「っ!?」
渚は反射的にドアノブに伸ばしていた手を引っ込め、代わりに腹に回した。そして、わずかに屈んだ。突如として彼女を襲った腹部の膨満感に嫌な感じの鈍痛。看過し辛い肉体の異変。腸内で蠢く異物が意気揚々と出かけようとした彼女を遮った。
その生理的症状に渚は直ぐ様思い当たった。人間として避けては通ることのできないあの現象……。
渚は反射的にドアノブに伸ばしていた手を引っ込め、代わりに腹に回した。そして、わずかに屈んだ。突如として彼女を襲った腹部の膨満感に嫌な感じの鈍痛。看過し辛い肉体の異変。腸内で蠢く異物が意気揚々と出かけようとした彼女を遮った。
その生理的症状に渚は直ぐ様思い当たった。人間として避けては通ることのできないあの現象……。
(やば……ウンチしたいかも…………)
便意。
渚を襲ったのは他でもない、腸が告げる排泄欲求だった。
「ウソ……ど、どうしよう…………」
晴れやかな表情は影を潜め、渚は顔を青ざめさせた。途端に脂汗が噴き出して折角洗った顔をわずかに湿らせた。こんな時に限って……こんな時に限ってどうして……彼女はお腹を押さえて屈んだまま停止する。腹の調子がおかしい。胃腸が悲鳴を上げているようだ。
もしかして、さっきの生卵と牛乳? そういえば朝のオナラも滅茶苦茶臭かったし、ダブルパンチでお腹がヤられちゃったのかも……。
渚の推測は正解だった。元々調子の悪かったお腹に生卵と牛乳を注ぎ込んだことで、彼女は本格的にお腹を壊してしまったのだ。しかも、彼女は気付いていないようだが、摂取した生卵と牛乳は少しばかり痛んでいた。それが消化器官の不調に拍車をかけていたのだ。
グギュッグルルピィ~~~~ッッ
汚らしい音色でお腹が鳴り響く。渚はグッとさらにお腹を押さえた。
トイレに行くべきか、行かざるべきか――
渚は真剣な顔つきで考える。
便意が込み上げてくるとはいえ、感覚としてはそれほど強烈な排泄欲求ではない。出そうと思えば出るが、出さなくても学校までは持ちそうな感じ。お腹も痛いには痛いが我慢できなくはない。それにしばらく歩いていればすぐに治まりそうな感覚でもある。腹部は悲痛な叫びを上げているが、渚の感覚から推し量れば大した便意ではなさそうだった。つまり、非常に自己判断のし辛い腹痛だった。
このまま便意を我慢して学校に向かって八時十五分発の電車に乗れれば、問題なく遅刻せずに済むはず。しかし、ここでトイレに赴いて用を足すロスはかなりでかい。一本でも遅れれば遅刻は決定する。数分たりとも無駄にはできない。皆勤賞保持のためにもここは我慢して学校に向かい、出席に間に合った後、女子トイレで用を足せば良いのではないか……。
そう考えている間にも、渚の腸は彼女の意志に関わりなく蠕動する。
ゴギュッギュルゥォ~~~ッッ!
「うぁっ!」
獰猛な腹音と共に激しい内圧が渚を襲った。トイレに行くべきか、行かざるべきかと思考していた彼女にとってはまさに不意打ちだった。慌てて肛門括約筋を締め付けようとするがすでに手遅れだった。
プゥ~~~ッ! ブスッブゥッ!
「やぁんっ……」
甲高い音を鳴らし、渚は慌てて尻に手を回した。腹部の圧迫に耐え切れず、彼女はオナラをしてしまったのだ。情けないガスのお漏らしだ。先ほどベッドで豪快に放屁した時と違って、今の彼女は淑女の恥じらいに満ちていた。放屁の恥辱に耳まで赤く染まっている。
お腹を壊した時のオナラだけあって臭いも強烈だった。玄関は直ぐ様に濃厚な硫黄臭に包まれ、渚のオナラの臭いで充満した。それは当然彼女の鼻腔にも届いた。
「や……くさい…………」
否が応でも自分の屁の臭さを認識させられる。自分でも鼻が曲がりそうになる強烈な臭いだ。ここが自分一人だけで良かったと渚は心底思った。こんな臭いオナラを他人に嗅がせられるはずがない。
しかし、ガスを抜いたおかげか、渚のお腹は大分楽になった。今の放屁で体内で蠢いていた嫌な物を全て吐き出せたような感じもした。お腹の鈍痛も悲痛な叫びもなくなった。全ての事が解決したように思えた。
(これなら……大丈夫そうかも!)
