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Star Wars™ バトルフロント™」のサウンド制作に迫る

DICE、音源を使え!

DICEサウンドチームにとって、Skywalker Soundから数多くの知識と手助けを得られたのは極めて幸運でした。 スカイウォーカーランチを何度も訪問する中で、サウンドチームのメンバーは「Star Wars™」の音響デザインにおける伝説、Ben Burtt氏とMatt Wood氏と顔を合わせて「Star Wars」の音響について議論を交わしただけでなく、両氏の協力により原作映画の生の音やそのライブラリに触れる機会が得られました。

そして、原作の音に込められた意味や制作手法に関する話をしただけでなく、サウンドチームが携帯したFrostbiteエンジンを使い、ゲームの世界とそこで体験できるすべてが、いかに原作の音に基づいて作られているかを披露し、「Star Wars™ バトルフロント™」の音の制作における課題を共有する事もできました。 可能な限り、原作の音の体験と意図に忠実に音を作成すること。それが、私たちが常に肝に銘じ、目指している目標なのです。

スカイウォーカーランチに滞在中、サウンドチームはDennie Thorpe氏、Jana Vance氏と共にゲームで使用されるすべての移動音や接触音、ブラスターの効果音やケープの音、その他さまざまな「Star Wars」を特徴づける効果音の録音も行いました。

映画のエンドアのロケ地まで目と鼻の先とも言える場所であることから、地域の森でさらなる録音を行ったことも、その一環です。 DICEのオーディオディレクターを務めるBen Mintoは、その時のことを次のように語っています。

BEN MINTO: 私たちが目指したのは、緑の月エンドアの撮影が行われたアメリカ西海岸のセコイアの森が持つ「空気」や「雰囲気」を音に封じ込めることです。 現代社会を満たす大量の音を取り去ることではじめて、その繊細で静かな音を感じ取ることができます。その音こそが、私たちが環境音をデザインする中で、環境を構成する音のレイヤーのひとつとして再現を試みているものなのです。 プレイヤーをエンドアの環境の中に取り込み、巨木に囲まれた森の中にいる感覚をもたらす上で、極めて重要な役割を果たすことになるでしょう。

私たちは2つの候補地で2日かけて録音を行い、森の「空気」とエンドアを特徴づけるさまざまな音を録音しただけでなく、森の中での音の伝わり方も調査しました。 このような本物の音をもとにしたクリーンな録音は4チャンネルの環境音を作成し、生きた空間を正しく表現するために非常に役立ちます。また実際の環境を生身で体験することが、スタジオでその感覚を再現することを容易にしてくれるのです。

最初のサンプルはポートラで録音したもので、基本となる「空気」の音にところどころ幹がきしむ音が挟まります。 通常これら2つの音は別々に録音されるもので、私たちも分けて録音したものですが、例に挙げた音では、静かな森を音で合成する際に、どの程度の音量が相応しいかを知ることができます。風の音に混じり、幹のきしむ音、そして遠くに鳥のさえずりが混じっています。

2つめの森の音のサンプルはラグニタス郊外で録音したもので、金属のぶつかる音が森の中でどのように響くかを知ることのできる、非常に参考になるサンプルとなっています。 録音は3つの地点から行い、これは最も音源から離れた場所でのサンプルとなります。

この地域の森で音を録るのは、この時が初めてというわけではありませんでした。 2011年、州道1号線沿いにシアトルからサンフランシスコに5日かけて車で旅した際に、シー・ライオン・ケイブスや桟橋の音などさまざまな音を録音すると共に、海岸沿いの森のところどころで静かな場所を見つけ、森の音を録音しています。

その時は、録った音の用途は何も考えていませんでした。いつか役に立つかもしれない、それだけを考えて録音しました。

これが、より最終に近いバージョンのエンドアの環境音のサンプルです:

2013年、自分たちが「Star Wars」のゲームを作ることになると知り、その中でどの惑星(あるいは衛星)が取り上げられるかわかった時、私は自分のサウンドライブラリの中を漁り、仕事に使う音源の用意を始めました。 この時、以前に何の気なしに録音していた音が、役に立つことになったのです。

私たちの住むスウェーデンは、当然ながら「ホス」(現実にはフィンセ)があるノルウェーのお隣であり、スカンジナビア半島全域を吹き抜ける「凍てつく」風をいくらでも体験ことができます。例えば:

スウェーデンの松の森を吹き抜ける冷たい風。

スバールバルの氷河の根元に位置する荒涼とした谷。

どちらも、そのままで「ホス」の音ではありませんが、さまざまなホスの環境音を作成する上でベースやアクセントとして役に立つ音源です。 凍てつく空気の中で録音した、役に立つ風の音を含む録音は他にもあります:

