便秘薬、酸化マグネシウムに注意!便秘解消薬の種類と副作用
普段から便秘で悩んでいるという人は多いのではないでしょうか。便秘がひどいため、便秘薬が欠かせないという人もいるでしょう。
一言に便秘薬と言っても、刺激性や機械製など効きかたによっていろいろな種類があります。
便秘薬の種類やその特徴はどのようなものでしょうか。
また、その中でも副作用が少ないとして比較的よく処方されている便秘薬が「酸化マグネシウム」です。
ただこの薬、副作用が少ないことは確かなのですが、ごくまれに高マグネシウム血症という非常に危険な副作用が起きてしまうことがあります。
高マグネシウム血症とはどのような副作用で、どんな症状が現れたら注意すべきなのでしょうか。
便秘薬はその作用のしかたによって大きく2種類にわけられる
便秘薬は、その作用にしかたによって大きく2種類にわけることができます。
- 刺激性下剤
- 機械性下剤
それぞれの違いについてみてみましょう。
刺激性下剤
刺激性下剤とは、小腸や大腸に刺激を与えることで腸を動かして排便を促すタイプの便秘薬です。刺激を与える部位により2つに分類されます。
- 大腸刺激性下剤
- 大腸に刺激を与えることで腸の動きを活性化させて、それにより排便を促します。市販の便秘薬では、一番多く使われているタイプです。医療機関からの処方薬としてもよく使われます。
成分 製品 - センナ
- 大黄
- アロエ
- ピコスルファートナトリウム
- ピサコジル など
- アローゼン
- プルセニド
- アジャストA
- ラキソベロン
- コーラック
- スルーラックS
服用してから効果が現れるまでに、6~8時間くらいかかります。そのため就寝前に服用すれば、朝、タイミング良くその効果が現れるようになります。
作用は強めのため効果は期待できますが、長期間使用することは避けた方がよい薬です。長期服用していると「大腸メラノーシス(大腸黒皮症)」という症状が現れることがあるのです。
大腸メラノーシスとは大腸の粘膜に色素沈着がおこって黒ずんできてしまう症状です。大腸の壁が分厚くなり、腸の神経が鈍くなるためさらに便秘になりやすくなってしまいます。大腸がんのリスクが高まるという説もありますが、最近、下剤服用や黒色メラノーシスと大腸がんとは特に因果関係がないとされる研究結果も出てきています。
- 小腸刺激性下剤
- 小腸に刺激を与えることで腸の動きを活性化させて、それにより排便を促します。服用してから効果が現れるまでは2~4時間くらいになります。
このタイプの下剤としてひまし油などがありますが、現在はあまり使われなくなっています。
機械性下剤
便の水分を増やすことで便を軟らかくし排便しやすい状態にします。機械性下剤はその作用のしかたによって次のように分類されます。
- 膨張性下剤
- 食物繊維を摂ったときのように自然な排便を促進してくれます。多めの水と一緒に飲むことで腸内で水分を吸収して膨張し、便のカサが増えることで排便しやすい状態になります。
副作用が少なく安全性も高いため軽症の慢性便秘の治療にとてもよいタイプの下剤なのですが、効果はあまり強くありません。
寒天、小麦ふすまなどがこのタイプになります。
処方薬としてはバルコーゼがあり、市販薬では大腸刺激性下剤と配合されているものが多く、スルーラックデトファイバーなどがこれにあたります。
- 湿潤性下剤
- 界面活性剤の作用によって便の表面張力を低くし、便の中に水分や油分を取り込みやすくさせます。それによって便が軟らかくなり排便しやすくなります。
ただし湿潤性下剤だけでは効果が弱いため、大腸刺激性下剤を配合していることが多くなります。
処方薬ではビーマス、市販薬ではコーラックⅡ、スルーラックプラスなどがこれにあたります。
- 塩類下剤
- 酸化マグネシウムはこの塩類下剤のタイプになります。
浸透圧を利用した下剤で腸内に浸透圧の高い物質を入れることで大腸内の水分量を増やし、便を軟らかくするとともに便を滑りやすくします。
酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどがこれにあたります。大腸刺激性の下剤に比べて副作用が少なく、習慣性もないため安心して使える薬とされています。効果も十分にあります。
ただまれに高マグネシウム血症という副作用が起きてしまうことがあり、注意が必要です。これについては後で詳しく書きます。
- 糖類下剤
- 塩類下剤と同じように、浸透圧を利用して便を軟らかくさせ排便を促します。また腸内で善玉菌に分解されて乳酸などを発生し、それによって腸内を酸性にすることで腸の働きを助けます。処方薬ではモニラック、市販薬ではマルツエキスがこれにあたります。
便秘薬としてだけじゃない!酸化マグネシウムの持つ作用とは?
