千葉県いすみ市にあるブラウンズ・フィールドを訪ね、マクロビオティック料理の研究家、中島デコさんに素敵な田舎暮らしのお話をうかがいます。 色々な人が集う場所、ブラウンズ・フィールド●はじめまして、よろしくお願いします。今日はとても気持ちのいい風が吹いている千葉県いすみ市のブラウンズ・フィールドにお邪魔してお届けしていきますが、ロケーション自体はどのように決まったんですか? 「もともと都内のど真ん中、世田谷の下北沢辺りにいたので、『私、本当に田舎で暮らせるの!?』みたいな感じだったんですね(笑)。『夕方の6時とか6時半に商店街閉まっちゃって、私、大丈夫!?』とか(笑)、『街の灯が恋しくならないかなぁ』っていう感じで不安だったんですけど、でも、来てみたら楽しくて楽しくてなんてことはない。1回も『寂しい』って思ったことがないくらい人が押し寄せるわ、予想外の展開に楽しいことがいっぱい出来ている感じですね」 ●こちらの引っ越された最初の目的っていうのが自給自足だったんですか? 「いや、全然(笑)」 ●あ、そうでもなかったんですね(笑)。 「とりあえず、東京が狭かった(笑)。ウサギ小屋で家族が増えすぎたっていうか。で、それをかわいそうに思った友達の友達が『こんなところがあるけど』って紹介してくれたんですね。もちろん田舎暮らしがしたいっていう漠然とした気持ちはあって、もともと私、マクロビオティックっていう自然食をずっとやっていたんですよ。で、都会で自然食をお金を出して買い漁るのが自分に不自然になってきて、『自分、何やっているんだろう』みたいな。遠くからフードマイレージをいっぱいかけて運ばれてきた新鮮じゃないものを、高いお金を出して買うために一生懸命働いたりするのがおかしいって思い始めて、自給自足なんてとんでもないですけど、だったら種をまく生活がしたいなって思ったんですね。子供達にも土に触れさせたい、もっと水や空気のいいところで生活させてあげたいと思って探していたら、私たちのウサギ小屋をかわいそうに思った友達の友達が『こんなところが空くから、来てみない?』って言ってくれて、今から10年前に見にきたら、わりかし平らで、お日様がいっぱいで、すごく気持ちがいいぽっかりと包まれたスペースですごく気に入ったんです。 ●そんなブラウンズ・フィールドで色々なことが始まって早10年、今ではカフェはイメージできるんですけど・・・。 「だんだん人が集まりだして、それまでは見学で来た人にタダでお昼を出したり、お茶を出していたので、『場所を作ってメニューを書けば、もしかしたらお金とれる?』みたいな(笑)、そんな浅はかな考えから始めました。でも、やっぱり浅はかで、意外と大変だったんですけどね(笑)」 ●(笑)。今は週末の金曜、土曜、日曜だけオープンしているそうですが、イベントも時々行なわれているんですよね? 「そう。農作業のイベントと称して、人手を借り集めているっていうそれだけの話なんですけどね(笑)」 ●(笑)。そこに研修生の方たちが来ているんですよね? 「はい。最近、割かし耳にするWWOOF(ウーフ)という団体に登録しましょうってウチの主人が言い出しまして、私は、『そんなのに登録して誰なのか分からない人を家に入れるのは冗談じゃない!』、『家族がたくさんいて楽しいからもう十分!』って思ったんだけど、やっているとご覧の通り、竹が生える草が生える、竹林が迫ってくるという感じで、田んぼも始めたし、仕事もやっているので、私と主人だけではやりきれない、子供達もまだ小さいので、若い人に手伝ってもらいたいっていうので登録しましょうってことになったんですね。で、最初に1人来てもらったら、思いのほかすごくいい人で、よく手伝っていただいて、色々な情報交換もして楽しかったんですよ。その登録をしたのが、WWOOF JAPANができていない4年前なんですけど、WWOOF JAPANができてからは日本の参加者も増えて、来たいっていう人が増えて、受け入れるほうも2人になり3人になり、ついには今、レギュラーで7~8人、週末だけで2~3人来るとか、短期でポツポツ来るとか、常にご飯は15人のオーバーの食事になっていますね。で、色々な人がいるし、旅の途中の人もいるし、みなさんそれぞれでも情報交換をして、ここで長く滞在した人は、ここで1年間を通して米作りを学んだり、カフェでお料理を学んだりして、また旅立って、こういう場所を作ったり、マクロビオティックのレストランを始めたり、また世界を勉強して回ったりと、色々な子が今いるんですね。だから、世界中に子供達が散らばっている状況で、実はウチで出会って結婚した人も何組かいて、子供ができたりして、赤ちゃんを見せに戻ってきてくれたりして、結局、私はみんなのおばあちゃん状態で、すごく楽しいです」 マクロビオティックとは?●今、私たちはブラウンズ・フィールドにあるライステラスカフェの外のテラスでお話をうかがっていて、風そよぎ、青空の下、本当に気持ちがいいんですが、最近、徐々に聞くようになった言葉で、まだまだ馴染みのないマクロビオティックという言葉について、説明していただけますか?
