| 悪心・嘔吐 ①[機序]抗がん剤によって生じる悪心・嘔吐は、抗がん剤が血液を介して第4脳室最後野のCTZ(化学受容引き金帯)に刺激が伝達され、そこから嘔吐中枢にいたったり、抗がん剤により腸管細胞にセロトニンが産生され、そこから嘔吐中枢にいたったり、抗がん剤により腸管細胞にセロトニンが産生され、それが消化管粘膜の神経末端に存在する5-HT3(5-hydroxytriptamine type 3)受容体と結合することによって、迷走神経や交感神経求心路を経て嘔吐中枢にいたるなどの機序がわかっている。その他、嘔吐した経験などの不安・恐怖の情動が、大脳や前庭を通って嘔吐中枢を刺激するという心理的な要素が吐き気を誘発することがあり、これを予期的嘔吐という。 ②[看護援助] (1)制吐剤の使用:効果的な制吐剤の使用が吐き気・嘔吐の援助の柱となる。5-HT3受容体拮抗剤やベンザミド系の制吐剤を中心とした薬剤を、薬理作用に基づいて組み合わせを効果的に用いる。 (2)患者指導:患者にあらかじめ吐き気・嘔吐出現の可能性、時期、それに対する対処法などを指導しておくことは重要である。抗がん剤投与後に患者が予期せずに急に悪心を生じたりすると、苦痛とともに医療者への信頼をなくし、治療の継続が困難となることがある。 (3)不安の緩和:予期的嘔吐に対して不安の緩和は重要である。また、嘔吐により周囲が汚染されることもある。なるべくリラックスして過ごせるように頻回に患者のもとへ出向き、患者の訴えをよく聞くとともに、療養環境の調整をすることがたいせつである。
口内炎 ①[機序]抗がん剤の直接作用として、抗がん剤がフリーラジカルを発生させ、粘膜組織破壊や唾液腺の分泌障害によって炎症が生じる。また、口腔内にはつねに常在菌が存在しているので、白血球低下に伴う易感染状態で、それらの常在菌により感染が生じる。化学療法時の口内炎は主として舌や口唇・頬粘膜に発生するが、そのために患者は食事が制限されたり、会話が困難になることもあり、患者の心理面・身体面に多くの苦痛が生じる。口内炎には患者のセルフケアが最もたいせつであり、症状をできるだけ予防するための看護師の教育的役割が重要である。 ②[看護援助] (1)口腔内の保清:口内炎対策は、予防的に口腔内を清潔に保つように、歯みがき・含嗽を励行することが柱となる。とくに口内炎を生じやすい抗がん剤の使用時や、白血球低下が強く出現する可能性のある場合は、必ず予防的な対処が必要となる。 (2)口腔内冷却:フリーラジカル発生の予防として、口腔内冷却法がある。これは、口腔内を冷却することによって口腔内血管を収縮させ、抗がん剤が口腔粘膜に到達するのを減少させる作用がある。 (3)含嗽・軟膏処置:口内炎が発生した場合は、抗炎症作用、粘膜損傷・患部の保護作用、消毒・感染予防作用、止血作用、鎮痛作用など、それぞれの目的に応じて含嗽や軟膏塗布などを定期的に促す。 (4)食事指導:口内炎の発症時は、疼痛のために空腹感はあっても食べられないことが多い。粘膜をかたいものや温度・酸味・辛みなどの刺激から避け、患者の嗜好に合った食事をくふうすることが重要である。
脱毛 ①[機序]頭部の毛細管は、ほかの部位の毛器官より生物学的活性が著しく高く、抗がん剤の作用を受けやすい。抗がん剤による脱毛の正確な機序は不明だが、毛包内毛母細胞を障害する結果といわれている。しかし毛母細胞が完全に傷害されることはないため、症状は一過性・可逆的である。 ②[看護援助] (1)不安の緩和:患者に説明しないまま急に脱毛が開始すれば、患者は驚くとともに医療者に不信感をいだく。前もって脱毛があることを伝えるとともに、脱毛は一時的であり必ず再び生えることを伝える。また、脱毛は、治療後3週間程度で急に始まり、一気に多量の脱毛があるために患者は不安をもちやすい。そのような症状の特徴を説明するとともに、脱毛しやすい薬剤を使用する場合は、あらかじめかつら・ナイトキャップ・スカーフなどを準備しておいてもらい、容姿を整える援助を積極的に行うとともに、患者のつらい気持ちを受けとめる。 (2)環境の調整:抜けた毛髪は粘着テープなどを用いてすばやくしまつする方法を指導し、不快感をなるべく与えないようにする。 ③[脱毛の予防としての頭部冷却法]抗がん剤の血中濃度の高い時期に頭皮の毛細血管を収縮させることによって、毛母細胞への抗がん剤の流入を減少させ、脱毛を予防するという効果を期待しているが、必ずしも完全な予防はできない。具体的には、治療開始30分前から終了後30分まで、ダンクールキャップや氷罨法を用いて頭部をまんべんなく冷やす。 |
成人援助論の脊髄損傷おしえてください