渚はそのように思うが、さて……。
「や、やっぱり……トイレ行っとこう…………」
痛む腹を抱えて渚はそのように判断した。放屁によってある程度スッキリしたとはいえ、いつ便意がぶり返すか分かったものではない。通学途中でさらに強烈な便意を催して、焦って駅やコンビニのトイレに駆け込むよりは、家で用を足して万全の状態で学校に向かう方が明らかに賢明だ。
それに、このお腹の壊し具合から察するに、途中で我慢できなくなって内容物をぶち撒ける可能性も非常に高い。最低最悪のウンチお漏らし。道端で、最悪電車の中で、衆人環視の元、下品な爆音をかき鳴らしながら黄土色の軟便を垂れ流し、強烈で獰猛な恥ずかしい臭気を撒き散らす。泣き崩れる自分。足元には自分の放った汚泥の湖が広がり、脱力のために漏らした尿がグラデーションを重ねる。そして、その場は阿鼻叫喚の渦へ……それだけは何としてでも避けなければならない。
背に腹は代えられなかった。遅刻の回避よりも、まずは己の体調改善を優先せねば。
そんなことを考えている内に……
グピ――ギュルギュルグリリリィッッ!
「ふぅアッ!!」
早速ぶり返し始めた便意。強烈過ぎる排便欲求。それも今度はガスなどではない。明らかに本線のソレだ。
渚は素早く肛門括約筋を引き締め、内容物の噴出を阻止する。脂汗を垂らしながら、肉体の素直な欲求を無理矢理封じ込める。危なかった。もしほんの一秒でも締め遅れていたら、綺麗な下着に薄茶色の染みを付着させていたかもしれない。それほどに切迫した状態だった。爆発の時は近いようだ。
(い、行かなくてよかった~~……)
渚は心からそう思った。もし、あのまま外出していたら、とてもトイレまでは間に合わなかっただろう。
お腹をギュッと押さえて慎重にローファーを脱ぎ、渚は家に上がった。鞄を玄関に置いて身軽にし、肉体に刺激を与えないように一歩一歩丁寧に進む。とにかく焦ってはいけない。肛門括約筋に全神経を傾注し、糞便の流出を頑として阻止。その上でトイレへの道を歩むのだ。
プス……プスプス……
小刻みに痙攣するお尻からガスが漏れ出している。肛門の隙間を縫って、黄土色の臭気がぷすぷすと。渚のスカート内は濃厚な屁の臭いで充満していた。元の少女らしい甘酸っぱい香りはどこにもない。酷く臭うオナラだけ。濃密な毒ガス地帯と化している。
「ハァ……ハァ…………」
顔を真っ赤にして息を荒らげる。想像以上に苦しい。お腹が痛い。ウンチがしたい。渚は今になって自分の腹具合の状態を理解した。どうやら本格的にお腹を壊しているらしい。それも普通の壊し方じゃない。中毒症状かその類……獰猛なウィルスか何かがお腹を好き勝手に荒らし回っているようだ。
しかも、苦しいのはお腹だけではない。体は小刻みに震えるし、気分は悪いし、暑いんだか寒いんだかで体温調節もままならない。腸のメーデーに対し体全体が過敏に反応してしまっているようだ。涙が出そうなほどに辛い。
しかし、その苦しみもあと少しでおさらばだ。トイレまではもうほんの数歩。やはり、トイレに向かったのは正解だった。渚は自分の英断を誇らしく思う。
トイレの手前まで来た渚はそれでも焦らず騒がず、電気を点けてゆっくりと中に入る。待ちに待った便器とのご対面。普段何気なく利用しているそれが、これほどに頼もしい存在だとは思わなかった。恥ずかしい汚泥を丸ごと飲み込んでくれる魔法の道具。今の彼女にとって、白くて艶々した便器はそれだけの価値があった。
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」
苦悶の中に微かな笑顔を表出させながら、渚は便器の蓋を開けた。そして、オナラの臭いがたっぷりと染み付いたものの、特に汚れることのなかった純白のレースを脱ぎ、保温されて暖かくなった便座に腰を下ろした。優しい温度が体に染みわたる。
(助かったぁ……)
ホッと息を吐く渚。それから肉体の欲求に身を任せるままに踏ん張り、肛門をこじ開けた。
「ふゥゥんッ!」
ブビュビュビュビビィジュビビィッッ! ブビチビブビュビビィィ――ッ! ブピブチュブブブッビビブゥゥッ!! ブリュリュリュリュビビィ――――!!
