イオン導入が効果あるのかどうか?根拠は?
ここではイオン導入についてホントに効果があるのかどうか?その根拠を調べてみたのでご紹介していきたいと思います。
最近の美顔器はイオン導入、導出が当たり前のようについています。これホントに効果あるかどうか調べてる人ってどれぐらいいるんでしょうね?笑
わたしは、最初イオン導入なんて怪しいと思っていたら、美容家の友達がちゃっかり買っていたんです。
何気に貸してもらって試したのがきっかけで、「結構いいな」って思っちゃって、そこから興味を持つようになりました。
イオン導入とは
そもそもイオン導入の意味はどういうことか、というところから始めましょう。
イオン導入は、他の呼び方としてイオントフォレーシスとも呼ばれます。
その中身は、皮膚にすごく弱い電流を流し、水溶性の薬物をイオン化して効果的に皮膚内に導入する方法のことをいいます。
具体的には、マイナスの電極を顔の皮膚にあて、プラスの電極を手に持って電流を流すとその間に電流が流れます。
電流が流れることによって水に溶け込んでイオン化し、マイナスに帯電するビタミンC誘導体などのイオンが、マイナスの電極に反発して皮膚の奥へ浸透しようとする作用が起きます。
もちろん大きなイオンは浸透しにくく、分子の大きなコラーゲンやヒアルロン酸などは浸透できません。
なぜ、この方法がいいのか
イオン導入が評価される理由は、薬物を体内に浸透させる方法として注射器を使わないため、人間への負担がより少ないということによります。
そして、近年さらに研究も進んでいます。
イオン導入は、美容のみならず医療の分野でも有効活用されており、抗潰瘍剤、不整脈治療剤、糖尿病治療剤、鎮静剤等様々な分野の薬物のイオン導入の効果の研究がおこなわれています。
アメリカで販売されているイオン導入器は、これらの研究成果を受けFDA(アメリカ食品医薬品局)が認可したものになっています。
最も使われているイオン導入器は、膿胞性線維症診断のためのピロカルピン塩類イオン導入で、歯科においても局所麻酔のためのリドカインのイオン導入が既に実用化されて、注射が苦手な子どもへの局所麻酔に使われています。
美容ではビタミンC誘導体が有名ですが、2001年日本香粧品科学会において広島県立大学の発表では、塗布に比べてイオン導入の方が何倍もビタミンCを誘導できるという研究成果が報告されています。
問題点
しかし、イオン導入には良いところばかりではありません。
電流を皮膚に流すことにより刺激を感じることが一番の問題点です。
それに1か所に長時間イオン導入を続けると、水の電気分解によりマイナス側の電極の付近が強アルカリ性に変化してくるため危険性も増します。
ですから、薬剤自体導入時間が短くて済むような研究も進んでいます。
イオン導入器の種類
イオン導入器にも種類があり、その分類は電流の種類によって区分され、4つの種類があります。
連続直流型
一番最初に開発された種類で、FDA認可されているイオン導入器です。
しかし、欠点があり、皮膚に分極が起こり、皮膚への刺激や火傷のおそれなどあります。
パルス直流型
連続直流型の欠点を回避するために開発された種類です。皮膚はコンデンサーのような性質を持ち、電圧をかけることによって電荷が溜まります。
電荷が貯めるとせっかく浸透させたい薬物の透過を妨げる働きをするようになるため、電流を流す・止めるを一定時間ごとに繰り返して溜まった電荷を放電するようしたのがパルス直流型です。
こうすることで電荷が溜まらず、薬物の導入効果が上がります。
パルス脱分極直流型
パルス直流型では電気の効率が落ちるため、それを改善するために細胞の外と内でプラスとマイナスが一定を保っている状態(分極)から、それを積極的に崩す(脱分極)させるようにして皮膚への刺激を抑えるようにするのが、この種類です。
連続直流型、パルス直流型に比較し、皮膚刺激を抑えられるので、多くの電流を流すことができる(=薬物をたくさん皮膚に浸透させることができる)ようになります。
しかし、電流が多くなると水の電気分解が進む(=強アルカリ性になりやすい)点には気をつけなければなりません。
交流型
電流をプラスとマイナスとを交互に流すようにして、皮膚への刺激を抑えるようにした種類です。
どのイオン導入器がおすすめ?
4種類のイオン導入器の中で一番おススメなのはどれでしょうか?
