一般皮膚科の主な対象疾患
蕁麻疹
かゆみの強い、類円形などのわずかに盛り上がったミミズ腫れが数分~数時間できて消えていくものを蕁麻疹(じんましん)と言い、3~4週間以内に治るものを急性蕁麻疹、それ以上続くものを慢性蕁麻疹と言います。
蕁麻疹の原因や悪化因子は、食物、内服薬、ウイルスや細菌の感染、扁桃腺や虫歯などの慢性感染症、疲労、精神的ストレスなど無数にあります。振動や圧迫などの機械的刺激、寒冷や温熱などの温度変化、日光などでも発症することがあります。
検査では皮内反応やアレルギーの血液検査(IgE RAST法)や一般血液検査等を行いますが、アレルギー以外の原因のものもあるため、血液検査のみでの原因確定は困難なことがほとんどです。慢性蕁麻疹では慢性感染症の有無も確認します。
治療は対症療法となりますが、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、H2ブロッカーなどを使います。
最近のクスリは眠気などの副作用が少なく、作用時間や効果発現も従来のものと比べて優れていますので、先ずは自分にあったクスリを探すことが重要です。1剤を1週間くらいずつ内服して試しますが、最低でも2~3日は内服してみないと効果は判定できません。
効果があっても内服を突然中止するとまた出ることが多いので、内服する間隔をあけてゆき、出ないのを確認しながら徐々に中止します。また疲労やストレス、機械的刺激や急激な温度変化など、悪化因子になりうるものを出来るだけさけることも大切です。
水虫
水虫は、白癬菌というカビが足の皮膚に入り込んで生じる病気です。感染力はさほど強力ではありませんが、夏は白癬菌が増えやすく症状の悪化が多く見られるのが特徴です。
長期間付着して菌が繁殖してしまう前に、足と趾間の汚れを石鹸で丁寧に洗い落としましょう。普段から通気性のよい靴や靴下を履くことも大事です。家族に水虫の人がいる場合は、一緒に治療するようにしないとお互いにうつしあってしまいます。素足で使う履き物やマットは共有せず、家族みんなで治療を受けましょう。
通常は塗り薬で治療します。最近の塗り薬は非常に優秀ですが、角質が厚い場合(3)や爪水虫(4)になると塗り薬だけでは爪の中になかなか浸透しないため治すことは困難です。爪の中の白癬菌に薬が到達するには、飲み薬(経口抗真菌薬)が効果的とされています。内服前後に採血を行い、肝臓などへ影響がないかどうかを確認する必要があります。
1. 趾間型(しかんがた)
最もよく見られる型で、足の指の間が白くふやけて皮がむけます。
2. 小水疱型(しょうすいほうがた)
土ふまずや、足のふちに小さな水泡(水ぶくれ)ができます。
3. 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
足の裏、特にかかとの部分の角質が厚くなり、表面がゴワゴワになり皮がむけてきます。
4. 爪水虫(爪白癬:つめはくせん)
足の水虫が爪に徐々に入り込み、爪が白く濁ったり、厚くなり変形したりします。かゆみなどの自覚症状はありませんが、水虫を繰返す原因になります。
イボ(ウイルス性疣贅)
イボウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス)の感染症です。体のどこでも発症しますが、主に手・足の指や足の裏にできます。通常は皮膚色、ざらざらとした質感の盛り上がりで発症し、徐々にドーム状に隆起してきます。
時に痒みや発赤などの炎症反応を生じて自然治癒することもありますが、基本的には感染症ですので、イボをいじると、その周囲にたくさんイボがうつってしまいます。
足の裏にできたものはあまり盛り上がらないため、よくウオノメや、タコと間違われます。削ったり、イボコロリを貼ったりの自己治療で悪化されることも多いです。子供の場合はまずイボであると考えてよく、早めに皮膚科専門医を受診し、周囲にうつるまえに治療を開始することが大切です。
また扁平疣贅(青年性扁平疣贅)は青年者の顔によく見られます。自覚症状のない数mm大の扁平な丘疹が多発し、掻破や髭剃りに伴って増加(自己播種)します。
残念ながら一回で治るような治療法や特効薬はありません。液体窒素療法治療(液体窒素でいぼを冷やしてヤケドをおこす方法)が一般的ですが、ヤケドと同様の痛みを伴い、1~2週間に1度の頻度で複数回うける必要があります。
治りにくい場合には、内服療法(ヨクイニンエキス)、外用療法(サリチル酸、フェノールなど)を併用します。扁平疣贅の場合は炭酸ガスレーザーも有効な場合があります。
また治療が終了したように見えても、周囲皮膚に感染して残っていたりすることもありますので、しばらくは外用療法などを継続しつつ経過観察します。
たこ・うおのめ
