| - 基礎代謝 どっちが高い? -
これまで、各重要性要素についてお話させていただきました。 では、今回は、それら栄養素がどのような活動によって消費されるのか、についてお話させていただきます。
1.代謝とは? 代謝とは、主に、基礎代謝、実質代謝、新陳代謝の3つが挙げられます。それぞれ、生きていくために、重要なエネルギー消費活動です。今回は、特に誤解の多い基礎代謝を中心に、ご説明させていただきます。
2.基礎代謝とは? 基礎代謝とは、体温を維持したり、内臓を動かしたり、脳を動かしたり、といった生きていくために消費する活動消費を示したものです。基礎代謝は、人種、性別、年齢、体重によって決まり、日本人の基礎代謝量の計算式は以下です。
15才~17才 男性 20.9×体重+363 [kcal]、 女性 19.7×体重+289 [kcal] 18才~29才 男性 18.6×体重+347 [kcal]、 女性 18.3×体重+272 [kcal] 30才~49才 男性 17.3×体重+336 [kcal]、 女性 16.8×体重+263 [kcal] 50才~69才 男性 16.7×体重+301 [kcal]、 女性 16.0×体重+247 [kcal] 70才以上 男性 16.3×体重+268 [kcal]、 女性 16.1×体重+224 [kcal]
上の計算式を見ていただければ分かると思いますが、男性は女性より基礎代謝量が高い、若い人の方が基礎代謝量が高い、ということです。体の体表面が大きいほど、熱の発散が多いので、多くの熱を発生させる必要があります。体が大きいほど、各組織まで栄養素を配給するために、内臓の活動量が上がります。ですので、基礎代謝の高さというのは、体の大きさ、つまり体重に比例するということになりますね。
上記計算式は、あくまでも基礎代謝の概算を知るための計算方法です。基礎代謝とは、運動による活動量は考慮せず、本当に生きていくために消費する最低限の消費量を示したものです。人間は活動により炭酸ガスを発生し、その量は活動量に比例しますので、基礎代謝で消費するカロリーも運動運動付加カロリーも、全て呼気の炭酸ガスの量で測定することで計算することが出来ます。想像しにくいかも知れませんが、食事などによって摂取された脂質や糖質のエネルギーは、熱や二酸化炭素といった状態で排出されているんですよ。
3.実質代謝 人間は、当然、立ったり歩いたり、といった活動を行います。走ったり泳いだりしないと運動をしていない、というわけではないんです。このように体のバランスを維持したり、ちょっとした作業をする際に消費するエネルギーと言うのは馬鹿にならないんです。つまり、運動も含め、生活を送る際に消費するエネルギーも含めた、人間が一日に生活を送るにあたって消費するカロリーを、実質代謝と呼びます。基礎代謝は、人種、性別、年齢、体重、といった条件が同じ場合、それほど大差はありませんが、実質代謝は生活習慣において、大きな差が生じます。当然、重労働の業務に従事している人ほど実質代謝は高く、運動をすればするほど、実質代謝が高くなります。
一般的に、実質代謝量は、生活強度により算出いたします。 ・生活強度「低い」:基礎代謝×1.3 家庭では特に作業をしないで、テレビや音楽鑑賞など、体を動かさない時間をがほとんどの場合、または主にデスクワークを主とした作業に従事している人。
・生活強度「やや低い」:基礎代謝×1.5 家事などにより、歩き回る時間が長い人、または、営業などの歩き回る業務に従事している人。または、生活強度が低い人が、1時間未満程度の軽い有酸素運動を行っている場合。
・生活強度「普通」:基礎代謝×1.75 生活強度が低い人が、1時間以上といった、十分な有酸素運動を行っている場合、または、一日中、立ち作業や体を動かす作業に従事している場合。
・生活強度「高い」:基礎代謝×2.0 土木作業業務などといった、重労働に従事している人、または、スポーツインストラクターや、プロスポーツ選手などのような、スポーツを業務している人、非常にハードな運動に参加している人の場合。
このように、体を動かせば動かすほど、当然消費するカロリーは増えますので、結果として実質代謝が増えることになります。定期的に運動をしている人は、基礎代謝が高いのではなく実質代謝が高いということになります。
4.新陳代謝 新陳代謝とは、蛋白質とは?でも書いたとおり、何百万といった細胞が常に生まれ変わっています。新陳代謝とは、その生まれ変わりの作業の際に必要とされる消費エネルギーのことをです。新陳代謝が活発な方ほど、若々しさを保てます。新陳代謝を高めるためには、バランスの取れた食事と適度な運動が必要です。運動により、血流はリンパの流れが活発になると、栄養が各細胞へきちんと運搬されますので、新陳代謝活動は活発になります。
