はじめに
注意
- この知恵ノートには、喫煙に関する事項が書かれていますが、喫煙を勧める内容ではありません。特に未成年は法律で喫煙が禁止されています。未成年の方は、もしこの知恵ノートを読んでも、喫煙をしてはなりません。
煙草の保管に最も適した湿度は70%前後と言われています。
この値は、室内の湿度としては高い方で、一般的に室内等に放置された煙草は、乾燥が進み甘味が少なく辛味の強い味になってしまいます。また、着香された煙草では、乾燥した環境下で放置すると、着香成分が揮発してしまいやすく、これによっても味を損ねる事になります。
ですから、煙草の美味しさを保つためには、煙草を加湿・保湿・密閉保管する必要がある訳です。
この知恵ノートでは、煙草の美味しさを保つための加湿・保湿保管について、いくつかの方法をまとめる事を目標としています。
ステップ1 身近な道具を使おう!
加湿保管というのは、要するに湿気を放出する物を煙草と一緒に密閉度の高い容器に入れれば良い訳ですが、それには幾つかの道具が必要になってきます。ただ、何も専門的な道具でなければ煙草の加湿ができないという訳でもありません。このステップでは、身近な道具で煙草を加湿保管する事を考えます。
1.容器
加湿保管に使用する容器は、外の乾いた空気を遮断できれば良いので、非常に身近な道具で事足ります。
1) チャック付きビニール袋
食品の冷凍保存等で使うために売られているチャック付きのビニール袋は、手軽な密封容器として有効です。価格も最も安上がりです。ただし、スライダー付きのタイプは、スライダー無しのタイプに比べると密封度が落ちますのでお勧めできません。
また、ビニール袋での保管は、外乱の影響を受けやすいので、紙巻煙草や葉巻のように、形を保持する必要がある煙草を保管するには、注意が必要です。手荒に扱うと、煙草が折れます。
2) タッパ
台所用品として売られているタッパは、100均などでも手に入るので、安価に導入できる道具です。よっぽどラフに扱わない限りは、中の紙巻煙草等は折れたりする事はありませんし、いくつかを積み重ねて置いておく事も可能なので、便利です。
3) 茶筒
茶筒やお茶ケースも、密閉度が高いので有効です。これらも100均で売られています。蓋がネジ式だったりするので、開閉はタッパよりも楽です。
金属の茶筒は、加湿保管で使うと錆びてしまう可能性があるので、プラスチック製を使った方が良いでしょう。
4) その他
100均を見て回ると、密閉度が高そうな容器が色々と販売されています。いわゆる「○○ストッカー」の類は、有力な候補になります。使いやすそうな容器を色々試してみるのも悪くないと思います。
2.加湿器・保湿器
水や洋酒などを浸み込ませて加湿に使う道具も、色々な物が使えます。これも、人によって色々な手法があるようです。
1) 直に液体
持ち運ばない、或いは動かさない事を前提にするなら、水を直に小さな容器にいれ、加湿容器に煙草と一緒に入れておくという方法があります。最も簡単な方法ではありますが、水を入れた容器が倒れて水がこぼれると、悲惨な事になります。
また、霧吹きで水を直に煙草に振り掛けるという手法もあります。これは、煙草の葉だけに対して使うのであれば、臨時の手段として使えますが、紙巻煙草に対してはお勧めできません。水滴の掛かった部分に煙草の成分が茶色く浮き出してきて、みすぼらしい姿になってしまいます。
2) ティッシュ
ティッシュに水などを含ませて加湿器にするのも手軽で悪くないです。水を含ませたティッシュを、容器の内側にテープで貼り付けたり、穴を開けた小さなビニール袋やピルケースに入れて、それを煙草と一緒に密閉容器に入れるという手もあります。ポイントはやはり、塗れたティッシュが直接煙草に触れないようにすることです。直接煙草に触れてしまうと、煙草の湿度が上がるどころではなく、完全に濡れてしまって、乾かさないと吸えなくなってしまいます。
3) スポンジ
女性の化粧用ミニスポンジも有力なアイテムです。これも100均で手軽に買えます。使い方はティッシュと同様で良いでしょう。
尚、化粧用ミニスポンジは、水を良く弾くので、水を含ませるのに一手間かかります。
4) 化粧用保湿剤(ジェル)
これも100均で手に入ります。保湿剤は加湿だけでなく、ある程度の保湿効果もあるようで、容器内の湿度をキープしやすいです。ただ、容器内にこぼれてしまったらいけないので、水をそのまま使うのに準じた工夫が必要です。