たこやうおのめは、足あるいは手の特定の場所に継続的に圧力がかかって発症します。足の骨格、変形、神経疾患による感覚異常、歩き方の癖や靴型の不具合などが原因ですので、それぞれについて対処する必要があります。(手にできるものはペンによって圧迫されてできます。)
たこは皮膚の表面の角質が部分的に肥厚したもので、違和感はありますが痛みません。
うおのめは肥厚した部分にさらに圧がかかり硬くなり、芯をもっているため、歩くたびに刺激されて痛みがあります。治療は剪刃やルーター、やすりなどで病変を削ることです。普段は尿素やサリチル酸などの角質溶解剤を外用し、足のケアをします。
入浴後の角質が軟らかい時にやすりなどで削ることも有効ですが、イボや角質増殖型の水虫との鑑別が重要です。靴の中敷きや靴型を合わせることも大切です。
ヘルペス
単純ヘルペスウイルスの感染で起き、顔にできるⅠ型と、外陰部・臀部にできるⅡ型のウイルスの2種類があります。
感染力が強いので大半の方が乳児期に感染していますが、初感染時に何も症状がでないことが多いです。
一方、成人の初感染では強い症状(高熱と激痛)がでやすくなります。免疫抗体を獲得しても、かぜなどの感染症、疲労やストレスなどの誘因で再発を繰り返します。
アトピー性皮膚炎などの肌の弱い方、免疫力が未発達な乳幼児、免疫の低下している方、免疫抗体のない方では容易に感染し、しかも重症化しやすいので、症状がでているときには接触しないように注意が必要です。
ヘルペスの治療は、抗ウイルス剤の約5日間の内服が有効です。水疱などの発疹の出る前にチクチク感などの予兆がありますので、その時点で内服を始める(エピソード療法)と治りが早くなります。
ヘルペスウイルスが神経節に入って潜伏すると薬は効きません。
しかし再発を放置するとさらにウイルス量が増え、症状も強くなりますので、再発時の治療が重要になります。
頻回に再発して日常生活に支障がある場合は、少量を連日内服する抑制療法も選択肢にあがります。医師と相談の上、決定します。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う湿疹を慢性的に繰り返す皮膚病です。
アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)に対して反応しやすいという素因(アトピー素因)があったり、乾燥肌のため皮膚表面のバリア機能が不十分となり、アレルゲンが侵入しやすくなっている(アトピー皮膚)を持っているため、ダニやハウスダストなどのアレルゲンや、気候の変化、汗、ストレスといった刺激によって発症すると考えられています。
当院では、患者様の症状やそれまでの治療歴に応じて、 保湿、汗対策などのスキンケア、入浴などの生活指導、外用剤の使用などを中心に治療を行っていきます。外用剤では保湿剤が基本ですが、必要時には最も効果的で確実な治療であるステロイドや、免疫抑制剤であるプロトピックも取り入れています。
これらについては使用法などを説明し、患者さんがご納得して頂いた上で処方します。乳幼児の場合は皮膚の病変部に暴露された食餌のアレルギーの発症が報告されていますので、ある程度の皮疹のコントロールが望ましく、ステロイドが必要な場合もあります。
アトピー性皮膚炎の多くの方がアレルギーの血液検査でダニやハウスダストに陽性となります。その他、カビや花粉に対して陽性となる方もいます。こまめな掃除などの住環境の改善も必要です。
アトピー性皮膚炎は根気よく治療を続けていると、多くの方で症状が改善され、保湿剤のみでコントロールが可能になります。炎症が取れた"アトピー性皮膚"の状態に落ち着くまで、地道に治療を継続しましょう。
帯状疱疹
水痘・帯状疱疹ウイルスの感染ですが、水痘(水ぼうそう)を経験した人にだけ発症します。
水痘は多くの人が子供の頃にかかり、発症後1週間程度で治りますが、ウイルスが消滅したわけではありません。神経節に隠れ、数年から数十年の期間を経て帯状疱疹として再発します。老化、過労やストレスなど、体の抵抗力が低下したときに発症すると考えられています。
皮膚に症状の出る数日~1週間前に神経痛のような痛みや知覚異常があり、その後、通常は左右片側のどちらか一方の神経支配領域に帯状に水疱が出来ます。また耳の中や下に皮疹が出た場合は顔を動かす神経が麻痺(顔面神経麻痺)する可能性があり、目が閉じれず、食事の時に口から汁がこぼれ、顔がゆがんでしまいます。
問題は痛みです。痛みは皮疹が出る前から出現し、出ている間の急性期痛と皮疹が消えた後に残る慢性期痛(帯状疱疹後神経痛)があります。皮疹出現前は筋肉痛や関節痛と間違いやすく、シップを貼ってかぶれてきたと言って受診される患者さんもいます。
急性期痛は持続する痛みですが、皮膚症状が消えるころになくなるのが一般的です。帯状疱疹後神経痛は間欠的に出現し、数ヶ月から、ときには数年にわたって続くことがあります。高齢の方や、皮膚症状や痛みが強い場合に残る危険性が高いのですが、できるだけ早期に皮膚科を受診し、確実に治療を行うことである程度予防することが出来ます。
