴的な症状があります。

おもな原因は老化であり、50代以上の中高年~高齢者に多く見られますが、なかには生まれつき脊柱管が細い人や上半身を反る運動や姿勢を多くとる人にも発症します。

これらの病気の診断には、MRIなどの画像診断や専門医による神経学的検査を必要とします。しかし、椎間板の異常以外でも、生活習慣の中にもおしりの痺れの原因となるものが潜んでいます。

おしりの痺れの原因となる生活習慣

長時間のデスクワーク

人間の身体本来の正しい姿勢とは、骨や筋肉に負担のかからない状態で、脊椎もそのために生理的彎曲(わんきょく)という適切に曲がった形をしています。

座位は立位に比べて下肢や腹筋にかかる負担がない分、腰部に集中して負担がかかりやすくなります。また、座位のまま上半身を前傾にする姿勢はさらに腰部の負担が増し、椎間板を痛めやすくなります。長時間の座位姿勢で行うデスクワーク車の運転などが一般的な腰痛の原因とされるのはこのためです。

長時間の座位によっておしりが痺れるのは、おしりの筋肉が直接圧迫されていることに加え、この坐骨神経痛による症状と考えられています。

運動不足

ゴルフや野球のような腰をひねる運動は腰への負担からおしりの痺れの原因となりますが、運動不足もまたおしりの痺れの原因となります。運動不足により筋肉量が低下すると、脊椎をしっかりと支えることができず、椎間板への負担が生じやすくなります。また、股関節や膝関節の柔軟性が低下することで、血行が悪くなり、おしりの痺れが起こりやすくなります。

痩せすぎ太りすぎ

痩せすぎの身体は腰やおしりの筋肉も少なく、座位だけでなく臥位(寝た姿勢)でも背骨や坐骨に圧迫が加わりやすく、痛みや痺れの原因となります。

一方、太りすぎも椎間板には大きく負担をかけています。単に重さが負担となるだけでなく、太っているとお腹が前にせり出すことから自然と腰が反ってしまい、椎間板を圧迫してしまいます。

栄養不足

痩せすぎにつながる栄養不足だけでなく、神経に直接作用する栄養素であるビタミンやミネラルの不足も痺れの原因となります。ビタミンB1の欠乏脚気(かっけ)といわれる末梢神経の異常を引き起こします。またビタミンB12の不足末梢神経炎の原因となります。

ミネラルの中ではカリウムの不足が手足のしびれの原因となります。

ビタミンやミネラルの不足によって起こるしびれはおしりに限局したものではありませんが、坐骨神経痛や他の生活習慣とともに注意しておく必要があります。

まとめ

おしりの痺れの大きな原因は坐骨神経痛と考えられています。椎間板や脊柱管に器質的な異常(病気と診断される異常)がなくても、老化や姿勢などの日常生活の中で坐骨神経痛をきたす原因がたくさんあります。

おしりだけの問題ではなく、身体全体の調子を整えることが痺れを解消することにつながるようです。