HIV(ヒト免疫不全ウイルス)・AIDS(エイズ・後天性免疫不全症候群)

HIVとエイズは正確には異なるものです。
HIVとはウィルスの名称で、エイズとはHIVウィルスに感染している人が免疫不全症を発症した状態(免疫担当細胞の減少により、通常の場合は罹らない疾患に罹ってしまう)のことです。

・感染経路
主に性交渉での感染、母子感染、血液感染の3つが考えられます。
一方、HIVキャリア(ウィルス保有者)と通常に生活している分には感染の恐れはほとんどありえません。タオル・寝具の共有、キス(両者とも口内に大量出血している場合は除く)、食器の共有等といったことで感染するリスクは極めてゼロに近いです。
予防法としてはコンドームの着用(性交渉感染)、妊娠前のHIV検査(母子感染)、薬物などの注入に使う注射器の回しうちをしない(血液感染)といったことが考えられます。

・症状
HIVに感染すると、感染後2週間目から4週間目くらいの間に発熱・のどの痛み・だるさ・下痢など、風邪やインフルエンザに似た症状から、筋肉痛や皮疹などが出る場合もあります。
いずれも通常は数日から数週間で症状は自然に消えてしまいます。(急性期)
その後、数年から十年程度は多くの人は特に症状も無く、一見健康そうに過ごすことが出来ます。(無症候期)
通常感染してから長期間経過した後に23の疾患(AIDS指標疾患という)のいずれかを発症した場合にAIDS発症と判断される。(発症期)

・HIV検査で陽性反応が出た場合は
現在では、「HIVに感染している=死」では必ずしもありません。ウィルスを完全にゼロにすることは不可能ですが、HIVの増殖を抑え、エイズの発症を予防することが出来るようになっています。
ですので、とにかくエイズの発症の前にウィルスに感染しているかの早期発見が重要です。定期的に検査をされることを強くお勧め致します。

B型肝炎

日本におけるB型肝炎ウィルス保持者は約150万人といわれているそうです。そのうち95%は自然治癒するが、5%程度が慢性肝疾患になるとのことです。

・感染経路
HIVと同様、血液感染、母子感染、性交渉での感染が主となっており、かつては集団予防接種や輸血などでの感染が主でしたが、現在では使いまわした注射器の使用などによる血液感染、母子感染、性交渉での感染がほとんどを占めています。

・症状
B型肝炎ウィルス(HBV)に感染した場合でも、多くは無症状で経過するのですが、20~30%が急性肝炎を発症し、1~2%が劇症肝炎化します。
B型急性肝炎は、HBVに感染してから1-6ヶ月の潜伏期間を経て、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。尿の色は濃いウーロン茶様であり、黄疸はまず目の白目の部分が黄色くなり、その後皮膚も黄色みを帯びてきます。一方、B型慢性肝炎では、一般に急性肝炎でみられる症状は出現しにくく、自覚症状はほとんどありません。しかしB型慢性肝炎では、しばしば「急性増悪」と呼ばれる一過性の強い肝障害を起こることがあります。この際には急性肝炎と同様に、全身倦怠感、食欲不振、褐色尿、黄疸が出現することがあります。
肝硬変や肝細胞がんの原因となり、肝細胞がんに関しては、無症候性キャリアであっても発症することもあります。

・B型肝炎ウィルスに感染したら
残念ながら、C型肝炎ウィルスとは異なり、B型肝炎ウィルスを体内から完全にゼロにすることは現在では出来ません。ただし、前述の通り、感染しても無症状でそのまま何も起きないという方が多く、急性肝炎の場合も対処療法で治癒する疾患です。ただし、1~2%程度ではありますが、劇症化した場合は肝臓移植をしないと致死率が非常に高いです。ワクチンもありますので、不安な方は検討されても良いかも知れません。

梅毒

梅毒は1940年代にペニシリンが実用化されるまでは治療法も確立されておらず、多くの死者を出した疾患です。ただし、今日においても撲滅には至っておらず、また感染後時間が経過している場合は治療までの期間がかかるため、注意を払う必要がある性病です。

・感染経路
性行為での感染がほとんどです。コンドームの着用で感染のリスクを抑えることが出来ますが、オーラルセックスやキス(口に梅毒の病変部がある場合)での感染を100%防ぐことは困難です。
性行為の中でも特にアナルセックスによる感染の確率が高いです。これは梅毒に限らずHIVなどもそうなのですが、肛門周辺の粘膜は傷が付きやすく、その傷から病原体が進入することによって感染するからです。

