体臭自体の問題?
当社で体臭検査(チェック)を受ける方のうち、全体の2割から3割程度の方は、同性同年代の平均と比べても、体臭が弱いと言える方です。これを一括りに「自己臭恐怖症です」と、ワキガ専門医さんなら言ってしまうでしょうが、それをお伝えしたところで、ご本人の悩みは全く解決しない。
もし検査の時点で体臭が弱いという判定が出ても、それがいつも同じ状況だという確証にはなりません。明日、明後日と未来の方向には「改善方法の提案」という良い要因が働くので不安はありませんが、過去のどこかの時点、例えば検査を受けようと思ったきっかけがあった時点と、実際に検査に臨んで頂いた時点とでは、差があるのではないのだろうか?そういう気持ちを持って対応しているので、私は自己臭恐怖症と言う一括りでユーザーさんを見ることはありません。
それにしても、ヒトの感性とは不思議です。
感覚は人をだます
風邪をひいた時、食べ物の味が違って感じることはありませんか? 風邪をひかなくったって、鼻をつまめば、もう味なんて分からなくなります。この間テレビで「ジュースのニオイのするコップ」の話をやってました。ただの真水を入れても、コップからフルーツの臭いがすると、ジュースを飲んでいると勘違いしてしまう。
まあ、ニオイの問題は、特にそういう点であいまいです。私も「イソジン」を3日も使うと、その後2週間くらいは、ふとした瞬間にイソジン臭を嗅ぎつけてしまいます。絶対にイソジンが無い場所なのに。
苦手なニオイ、嫌いなニオイは、大脳に記憶されやすいと言います。これはその他の記憶とセットになって記憶されるので、より鮮明になるそうです。イソジンのニオイなら、体のだるさや喉の痛みとセットで記憶されるから、鮮明だという事。まあ、イソジンのニオイは単体でも鮮明に記憶されるレベルですけどね。
そんなことが体臭でも起こるというのも、決して不思議な事ではありません。
ユーザーの記憶と原因物質の符合
ユーザーさんから預かった私物や着用して頂いた検査用Tシャツで感応検査をした時には絶対に感じなかったタイプの物質が、ほんの僅かに機械分析で検知された。そういうことは当然、当たり前にあります。感性の部分では人間の鼻に勝るものはありませんし、その道を究めて30年の経験を持つ私ともう一人のスタッフは、特に自信があります。しかし、色々な物質に紛れた僅かな分量の物質を全て見極め(嗅ぎ極め?)られるかと言えば、そんなはずはなく、だから、GCMSデータを見ながら「ふーん。機械って、スゲッ!」とか言いながら仕事してます。
けれど、時折り、機械だけが検知できるレベルの分量しかない物質の臭気タイプを、ユーザーさんが「こんなニオイで悩んでいるんです」と、予め申告されている場合があります。
「それは今ですか」と私が訪ねると「ハイ」と答える。実際に会ってみても、そのニオイは絶対にしていない。私はその物質の試薬のニオイを嗅がせる。するとユーザーさんは「コレです。コレ。私、このニオイしてるでしょ? 今も」
私はそれこそ、暗闇で鼻をつままれた感じ。だって普通なら絶対に嗅ぎ分けられないタイプのニオイですから。不思議でしょうがないんですが、そうも言ってられません。なんとか、そのメカニズムを説明出来るようにならなければ。
で、結論です。これは確かに体臭由来のニオイである。そしてユーザーさんはかつて、この体臭があった。そして、今は無くなっている。或いは人には感知出来ないレベルでしか存在していない。しかしユーザーさんは鮮明な記憶があるために、そのニオイを今も探していて、疑似的に嗅ぎつけている。つまり幻嗅。或いはユーザーさんだけが感知出来るようになった。と、考えることにしました。
ああ、人間の感覚って、不思議。