保険診療のご案内
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太田母斑の症状・原因・診察から治療までの流れ
当院では開院以来多くの大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の治療をおこなってきました。
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の治療は健康保険が適応されます。
大田母斑、遅発性両側性大田母斑様色素斑初診患者数(2016年12月31日現在)
| 2011年以前 | 431 |
|---|---|
| 2012年 | 207 |
| 2013年 | 211 |
| 2014年 | 253 |
| 2015年 | 280 |
| 2016年 | 278 |
| 合計 | 1,660 |
2016年12月31日現在
大田母斑、遅発性両側性大田母斑様色素斑レーザー照射数(2016年12月31日現在)
| 2011年以前 | 694 |
|---|---|
| 2012年 | 309 |
| 2013年 | 405 |
| 2014年 | 424 |
| 2015年 | 456 |
| 2016年 | 495 |
| 合計 | 2,783 |
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の症状
太田母斑とは通常のシミより皮膚の深いところにあるシミです。通常のシミとは異なり、灰青色に褐色が加わった色となります。太田母斑は通常、顔面の片側に出現します。額、眼瞼、頬部に症状が現れることが多く、日本人の0.1~0.2%の頻度で発症すると推定されていますが、あまり目立たないシミ・ソバカスの軽症のものを含めると実際はもっと多くの方が発症していると考えられています。
▼大田母斑の特徴
- 三叉神経第1,2枝の支配領域にみられる褐青色斑。
- 通常は片側性。両側性のものでは遺伝傾向がある。
- 多くは生後まもなく発症(早発型)。
- 遅発性は20~40歳で発症して、両側性のものは遅発性両側性太田母斑様色素斑とよばれる。
典型的な太田母斑は点状の褐色部と斑状の青い部分からなり、前額部、こめかみ、上下眼瞼、頬部、鼻翼部にできます。耳や口の中にもできることがあります。半数には眼球メラノーシスといって、眼球結膜(白目の部分)に色素斑がみられます。男女の比率は1:4~5と女性に多いとされています。出生時または1歳未満から症状がでている方は約半数です。多くは思春期までに発症します。30歳以降に発症することはまれです。
遅発性両側性大田母斑様色素斑 (遅発性両側対称型大田母斑、後天性真皮メラサイトーシス)の症状
従来、大田母斑の一部の考えられていた“両側性の大田母斑”は“典型的な大田母斑”とは出現する年齢・分布が違います。たまたま大田母斑が両側対称のあるのではなく、“典型的な大田母斑”とは異なる独立した色素異常症で、「遅発性両側性大田母斑様色素斑」と呼ばれます。
「遅発性両側対称型大田母斑」、「後天性真皮メラサイトーシスは同意語です。
「遅発性両側性大田母斑様色素斑」では名前が長く、治療法は典型的な大田母斑と同じなので、私は”大田母斑”といっています。
出現部位は大田母斑と同じく前額部、こめかみ、上下眼瞼、頬部、鼻翼部ですが、大田母斑と違って眼球結膜(白目の部分)、口腔内には色素斑が出ないとされています。男女比は1:13と圧倒的に女性に多く、発症年齢は8歳から72歳までと様々です。多くは20歳代後半から30歳代半ばが多いとされています。
両側性に存在するのでソバカス(雀卵斑)・肝斑との鑑別がむつかしく、ソバカスとしてIPL(光治療)で、肝斑として美白剤で治療されている方がけっこういらっしゃいます。
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の症状写真
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑は典型的な症状であれば診断は簡単です。
右顔面に存在する典型的な大田母斑:
色素斑の境界が比較的鮮明で顔面半側の三叉神経第1、2枝領域に一致して存在する典型的な大田母斑です。このような方は生下時に存在し、年齢が若いうちに出現する傾向にあります。
>右こめかみと上眼瞼のみの典型的な大田母斑:
