オイル仕上げの木の器を使ってみようかな・・・と思ったときに、やっぱり気になってしまうことがあります。
食べ物を直接乗せても良いものか?
食べ物の色がついたり、染みになったり、
臭いがずっと残ったりしないのか?
M.SAITo Wood WoRKSの木の器は、普通に食べられる食用の植物油を塗布して仕上げたものです。
この仕上げは、ウレタンやポリエステルなどといった合成樹脂塗料をたっぷり塗って、完全に木をプラスチックの膜でコーティングしているわけではありません。
植物油を塗布しただけというのは、木そのものの表面の質感を損なわないためにそうしています。自然の木の手触りをそのまま感じていただけるように、という思いでの仕上げです。
やはり、この場合はどうしても外からの汚れを完全にシャットアウトすることは難しいです。
カレーの黄色や、梅干の赤紫蘇の赤などはどうしてもついてしまいますし、食べ物の匂いもやはりついてしまいます。
この汚れや臭いについては、数字で定量的にその度合いの大小を評価することはできず、個人個人の使用感といったあいまいな表現しかできないのですが、私自身の使用感と、これまでご利用された多くの方の声では、「ほとんど気にならない」といっていいものです。
■木の器を使っていて感じるのは、やっぱり”木の香り”
例えば、カレーを食べて洗った直後には、木の器をにおうと確かにカレーの匂いが残っています。
でも、次の日別の料理を盛ったときに、カレーの匂いが気になったことはありません。
多くの種類の木を扱っていて、木の器を使っているときのにおいに関して感じるのは・・・
盛った料理のにおいよりも、その木の器に使っている木そのもののにおいを感じることの方が断然多いです。
サクラの木は、バラ科の植物だけあって甘い良い香りを持っています。
ナラの木は、香り付けのために酒樽(オーク樽)に使われているように、芳ばしい香りがあります。
ミカン科のキハダは、黄色い樹皮が胃薬としても使われているだけあって、苦味の強い、薬膳風な香りがします。
ケヤキは、独特な臭気があり、人によって好みの差があります。
”木の香り”といっても、細かく分けるといろいろな種類のにおいとして分類できるのですが、一般的にはやはり総じて”木の香り”と呼ばれるものです。
木の器を使用しているときに、やはり一番感じるのは、いろいろな料理の残り香ではなく、それぞれの木がもつ”木の香り”だと思います。
私が木の器に使っている木の種類には、料理の香りを損なうほどの香木は使っていませんが、木の種類によってはとても香りの強いものもありますので、使い方によっては良し悪しがいろいろあると思います。
■”汚れ”ととるか、使い込んだ”味”ととるか
盛った食べ物の、色や染みもやはり着きます。
カレーの黄色も、直後は黄色く色づいていたけれど、しばらくすると黄色は消えてきます。
表面的に付着しただけの汚れであれば、何度か洗っているうちに取れていきます。
木地に色素がしみこんでいった場合には、ちょっと洗ったくらいでは色は落ちません。
やはりしばらくその染みとは付き合っていくことになります。
ただ、これら食べ物の色というものは、時間が経つにつれて、いわゆる”茶色”になって行きます。黄色も赤もいつかは”茶色”です。
何度も使い込んでいくことで、最初に着いた染みも、あとから重なった染みも全部ひっくるめて、全体が茶色になっていくわけです。
上の写真は、同じ木(くるみ)の一枚の板から切り出して作った、二つのスプーンです。
右のスプーンが未使用のもの。
左は、さほどメンテナンスなども気にせず、半年ほど手荒く使ってきたものです。決してお奨めできない食洗機にも何度か入れられています。
“茶色”くなっています。
醤油とか、カレーとか、味噌とか、あれこれいろいろな食べ物の色が積み重なっていることは確かです。
子供の泥んこ遊びなど、料理以外に使われていないことは確かです。
(※”汚れ”というものに関して、もっとも気をつけるべきなのは、食べ物の色ではなくて、カビなどによる黒ずみです。
長時間、水に濡れたままになっていると、カビや黒ずみの原因となります。)
・・・と、木の器は取扱いに最初は戸惑うかもしれません。
しかし、使ってみると思ったほど気を使わなくてもよいものです。
ぜひお使いになってみていただきたいです。
温かみがあるとかいうのはもちろん、普段の食事や、何気ない食器の扱いをちょっと気にするようになると、食卓がより楽しく、美しいものへと変わります。
P.S.木製品の取扱いというものは、革製品の取扱いと似ていると思います。