3.湿度計
100均でも簡単な湿度計が販売されています。湿度計があれば、目標の湿度をキープするのが容易なので、できれば揃えておきたいアイテムです。ただし、精度は期待できないので、湿度計を補正するテクニックを身に付けておくと良いでしょう。
ヒント
- *湿度計の補正
- まず、小さな器になるだけ純度の高い食塩を入れます。ここに薬局で売られている精製水を、食塩がヒタヒタになるまで入れます。これを湿度計と一緒に密閉容器にいれて、半日くらい放置します。
- これで、容器の中は湿度75%くらいになっているはずなので、湿度計の針が75%を指し示すように、湿度計の裏面にある調整ネジを回して調整します。ただ、この調整作業中も湿度計の針は動いていきますので、最初からどれくらい針を動かすのかの見当を付けておいて下さい。
- 調整が済んだら、もう一度同じ状態の容器に戻して半日ほど放置し、針が75%前後を指し示している事を確認して下さい。大きくずれているようなら、再度調整して下さい。
ステップ2 専用品を使ってみよう
煙草の加湿・保湿保管用として、様々なタイプの道具が販売されています。費用はかかりますが、煙草の加湿を本格的に継続して行っていくのであれば、何時かは揃えておきたいアイテムです。
1.煙草ジャー
パイプ煙草のように刻んだ煙草を保管するための容器です。密封ができるようになっており、多くは蓋の裏側にスポンジが嵌っています。このスポンジに水等を含ませて加湿を行う訳です。
材質は、陶器、ガラス、木材等と様々で、大きさも色々あります。比較的大きな物であれば、紙巻煙草や葉巻も入りますので、ご自身が愛飲している煙草の種類に応じて選ぶと良いでしょう。
2.ヒュミドール
葉巻の保管のための専用容器です。多くは西洋杉の木箱で、加湿器や湿度計がセットで付属している事が多いです。
西洋杉は、保湿機能が優れていると言われており、容器内が乾燥すれば湿気を放出し、過加湿の場合は湿気を吸い取ります。ですから、他の素材の容器に比べると一定の湿度に保つのが容易になります。
大きさは、旅行用に携帯できるサイズの物から、ほとんど家具と言えるレベルの物、部屋が丸ごとヒュミドールになっている物(ウォークイン・ヒュミドール)など様々で、ご自身の煙草の保管容量に合わせて選んで下さい。
こうしたヒュミドールであれば、葉巻だけでなく、紙巻煙草や、パッケージに入ったパイプ煙草等でも保湿保管が楽にできます。
気を付けなければならないのは、ヒュミドールを買ってしまうと、その容量が完全に埋まるだけのプレミアム・シガーが欲しくなってしまうという事です。(笑) ご存知のように、厳格な湿度管理を必要とするプレミアム・シガーの保管にヒュミドールは必須ですが、ヒュミドール満杯のプレミアム・シガーを買い揃えるには、それなりの出費が必要になります。やたらと大きいヒュミドールだと、それを埋めるプレミアム・シガーの購入費用は、とんでもない金額になります。でも、まぁ、それも偉大なる趣味の世界と考えれば、アリかも知れません。
3.加湿器・保湿器
煙草の加湿・保湿に使われる専用品も、多くの種類が販売されています。
安い物では、100円程度で販売される物があり、非常に手軽に使えます。水が浸み込む岩石や焼き物、吸水性のある物をプラスチックの容器に入れた物とかは、低価格で手に入ります。また、一定の湿度に保つ性質を持つ小さな固形物を布で包んだような製品もあり、これは何ヶ月かで使えなくなってしまう消耗品ではありますが、1個50円くらいで売られています。
最も高級な物ですと、湿度を検出し自動的に加湿・除湿を行う電気機器があり、こうした製品は大型のヒュミドールにはぜひとも備え付けたいものです。
ヒント
- 資料によっては、煙草用の加湿器を「ヒュミドール」と呼ぶ事があります。スペイン語の「humidify」は「湿らす」という意味なので、加湿をするための容器も、加湿器もどちらもヒュミドール(humidor)と読んで間違いではありません。
- ただ、同じ呼び方をすると混乱しますので、専用容器の方をヒュミドールと呼び、加湿器の方は「加湿器」とか「保湿器」と呼ぶ事の方が日本では多いようです。
ステップ3 加湿・保湿保管の注意点
道具を揃えた上で、いざ加湿保管という事になりますが、そこには幾つかの注意点があります。これも頭に入れておく必要があるでしょう。