濁流――おぞましいまでの茶色い濁流だった。
ガス爆発のような獰猛な爆音と共に、大量の下痢便が噴射された。固形物のないほぼ液体の大便。腹下し特有の下痢ピーウンチだ。よもや渚のような可愛い女の子が排泄するとは思えぬ汚泥が、相応の下劣な音色を撒き散らしながら雪のように白い便器を滅茶苦茶に汚す。あまりの勢いに跳ね上がり、彼女の桃尻に茶色の飛沫が付着する。
芳香剤の香りに満ちていたトイレ内は瞬間的に激臭に包まれた。下痢便の粒子が拡散し、忌避すべき悪臭をトイレに充満させる。渚のような美少女が決して放ってはいけない茶色い臭気。放屁とは比べ物にならないほど濃厚過ぎる硫黄臭だ。
渚はその臭気の中でひたすらに踏ん張り続ける。あまりに臭い自分の糞便臭に鼻を摘みたくなるが、それどころではない。次から次へとウンチが出て止まらない。彼女は苦悶と恍惚の合わさった複雑な表情を浮かべながら壮絶な排泄を続けるのだ。
「ふグゥゥ――――ッ!!」
ギュピ――グギュルルルルルッ!
ジュピィィ――ブジュジュジュジュゥゥッ! ブビチィッ! ブオリュリュリュッジュピィィ――ッ! ブポッブリリリィッ! ブピブバビブゥォアッ!
熱い。熱い。肛門が焼け爛れるように熱い。腸がひしゃげるような激痛が走る。しかし、下痢便排泄は止まらない。
カレースープのような汚泥はより一層激しさを増して渚の可愛らしい肛門から垂れ流される。まさに下痢の激流だ。液便が便器の底へと着水する音すらも掻き消す下劣な破裂音を奏でて、渚は熱湯のように熱いドロドロの糞便をただ吐き出す。肛門から一切の抵抗なく滑り落ちる液便の質感が気色悪いやら気持ち良いやら。もう何が何だか分からない。
体は熱く、しかし寒い。気分の悪さは一向に治まらない。耐え難い不快感が体中を駆け抜けて排泄の辛さと一体化し、また、トイレ内に充満する獰猛な臭気も加わって、渚の苦しみは増加する一方であった。
お腹が痛い。辛い。苦しい。臭い。助けて。助けて。助けて。
出す前はこんなに辛いとは思わなかった。しかし、下痢便の排泄は渚の想像以上の苦悶を強いるものであった。全て出し切れば楽になれるはず。なのに、その出し切るまでがあまりに長い。下痢便はまだまだ止まらない。肛門に多大な負荷をかけながら便器の底に溜まり、彼女を嘲笑うかのように耐え難い悪臭を醸し出すのだ。
「はゥっ……ぅああっ、うぐぁっ」
ブピピブビビブチッ! バビュビビィ――――チュビビビビィッ! ブバチュビッ! ブリッピピピブビビィィ――ィィッ! ブリリリッ! ブポッブビリリィッ!
あまりの苦しさに、渚は体を丸め込んで呻き声を漏らす。額には膨大な汗が滲んでいる。その表情は苦悶に歪んでいるものの、醜さの要素は欠片もなく、むしろ劣情を喚起させる淫靡な魅力に満ちていた。全身を震わせながらひたすらに下痢便を排泄する彼女の姿はあまりに美しかった。
だが、噴射される液便はひたすらに下劣だ。下劣な音と下劣な臭いを拡散させながら便器の底や表面を下劣な色で染め上げる。彼女の美麗な外見とはまさに真逆。ドロドログチャグチャの悲惨な内容物。人間である以上排便は避けられないが、それでも渚のような美少女が排泄してはならないような下品過ぎる下痢便だ。
渚はまさに祈るようにして手を組む。指と指を絡ませて、ギュッと。白魚のような彼女の指はぶるぶると震え、彼女の体調の劣悪さを物語っている。藁があったら縋りたいほどに苦しくて苦しくて堪らないのだ。
すでに肛門の感覚は消失していた。ただ排便の音だけが下痢便排泄を示す証左と化していた。それほどに長い壮絶な排便だ。地獄としか言い様のない光景が延々と続いていた。
しかし、それも永遠というわけではない。いくら酷い下痢であろうとも内容物を粗方吐き出せば、排泄は終わりを告げる。
「ぐっぐゥ……くッ…………」
ブチュゥ……ブチチチチッブビッ…………ぷピュッ、ピリリッブゥッ……ブスッ……ブビチュビッブッピリリリィ~…………
やっと治まった下痢便の濁流。長かった。本当に長かった。実際のところ一分に満たない時間に過ぎなかったが、渚にとっては一時間とも捉えられる長い長い地獄の時であった。それがやっと終わるのだと思うと、涙が滲むほど嬉しかった。
「はぁ……ハぁ、ンッ!」
プゥッ! ブゥップゥゥ~~~~~~ッ! プピィィ~~ィィ~~~~ッッ!!