基礎代謝において、あまりにも間違った情報が蔓延していますので、よくある基礎代謝における誤解について、少し触れておきます。
5.基礎代謝の誤解 - 基礎代謝を上げる方法? 体重を変動させないで基礎代謝を上げるのは不可能です。基礎代謝とは、生きていくために活動であり、消費量は主に内臓活動に依存します。もし体重を変動させないで基礎代謝だけが上がったとなると、体温が上昇し、内臓の活動が活発になることを意味します。風邪でも引かない限り、平熱以上に体温が上がることはありません。必要以上に心臓の活動量が増えたら、高血圧になってしまいます。人間の体はそんな馬鹿なことはしません・・・。
人種を変えることはできません。性を変えることはできません。性転換したら・・・分かりません。年齢を若返らせることも不可能です。そんな方法があれば、そっちの方がノーベル賞ものです。よって、我々が基礎代謝に対して出来ることは、体重の管理であり、体重を増やして基礎代謝を上がる、体重を減らして基礎代謝は下げる、この2つしかないんですね。
6.基礎代謝の誤解 - 痩せるために基礎代謝を上げる? 基礎代謝を上げれば痩せられる、という記述を見かけるのですが、これはおかしな話です。痩せて体重が減れば基礎代謝は下がります。筋肉をつけようと、脂肪をつけようと、体重が増えれば基礎代謝は上がります。つまり、基礎代謝を上げて痩せたとしても、痩せた結果、その分だけ基礎代謝が下がります。だから「痩せるために基礎代謝を上げる行為」というものには、何の意味もないんです・・・。
7.基礎代謝の誤解 - 筋肉を増やせば基礎代謝が上がる? 筋肉を増やせば基礎代謝が上がるので痩せやすい体質になるという記述も、本当に良く見かけます。上がらないことは無いのですが、ほんの微々たる量なんです。ですので、あまり正しいとは言えません。
基礎代謝の各臓器が消費されるエネルギーの割合は消化器30%、大脳18%、心臓16%、腎臓6%、骨格筋25%です。筋トレで付く筋肉と言うのは、骨格筋です。筋トレをして肝臓が強くなることはありません。つまり、筋トレによって筋肉量を増やしたら、骨格筋により消費される量が増えるのは確かです。
しかし、ここで冷静に計算してみましょう。 基礎代謝 2000kcal、骨格筋重量が30kgある人が、1割である3kg分の筋肉を増やし、中性脂肪を3kg減らして、体重は変わらないという場合を考えてみましょう。3kgの筋肉を増やすのは非常に大変な作業です。半年以上も真面目にトレーニングをして、ようやく手に入れられる量です。これだけ苦労して筋肉を増やした結果、得られる基礎代謝の増加量はいくらだと思いますか?これだけ苦労したのだから、最低でも300kcal、出来れば500kcalくらいは増えて欲しいところです。では、計算結果の発表です!
基礎代謝が占める骨格筋の割合は、25%です。その25%の10%、つまり2.5%が増えることになります。 つまり、2000kcal×0.025=50kcal増加。・・・え?たったの50kcal??。白米で言えば、お茶碗の1/5程度の量です。ちなみに、女性の場合、基礎代謝は1300kcal程度なので、33kcal増えますね。分かりやすく言えば、キャラメル2個程度です。ケーキなら一欠けら食べたらオーバーです。何ヶ月も必死に頑張ってトレーニングをした結果、得られるのはこんな微々たる量なんです。苦労と結果が全く釣り合いません。私なら、たった50kcal程度増やすために、そこまで努力することなど、アホらしくてやれません。そんなことをするなら、ご飯を1/5減らすといった現実的な方法を選択します。
確かに筋トレによって基礎代謝は増えます。でも微々たる量なんです。そんな微々たる量で痩せやすい体質になるとは到底言えません・・・。百歩譲って、微々たる量だけ痩せやすい体質になったとしても、痩せた結果、基礎代謝は下がりますので、結局、何の意味もないことになりますね。
8.筋トレが基礎代謝を向上させる本当の理由。 筋肉が増えれば、必然的に増えた筋肉の重さだけ体重は増えます。ですので、筋トレをして基礎代謝があがると言われている理由は、単に筋肉が増えることにより体重が増えるので、基礎代謝が上がる、ということなんです。くどいようですが、筋肉を増やしても脂肪が増やしても、体重が増えれば基礎代謝は増加するんです。基礎代謝量というのは、体重に比例するのであって、体脂肪率には比例しないんです。だから、筋肉を増やす=基礎代謝アップ、だけでなく、脂肪を増やす=基礎代謝アップ、でもあるんです。