美容に関連するのであればビタミンC誘導体の導入効果が一番いいのは?という質問になるのでしょうが、その場合には広島県立大学の研究から交流型が最適という結果になっています。
一般的には導入したい薬物によってイオン導入器の向き不向きは異なります。
パルス脱分極直流型は、分子の大きな薬剤への効果が高いと認められており、これからの発展が期待されるイオン導入器です。
でも、ビタミンC誘導体に関して言えば、電流が強いという特徴はかえってビタミンCを酸化してしまう方に働くのであまり意味がありません。
パルス直流型は、高価なイオン導入器になると電流の量を変化させることができるようですが、パルス脱分極直流型と同じ理由で、ビタミンC誘導体には不向きです。
ただ、パルス直流型の場合、周波数によって導入できる量に差があることがわかってきているので、ビタミンC誘導体については最適な周波数の研究が進んでいくことでしょう。
いずれにしろ、イオン導入をおこなう際には、事前にイオン導出または洗顔料でしっかりと洗顔することが大事です。
それと傷があるとそこに電流が流れやすくなるので皮膚への刺激が大きくなってしまうため、傷の部分には電極を近づけないようにしてください。
シミ治療にも
シミは女性にとって大きな悩みの一つです。
シミ治療には、皮膚科でのレーザー治療などによる治療がありますが、コストもかかりますから、その必要性を考えて判断することになります。
イオン導入器を利用するのかという観点でも、両者を比較したほうがいいでしょう。
イオン導入器は安くはないので、お金にこだわらない、エステでのイオン導入を考えている、という方には、向いていると考えられます。
家庭用のイオン導入器もエステ用の業務用イオン導入器も性能に大差はないので、余裕があるならご自分用に購入することを考えてもいいかもしれません。
イオン導入の実施頻度
イオン導入をする場合は、1週間に1~2回、1回のイオン導入後は3日間開けるというサイクルを守ってください。
効果を求めて毎日実施したくなるかもしれませんが、かえって肌を傷めるという逆効果になります。
それにシミ部分にイオン導入器を集中的に当てる方法も同様でかえって刺激を与えてシミに逆効果になりますから、顔全体にまんべんなく当たるような使い方をおススメします。
イオン導入による薬物の吸収効果
イオン導入、導出がホントに根拠があるのかどうか?その裏付けの理論を掲載しておきます。
ぶっちゃけ小難しい過ぎるのでスルーしてもらって構いません。
なるほど・・・・あてずっぽではなくて、本当に効果があるから、それを元に美顔器が作られてるんだなってわかればOKです。
薬物が皮膚から吸収される単位面積当たりの皮膚透過速度dQ/dtは、次の式で表わすことができます。
K:薬物の皮膚/基剤分配係数、
CvとAv:基剤中の薬物濃度と活量、
Dsとγs:皮膚中薬物の拡散係数と活量係数、
Ls:皮膚バリアーの厚さ
です。
イオン導入による薬物の皮膚透過性は、Nernst-Planckの式で表わすことができ、以下の式になります。
dQ/dt:薬物の単位面積当たりの皮膚透過速度、
K:薬物の皮膚/基剤分配係数、
Cv:基剤中の薬物濃度、
Ds:皮膚中薬物の拡散係数、
Ls:皮膚バリアーの厚さ、
z:イオンの電荷、
F:ファラデー定数、
R:ガス定数、
T:絶対温度、
Δψ:膜を介した電位差
を表します。
この式がイオン導入の効果を表しており、皮膚の表面と体内に電位差を与えると、電荷を有する薬物が吸収される効率を高めることができる、という意味になります。
実際にイオン導入する場合には、皮膚の角質層が電気抵抗が高いことによって電流が汗腺などの器官に流れやすくなり、薬物はこの器官に沿って皮膚内に浸透していくと考えられています。(Kenji S,FJ,4.17.1996より改変)
イオン導入に関する研究
イオン導入についての研究も数多く実施されてきて、学会にも報告がされています。
Chien Y.,J.Pharm.Sci.,78.353.1989,
Tyle P.,Pharm.Res.,3.318.1986,
Chien Y.J.Control.Rel.,13.263.1990,
Burnet R.,J.Pharm.Sci.,76.765.1987、
パルス型イオン導入の最適条件について研究した摺出寺,薬学雑誌,109.771.1989等他、特許についても沢山の出願が出ています。
しかし、ビタミンCあるいはVC誘導体について研究している学術報告はそれほど数がなく、イオン導入によるビタミンCを利用したシミ治療の研究が下記の2件程度上げられるだけです。
高瀬、日皮会誌、72.554.1962、
鈴木.日美外報20(2).8.1998
その他には、徳島大学が美容機器メーカーとの共同研究において、ビタミンCのマウスの皮膚でのイオン導入について生理学会で学会発表(01年)していますが、これでは皮膚内に浸透したビタミンC濃度の測定のみの結果になっており、ビタミンCが酸化した結果であるデヒドロアスコルビン酸の濃度については測定対象外になっており、導入はできるが最適条件であったのかどうかについては不明であり、十分な研究成果とはいえません。