「3時間くらい時間をもらっていいですか?(笑)」 ●簡単に言うと?(笑) 「マクロビオティックって言葉はカタカナで、輸入みたいな感じですけど、もともとは日本の桜沢先生という方が作られて、日本に昔からある玄米菜食って食事を見直しましょうっていう食事方法なんですね。どちらかというと、食事方法だけじゃなくて宇宙論なんです。それが、桜沢先生のお弟子さんが世界中に散らばって、欧米で流行って、それが逆輸入の形で本屋さんにも少しずつマクロビオティックのコーナーができたりしたのはここ2、3年だと思います。ですから、私が始めた25年くらい前は知っている人がほとんどいなくて、『玄米を食べています』っていうのも言いづらくて、『宗教ですか?』って思われちゃったりとか、玄米を食べていて菜食なんだけど、ちょっと言えないっていう時代でした。でも、今は堂々と『マクロビオティックをやっています』って言うと、少しオシャレっていうイメージがありますよね」 ●そうですね。言葉の響きもオシャレなんですけど、マクロビオティックを日本語で言うと何になるんですか? 「昔は玄米菜食と言っていました」 ●昔はそれが当たり前のことだったから、改めて言葉の定義がないものなんでしょうね。 「そう。だから、マクロビオティックで一番大事なのは、身土不二(しんどふじ)っていう、自分の体と土は2つに分かれないよっていう考え方なんですね。土地のものを食べましょう、旬のものを食べましょうっていうのは当たり前のことなんですけどね。あとは、一物全体っていって、どうせ食べるならホールフード、全体を食べましょうっていう考え方があるんですね。ご飯の粒も周りの殻を取らずに、白いご飯じゃなくて、玄米そのままを食べましょう、あと、もしお魚を食べるんだったら、頭から尻尾までを食べましょう、お野菜だったら種のものを食べたら、根も食べましょう、葉っぱも食べましょう、皮もむかないで全部ホールで食べましょうというものなんです。要するに、シンプルな昔の日本のおばあちゃんたちが、もったいないからと大事にしていた食事方法をちょっと洋風にして、戻れば戻るほど、日本人の体にも合っているし、気候にも合っているし、体がどんどん活性化されて免疫力も高まって、自然に病気が治るよっていう素晴らしい食事法なんですね。病気治しの発想ではなくて、自然に治っていくんだよっていう哲学なんです。 やっぱり日本人は米でしょ!●お子さん達ってこちらに引っ越して来られて変わりましたか? 「どうだろう? 逆に私、都会にいたときのほうが『自然食を扱っている店でしか買わないぞ!』みたいな、意固地になっていたところもあり、子供達のメニューでさえ、給食のメニューに合わせて、お弁当を作って持たせるくらい、やりすぎな傾向もあったので(笑)、子供達の体調は万全だったから、こっちへ来て子供の体調がよくなったってことはないけれど、1歳とか2歳でこっちへ引っ越してきて、小さいときからここで育った子供は遊び方がダイナミックですね。虫とか、土とか、鳥とか、動物とか、魚釣りとかで、運動能力もすごいし、気持ちも開けているかなぁって思います。私、色々な世代の子を抱えているので、『少しでも早く都会へ逃げたいわ』ってパッと逃げちゃった子もいるし、そうしてまた戻ってきた子もいるし、今、『俺は都会だ!』って焼き鳥屋の店員をやっている子もいるし(笑)、24歳から10歳までの子供がいるので、それぞれみんな面白いですね。こういうところで育つからどうのっていうのではなくて、みんなそれぞれの自分の与えられた命を謳歌してくれればそれでいいなと思っているので、私自身、母としてはやったぞっていうか。