・症状
感染後3週間程度から無痛性のしこりができ、まれに潰瘍化することがあります。また、太ももの付け根のリンパ節が腫れる(無痛)ことがあります。ほっておくと数週間で症状はなくなります。(第一期)
感染後3ヶ月程度から全身のリンパ節が腫れる他に、発熱、倦怠感、関節痛などの症状がでる場合があります。また、全身にピンク(赤色)の発疹や小豆のような皮膚の盛り上がりのようなブツブツなど様々な症状が現れることがありえます。治療せずにほっておくと一月程度で症状はなくなり、潜伏期へと移行します。(第二期)
感染後3年程度経過すると皮膚や筋肉、骨、皮下組織にゴムのような腫瘍(ゴム腫)が出来ます。(第三期)
感染後10年程度経過すると中枢神経梅毒、血管梅毒といった変性梅毒が発症し、心臓・血管・神経・目などに重篤な症状を起こし、死に至ります。しかし、現在では第3期以降の梅毒をみることは極めてまれです。

・梅毒に感染したら
「早期治療」この一言に尽きます。抗生物質の投与により現在では不治の病ではありませんので、重篤化する前に治療しましょう。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマはヒトパピローマウィルス(HPV)の感染によって発症する性感染症の一種です。

・感染経路
性行為によって、陰茎・亀頭・陰嚢・肛門・小陰唇・大陰唇・膣内・会陰部・大腿・まれに口唇・口腔内の小さな傷にウィルスが進入し感染します。

・症状
上記の通り、痛み・かゆみなどはありません。感染から約1~2ヶ月の潜伏期間を経てイボを形成します。そのイボは増殖して大きくなっていき、いわゆるカリフラワー状態になったり、他の部位との接触によって転移したりと広がっていくことが多いです。イボの特徴としてイボの先端が尖っているような形なのが特徴です。(丸っこい感じではなく)
残念ながら再発率の高い疾患ですので、治療には根気が必要なケースもあります。一般的には最終処置から半年間再発が無ければ完治と考えられています。

・コンジローマかもと思ったら
感染後治療しなくても治る可能性はゼロではありませんが、「ほっといたら治るかも」で治療を行わないのは大切な人に感染させるリスクを増大させます。まずは性病科・婦人科・泌尿器科などを受診して下さい。血液検査はありませんので、検査が必要な場合は病変部(と思われる)の組織を採取し、病理検査を行います。
治療法としては外科的な治療(電気焼灼・液体窒素など)が主でしたが、近年外科的な治療以外にも、ベセルナクリームという尖圭コンジローマの治療薬が保険適用となっていますので、治療の選択肢の幅が広がりました。外科的に治療する場合でも保険適用で治療できます。

淋病

淋病は淋菌の感染によって発症する性病です。

・感染経路
性行為による性器への感染、オーラルセックスによるのどへの感染がほとんどです。タオルなどでの感染の可能性もゼロではありませんが、可能性としては低いです。(淋病患者の大量の分泌液が付着したタオルを、淋病患者が使用した直ぐ後に自身の性器に接触させるなどしない限り)

・症状(男性)
感染後数日程度で発症することが多いです。症状としては排尿時・射精時に痛みを生じる、尿道口からクリーム色のウミが出るといった症状が多いですが、症状が無いケースもゼロではありません。(女性ほど少なくはありませんが)
・症状(女性)
おりものの増加や不正出血、下腹部・性交時の痛みといった症状が出ることがあります。しかし、女性の場合やっかいなのが、症状が現れないケースが男性に比較して多いことです。そのため、感染に気づかず性行為を行い、感染を拡大させる場合があるので注意が必要です。
・症状(のどの感染)
のど→性器又は性器→のどへも感染します。のどに淋菌が感染すると、淋菌性咽頭炎というのどの腫れや、痛み、発熱の症状がみられるのですが、咽頭の淋菌感染の場合、症状が出ない場合が多いようです。

・淋病に罹ってしまったら
抗生物質による治療法が確立されていますので、きちんと早期に治療すれば良いのですが、治療せずにほっておいた場合、女性は不妊症などの原因となる可能性がありますし、男性の場合は前立腺炎を引き起こす可能性もありますので、早期に治療されることをお勧めします。
処方された抗生物質は必ず指示された日数、飲み方を守って下さい。途中で服用を止めると再び淋菌が増殖し、耐性菌が出現し、治療までの道のりが長くなることもあります。

クラミジア

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという病原体の感染によって発症する性感染症(STD)です。

