キヤノンは2017年6月29日、ファミリー向けデジタル一眼レフカメラの新製品「EOS Kiss X9」を発表した。小型軽量ボディーと手ごろな価格が評価されて4年超のロングヒットを続けるエントリーモデル「EOS Kiss X7」(2013年4月発売)の後継と位置づけるコンパクトモデル。EOS Kiss X7並みのコンパクトボディーを維持しつつ、撮影性能や装備を現行の主力モデル「EOS Kiss X9i」(2017年4月発売)並みに引き上げた。ボディーカラーも、EOS Kiss X7で人気を集めたホワイトモデルに加え、EOS Kissで久々となるシルバーモデルを用意。旧機種からの買い替えや買い増しを狙う。
予想実売価格は、ボディー単体モデルが6万5000円前後、18-55キットが7万5000円前後、ダブルズームキットが10万5000円前後。いずれも発売は7月下旬の予定。
デュアルピクセルCMOS AF対応でライブビューや動画撮影が快適に
主要な装備は、基本的にEOS Kiss X9iと同等に強化した。
撮像素子は、キヤノン独自のデュアルピクセルCMOS AFに対応した有効2420万画素のAPS-C型CMOSセンサーを採用。撮像素子のすべての画素が位相差AFセンサーとして働く構造で、ライブビュー撮影や動画撮影時もスムーズにピントが合う。位相差AFセンサーの数が少ないハイブリッドCMOS AF IIを採用していたEOS Kiss X7と比べ、オートフォーカスの速度や精度が高まった。このクラスの入門機を使う人は、一眼レフカメラでもファインダーではなく背面液晶を見ながら撮影する人の割合が多く、メリットの多い改良といえる。画像処理エンジンは、最新のDIGIC 7に一新。常用感度は最高ISO25600に、拡張感度は最高ISO51200に高めた。
背面液晶は、固定式だったEOS Kiss X7からバリアングル式に改良した。ローアングルやハイアングルでの撮影をしやすくしたほか、カメラを片手で持っての自分撮りも容易にできるようにした。液晶はタッチパネルで、タッチした場所にピントを合わせて撮影できる。
Wi-FiやBluetooth、NFCなどのワイヤレス機能も新たに搭載した。Bluetooth LE(Low Energy)に対応しており、専用アプリを導入したスマホと組み合わせると、カメラ本体の電源はオフのままスマホにデータを転送して写真を表示したり、SNSにアップロードしたりできる。
EOS Kiss X9iとの相違点は連写速度とオートフォーカスまわりだ。連写速度は、EOS Kiss X9iが秒6コマなのに対し、EOS Kiss X9は秒5コマとわずかに劣る。オートフォーカスの測距点は、EOS Kiss X9iが45点(すべてクロスセンサー)と多いが、EOS Kiss X9は9点(中央1点のみクロスセンサー)と少ない。ファインダーをのぞきながら動き回るペットなどを撮影する際の利便性はEOS Kiss X9iが優れるが、風景などの静物撮影ではほとんど差はないといえる。
本体サイズは、EOS Kiss X9iが131(W)×99.9(H)×76.2(D)mm、532g(メモリーカード、バッテリー含む)で、EOS Kiss X9は122.4(W)×92.6(H)×69.8(D)mm、453g(同)と、ひとまわり小型軽量に仕上げられている。
カラーバリエーションはオーソドックスなブラックに加え、ホワイトとシルバーの全3色を用意。シルバーモデルは、2006年9月に発売した「EOS Kiss X」以来となる。ホワイトモデルとシルバーモデルは、レンズキットに付属する標準ズームレンズがシルバーとなる。ただし、2本のズームレンズが付属する売れ筋のダブルズームキットは、ブラックモデルにしか用意されない。
ボディー単体モデルの実売価格は、EOS Kiss X9iが8万8000円前後なのに対し、EOS Kiss X9は6万5000円前後と2万円以上安い。EOS Kiss X9iに匹敵する性能を備えつつ、価格はかなり意欲的な設定としたのが注目される。
(文/磯 修=日経トレンディネット)