風邪・インフルエンザの予防に!お茶うがいの効果と簡単な方法
風邪やインフルエンザは、主に咳やくしゃみで飛ぶしぶきで感染します。これを「飛沫感染」といいます。
もしウイルスに感染している人が咳やくしゃみをすれば、およそ2メートルの範囲内にいる人は飛沫感染しやすくなります。会社、学校、電車など人の集まる場所ほどウイルスをもらってしまう可能性が高いのですね。
そこで風邪の流行する冬は帰宅したらすぐにうがいをし、喉に付着したウイルスを洗い流すことが奨められます。また、うがいをするならば水うがいではなく「お茶うがい」をするとより風邪を予防する効果が高まるといわれています。
この記事では、お茶うがいが風邪やインフルエンザの予防に効く理由、正しいうがいの方法について説明していきます。
風邪の予防だけじゃない!うがいの目的と効用について
うがいは、誰でも簡単に実践できる病気の予防法です。昔から風邪の予防には手洗いとセットでうがいの励行が薦められてきました。
最近は「うがいはしても意味がない」「うがいをする習慣があるのは日本人くらいだ」といった、うがいの効用を否定する意見も聞かれるようになっています。
一方で、うがいによって風邪やインフルエンザの発症率を下げたデータも存在し、うがいはしたほうが良いのかしても意味がないのか戸惑ってしまいます。
そこで、うがいの目的と効用について再確認しておきたいと思います。
うがいの目的
うがいとは、水(うがい液やお茶など)を使って、口腔やのど(咽喉)を洗浄することです。
喉は、外気と直接触れていることから、吸い込んだ菌、ほこり、カビなどが非常に付着しやすい場所です。うがいをして物理的に汚れを洗い流してやることで、口腔や喉を清潔に保つことができます。
さらにうがい薬などを使えば、有効成分によってウイルスや細菌を除去したり殺菌したりする効果も高まります。
喉の粘膜には「繊毛」が生えていて、上に向かって動くことで粘膜に付着した異物を排出しています。うがいをして喉の血行を促進されたり保湿したりすると、この繊毛が活発に動くようになり、ウイルスや細菌を排出する生体防御機能を高めることができます。
うがいの効用
うがいをすると次のような効用が期待できるようになります。
- 適度の刺激が粘液の分泌や血行を盛んにする
- のどに潤いを与え、粘膜の働きが弱まるのを防ぐ
- ホコリなどを粘液とともに上気道から洗い流す
- 口腔粘膜への細菌の付着を抑え、定着しにくくする
- セキを抑え、タンを除去する のどの痛みを抑える
- 口臭の元になる汚れを除き、口臭の発生を防ぐ
- 口腔内を殺菌・消毒し、虫歯を予防する
- かぜの予防効果が実証されている
- のどや口腔を消毒する※
- さわやかな後味が、口腔内に清涼感を与え、口臭を抑える※
※うがい薬使用時
うがいは、風邪の予防だけでなく虫歯や口臭の予防などさまざまな健康効果のあることがわかります。
そのほか、近年は高齢者に起こりやすい「誤嚥性肺炎」の予防にうがいが効果のあることも注目されるようになっています。(誤嚥性肺炎は、飲み込む力の低下した高齢者が誤嚥によって口腔内の細菌が肺に感染するために起こりやすい病気です。)
しかし、うがいの方法が間違っているとこれらの効用は発揮されません。
大人になってからはうがいの基本を確認する機会もないので、なんとなく「ガラガラ、ペッ」と簡単に済ませてしまいがちです。うがいの正しい方法をいま一度おさらいしておきましょう。
うがい薬の使い分けや正しい手順が大切!うがいの方法について
うがいは、汚れた空気を吸った後、感染症を予防したい時、口をさっぱりさせたい時に行います。
うがいをしたいと思った時、こまめにうがいをするのが一番気持ち良いのですが、しょっちゅう洗面台に行くことは難しいので、うがいの必要なタイミングに1日に数回うがいをすると良いでしょう。
水うがいとうがい薬の使い分け
水うがいだけでも効果はあります。水だけだと物理的に汚れを洗い流すだけなので、喉をしっかり洗浄したい場合はうがい薬を使ったほうが、よりうがいの効果が高まります。
うがい薬には殺菌剤や抗炎症剤が配合されているので、ウイルスを殺菌して感染を防ぎ、喉の炎症をやわらげる効果が得られます。
ただしいつもうがい薬を使う必要はありません。うがい薬を使い続けると、喉の粘膜を傷めたり有益な菌まで殺菌してしまうことがあるためです。
例えば次のように、水うがいとうがい薬でのうがいを使い分けるのが良いでしょう。
| 水うがいが適している時 | うがい薬を使うのがよい時 |
|---|---|
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うがいの正しい手順
うがいは、ただ喉の入り口を「ガラガラ」しただけでは、汚れがきれいに取れません。場所ごとに分けて順番にうがいをするのが正しい方法とされています。