それはそれは下品で強烈で間抜けなオナラを放ち、渚の排便はとうとう治まりを見せた。甲高い屁の音色は、まるで勝利を示すラッパの快音のようだった。しかし、その臭いは少女の放ったものとは思えないほど濃厚で、下痢便臭に包まれた空間でも尚、その存在感を激しく主張するものだった。
しかし、屁の臭いなど渚にとってはもうどうでも良かった。とにかく排便を無事に済ませたことが何より嬉しかった。
ハァと恍惚のため息を漏らした渚は、トイレットペーパーを何枚も重ねて尻の穴を拭う。幾枚もの紙の層を超えて感じるヌメっとした下痢便の感触。身の毛もよだつようなビチビチウンチだ。出来ることなら触りたくないが、このまま下着を身に着けるわけにもいかず、彼女は我慢して可愛いお尻についた獰猛な残便を排除した。
それから尻の表面に付着した残便も同様に拭い落とした。茶色い飛沫で薄汚れていた渚のまぁるいお尻は元の光沢を取り戻し、トイレ内の照明を反射して剥きたての卵のように輝いた。かなり臭うのは仕方のない話だ。
下半身を十全の状態に戻した渚は下着とスカートを履いて立ち上がる。そして、鼻を摘んで嫌悪感を露わにしながら、腹部を苦しめていた元凶たる下痢便の濁流を便器の奥へと流した。あれだけ出すのに苦労した糞便はいとも容易く吸い込まれていった。
石鹸で手を洗って糞のしつこい臭いを洗い落とし、いよいよ渚は汚泥から解放された。彼女はスッキリした気分で、下痢便臭の濃厚に漂うトイレを後にした。
便意。
渚を襲ったのは他でもない、腸が告げる排泄欲求だった。
「ウソ……ど、どうしよう…………」
晴れやかな表情は影を潜め、渚は顔を青ざめさせた。途端に脂汗が噴き出して折角洗った顔をわずかに湿らせた。こんな時に限って……こんな時に限ってどうして……彼女はお腹を押さえて屈んだまま停止する。腹の調子がおかしい。胃腸が悲鳴を上げているようだ。
もしかして、さっきの生卵と牛乳? そういえば朝のオナラも滅茶苦茶臭かったし、ダブルパンチでお腹がヤられちゃったのかも……。
渚の推測は正解だった。元々調子の悪かったお腹に生卵と牛乳を注ぎ込んだことで、彼女は本格的にお腹を壊してしまったのだ。しかも、彼女は気付いていないようだが、摂取した生卵と牛乳は少しばかり痛んでいた。それが消化器官の不調に拍車をかけていたのだ。
グギュッグルルピィ~~~~ッッ
汚らしい音色でお腹が鳴り響く。渚はグッとさらにお腹を押さえた。
トイレに行くべきか、行かざるべきか――
渚は真剣な顔つきで考える。
便意が込み上げてくるとはいえ、感覚としてはそれほど強烈な排泄欲求ではない。出そうと思えば出るが、出さなくても学校までは持ちそうな感じ。お腹も痛いには痛いが我慢できなくはない。それにしばらく歩いていればすぐに治まりそうな感覚でもある。腹部は悲痛な叫びを上げているが、渚の感覚から推し量れば大した便意ではなさそうだった。つまり、非常に自己判断のし辛い腹痛だった。
このまま便意を我慢して学校に向かって八時十五分発の電車に乗れれば、問題なく遅刻せずに済むはず。しかし、ここでトイレに赴いて用を足すロスはかなりでかい。一本でも遅れれば遅刻は決定する。数分たりとも無駄にはできない。皆勤賞保持のためにもここは我慢して学校に向かい、出席に間に合った後、女子トイレで用を足せば良いのではないか……。
そう考えている間にも、渚の腸は彼女の意志に関わりなく蠕動する。
ゴギュッギュルゥォ~~~ッッ!