では酸化マグネシウムについて詳しくみていきましょう。酸化マグネシウムは副作用が少なく、長期的な便秘治療にも安心して使える下剤とされています。
いろいろな製薬メーカーから発売されていて、製品名には以下のようなものがあります。
- 酸化マグネシウム
- 重質酸化マグネシウム
- 重カマ
- マグラックス
- マグミット
- カイマックス
便秘の際に処方されることの多い薬ですが、実は下剤としての作用以外にも別の働きがあります。
実は制酸作用、結石予防作用もあり
酸化マグネシウムには胃酸を中和する制酸作用や、尿路結石のひとつであるシュウ酸カルシウム結石の発生を予防する働きもあります。
- 制酸作用
- 胃酸は酸性、酸化マグネシウムはアルカリ性です。そのため酸化マグネシウムの服用により胃酸は中和され、胃壁を保護することができます。その反応は刺激が少なく穏やかで、即効性は弱いものの作用時間は長くなります。
ただ最近では制酸作用を期待して使うことは少なくなっています。1日0.5~1.0gを1日数回に分けて服用します。
- シュウ酸カルシウム結石の発生予防作用
- 尿の通り道にできた結石を尿路結石と言います。尿路結石にはいろいろな種類があり、代表的なものがシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸結石などです。
酸化マグネシウムはこのうちのシュウ酸と結びつきます。そして尿中に排泄されるシュウ酸を減らすことでシュウ酸カルシウム結石が発生するのを予防します。
結石予防のときには、1日0.2~0.6gを多量の水で服用します。
下剤としての作用のしかた
では、下剤としてはどのように作用していくのでしょうか。
先ほども言ったように、酸化マグネシウムは胃の中で胃酸を中和します。この反応により塩化マグネシウムとなり、その後、腸に移動して炭酸マグネシウムに変化します。そしてこれにより、腸内の浸透圧が上がります。
浸透圧とは「同じ濃度になろうとする力」です。炭酸マグネシウムの影響で腸内の浸透圧が上がったため、同じ濃度になるようにと腸の外から腸内に水分が引き寄せられるようになるのです。
腸内に引き寄せられた水分の影響で、便は水分を含んで軟らかくなります。そして排便しやすい状態になってくれるのです。
下剤として使うときには、1日2gを1日3回、もしくは1日1回寝る前に服用します。その時の便秘の状態によって、量を多少増やしたり減らしたりして調節することもあります。
酸化マグネシウムは安全…でもごくまれに危険な副作用も!
酸化マグネシウムは副作用が少なく、安心して使える薬と言えます。そのため便秘しやすい高齢者などにもよく処方されています。
副作用としては腹痛や下痢があります。これは下剤の作用が強く出過ぎてしまったために起きているもので、どんな下剤でも起きてしまう可能性があります。このようなことがあれば、医師と相談して服用する量を調節するとよいでしょう。
ただごくまれではあるものの、酸化マグネシウムには注意しておかなくてはいけない危険な副作用があります。それが高マグネシウム血症です。
高マグネシウム血症とは?
マグネシウムは人の体内にも存在しているミネラルです。人が生きていくためになくてはならないミネラルですが、逆に多過ぎてしまうとそれはそれで問題が発生します。量のバランスがとても大切になっているのです。
酸化マグネシウムを服用していると、ごくまれにマグネシウムが多くなり過ぎてしまうことがあります。それによって様々な問題が起きてしまうことになるのです。
- 吐き気がする、嘔吐する
- 立ちくらみする、めまいがする
- 脈が遅くなる
- 皮膚が赤くなる
- 力が入りにくくなる
- 体がだるい
- 眠気があってぼんやりする
- 気力がない
酸化マグネシウムを服用していてこのような症状が現れたときには、すぐ薬を飲むのを止めて医療機関を受診してください。薬のせいなのかどうなのかわからないと言ったときにも、まずは症状を医師に伝えましょう。
血液中のマグネシウムの濃度を調べれば、高マグネシウム血症を発症しているのかどうかを確認することはできます。まず「気になる症状がある」ということを伝えることが大切なのです。
もしも高マグネシウム血症を発症してしまっていても、早めに発見して適切な処置を行えば大事に至ることはほとんどありません。ですので気になることがあっても心配し過ぎないで、まずは薬を止めて受診するようにしてください。
気になる症状があるのに放っておいてしまうと、もっと重い症状が出てしまいます。血圧が下がり、呼吸が出来なくなり、昏睡状態に陥り、心停止してしまうということもあるのです。
ただ何度も言いますが、酸化マグネシウムの服用によって高マグネシウム血症の副作用が現れるのはごくまれです。また異常を感じた時点ですぐに薬を中止すれば、問題ありません。
現在、酸化マグネシウムを飲んでいるという人は、念のためこのような副作用が起きてしまうことがあるということだけ頭の片隅に置いておいてください。
特に高マグネシウム血症を起こしやすい人は?