- 1.ブクブクうがいをする
まずは、口の中をゆすぎます。口の中は細菌がいっぱいなので、口の中をすすがずにいきなり喉をうがいするのは良くありません。
口の中に水を含んで唇を閉じ、頬を動かして「ブクブク」「グジュグジュ」と口の中をゆすぎ、食べカスや粘液を落とします。1回でスッキリしない場合は、数回繰り返すと良いでしょう。
口の洗浄がしたい場合、誤嚥の起こりやすい高齢者がうがいをする場合は、ブクブクうがいだけもかまいません。
- 2.喉をうがいする
次に、もう一度口の中に水を含んで上を向き、のどをうがいします。この時に「オー」と声を出しながらうがいをすると、口の中だけでなく口蓋垂の奥まできちんと洗浄でき、よりうがいの効果が高まります。
声が震え始めたら口蓋垂の奥まで水が届いている証拠です。吐き出すタイミングは、水がぬるくなった時です。喉のうがいは2~3繰り返すと良いでしょう。
4歳以下の子供や高齢者がうがいをする時は、周りの人が見守り、誤嚥に注意しましょう。
- 3.口をすすぐ
最後に、水で口をすすぎます。すすぎによって口の中のpHを元に戻すことで、歯や口腔の健康が保たれます。
うがい薬を使わずに喉を殺菌!お茶うがいのススメ
「水だけでうがいするのは物足りない気がするけど、うがい薬をわざわざ使うのも抵抗がある」という人も多いのではないでしょうか。
そのような場合におすすめしたいのが民間療法です。例えば、昔から行われていたうがいのひとつには、コップ1杯の水に食塩を一つまみ入れて行なう「塩うがい」がありますね。
塩は収れん作用があり、うがい薬ほどではありませんが、風邪のウイルスを除菌したり、腫れている粘膜を引き締めて炎症をやわらげる効果が期待できると言われています。
緑茶を使ったお茶うがいがおすすめ
水うがいや塩うがいよりも風邪を予防する効果の高い方法もあります。それは緑茶を使った「お茶うがい」です。緑茶を使ったお茶うがいの効果は実験でも証明されています。
- 2万人の幼児を対象にお茶うがいで実験した結果
- 浜松医科大学の研究グループにより緑茶のうがいに風邪を予防する効果のあることが疫学分野の国際的専門「ジャーナル・オブ・エピデミオロジー」に発表されています。
同グループは約2万人の幼児を対象に、うがいをする子とうがいをしない子、うがいを水道水、塩水、緑茶に分け、20日間に風邪で発熱した子供の人数を調べるという大規模な調査を行いました。
すると、うがいをしない子と比較してうがいをしたグループには発熱した子供が少ないことが分かりました。
また、風邪をひかなかった確率は、うがいをしていない子供に比べ、水道水で約30%、塩水で約50%でしたが、緑茶でうがいをした場合は約70%となりました。
このように緑茶でうがいをした子供に風邪をひく子供が少なかったことについて、研究グループの野田龍也助教授は「緑茶うがいには風邪を予防する効果があると考えられる。緑茶に含まれるカテキンに風邪のウイルスを殺菌する作用があるのでは。」と推測しています。
緑茶に含まれているカテキンの効能
カテキンは植物特有の成分ポリフェノール一種で、緑茶の渋味のもとになっている成分です。
カテキンはさまざまな健康効果があることで注目されていますが、緑茶の殺菌作用が高いことは昔からよく知られていました。寿司を食べる時に出てくる濃い緑茶(あがり)も、生ものを食べる時の食中毒を防ぐ目的があるといわれています。
カテキンには、ウイルスの細胞膜を破壊する抗ウイルス作用、細菌が毒素を出すのを抑制する抗菌作用があります。これがいわゆるカテキンの殺菌効果と呼ばれるはたらきです。
カテキンは、インフルエンザウイルスに対しても抗ウイルス作用を発揮するといわれています。
インフルエンザウイルスは球体の表面にスパイク(突起)がある、まるでウニのような形状をしています。カテキンは、ウイルスのスパイクを包み込むことでスパイクが粘膜の壁に結合して感染するのを阻止するはたらきをします。
また、緑茶でうがいをすると、カテキンの殺菌作用によって口腔内の細菌を減らすことができ、虫歯や口臭を予防する効果も期待できます。
緑茶うがいの方法
緑茶はどの家庭でも用意しやすく、口に含んだ時の味や香りも良いので、うがい薬のにおいが苦手な人でも気持良く使えるところも嬉しいです。
この出がらしを使って熱湯でお茶を作り、うがいできる温度に冷ましてから水うがいと同じ手順でうがいをします。熱湯を使うのは、その方がカテキンが抽出されやすいためです。
もちろん出がらしではなく、一煎目の緑茶をうがいに使っても良いのですが、うがいに使うのはもったいないので、出がらしの再利用をおすすめします。(ただし時間の経った出がらしは変質している可能性があり、うがいには不衛生なので使わないでください。)
番茶や紅茶でも効果がある?