「うぁっ!」
獰猛な腹音と共に激しい内圧が渚を襲った。トイレに行くべきか、行かざるべきかと思考していた彼女にとってはまさに不意打ちだった。慌てて肛門括約筋を締め付けようとするがすでに手遅れだった。
プゥ~~~ッ! ブスッブゥッ!
「やぁんっ……」
甲高い音を鳴らし、渚は慌てて尻に手を回した。腹部の圧迫に耐え切れず、彼女はオナラをしてしまったのだ。情けないガスのお漏らしだ。先ほどベッドで豪快に放屁した時と違って、今の彼女は淑女の恥じらいに満ちていた。放屁の恥辱に耳まで赤く染まっている。
お腹を壊した時のオナラだけあって臭いも強烈だった。玄関は直ぐ様に濃厚な硫黄臭に包まれ、渚のオナラの臭いで充満した。それは当然彼女の鼻腔にも届いた。
「や……くさい…………」
否が応でも自分の屁の臭さを認識させられる。自分でも鼻が曲がりそうになる強烈な臭いだ。ここが自分一人だけで良かったと渚は心底思った。こんな臭いオナラを他人に嗅がせられるはずがない。
しかし、ガスを抜いたおかげか、渚のお腹は大分楽になった。今の放屁で体内で蠢いていた嫌な物を全て吐き出せたような感じもした。お腹の鈍痛も悲痛な叫びもなくなった。全ての事が解決したように思えた。
(これなら……大丈夫そうかも!)
渚はそのように思うが、さて……。
「や、やっぱり……トイレ行っとこう…………」
痛む腹を抱えて渚はそのように判断した。放屁によってある程度スッキリしたとはいえ、いつ便意がぶり返すか分かったものではない。通学途中でさらに強烈な便意を催して、焦って駅やコンビニのトイレに駆け込むよりは、家で用を足して万全の状態で学校に向かう方が明らかに賢明だ。
それに、このお腹の壊し具合から察するに、途中で我慢できなくなって内容物をぶち撒ける可能性も非常に高い。最低最悪のウンチお漏らし。道端で、最悪電車の中で、衆人環視の元、下品な爆音をかき鳴らしながら黄土色の軟便を垂れ流し、強烈で獰猛な恥ずかしい臭気を撒き散らす。泣き崩れる自分。足元には自分の放った汚泥の湖が広がり、脱力のために漏らした尿がグラデーションを重ねる。そして、その場は阿鼻叫喚の渦へ……それだけは何としてでも避けなければならない。
背に腹は代えられなかった。遅刻の回避よりも、まずは己の体調改善を優先せねば。
そんなことを考えている内に……
グピ――ギュルギュルグリリリィッッ!
