患者のためのがんの薬事典
レブラミド(一般名:レナリドミド水和物)
多発性骨髄腫を長期に抑えると期待の新薬
多発性骨髄腫の薬物療法は、新薬が次々に登場したことで大きく進歩しました。2010年7月、多発性骨髄腫に対する効果の大きいレブラミドが発売され、治療成績のさらなる向上が見込まれています。レブラミドは、手足のしびれなどの副作用が少ない経口剤で、QOL(生活の質)の改善にも役立つと注目されています。
薬物療法の治療成績が大きく向上している
今のところ、多発性骨髄腫の完全を期待するなら、大量化学療法+自家(*)を受けるしかありません。ところが、この治療を受けるには、65歳未満で心肺機能が正常といった条件が必要。
多発性骨髄腫は、60歳以上の人に好発するので、この治療を受けられる患者さんは全体の2割程度です。それ以外のケースでは、薬によって進行を抑え、長期生存を目指す治療法が選択されます。
多発性骨髄腫の薬物療法は、以前は十分な効果が得られませんでした。しかし最近、サリドマイド(一般名)、ベルケイド(一般名ボルテゾミブ)といった新薬が続々と登場し、状況は一変しました。それらの薬を代わりがわりに使い、進行を長く抑えられるようになったことで、多発性骨髄腫の薬物療法の治療成績は大きく向上しています。
さらに、今年7月には新たな治療薬として、レブラミド(一般名レナリドミド水和物)が発売されました。レブラミドは、海外ではすでに多発性骨髄腫の治療で幅広く使われています。日本では再発、または難治性(初回の治療が無効)の多発性骨髄腫に用いられます。
*大量化学療法+自家=大量の抗がん剤でがん細胞を死滅させてから、あらかじめ採取しておいた自分の造血幹細胞を体に戻す治療法
無増悪期間が3倍近く延びた
欧米では、再発、または難治性の多発性骨髄腫の患者さん約700人のうち、半数をデキサメタゾン(一般名)単独投与群、もう半数をレブラミド+デキサメタゾン併用投与群に分ける第3相臨床試験が行われました。デキサメタゾンは、多発性骨髄腫の治療に使われる副腎皮質ホルモン剤(日本では今年7月に「レナデックス」という製品名で発売)です。
[多発性骨髄腫に対するレブラミドの(海外第3相臨床試験)]
骨髄異形成症候群の薬としても承認された
レブラミドは経口剤で、自宅や外出先で服用できるのが利点といえるでしょう。成人は通常、25ミリグラムを1日1回、3週間服用し、1週間休薬することを繰り返します。デキサメタゾンを併用します。
さらに、レブラミドは副作用が少ないのも大きな特徴。既存の多発性骨髄腫の治療薬で頻発する、しびれなどの重い神経障害は見られません。副作用としては、血球減少が多く見られるほか、深部静脈血栓症(*)も報告されていますので、専門医に相談して対策をしっかりとりましょう。
動物実験の結果から、レブラミドを摂取すると、胎児に奇形が生じるおそれのあることもわかりました。そこで、レブラミドの胎児への曝露を避けることを目的に、「レブメイト」というレブラミドの適正管理手順が作成されました。レブラミドにかかわる患者さん、医師・薬剤師の方は、この手順をきちんと守らなければなりません。
レブラミドは値段が高いのが難点。薬剤費は1日当たり約4万4千円、1カ月当たり90万円以上かかります。ただし、高額療養費制度を使えば、多くの人は1カ月当たり10万円以下の自己負担ですみます。
レブラミドは、ほかのがんへの効果についても注目されています。今年8月には、血液のがんの1つである骨髄異形成症候群のうち、5番染色体(*)長腕部に欠失があるタイプの治療薬として承認されました。今後は、白血病、悪性リンパ腫などの治療薬としても大いに期待されています。
*深部静脈血栓症=体の深部にある静脈内で血の塊ができる病気。エコノミークラス症候群とも呼ばれる
*染色体=遺伝子の集合体で細胞核に含まれており、1番から22番(性染色体を除く)まである
ホームページを見れば、レブメイトのくわしい内容がわかります。また、レブラミドの治療を受けられる病院(公開許可が得られた病院のみ)の情報もあります