その他皮膚学会(01年)では、肝斑のある10名を対象にイオン導入を週2回計10回実施した結果、シミが薄くなる効果が見られたという、ビタミンCのイオン導入についての報告があり、香粧品科学会(01年)では、広島県立大学の研究でヒト摘出皮膚組織において、単純に塗布するよりイオン導入の方が浸透しやすい、しかし、電流が多ければ浸透率が高くなるけれど酸化される割合も多くなるためダメージを与えることにもなる、という知見も発表されており、最適条件はまだまだ明確になってはいない、という状態です。
また、電機メーカーや化粧品会社では、ビタミンC誘導体のイオン導入器の販売を数多く行っているのに、どの周波数で、どれくらいの電流をながすと、どれだけの量のビタミンCが皮膚に浸透するのか、というデータはほぼ公表されていません。
販売のための宣伝にお金をかけるくらいなら、基礎研究にもっとつぎ込んでほしいな、と思う人は少なくないと思います。
(2001.9.14日刊工業新聞記事より:
広島県立大学の発表で、ビューリについては、単純な塗布に比べ表皮で1.9~4倍、真皮で2~2.7倍で、イオン導入では一般的な血液中の濃度の4百~6百倍となった。)
学会発表(予稿集より):第100回皮膚学会
【発表者】東邦大
【テーマ】アスコルビン酸のイオン導入法による経皮浸透度及び臨床効果の研究
この研究は、イオン導入法によるアスコルビン酸の皮膚への浸透率を調べたもので、ラットの背中の皮膚を使いアスコルビン酸のイオン導入を行なった。
微小透析法を使って、皮膚の内側の細胞付近の遊離アスコルビン酸濃度を測定した結果、イオン導入の場合には2.4倍の値を示し、この状態はしばらく継続することがわかっている。
この結果から、30~48歳の肝斑で悩む女性10名を対象にして、一重盲険ハーフサイド法でイオン導入を行なってみた。
その後導入前後で肝斑の色の差を測ったところ、アスコルビン酸を導入した部分は、精製水を使ったところよりも明らかに薄くなっており、アスコルビン酸のイオン導入は肝斑治療に効果があるという結果が示された。
2002年の生理学会では、アスコルビン酸から、ビタミンC誘導体での研究に変更されています。
ここでは、5%ピュアビタミンCでイオン導入できるという結果が報告されているが、家庭でのイオン導入の場合には、ビタミンC誘導体を用いるほうが推奨される。
学会発表(予稿集より):第26回香粧品学会
【発表者】広島県立大学
【テーマ】イオンフォトレーシスによるプロビタミンCのヒト皮膚摘出片への浸透促進効果の研究
イオンフォトレーシス(イオン導入)は低分子のイオンを皮膚の深部に浸透させることができる。
しかし、画期的な効果が得られるという報告までは上がっておらず、具体的な浸透の仕組み解明されているわけではない。
研究では、外部からの塗布よりも、できるだけ沢山のビタミンCを浸透させるために、酸化分解しにくくビタミンCに変換されやすいプロビタミンCを使って、イオン導入を行なった。
研究方法は、健康なヒトの皮膚組織をとり、プロビタミンCのアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(APM)や同ナトリウム塩(APS)を用いてイオン導入(0.1~1.0mA)を行なった。
その結果は、外部から塗布を行なうよりも、表皮であれ真皮であれイオン導入を行なうことで皮膚組織の中のアスコルビン酸濃度が増大することを確認した。
しかし、イオン導入に用いた電流でアスコルビン酸が酸化し、デヒドロアスコルビン酸に変化することも考えられるが、測定されていないため、最適条件といえるかどうかについては、まだ不明点が残る結果になっている。
イオン導入器の注意と手作りでできるイオン導入器
化粧品会社や美容機器メーカーもこぞってイオン導入器の販売を手掛けていますが、宣伝していますね。
よくイオン導入器の広告に、シートパックよりも100倍浸透すると書いてあるものがありますが、培養皮膚を用いた研究室内での研究であり、実際の人間の皮膚を用いた研究成果に基いているわけではありませんので、誤解の内容正しく理解しておく必要があります。
手作りイオン導入器
市販のイオン導入器が高いが、試してみたいという方は手作りイオン導入器を作ってみることをおススメします。
日経ヘルス2002年2月号に、イオン導入機の手作りについての記事が掲載されましたが、これは初期型の直流型のイオン導入器の作り方です。
注意点としては、3分以上の使用は避けてください。
イオン導入器まとめ
イオン導入が手で美容液を塗布するよりも数倍浸透力をあげる効果があるというのは証明されている事実です。
ただ、なんでもかんでもイオン導入が良いということではなく、成分によっては入るものと入らないものがあることもあるようですし、電流によっても成分を壊してしまうなどの注意点はあるようですね。
現在、市販されている美顔器は、超音波美顔器に合わせて専用の美容液が使われているようですので、まずはそれを試してみて自分に合うかどうかを見極めたいですね。
もし合わなければ、色んな化粧品でイオン導入を試してみると自分に合ったものがどれなのか見つけることができるのかもしれません。
ただし、美顔器によって相性が悪い化粧品成分もあるので、美顔器の性能も確認しておくべきだと思います。