パントテン酸は代謝や免疫にも関係している
更新日:2016/12/09 公開日:2016/07/27
ビタミンの種類(水溶性ビタミン)
パントテン酸は多くの食品に含まれているため、めったに不足することのないビタミンです。しかし、加工食品ばかり食べている人などは注意が必要です。パントテン酸の基本的な情報について、栄養学専門医師の監修のもと解説いたします。
パントテン酸は、体内で働く多くの補酵素の材料となっているビタミンです。どんな働きをするのか、摂取のポイントとともに見ていきましょう。
パントテン酸ってこんな栄養
パントテン酸は、水溶性ビタミンであるビタミンB群の一種です。パントテン酸という名称は、ギリシャ語で「あらゆるところ」(どこにでもある)を意味する「Pantothen」に由来しており、さまざまな食品に含まれていることからこの名がつけられました。また、5番目に発見されたビタミンBであることからビタミンB5とも呼ばれます。
パントテン酸は2つの形で存在します。ストレスや胸やけの治療に用いられるパントテン酸カルシウムと、コレステロール値を下げるために用いられるパントテン酸副生成物のパンテチンがあります。
パントテン酸は、脂質、炭水化物、タンパク質をエネルギーにするために必要な補酵素であるコエンザイムAを作る材料の1つです。化学名はパントテン酸、熱・酸・アルカリに弱い性質を持っており、1日の推奨摂取量は約5m、目安では豚レバー70gです。
パントテン酸はこんな働きをする
パントテン酸の主な働きは以下の通りです。
- 脂質、タンパク質の代謝
- エネルギーの代謝
- コレステロールやホルモン、免疫抗体の合成・皮膚や粘膜の健康維持
食事により摂取されるパントテン酸は、その大部分が補酵素Aや脂肪酸合成酵素の構成要素というかたちで存在しています。
これが胃腸内でパンテテインと パントテン酸に分解され、両方とも小腸全体を通じて吸収されます。
パントテン酸への最終的な変換は、腸粘膜で行われます。
パントテン酸は、最終的に、腸粘膜で補酵素A (CoA:コエンザイムA)の合成に利用されます。補酵素Aはあらゆる反応に関わっているため、パントテン酸の影響も広範囲にわたります。エネルギー代謝や脂質代謝などの代謝経路がこれにあたります。
また、副腎を正常に機能させたり、コルチゾールの産生に重要です。
免疫能を高め、ストレスに対抗する能力を増すので、「抗ストレス」ビタミンと呼ばれることがあります。
パントテン酸の多く含まれる食品
ミツバチのローヤルゼリー、干し魚の卵巣に多く含まれます。
また、レバー、カレイ、たらこ、卵、納豆、きのこ、モロヘイヤなどにも多く含まれています。
各食材に含まれる100g中のパントテン酸の量は、以下の通りです。
動物性食品
- 鶏レバー…10.10mg
- 豚レバー…7.19mg
- 卵黄…4.33mg
- 焼きたらこ…3.68mg
植物性食品
- 干しシイタケ…7.93mg
- ひきわり納豆…4.28mg
- 納豆…3.60mg
- モロヘイヤ…1.83mg
- アボカド…1.65mg
- 玄米…0.65mg
パントテン酸の過不足がもたらす影響
パントテン酸の不足・過剰によってもたらされる影響はどのようなものなのでしょうか。
パントテン酸が不足すると
パントテン酸単独の欠乏症はありません。重度の栄養失調や、実験的な環境では、初期症状として頭痛や倦怠感、視野欠損などの不特定の症状が現れます。
第二次世界大戦中のミャンマ一、日本、そしてフィリピンでは、捕虜の中に灼熱脚症候群 (Burning Feet Syndrome)が発症しましたが、これはパントテン酸の補給で改善することが確認されています。
パントテン酸は非常に多くの食品に含まれているほか、腸内細菌によっても合成されている栄養素であるため不足はめったに起こりません。
しかし、アルコール依存症の場合は欠乏症になるおそれがあるのでする必要があります。
パントテン酸が過剰になると
パントテン酸を摂取しすぎても、尿として排出されるため、基本的に過剰症の心配はありません。ただし、パントテン酸カルシウムと一緒にニコチンアミドなどを3か月にわたり投与した実験では、吐き気や食欲不振などを訴えた人が出たという報告があります。
日常生活においては、1日5gの摂取量でも副作用が現れませんので、過剰症を心配することはないでしょう。
パントテン酸を積極的に取りたいのはこんな人
抗生剤を服用している人は腸内細菌によるパントテン酸の合成があまり期待できません。また、パントテン酸はカフェインやアルコールによっても消費されるため、これらを好む人も積極的に摂取するとよいでしょう。この他、妊婦、授乳婦、肌荒れが気になる人にもパントテン酸はおすすめです。
パントテン酸の賢い摂取ポイント
パントテン酸は、水に溶けやすく熱に弱い性質を持っています。なるべく水にさらしたり、洗ったり、過熱したりせずとも食べられる、納豆やアボカド、フルーツ、刺身などが効率よく摂取できるでしょう。ゆでるだけでも約半分のパントテン酸が破壊されてしまいますので、加工食品もあまりおすすめではありません。