お腹の中、授乳、3歳くらいまでの食事をきちんとケアしてあげる、あとは本人の問題だからね。『頑張れ!』っていう感じで、あとは見させていただいて、楽しませていただこうと思っています」 ●何かあったときに帰ってくる場所がちゃんとあって、そのときに両手を広げて「おかえり」って言ってあげられればそれで十分ですもんね。 「そう。それと、私たちの生き方っていうか、親の背中を見せるってことくらいしかできないじゃないですか。だから、『みんな頑張れ! 私たちは私たちで楽しませていただいているよ。いつでもおいで』っていう感じですね。でも、もう上の2人は自然食関係に戻ってきているので、私としては『イエス!』って感じですけどね(笑)。DNAに染み付いているものってきっとあるよね。この風土、気候に合ったものが美味いぞって思えるじゃない。『やっぱりご飯でしょ! 米っしょ!』って思うんですよ。私もここにきて、まず、田んぼになっているところ、稲が生えているところは、ずっと休耕田だったんですよ。その前に外国人の人が住んでいて、何もしていなかったのね。でも、そのカヤをずっと見ていたときに、『やっぱり日本人は米でしょう! 作るしかないでしょう!』と思って、DNAがうずいてしまったんですね。全然何も知らないのに、始めちゃったんですけど、意外とできたんですよ。米って難しいって先入観があるじゃないですか。でも、それはいい米を出荷しようとすれば大変だと思うけど、贅沢を言わずに、『とれればいいや』くらいに思えば、意外とできるものなんですね。私たちが米に指示をして、『はい、今は伸びてー!』とか、『今は右! 今は左!』とか、『はい、実をつけて!』っていうことを指示しなくても、環境を整えてあげると、お米ってできるんですね。環境っていっても、お日様と風と水と土で、私たちができることといったら水の管理くらいですよね。土を調えて、田植えしてあげられて、お水の管理をしてあげれば、秋になると実るのね。『自然ってすごーい!』って思って、ありがたいばかりだから、本当に“いただいている”っていう感じですよね。私みたいに都会育ちでもできるから、みんなもできるよ! 『休耕田を遊ばせておく手はないぞ!』みたいな。『やろうよみんな! 米だよ!』って感じですね」 ●こちらのブラウンズ・フィールドでは色々な人たちが稲刈りなど、季節ごとのプログラムに参加できるということなんですが、ちょうど今、稲刈りをやっているそうなので、私たちも参加させていただきたいと思います。 ★ ★ ★
●これから、稲刈り体験をさせていただこうと思うのですが、デコさん! デコさん「頑張ってください!(笑)」 ●(笑)。先生を紹介していただけますか? デコさん「うちの田んぼ研修生の鉄平くんです!」 鉄平さん「鉄平です。よろしくお願いします!」 ●それでは、何から始めればいいですか? 鉄平さん「今日はまず、稲をみんなで刈って、ウチは天日で干しているので、干すためにわらで束ねていくという作業をします」 ●分かりました! 適当なところから始めていいですか? 鉄平さん「はい。お互いの鎌が当たらない程度のところで」 ●この辺で始めたいと思います。下から手、2個分くらいのところで一気に! (スムーズに稲刈りを進めるエイミー) ●ほら! 私、稲刈り昔やったことあるのよ! デコさん「腰が入っていますねー!」 ●今はいいんですけど、明日、明後日くらいに腰が痛くなるんですよねー!(笑) |