「ふぅアッ!!」
早速ぶり返し始めた便意。強烈過ぎる排便欲求。それも今度はガスなどではない。明らかに本線のソレだ。
渚は素早く肛門括約筋を引き締め、内容物の噴出を阻止する。脂汗を垂らしながら、肉体の素直な欲求を無理矢理封じ込める。危なかった。もしほんの一秒でも締め遅れていたら、綺麗な下着に薄茶色の染みを付着させていたかもしれない。それほどに切迫した状態だった。爆発の時は近いようだ。
(い、行かなくてよかった~~……)
渚は心からそう思った。もし、あのまま外出していたら、とてもトイレまでは間に合わなかっただろう。
お腹をギュッと押さえて慎重にローファーを脱ぎ、渚は家に上がった。鞄を玄関に置いて身軽にし、肉体に刺激を与えないように一歩一歩丁寧に進む。とにかく焦ってはいけない。肛門括約筋に全神経を傾注し、糞便の流出を頑として阻止。その上でトイレへの道を歩むのだ。
プス……プスプス……
小刻みに痙攣するお尻からガスが漏れ出している。肛門の隙間を縫って、黄土色の臭気がぷすぷすと。渚のスカート内は濃厚な屁の臭いで充満していた。元の少女らしい甘酸っぱい香りはどこにもない。酷く臭うオナラだけ。濃密な毒ガス地帯と化している。
「ハァ……ハァ…………」
顔を真っ赤にして息を荒らげる。想像以上に苦しい。お腹が痛い。ウンチがしたい。渚は今になって自分の腹具合の状態を理解した。どうやら本格的にお腹を壊しているらしい。それも普通の壊し方じゃない。中毒症状かその類……獰猛なウィルスか何かがお腹を好き勝手に荒らし回っているようだ。
しかも、苦しいのはお腹だけではない。体は小刻みに震えるし、気分は悪いし、暑いんだか寒いんだかで体温調節もままならない。腸のメーデーに対し体全体が過敏に反応してしまっているようだ。涙が出そうなほどに辛い。
しかし、その苦しみもあと少しでおさらばだ。トイレまではもうほんの数歩。やはり、トイレに向かったのは正解だった。渚は自分の英断を誇らしく思う。
トイレの手前まで来た渚はそれでも焦らず騒がず、電気を点けてゆっくりと中に入る。待ちに待った便器とのご対面。普段何気なく利用しているそれが、これほどに頼もしい存在だとは思わなかった。恥ずかしい汚泥を丸ごと飲み込んでくれる魔法の道具。今の彼女にとって、白くて艶々した便器はそれだけの価値があった。
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」
苦悶の中に微かな笑顔を表出させながら、渚は便器の蓋を開けた。そして、オナラの臭いがたっぷりと染み付いたものの、特に汚れることのなかった純白のレースを脱ぎ、保温されて暖かくなった便座に腰を下ろした。優しい温度が体に染みわたる。
(助かったぁ……)
ホッと息を吐く渚。それから肉体の欲求に身を任せるままに踏ん張り、肛門をこじ開けた。
「ふゥゥんッ!」
ブビュビュビュビビィジュビビィッッ! ブビチビブビュビビィィ――ッ! ブピブチュブブブッビビブゥゥッ!! ブリュリュリュリュビビィ――――!!
濁流――おぞましいまでの茶色い濁流だった。
ガス爆発のような獰猛な爆音と共に、大量の下痢便が噴射された。固形物のないほぼ液体の大便。腹下し特有の下痢ピーウンチだ。よもや渚のような可愛い女の子が排泄するとは思えぬ汚泥が、相応の下劣な音色を撒き散らしながら雪のように白い便器を滅茶苦茶に汚す。あまりの勢いに跳ね上がり、彼女の桃尻に茶色の飛沫が付着する。
芳香剤の香りに満ちていたトイレ内は瞬間的に激臭に包まれた。下痢便の粒子が拡散し、忌避すべき悪臭をトイレに充満させる。渚のような美少女が決して放ってはいけない茶色い臭気。放屁とは比べ物にならないほど濃厚過ぎる硫黄臭だ。
渚はその臭気の中でひたすらに踏ん張り続ける。あまりに臭い自分の糞便臭に鼻を摘みたくなるが、それどころではない。次から次へとウンチが出て止まらない。彼女は苦悶と恍惚の合わさった複雑な表情を浮かべながら壮絶な排泄を続けるのだ。
「ふグゥゥ――――ッ!!」
ギュピ――グギュルルルルルッ!
ジュピィィ――ブジュジュジュジュゥゥッ! ブビチィッ! ブオリュリュリュッジュピィィ――ッ! ブポッブリリリィッ! ブピブバビブゥォアッ!
熱い。熱い。肛門が焼け爛れるように熱い。腸がひしゃげるような激痛が走る。しかし、下痢便排泄は止まらない。
カレースープのような汚泥はより一層激しさを増して渚の可愛らしい肛門から垂れ流される。まさに下痢の激流だ。液便が便器の底へと着水する音すらも掻き消す下劣な破裂音を奏でて、渚は熱湯のように熱いドロドロの糞便をただ吐き出す。肛門から一切の抵抗なく滑り落ちる液便の質感が気色悪いやら気持ち良いやら。もう何が何だか分からない。
体は熱く、しかし寒い。気分の悪さは一向に治まらない。耐え難い不快感が体中を駆け抜けて排泄の辛さと一体化し、また、トイレ内に充満する獰猛な臭気も加わって、渚の苦しみは増加する一方であった。
お腹が痛い。辛い。苦しい。臭い。助けて。助けて。助けて。
出す前はこんなに辛いとは思わなかった。しかし、下痢便の排泄は渚の想像以上の苦悶を強いるものであった。全て出し切れば楽になれるはず。なのに、その出し切るまでがあまりに長い。下痢便はまだまだ止まらない。肛門に多大な負荷をかけながら便器の底に溜まり、彼女を嘲笑うかのように耐え難い悪臭を醸し出すのだ。
「はゥっ……ぅああっ、うぐぁっ」
ブピピブビビブチッ! バビュビビィ――――チュビビビビィッ! ブバチュビッ! ブリッピピピブビビィィ――ィィッ! ブリリリッ! ブポッブビリリィッ!
