【MLB】「2016年、ホセを再び見ることはないかもしれない」。マーリンズ、…

【MLB】「2016年、ホセを再び見ることはないかもしれない」。マーリンズ、…

あまりにも突然の悲劇
 9月26日、マーリンズパーク。試合前に星条旗が挙げられ、国歌がトランペット1本の音色で悲しく響き渡る。マウンドに、みな背番号「16」の黒いユニフォームを着た選手たちがひざまづく。黙とう。これから敵として戦おうとする選手たちが、お互いにハグして慰め合う。選手だけでなく、観衆にも涙を拭う顔が見られる。

 すべては、突然他界したホセ・フェルナンデス投手への追悼であった。
 悲劇が伝えられた現地25日(日)のブレーブス戦はキャンセルされた。全米のメディアがこのニュースを報じた。そして翌朝、ポッドキャスト『ESPN Baseball Tonight』ではフェルナンデス投手の人生を振り返った。まず司会のバスター・オルニー氏が「日曜日は、野球界にとって、悲劇的な1日だった」と切り出した。

 そしてフェルナンデスが投げた最後の試合(9月20日、火曜日のナショナルズ戦)の実況録音を流す。『AM 940 WINZ』局の実況を務めたアナウンサーがこう語っていた。
 まさか、その5日後に事故でこの世を去るとは夢にも思わなかっただろう。

“We may or may not see Jose again in 2016. We don’t know for sure after this start. If we don’t see him again, what a way it could be for him to go out… With the tying and go-ahead men on with 2 outs in the 8th, the Marlins ahead one-nothing… The 1-2. Swing and a ground ball to second. Gordon has it, to first. Inning over! Jose threw 8 with a 3-hit shutout. To the bottom of the 8th.
2016年にホセを再び見ることはないかも知れません。この先発後の登板予定は、わからないのです。もしこれが最後なら、何という素晴らしい締めくくりになることでしょう。(中略)8回、ツーアウト、同点、逆転のランナーが塁にいます。マーリンズ、1-0でリード。カウント1-2から、打った。セカンドゴロだ。ゴードンが処理、一塁へ。イニング終了! ホセ、8回を投げ切り、3本のヒットでシャットアウト。8回ウラに入ります。

 フェルナンデスはこの試合を最後に、この世からいなくなった。日曜未明、岩にぶつかり転覆したボートがマイアミで見つかり、3人の死体が発見され、その一人がホセ・フェルナンデスだと確認された。調べによると、アルコール、麻薬などは見つからなかったが、スピードがかなり出ていたと見られる。3人とも救命ベストは着用していなかった。




キューバから亡命してきたアメリカン・ドリーム
『ESPN』のこのポッドキャストではこの後、マーリンズのドン・マッティングリー監督やチームメイトであるプラド、そして昔のコーチなどの会見を流した。みんな、「ホセはとにかく野球が好きだった。リトルリーグの少年のように、無邪気で、ひたすらプレーすることに幸せを感じていた。まだ信じられない。言葉にできない悲劇だ」と語った。

 プラドによると、フェルナンデス投手は、先週火曜日のナショナルズ戦での投球が、「これまで投げてきた試合の中で自己最高の出来だった」と他の選手に話していたという。また、サムソン球団代表は次のような言葉を述べている。

“The magnanimity of his personality transcended culture, religion, and race. I mean it just did. His story is a story well-told, and it will be told forever. And when you talk about somebody whose personality could outshine his talent, normally it’s the other way around, and in this case his love of family, the game, and being Jose…
彼の性格の寛大さは、文化、宗教、人種を超越していた。本当にそうだった。彼の人生は物語に値するもので、永遠に語り継がれていくであろう。彼の場合、才能よりもその人格こそが素晴らしかった。普通なら、その反対なのに。彼の場合、それは、家族への愛、野球への愛、そしてホセがホセであることを意味していた。

 球界でこれほどの苦難を乗り越えてスターになった選手はいないであろう。キューバに生まれ、3度もアメリカ亡命に失敗し、牢獄に入れられたこともあった。航海中、一度大波で傾いた船から母親が海に落ちた時、飛び込んで母の命を救ったのも15歳のホセだった。やっとたどり着いたフロリダでは、自由を手にしたものの、何年も孤独な日々を過ごし、キューバの牢獄に戻りたかった日もあると言う。メジャーリーグに昇格し、多くの打者から三振を奪う様子を、キューバにいるお婆さんは、ラジオでしか聞けなかった。しかも電波の調子が悪い時は屋上に上ってまで孫の活躍を聞いていたという。

 そのお婆さんも家族もキューバから連れ出し、この自由の国で、最も優れたピッチャーのひとりになった。アメリカン・ドリームを命がけで手にしたフェルナンデス、誰に対しても笑顔を絶やさなかったフェルナンデスは、いつしか誰からも好かれるスーパーヒーローになっていた。

 数日前、ホセ選手自身が、自分のインスタグラムに、妊娠したガールフレンドの写真を掲載していた。球団によると、生まれてくる赤ちゃんは女の子らしい。その写真にフェルナンデスはこうコメントしていた。

“I’m so glad you came into my life. I am ready for where this journey is going to take us together.
君が僕の人生に加わってくれてとってもうれしい。この道、どこへ向かって我々が共に旅するかわからないが、準備はできている。

出典:”Unthinkable Tragedy” and “Gone Too Soon” @ESPN Baseball Tonight with Buster Olney (podcast), September 26, 2016


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