■SD-1誕生の背景
1977年の発売以降、大ヒットとなっていたOD-1であったが、一部のユーザーからはトーン・コントロール追加の要望が寄せられていた。このニーズに応えるべく、ボスは次期モデルの開発を始める。試作段階ではOD-1の後継機として"OD-2"的に扱われていたらしいが、人気の衰えないOD-1との併売を考え、バリエーション・モデルという位置付けで"SD-1"として発売された。余談ではあるが、1978年の来日公演の際にジェフ・ベックがSD-1の試作機を試奏したところ大変気に入り、その日のライブでいきなりステージで使用したというエピソードがある。
ちなみにOD-1は1985年に生産完了となったが、30年以上経った現在でも熱烈なファンが多く、中古市場では入手困難なプレミアが付く"伝説の名機"となっている。
▲SD-1のコントロール。OD-1直系のサウンドにトーン・コントロールを追加することでさらに使いやすくなった。
■ボスのオーバードライブ
前述の通り、SD-1はOD-1のサウンドを元にトーン・コントロールを追加したモデルで、基本回路構成はほとんどそのまま継承されている。それがOD-1の根強いファンに支持されたことも、今日のロングセラーとなっている理由の一つであろう。チューブ・アンプのボリュームをフル・アップしたようなナチュラルな歪みを目指すという思いから、ダイオードの組み合わせによって非対称な歪み波形が発生する特徴的な回路が生み出されたが、そのオーバードライブ・サウンドは、初代モデルであるOD-1ですでに高い完成度を持っていたと言える。
OD-1は1985年にその進化形としての後継機、OD-2ターボ・オーバードライブの誕生により世代交代することになる。そして1997年には、より現代の音楽に合うようなサウンドに生まれ変わったOD-3の登場となり、現在ではSD-1と共存している。
■SD-1の特徴
あらためて35年以上前に誕生したSD-1を試奏して検証してみると、自然で扱い易いことが再確認できる。高域と低域が適度にカットされ、耳障りな成分を抑えミッドレンジを押し出した感じで、まさに正統派オーバードライブといったそのサウンドは、多くの音楽ジャンルに対応可能だろう。
トーン・コントロールは単純なハイカット・フィルターではなく、シェルビング・タイプのような効き方で、イメージ通りの音作りが可能で使い易い。センターよりも少し絞ったポイントがOD-1に最も近いサウンドに感じる。
▲DRIVEを絞ったセッティングでは、ミドルレンジが強調されたブースターとしても効果を発揮する。
ゲインの可変幅はかなり広いのだが、ハイゲインという領域まで強烈に歪むのではなく、絞った状態ではクリーンに近い控え目なクランチ・サウンドとなる。この辺りがブースターとしての使い方をするギタリストに支持されている理由だろう。接続されているアンプやエフェクターがある程度歪んでいる状態では、SD-1の中域を強調した特性でブースターとして使用した場合、結果としてヌケの良い前に出るサウンドとなる。
ゲインつまみを上げていくと、粘りとコシが徐々に増加していき、豊かなサウンドになっていく。また、この状態でギター側のボリュームをコントロールした場合、歪みの倍音が残ったままゲインが変わるといった感じなのだが、サステインが損なわれて音が詰まってしまうようなことはない。やはり、OD-1がデビューの時点から高い完成度を備えており、SD-1がそれを見事に継承したということだろう。