右顔面の三叉神経第1枝領域である、こめかみと上眼瞼のみに存在する大田母斑です。眼瞼にまで色素斑が及んでいると、眼球メラノーシス(眼球結膜の色素斑)がみられることが多く、この方にも存在しました。
典型的な遅発性両側性大田母斑様色素斑:
写真は左顔面ですが両側性に同じように色素斑があります。左下眼瞼と頬部に典型的な点状と斑状の色素斑があります。ご本人はクマと思っていらっしゃいましたが、上眼瞼の淡い青色の部分も色素斑です。発症は成人になってからです。
見落されやすい例、鑑別がむつかしい症状の写真
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑は目立たないシミ・ソバカス様の軽症のものを含めると実際はもっと頻度は高くなります。当クリニックに来院されてシミの治療を希望される方の10~30%程度は太田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑があります。このような大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑はシミ、ソバカス、肝斑と間違われ、IPLなどの光治療器、ハイドロキノンやトレチノインの美白剤で治療されていることがあります。軽症例では皮膚科専門医からでも「肝斑」や「目の周囲のクマ」などと間違われていることがあります。見落としやすかったり、鑑別がむつかしい中程度から軽症の大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑をお示しします。
眼瞼の薄い”クマ”のような遅発性両側性大田母斑様色素斑:
両側の上眼瞼に薄い青色の”クマ”のような色素斑があります。睡眠をじゅうぶん取っても暖かいタオルをあてても変化がなく、長年クマと思われて治療はあきらめていました。よく見ると頬骨の上、こめかみにも薄い褐色斑があり、遅発性両側性大田母斑様色素斑であることがわかります。
上下眼瞼の濃い”クマ”のような遅発性両側性大田母斑様色素斑:
ほかの部位には色素斑がなく、両側の上下眼瞼のみに濃い青色の色素斑が存在しています。濃い”クマ”と言われて、数年間エステで施術を受けられていました。
ほかの部位には色素斑がなく、両側の上下眼瞼のみに濃い青色の色素斑が存在しています。濃い”クマ”と言われて、数年間エステで施術を受けられていました。
下眼瞼の”クマ”のような遅発性両側性大田母斑様色素斑:
ほかの部位には色素斑がなく、両側の下眼瞼のみに褐色の”クマ”のような色素斑が存在しています。
頬部の薄い”ソバカス”のような遅発性両側性大田母斑様色素斑:
パラパラと両側の頬部に散らばる遅発性両側性大田母斑様色素斑です。別名”パラパラ型大田母斑” 皮膚科や美容外科でソバカスや肝斑として、IPL(光治療)や外用美白剤、ビタミンCとトラネキサム酸の内服をされていましたが、効果がありませんでした。
”ソバカス”と区別しにくい遅発性両側性大田母斑様色素斑:
このようにソバカスときわめてよく似ている遅発性両側性大田母斑様色素斑ではQスイッチレーザーで一部の色素斑をテスト照射して、ソバカスか大田母斑かを確認する必要があります。 初診時に私もソバカスと思いましたが、テスト照射したら大田母斑でした。
軽度の遅発性両側性大田母斑様色素斑:
わずかなソバカス様のシミ(パラパラ型大田母斑)です。美容外科でソバカスと診断されてIPL(光治療)で5回治療しましたが、まったく変化がありませんでした。ソバカスの場合は全顔あるいは額を除く全顔に色素斑が散在することが多く、両側性に頬骨部のみに限局する色素斑がある場合は遅発性両側性大田母斑様色素斑も考慮します。
鼻孔の遅発性両側性大田母斑様色素斑:
このように鼻孔に両側性で存在するシミは遅発性両側性大田母斑様色素斑である可能性が高く、鼻孔にシミがあることで、ほかの部分にあるシミが遅発性両側性大田母斑様色素斑だと確信することがあります。
大田母斑、遅発性両側性大田母斑様色素斑の原因
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の病理組織像(×200)
大田母斑、遅発性両側性大田母斑様色素斑ともに原因は不明です。少数ですが、親子間、姉妹間で遅発性両側性大田母斑様色素斑がみられることから遺伝子に関係があるといわれています。発症のメカニズムですが、生まれたときにすでに皮膚の真皮内に活性化していない異常な色素細胞が存在し、ある年齢になると日光やホルモンなどの影響で活性化されて、メラニンを産生しはじめ、皮膚の色がついて症状が現れると考えられています。