1.過加湿に注意
湿度80%程度と高い湿度で長期間放置すると、煙草にカビが生えやすくなります。生えたカビがシロカビであれば、白い部分を払って落とせば問題なく吸えるのですが、アオカビは危険です。アオカビの生えた煙草を吸うと、お腹を壊します。ですから、アオカビが発生した煙草は、同じ容器内の他の煙草も含めて、すべて廃棄しなければなりません。
ですから、過加湿の状態で長く放置するのは避けて下さい。過加湿になりそうになったら、加湿器を容器から出して下さい。
ヒント
- *煙草自体の調湿機能
- 例えば桐箱に調湿機能がある事は有名ですが、それと同じように煙草の葉も植物ですから、それ自体に調湿機能があります。
- 空の容器に加湿器と湿度計を入れて、容器内の湿度変化を観察すると、実験開始直後から一直線に湿度は上昇し、最終的に100%近くまでいきます。ところが、煙草を一緒に入れた場合は、最初の内は順調に湿度が上昇するのですが、やがて60~70%ぐらいの湿度に到達すると、湿度の上昇がしばらくストップします。そのまましばらく放置すると、やがて再び湿度が上昇を始め、最終的にはやはり100%近い湿度に到達します。
- 70%辺りで湿度上昇が一旦止まるのは、煙草の葉の調湿機能が、この湿度で最大限に発揮されるからだと思われ、その能力の限界を超えて更に加湿し続けると、再び容器内湿度が上昇してくるという訳です。
- ですから、煙草の保管容器内の湿度を70%前後に保持する事は、実はそれほどシビアな作業にはなりません。煙草の葉が勝手にそれくらいの湿度をキープしてくれるからです。加湿器・保湿器は、それをサポートする物だと考えても良いでしょう。
2.時々混ぜる
容器内で煙草の加湿を行っていると、どうしても加湿具合に偏りが生じます。加湿器の近くの煙草が過加湿になり、加湿器から離れた所の煙草が乾燥気味になるのです。
ですから、加湿を行っている間は、時々煙草をシャッフルしてやるのが良いでしょう。パイプ煙草のように刻んだ煙草であれば、ときどき掻き混ぜ、葉巻や紙巻煙草の場合は、時々容器内の配置を変えてやったり、回転させてやったりする訳です。
3.熟成
適度な湿度で保管を続けていると、煙草の熟成が進む事があります。これは、葉巻の世界では常識的な事ですが、他の煙草でも起こります。
例えば、キセル用刻み煙草「小粋」は、畳表のような香りがすばらしい煙草ですが、これを加湿状態で保管していると、何日かで香りが変質し、発酵した干草のような香りを放つようになります。また、紙巻煙草や手巻き用煙草(シャグ)でも、同様の事象が起こる事があります。
熟成が進んだ煙草の味は、それはそれでなかなか美味しいのですが、最初のオリジナルの味とは違ってきているという意味では、好みの分かれる所です。味の変化を望まない場合は、吸う直前に加湿を行うなどの工夫が必要になってきます。ご自身が愛飲なさっている煙草の特性を良く調べて、好みの加湿タイミングを見つけて下さい。
4.匂い移り
匂いの強い煙草とそうでない煙草を、同じ容器の中で保管すると、匂いが移る事があります。故意にそのようにするのもアリですが、できる事なら、そうした保管は避けた方が良いでしょう。
中には、パイプ煙草の「ラタキア」系の煙草のように、一旦容器に付いた匂いが、何度容器を洗っても落ちないというような物もあります。そのような煙草には、それ専用の容器を準備するのがよいでしょう。
最後に
煙草は本来的に味と香りを楽しむ嗜好品です。煙草の味と香りは、煙草の湿度に影響され、美味しさが大きく変化します。ですから、煙草の湿度管理は、実は非常に重要な事なのです。
手軽な喫煙を目指す紙巻煙草が喫煙の主流のスタイルになっている現代においては、残念ながらそれを知らない人が非常に多いです。「煙草が湿気て不味くなる。」という台詞をはく人は、煙草の特性を知らない人だと考えて間違いありません。煙草は湿気がないと美味しくないのです。
手軽な紙巻煙草でも、適度な加湿をしてやると、大きく味が向上することがあります。特にビニール包装がなされていない「旧三級品」は激変します。加湿方法を身に付けるだけで、貴方の喫煙ライフは大きく変わる可能性もあるのです。
世の中に不味い煙草はありません。喫煙者の工夫とテクニック次第で、最初は不味いと思った煙草でも、美味しく吸う事ができるものなのです。
ぜひ煙草の加湿に挑戦し、美味しい喫味を探求してみて下さい。m(__)m