特に高マグネシウム血症の副作用を起こしてしまいやすいのは、以下のような人です。
- 酸化マグネシウムを長期間服用している人
- 腎障害のある人
- 高齢者
便秘症の人の場合には腎機能が正常で服用量がそれほど多くなくても、高マグネシウム血症を発症してしまうこともあるため注意しておいてください。
高齢者は便秘になりやすく、そのために酸化マグネシウムを長期間処方されているという人も多くなります。本人だけでなくご家族など周りの人も、少し気をつけて様子をみてあげてください。
- だるい
- ぼーっとする
- 立ちくらみがある
- 吐き気がする・・・
どんなことでも、気になることがあればまずは主治医に相談しましょう。
便秘しやすい高齢者、薬よりもまずは対策をしてみよう
「便秘」と言っても、その原因はいろいろとあります。環境の変化やストレスが原因だったり、何らかの病気が原因だったりということもありますが、多くは腸の働きが悪くなったために起きるものです。
腸の働きが低下して起こる便秘にも、その機能低下の原因によって3つに分けられます。
- 直腸性便秘
- 便意を我慢しすぎたり、下剤を使い過ぎたことが原因です。直腸の感覚が鈍くなって便意を感じにくくなり、直腸内にたまった便の水分が吸収されてどんどん硬くなり、排泄しにくくなってしまいます。
便は大きく硬めでコロッとし、排便後も残便感があります。
- けいれん性便秘
- ストレスや過労により自律神経のバランスが乱れ、大腸の動きが活発になり過ぎてしまうことが原因です。便秘と下痢とを繰り返し、ウサギのようなコロコロした便になります。残便感もあります。
- 弛緩性便秘
- 筋力の低下により胃腸もしっかり動かなくなったことが原因です。腸の中の便を先に送り出して排泄させることがうまくできなくなります。
高齢者の場合には特に弛緩性便秘が多いとされます。ただいくつかの原因が組み合わさって起きていることもあります。
高齢になると食事の量が減ったり、筋力の低下などといった影響から便秘になりやすくなります。また病気のために薬を服用していることも多く、その薬の影響で便秘になることもあります。
そのために酸化マグネシウムを服用している人も多いのです。
では、高齢者の薬に頼らない便秘対策はどんなことを心がければよいのでしょうか。
朝食をしっかり摂る
朝、起きて太陽の光を浴び、しっかり朝食を摂ることで胃腸が活動を始めます。胃腸がきちんと動くことで食べ物が消化吸収され、不要なものは排泄されていくのです。
毎朝トイレに行く
朝食を摂り、胃腸が活発に動き始めると便意を感じるでしょう。そのタイミングを逃さずトイレにいくことが大切です。もし便意を感じなくても毎朝トイレに座るようにし、そのリズムをつけましょう。
水分を摂る
高齢になると喉が渇いていてもそれを感じにくかったり、トイレが心配で水分を控えてしまったりということがあります。気付かずに脱水状態になっていることもあるため、意識して少しずつ水分を摂るようにしましょう。
体を動かす
高齢になると、どうしても筋力は低下してしまいます。毎日、少しずつでも体を動かすようにしましょう。がんばり過ぎる必要はありません。ウォーキングなどがお勧めでしょう。念のためどのような運動がよいか、医師に相談してみてください。
お腹をマッサージする
お腹のマッサージは腸の動きを活発にしてくれる効果があります。おへそを中心に、時計回りにマッサージをしてみてください。
食物繊維の摂り過ぎに注意
便秘改善のためには食物繊維が重要という気がしますが、高齢者の場合にはそうとも言い切れません。若い頃より体の機能が低下しているために、食物繊維の摂り過ぎが逆に体の負担となってしまうこともあるのです。
特に不溶性食物繊維(おから、大豆、小麦ふすまなど)の摂り過ぎはよくありません。どちらかと言えば水溶性食物繊維(海藻、きのこ類、イモ類など)を多く摂るほうがよいでしょう。
どうしても便秘が改善しないというときには酸化マグネシウムなどの下剤を服用しても問題ありません。ただし何となくずっと便秘薬を続けるのではなく、必要最小限の服用にしておいた方が良いことは言うまでもありません。
そのためにも薬だけに頼るのではなく、便秘を改善させるための対策も心がけてみてください。
便秘の原因は人それぞれになります。特に高齢者になるといろいろな原因が関係して便秘を引き起こしてしまっているということもあります。原因によって多少対策も違ってくるため、医師にも相談をしながら改善させていくとよいでしょう。