フィンランドでの遠くの銃声。リバーブ用プラグインで計算に用いる、瞬間的な音に対する出力を作成する際に重要な役割を果たします。

とても風の強い日のドアのすき間の音。吹き込む風の音を録音するには最適の環境です。

音響ミラー。イギリス南海岸にある、かつての音響探知装置。

氷の洞くつ。スウェーデン、凍りついた滝の下にある。

どれも役に立つ音源ですが、プレイヤーにホスをイメージさせるには、やはり伝統的な風洞の風の音が欠かせないでしょう。

それでは、より最終に近いホスの環境音をお聞きください:

「バトルフィールド 3」が発売されてすぐの春、DICEチームがドバイへ1週間のリリース記念旅行に出かけた際、私は録音機材を持って行き、運よく砂漠に繰り出すことができました。 そこはとてもとても静かな場所で、風もほとんどありませんでした。私はわずかな風の集まる谷間を探して歩き、その風の通り道の途中にわずかな緑を見つけました。以下に挙げたのは枯れた茂みの音ですが、タトゥイーンの音としてまさにうってつけです。

最終的なタトゥイーンの音は次のようなものになるでしょう:

これらにSkywalker SoundとDICEのライブラリの音源を合わせることで、エンドア、ホス、タトゥイーンの原作通りの環境音をFrostbiteで再現・最新化し、これまでに構築されてきた音の環境をさらに拡張するのに十分以上とも言える音源を確保することができました。

サラストに関しては、これまで未知の惑星でした。そこで必要となる原作映画の環境音の制作手法や技術、概念を把握した上で、サラストに必要な素材の確保を開始しました。

2014年6月、私はアイスランドでほぼ2週間をかけて、あらゆる音を録りつくしました。 環境音の作成に必要な音はもちろん、その他にもたくさんの役に立ちそうな音を録音することができました。

ボコボコと沸き立つ泥の池はもちろん欠かせない録音対象で、私は2晩かけてその音と周囲の音を録音しました。夏季のアイスランドはほぼ一日中太陽が出ており、観光客と車が帰った午後8時以降が絶好のチャンスとなりました。

その泥の池は、偶然にも後にアートチームがモデル化のために撮影しています。なので、より本物に近い素材というわけです。 この他にも、さまざまな独特の音を録音することできました。すべてがサラストに合うわけではありませんが、どれも役に立つ音源です。

泥の池のあった谷から登った場所で、このパイプになっている場所を見つけました:

そして、水中マイクを片手に出かけたホエールウォッチングでは、フサビクの桟橋でこのエビとタラが立てる音を録音しました。後にサラストの溶岩流の音の一部に使用されています。

宿泊した施設のひとつには、調子の悪いビアサーバーがありました。その音は、最初ノイズの混じったエイリアンのモールス信号かと思ったほどです。 まだ母親のおなかにいる私の息子の超音波検査音と合わされ、ゲームに登場する装置の音の1つに使用されています。

滞在の最終日、私は往復10時間かけて、ヘリサンドゥルの電波搭を尋ねました。西ヨーロッパで最も高い建造物で、同じく西ヨーロッパ最長の鋼鉄ケーブルを備えているはずです。

たった1つの音を録るために、なぜそれだけの旅をしたのか? 「Star Wars」原作映画のブラスターの音も同じように録音された音から作られていたからです。ケーブルを岩や結婚指輪で叩いた音です。

つまり、今回の録音により、史上最大のブラスターの音が作れるというわけです。 こうして原作通りに録音を試み、いくつか使える音の録音に成功しましたが、実のところ最も良い音となったのは、ケーブルが風に唸る音そのものでした。

これが合成され、よりサラストの環境音として相応しくなったサンプルです:

各マップの基本の環境音に加え、そこに変化を加えるための音の制作も、同じく興味深い作業となっています。 エンドアには元となったロケ地の通り、最も豊かな植生が存在します。 「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」の環境音のオリジナル音源を使用し、周波数解析ツールで音を分解することで、それぞれのパーツを取り出すことができます。

これが、プレイヤーを全体的に取り囲む基本の環境音(忠実性とより明るい環境を作るため、この音のレイヤーの1つに「空気」の音が使われます)と、分解して得られた鳥や虫、風などの音を各地点に合わせてリアルタイムで合成する上で、非常に役に立つことになります。 鳥は木々の高い所で活動し、虫は顔の横を飛び過ぎ、風の音は映像の演出と同じタイミングで聞こえるようできるのです。 サラウンド環境では、世界の中を移動する際、それぞれの音が正しい場所で発生し、伝播するのを聞き取ってもらえるはずです。そして追加された個々の音が、自分の向きや、位置の把握を助けてくれます。