あまりの苦しさに、渚は体を丸め込んで呻き声を漏らす。額には膨大な汗が滲んでいる。その表情は苦悶に歪んでいるものの、醜さの要素は欠片もなく、むしろ劣情を喚起させる淫靡な魅力に満ちていた。全身を震わせながらひたすらに下痢便を排泄する彼女の姿はあまりに美しかった。
だが、噴射される液便はひたすらに下劣だ。下劣な音と下劣な臭いを拡散させながら便器の底や表面を下劣な色で染め上げる。彼女の美麗な外見とはまさに真逆。ドロドログチャグチャの悲惨な内容物。人間である以上排便は避けられないが、それでも渚のような美少女が排泄してはならないような下品過ぎる下痢便だ。
渚はまさに祈るようにして手を組む。指と指を絡ませて、ギュッと。白魚のような彼女の指はぶるぶると震え、彼女の体調の劣悪さを物語っている。藁があったら縋りたいほどに苦しくて苦しくて堪らないのだ。
すでに肛門の感覚は消失していた。ただ排便の音だけが下痢便排泄を示す証左と化していた。それほどに長い壮絶な排便だ。地獄としか言い様のない光景が延々と続いていた。
しかし、それも永遠というわけではない。いくら酷い下痢であろうとも内容物を粗方吐き出せば、排泄は終わりを告げる。
「ぐっぐゥ……くッ…………」
ブチュゥ……ブチチチチッブビッ…………ぷピュッ、ピリリッブゥッ……ブスッ……ブビチュビッブッピリリリィ~…………
やっと治まった下痢便の濁流。長かった。本当に長かった。実際のところ一分に満たない時間に過ぎなかったが、渚にとっては一時間とも捉えられる長い長い地獄の時であった。それがやっと終わるのだと思うと、涙が滲むほど嬉しかった。
「はぁ……ハぁ、ンッ!」
プゥッ! ブゥップゥゥ~~~~~~ッ! プピィィ~~ィィ~~~~ッッ!!
それはそれは下品で強烈で間抜けなオナラを放ち、渚の排便はとうとう治まりを見せた。甲高い屁の音色は、まるで勝利を示すラッパの快音のようだった。しかし、その臭いは少女の放ったものとは思えないほど濃厚で、下痢便臭に包まれた空間でも尚、その存在感を激しく主張するものだった。
しかし、屁の臭いなど渚にとってはもうどうでも良かった。とにかく排便を無事に済ませたことが何より嬉しかった。
ハァと恍惚のため息を漏らした渚は、トイレットペーパーを何枚も重ねて尻の穴を拭う。幾枚もの紙の層を超えて感じるヌメっとした下痢便の感触。身の毛もよだつようなビチビチウンチだ。出来ることなら触りたくないが、このまま下着を身に着けるわけにもいかず、彼女は我慢して可愛いお尻についた獰猛な残便を排除した。
それから尻の表面に付着した残便も同様に拭い落とした。茶色い飛沫で薄汚れていた渚のまぁるいお尻は元の光沢を取り戻し、トイレ内の照明を反射して剥きたての卵のように輝いた。かなり臭うのは仕方のない話だ。
下半身を十全の状態に戻した渚は下着とスカートを履いて立ち上がる。そして、鼻を摘んで嫌悪感を露わにしながら、腹部を苦しめていた元凶たる下痢便の濁流を便器の奥へと流した。あれだけ出すのに苦労した糞便はいとも容易く吸い込まれていった。
石鹸で手を洗って糞のしつこい臭いを洗い落とし、いよいよ渚は汚泥から解放された。彼女はスッキリした気分で、下痢便臭の濃厚に漂うトイレを後にした。