治療は抗ウィルス薬の内服療法が主体(腎機能により減量が必要)ですが、重症な場合には入院して点滴治療が必要な場合もあります。また水疱、びらんに対しては外用治療を併用します。これらの治療により1~2週間で皮膚症状は治癒します。
痛みに対しては痛み止めの内服治療を行います。残念ながら後遺症として痛みが残ってしまった場合、特効薬などはないのですが、三環系抗うつ薬と呼ばれる薬剤の内服である程度まで疼痛は緩和されます。一般的には神経痛の部位を冷やさずに保温することが痛みの軽減につながります。
その他、早期から神経ブロックによって痛みの治療を行うと、帯状疱疹後神経痛が残りにくいとの報告もあります。
水痘と異なり空気感染はしないので、会社や学校を休む必要はありませんが、疲れているときにかかりやすいと言われているので十分な休息が必要です。普通の大人はすでに水痘にかかって免疫ができているのでうつりません。また帯状疱疹の患者さんと触れて直接帯状疱疹になることもありませんが、乳幼児など免疫がない乳幼児や免疫力が低下している人にはうつる可能性があるので注意が必要です。
脂漏性皮膚炎
脂腺の多いところ(脂漏部位)にできる湿疹で、頭部、顔、胸背部などに鱗屑を伴った紅斑が出現します。生後1~2か月ほどで出現する乳児型と、皮脂の分泌が亢進する思春期以降に出現する成人型に分けられます。乳児型が自然に治癒してしまうのに比べ、成人型は慢性の経過をとり再発を繰り返します。頭、顔、耳にフケがしつこくでて、非常に憂うつになる病気です。
脂漏性皮膚炎の原因は体質的に皮脂が多い人において、遊離脂肪酸が増加することによる皮膚への刺激といわれています。さらに皮膚常在真菌(マラセチア)が皮脂を分解し遊離脂肪酸を産生するともいわれています。
治療はステロイドと抗真菌剤(ケトコナゾール)の外用の2本立てになります。最初はステロイドを中心に外用して炎症を沈静化させます。頭部の鱗屑が多い場合には洗髪前に白色軟膏をなじませてふやかし、少しずつ取っていきます。症状が軽快してきたら抗真菌剤に切り替えていきます。
生活習慣の改善も大事で、抗真菌剤含有のコラージュフルフルシリーズのシャンプーや石鹸で患部をやさしく洗うこと、バランスのとれた食事、睡眠などに関して規則正しい生活をしてストレスを避けることも大事です。
上記の日常生活での注意点に気をつけ、皮膚科専門医の適切な治療を受ければ、気にならない程度にまでコントロールできる疾患です。
にきび(ざ瘡)
ニキビは主に以下の3つの原因が組み合わさって出現します。
①皮脂の過剰分泌、②毛穴のつまり、③毛穴の中の細菌(ニキビ菌など)の増殖です。
ホルモンの影響やストレス、紫外線などによって①が、化粧、洗浄不足、乾燥、髪の毛、汗などの刺激によって②が出現し、①+②による皮膚のpHによって③が出現してきます。
治療もこれらに即して選択していきますが、今あるニキビの跡を残さないこと、にきびのできにくい皮膚状態にコントロールすることの2つが治療の目標になります。
まず炎症性の赤~黄色いにきびでは、ニキビ菌や他の雑菌が増殖していますので、抗菌剤の外用や内服が必要になってきます。ただし長期に内服すると耐性菌の出現や口腔カンジダ症などの副作用の問題が出てきます。
白や黒にきびは毛穴の出口が古い角質と皮脂、細菌などがつまって出来た面疱の中に皮脂が貯まることによって出現します。面疱圧出、ディフェリンやレチノイン酸など皮膚のターンオーバーを促進する外用剤やピーリングによる角栓の除去が主体になります。さらに面疱をできにくくするには皮脂抑制と皮膚のターンオーバーを調整する必要があります。上記に加え、保湿剤、洗浄などのスキンケアが大事になってきます。
当院では、まずは保険適用のあるディフェリンを使用して頂けるように指導していきます。ターンオーバーを促進することによって角質が薄くなり、毛穴のつまりが予防されまずが、敏感な人は赤みが出たり、ヒリヒリ感などが生じます。乾燥しすぎるとかえって皮脂の分泌量が増えてしまうこともあり、これらの予防のために適度な保湿が必要になります。多くの人は1~2週間という期間をかけて何とか使えるようになることがほとんどです。
ビタミンCのイオン導入には炎症後色素沈着に対する美白効果のほか、皮脂の過剰分泌を抑える作用があるため、肌に浸透させることで毛穴詰まりを起こしにくくなり、ニキビが悪化する可能性を低減できます。
アメリカでニキビ治療の第一選択とされているのが、過酸化ベンゾイル製剤(BPO)です。国内でもつい最近認可されましたが、強力な殺菌作用、ピーリング効果を併せ持った薬剤であり、抗菌剤による問題が解消されるのではないかと期待されています。しかしディフェリン同様、刺激症状が出ることが知られていますので注意は必要です。