・感染経路
淋菌の感染経路とほぼ同様です。性行為やオーラルセックス、ディープキスなどによって性器やのどへ感染します。

・症状(男性)
数日から数週間の潜伏期間を経て、発症すると排尿時・射精時などに性器に痛み・むずがゆい感じといった症状や、透明で粘り気の少ないウミ状の分泌物が出ることがありますが、淋病に比べると症状が弱いことが多く、自覚症状が現れないケースも多いです。
・症状(女性)
おりものの増加や尿道からの粘り気の少ないウミ状の分泌物、性行為時の痛み、下腹部の痛みといった症状が現れることもありますが、症状が現れないことが多く、そのために治療・検査を受ける女性が少ないという事実があります。
・症状(のど)
のどの腫れ・痛み、発熱といった症状が現れることがありますが、症状が現れないことも多いです。オーラルセックスやディープキスなどで感染します。

・クラミジアに感染したら
抗生物質での治療となります。早期にきちんと治療を受ければ1~2週間程度の抗生物質によって病原体を死滅させることが出来ますが、ほっておくと淋病と同様に男性の場合前立腺炎などを引き起こしたり、女性の場合は不妊症や子宮外妊娠の原因となることもあります。
また、クラミジアに感染している人は、HIVに感染する可能性が跳ね上がりますので、早期に治療をしましょう。

性器カンジダ症

性器カンジダ症とは、カンジダという真菌(カビの一種)が性器に感染して生じる感染症のことです。特に女性の膣に起きるケースが多く、その場合カンジダ膣炎または、膣カンジダ症と呼ばれます。女性膣内は男性器と異なり、体外にあるものではありませんので、じめじめしやすく、真菌が自然発生しやすいのです。男性の場合は性器が体外にあるので自然発生する確率は女性に比較して低いですが、包茎の人の場合はどうしてもじめじめしやすいので、発症のリスクは高いと考えられます。

・感染経路
性器カンジダ症を発症している人との性行為によって感染することがあります。上記の通り、ストレスや抗生物質の投与、エイズなどの疾患による免疫力が低下していると自然発症することがあります。そのため、性行為の経験が無い人でも発症することがあります。また、カビの一種なので、じめじめした環境を好みます。性器周辺が不潔な状態で蒸れた状態が続くと自然発症する可能性もあります。

・症状
かゆみや感染部位の炎症、女性の場合はドロッとしたチーズのようなおりものがでる、男性の場合は主に亀頭周辺に炎症が起きたり、陰茎部が白っぽくカサカサしたりといった症状が現れることがあります。

・性器カンジダ症になったら
適切に治療を行えば治ります。ただ、特に女性の場合は再発する可能性が男性に比べると高いので、長く付き合っていくことになる可能性があります。
治療法としては、抗真菌剤の服用(男性の場合は飲み薬、女性の場合は膣錠が多いです)や抗真菌剤入りの軟膏・クリームを塗るといった治療とともに、出来る限り清潔な状態を保つといったことも大切です。

ヘルペス(性器ヘルペス・口唇ヘルペス)

性器ヘルペスは単純ヘルペスウィルスというウィルスの感染によって発症する性感染症です。

・感染経路
性器ヘルペスの場合は性器ヘルペスまたは口唇ヘルペスの症状がある人との性行為、キスなどによって感染します。口唇ヘルペスは60代以降の人はほとんどが感染しているというデータもあるほど一般的なウィルスです。ヘルペスウィルスは、普段は神経節の奥に隠れており、そのときにキスや性行為をしても他人に感染させることはありません。ただ、風邪をひいたり、ストレスや寝不足などによって普段より抵抗力が落ちるとウィルスが暴れだし、症状を発症します。
ヘルペスを発症している状態で性行為やキスをすると、感染の原因となります。ですので、性行為以外でも親がヘルペスを発症した状態で赤ちゃんやお子さんにキスをすれば、口唇ヘルペスに感染させてしまう可能性があります。

・症状
感染後、数日から十日程度の潜伏期間を経て、性器ヘルペスなら性器周辺、口唇ヘルペスならくちびる周辺に水ぶくれが出来ます。むずむずしたかゆみや痛みを生じます。(特に初めての発症の際は)治療せずにほっておいても、一~二週間程度で水ぶくれが破れて、最終的にかさぶたになり、かさぶたがはがれて治ります。

・性器・口唇ヘルペスに感染したら
残念ながら、単純ヘルペスウィルスを完全にゼロにする治療法はありません。ですので、発症した際に抗ヘルペスウィルス薬を飲む又は塗って、ウィルスの活動を抑えるという治療法となります。

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