お茶ならどれを使っても効果があるのでしょうか。
カテキンが含まれているお茶なら、緑茶のような風邪やインフエンザ予防効果が期待できます。
カテキンは「チャ」という植物の茶葉に含まれる成分なので、チャから作られているお茶を選ぶのがおすすめです。
茶葉に含まれるカテキンの量はお茶の種類によって異なります。ただしお茶の淹れ方によってカテキンの抽出量が変わるので、出がらしでうがいをする場合には深くこだわらなくてもかまいません。
参考までに、茶葉に含まれるカテキンの多さで順に並べると、多いのは釜炒り茶、煎茶、番茶となります。
- 釜炒り茶(緑茶)
- 煎茶(緑茶)
- 番茶
- 玉露(緑茶)
- 紅茶
- ほうじ茶
- ウーロン茶
紅茶はカテキンがそれほど多くありませんが、発酵したお茶に含まれる赤い色素「テアフラビン」にインフルエンザウイルスの抗菌作用があります。
感染者は実験群(紅茶エキスでうがいをした人)35.1%に対して対照群(何もしなかった人)では48.8%で,有意な差(p<0.05)が認められた.
この結果,紅茶エキスによるうがいは,インフルエンザを阻止しうる可能性が示唆された.
(略)
さらに紅茶エキスは抗体と異なりウイルス型特異性がなく,A型ウイルスにもB型ウイルスにも有効であることは流行の型を予測する必要がない.
通常我々が飲む茶の濃度は3~5%であるが,今回使用した濃度はその1/6~1/10と低濃度である上,副作用の問題もない.
インフルエンザが流行する冬には、緑茶や紅茶を使ったお茶うがいに切り替えるのがおすすめです。
ハーブティーでも効果がある?
普段ハーブティーを飲んでいる人は、ハーブティーをうがいに使うのもおすすめです。
ハーブティーは薬効のある草の花・茎・葉などをお湯で抽出した飲み物で、チャではないのでカテキンは含まれていません。しかしハーブの中には殺菌作用・抗炎症作用を持つものがあるので、緑茶うがいと同じようにうがいに使うこともできます。
うがいに使うなら、次に挙げるハーブを使ったお茶がおすすめです。
- ミント…殺菌作用がある、清涼感が鼻や喉をすっきりさせてくれる
- エキナセア…免疫力を高め風邪予防になるといわれる
- タイム…殺菌作用が高いことで知られる
- マローブルー(ウスベニアオイ)…喉の炎症や咳をやわらげるといわれる
ハーブティーは香りも良いので、口臭の予防にも役立ちます。
インフルエンザは予防できない?それでもしたほうが良いうがい
「うがいはインフルエンザ予防に効果がない」と言われることもあります。
これは、厚生労働省が毎年出している「今冬のインフルエンザ総合対策」から、うがいの励行がなくなったこと、首相官邸に次のようなコメントが掲載されていることが関係しているようです。
うがいにインフルエンザを予防する効果がないと言われるのは、喉の粘膜にインフルエンザウイルスが付着すると20分で感染、発症してしまうため、20分おきにうがいをしなければ意味がないためだとされます。
20分おきにうがいをすることは難しいため、1日に数回うがいをしただけではインフルエンザの感染を防ぐことは不可能だと考えられているのです。
しかし付着したばかりのウイルスならうがいで除去することができるので、ウイルスに感染しやすい状況(インフルエンザの流行時、人混みの中に出かけた時など)に遭遇した時はすぐにうがいをすれば、少しでも発症を防ぐ効果をたかめることができます。
また、うがいにはウイルスを排除するだけでなく喉の粘膜を保湿して生体防御機能を高める効果もあります。やはり、うがいをしないよりはしておいたほうが良いのです。
その際は、お茶うがいや鼻うがいをすると一層効果的です。そして、風邪やインフルエンザの予防は、手洗い、マスクの着用、免疫力を高める規則正しい生活、インフルエンザワクチンの接種をあわせて行なうことが大切です。
うがいは面倒くさくてしていなかったという人も、良い香りやお口のさっぱり感を楽しみながお茶うがいを習慣に取り入れてみてくださいね。