体のニオイの悩みに応える体臭ブログ
わきが多汗症治療に長年携わってきた五味クリニック院長五味常明が、体臭対策、体臭予防をご紹介します。
ストレス臭 体臭が知らせる健康状態 体臭の悩みと職場の人間関係
近年、「体臭のために職場の人間関係がうまくいかない」と訴えて来院される患者さんが急激に増加しています。
「自分が部屋に入ると同僚が咳き込む」「電車に乗ると、隣の人が鼻をすする」など、人のしぐさや態度が気になり、仕事をやめたり、電車に乗れなくなり家に閉じこもる人もいます。
正確な統計はありませんが、ここ数年当院に来院される患者数の増加から、職場ではかなりの人が体臭が原因のストレスで悩み、かなりの割合で体臭が休職や離職の原因となっていると考えられます。
体臭の悩みがなぜ人間関係に影響するのでしょうか?
人から「クサイ!」と言われることは、例えば、人から「太っている」とか「足が短い」など体の特徴を言われることと決定的な差があります。
なぜなら「太っている」「足が短い」といったことは、人間の価値のごく一部であって、それを他人にどうこう言われようと本人が気にしなければ無視もでき、不快ならば「見なければいいでしょう」と開き直ることもできます。「足が短いのは運動には不利だけど、仕事で頑張って成績を上げよう」と他のことで努力する力にもなります。
ところが、人からクサイ!と言われて「嫌なら嗅がなければいいでしょう」と啖呵を切って開き直れる人はまずいません。
ニオイの性質上、体から出たニオイ分子は空気中を自由に飛んでいって勝手に他人の鼻に入りこんでしまいます。ニオイの元があるかぎり「臭いものに蓋」はできないのです。
クサイと言われた人が、他人の不快感をなくそうとしたら、自分がその場から立ち去り、いなくなること以外に手立てはないのです。
クサイと言われたとき、職場から「逃げたい」「消えたい」という気持ちになるのはそのためです。
体臭の悩みは、自分の人格にかかわる悩みであり、自己否定感から人間関係に消極的になります。体臭で悩む労働者が離職や閉じこもりになりやすいのはそのためです。
職場での「体臭の悩み」の問題は、人に言えず自分だけで悩んでしまうことです。職場に体臭の悩みのカウンセリングの体制が整っている企業はまずないでしょう。
さらに、誰にも相談できずに一人で悩んでいると、本当はさほど強いニオイではなくとも、「ニオイで人に避けられている」「嫌われている」と他人との関係で、実際のニオイ以上に悩むことがあります。
性格的にまじめな人ほど、「自分のニオイで職場の人に迷惑をかけている」と責任を感じて悩む傾向があります。
そのような人は、自分のニオイを確実に自覚していることは少なく、「周囲の人が咳き込む」「鼻をおさえる」などの他人のささいな態度やしぐさから自分が臭っていると感じているのです。
これらの動作は、普通ただの風邪や花粉症の時でも生ずる当たり前のことですが、自分の体臭と結びつけて悩んでいるのです。これは医学的には精神疾患で見られる一種の「関係妄想」で、私は「自己臭恐怖」と呼んでいます。
妄想が強くなると人間関係を避けようとして「対人恐怖」の状態になりやすく、自分一人では解決することが難しくなります。
「対人恐怖」の状態になると、「うつ病」と同じように、正常な業務に支障をきたしますので、専門の精神科的なケアが必要になります。
ここで、問題となることは、うつ病は周囲も気づきやすく本人も精神科的なケアを自分から受けようとしますが、「自己臭恐怖」の人は、どのような病院のどのような科を受診してよいかわからない点です。
職場の雰囲気が悩みを打ち明けやすいかどうかも大切でしょう。
これからの企業の医療保険関係者は、このような「体臭恐怖」といった新しい心の病の理解もこれからは必要となるでしょう。
季刊「ろうさい」 2013年春号VOL.17
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医学博士・五味常明
1949年、長野県生まれ。一ツ橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践。わきがの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確立。TVや雑誌でも活躍中。 99年からは、ケアマネージャー(介護支援専門員)として、デイケア事業や、高齢者介護の現場でのニオイのケアにも取り組む。
五味クリニック院長
流通経済大学 客員教授
日本心療外科研究会代表
体臭・多汗研究所所長
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