ただ、脂肪を増やしたら、当然太って見えます。しかし、筋肉が増えても太って見えません。たとえ体重が増えても、筋肉は引き締まっているため、逆にやせて見えることもあります。実際、筋肉質の人は見た目より体重が重い人が多いです。ですので、筋肉を増やせば、たとえ体重が増えても、外見上はやせて見えるので、筋トレは基礎代謝を向上に繋がる、と言えないことは無いでしょうね。基礎代謝は、実際に体重の増減に依存するのであり、外見上、太った痩せた、というのは関係ありませんので。
9.筋トレ=実質代謝の向上 基礎代謝に占める骨格筋のエネルギー消費は、安静時には25%ですが、運動時には70%近くまで増加します。筋肉量が多い人の方が圧倒的に消費するエネルギーが多いです。だから、同じ運動をしても、筋肉の多い人のほうが消費カロリーが多い分だけ、太りにくいんですね。
ですので、筋トレをして向上するのは、基礎代謝ではなく実質代謝と言ったほうが正しいです。ただし、筋肉が多くても基礎代謝には大差がありませんので、筋肉が多いと、何もしなくても、たとえ寝ていても、太りにくい体質である、というのは大間違いなんです。筋肉が多い人が運動をすれば、太りにくいんです。運動をしなければ、筋力が多かろうと少なかろうと、何も違いはないんです。
それに、強い筋力を維持するためには、定期的に筋トレや運動をしなくてはいけません。その筋肉を維持するためにトレーニングが必要なんですから、素晴らしい筋力を維持できている時点で、既に太っていないでしょうね。
10.まとめ 実質代謝を上げるために筋トレをすることには意味があります。 基礎代謝を上げるために筋トレをすることには、全く意味がありません。 この2つ、似て非なるものです。混同しないよう、お願いいたします。
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知恵袋の質問者のみならず回答者まで実に多くの方々が基礎代謝量と体重の関係について勘違いしていますね。多くのメディアが「基礎代謝を上げて太りにくい体になろう」と謳っているのでその影響だとは思いますが・・・。
筋トレ自体は良い事なのですが、せめて回答者だけでもそのあたりの誤解を正すべきですね。
余談ですが私はHiroさんが参考にされるほどの知識は持ち合わせていませんよ。私は質問者さんの身体的データなどを分析し計算して答えを導き出す事が好きでして、基礎的な知識で十分対応できるからです。ですからこれからもHiroさんのブログで勉強させて頂きます。
今回の基礎代謝と実質代謝の違いは僕にとっても誤解していたな。と認識しましたね。たしかにhiroさんやpillyさんがおっしゃられているとおり「せめて回答者だけでもそのあたりの誤解を正すべき」
今回はまさに僕へのメッセージと感じました。
たしかにぼく「やせるために筋肉つけて基礎代謝をあげましょう!」と言ってたからなあ。
この違いが今回理解できよかったです。
PS hiroさんとpillyさんって「正しい内容でしょうか?」というところで出会ってたんですね。この質問はダイエットのみならずネット上のモラルというかエチケットについて考えさせられる質問でしたね。かなり印象深いことだったと思います。
pillyblanks さんへ。
たしかに、メディアの影響で、基礎代謝を上げたら太りにくい体質になる、筋肉を増やせば基礎代謝が上がるので太りにくい体質になる、という情報が、常識のようになってしまっていますね・・・。
確かに基礎代謝を上げたり、筋力アップすれば、太りにくくなるのは間違いではありません。でも、その理由を知っている人が、どれだけいるのか疑問に感じます。
最近のダイエット番組、知っていてあえて説明していないのか、本当に知らないのか、どっちなんでしょうね?まぁ、どちらであろうと、問題なのは確かですけど。バナナダイエットもそうですが、未脳もんたのような影響量のある人が、別にどんな説明をしようと構わないのですが、間違った方向へ誘導するのは許せません。それを止めない医者や栄養士らしきコメンテータも許せません。
hgt*f*21 さんへ。
ええ、pillyblanksさんとは、私が正しいことを言っているのかどうか?という質問の上で出会いました。質問者さんをそっちのけにしてしまったんですけどね・・・。
pillyblanksさんの過去の回答を見てもらえれば分かると思いますが、この方は科学的に正しい回答である共に、非常に客観性をもっている方です。理論詰めだが、半分決めつけてかかる癖がある私には無いものを持っていらっしゃる素晴らしい方です。
2009/2/5(木) 午前 2:32 [ ] 返信する
筋トレによって増えた上半身の実質代謝は、ジョギングなどの下半身の有酸素運動時に上半身の筋肉はエネルギー消費に貢献しているのでしょうか?