エンドアの音では鳥が重要な役割を果たします。そのうちの1つは、何であるか突き止めるのに若干の調査が必要となりました。 それはヨタカあるいは、その仲間の声のようで、手持ちの音源をすべてあたってみたのですが、近い感じはするものの、正解にたどり着くことができませんでした。 さらに調査を進めたところ、Ben Burtt氏の父親である、 Ben Burrt博士が1982年、ウェストバージニア州ハンプシャー郡のブルックス・バードクラブのフィールドワークでチヤックウイルヨタカの声を録音していたことがわかりました。こうして、問題の鳥の名前が判明したのです。 名前がわかったことで新しい録音を見つけることができ、オリジナルに含まれていた声に加え、新しい声を加工した物を使い、エンドアにさらに鳥を追加することができました。

エンドアの鳥の再現方法が一通りわかったことで、プレイヤーが体験することになるエンドアの各地に鳥の声を追加することが容易にできるようになりました。

サイチョウもエンドアにぴったりでした。 元の音源はナイジェリア育ちを彷彿とさせたのですが、チヤックウイルヨタカの時と同じように加工したことで、エンドアらしい鳥が生み出されました。

次のサンプルの元となったオリジナルの録音では、鳥の種類は不明でした: ヨタカの声を探していて見つけたヨタカ以外の声ですが、ピッチを下げると実に異星風味の「エンドアらしい」、それでいて実在する生き物を思わせる音が生まれました。 「Star Wars バトルフロント」正式発表トレーラーの冒頭ではっきりと聴くことができます(リンク)

各環境に生息する生き物を調べる中で、私はそれぞれの惑星(と衛星)と、その惑星の自然環境を作り上げる中でベースとして用いられた生物の元に関して大まかな「色分け」が可能な事に気付きました。 これもまた、既存の環境の拡張や新たな生物相を定義する上で役に立ちます。

タトゥイーン - 黄色 - 北アフリカ(タスケン・レイダーに対するラバ、バンサに対する象、コオロギとセミ)

エンドア - 緑 - 熱帯・亜熱帯の森(オウムやヨタカなど)

ホス - 青 - アメリカ西海岸北西部(トーントーンに対するラッコ)

サラスト - 赤 - 南アメリカ海沿い(海生哺乳類、爬虫類など)

上に挙げた4つの分類はあくまで参考で、正確かつ厳密なルールではありません。

映画で描かれたタトゥイーンは思いの外、自然に満ちています。 大きなスクリーンで「Star Wars」の世界を旅する中で何度も目にしてきた場所だけに多くの素材があり、また派生を生み出す上でも、題材には事欠きません。 ここでは既存のものに新たな音を追加する上で、500は超えるセミの鳴き声を聴き比べています。

ホスは自然が極めて乏しい環境ですが、エルクの鳴き声を元にしたレイブーの声を遠くに追加することで、ワンパにトーントーン以外の獲物を用意しています。環境音に込められた世界の裏設定というわけです。

サラストの生物相に関しては、大まかに南アメリカの海岸地域を元となる生物の生息域に設定しました。 火山活動も盛んな山脈を背骨に持つチリのような国々は、海、山、ジャングルと変化に富み、題材となり得る多様な生物に恵まれています。 ここでは他の3つの惑星との対比を明確にするために、海生哺乳類と爬虫類を主に用いることにしました。

ここまでに挙げた音は、プレイヤーがマップに登場し、その行動で音を生み出すよりも以前から、その世界に「存在」する音となります。 各マップは、それだけで独自に息づき、完成されていなければなりません。環境音の役割は、その生きたマップを支え、聴き手を「はるかかなたの世界」に没入させることにあります。 ゲームで音を聞いたみなさんに、「映画と同じだ」と言ってもらえたなら、私たちは目標を達成できたと言えるでしょう。

以上、短い紹介でしたが、「Star Wars バトルフロント」のサウンド制作過程の一端に触れていただくことはできたでしょうか。 私を含めたサウンドチームは、引き続き「Star Wars バトルフロント」の制作に全力を注ぐとともに、その進行と合わせて、開発の舞台裏や、音楽、独自のサウンドデザイン、実装作業、音声収録などについても、順次紹介していきたいと思います。

それでは、みなさんからの支持に感謝を。

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