大田母斑の皮膚を調べると、真皮に色素(メラニン)をもった異常色素細胞(真皮色素細胞、真皮メラノサイト)がみられます。通常の皮膚では表皮のみに色素細胞と色素(メラニン)があり、真皮には存在しません。真皮に存在する真皮メラノサイトがつくる色素(メラニン)が大田母斑、遅発性両側性大田母斑様色素斑の色の原因です。
上図、真皮の赤い矢印が示す褐色の紡錘形をした細胞が大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の原因となる異常な真皮メラノサイト(真皮色素細胞)。
大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の治療
太田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑では、真皮にある異常な真皮メラノサイトが原因となります。通常のレーザーや光治療、美白剤では真皮メラノサイトは破壊できません。Qスイッチレーザーのみがこの真皮メラノサイトを破壊することができ、大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑を治療することができます。
Qスイッチレーザー
高出力を非常な短時間(1千万分の1~1億分の1秒)で照射できるレーザーです。
QスイッチレーザーはYAG(ヤグ)、ルビー、アレキサアンドライトの3種類があり、それぞれ特性がありますが、太田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑の治療にあたっては、効果の差はほとんどなく、いずれを使っても治療できます。
ルビー、アレキサアンドライトのQスイッチレーザーの2種類のみが保険適応となっています。
当院ではシネロン・キャンデラ社 Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー(ALEXレーザー)を使用しています。
Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー(ALEXレーザー)
レーザー治療時の麻酔
レーザー治療では痛みがあります。痛みを和らげる目的で麻酔薬が入ったクリーム(エムラークリム)あるいはテープ(ペンレステープ)を使用します。
エムラークリム
エムラークリムは広い範囲の治療部位に対して使用します。来院して治療部に塗布した後、20~40分してレーザーを照射します。
ペンレステープ
ペンレステープは狭い範囲の治療部位に対して手軽に使用でき便利です。自宅で貼付していただき、1~3時間後にレーザーを照射します。クリニックでの待ち時間が少なくなります。
局所麻酔薬の注射
眼瞼(眼周囲)のレーザー照射ではエムラークリムやペンレステープを用いても痛みがあるために局所麻酔薬の注射をおすすめしています。局所麻酔薬は歯科での治療で使うのと同じ注射麻酔薬(1%エピネフリン入りキシロカイン)を使用します。
レーザー治療時の眼球の保護について
治療部位が眼瞼にない場合は、レーザー照射時にはゴーグルにて眼を保護します。治療部位に眼瞼(眼周囲)が含まれる場合は眼球を保護する目的でレーザー治療用のコンタクトレンズを使用します。コンタクトレンズの経験がなくても麻酔の点眼薬を使用して簡単に装着できます。
コンタクトレンズ装着時(右写真):
専用のコンタクトレンズを使用することで、眼瞼縁から5mm外側までレーザーを照射することが可能となります。眼瞼縁から5mm以内を照射すると色素斑が消えても、まつ毛の永久脱毛になってしまうので照射はおこないません。
治療回数と間隔
レーザー照射により真皮メラノサイトは小さく破砕されて組織球という細胞に掃除されて、皮膚から排除されます。
レーザー照射により真皮メラノサイトが破壊され一過性に炎症が起こるために、レーザー照射後、2週間から1か月程度照射部の色調は濃くなります。その後は時間をかけてゆっくり照射部の色調は薄くなります。
治療は1回のレーザー照射だけは不十分で、間隔を4ヶ月以上あけて、軽症の場合、2~3回程度、色の濃い場合は合計5~7回の治療が必要です。
下の図のような計画でレーザー治療を行います。
太田母斑の治療経過の写真
治療前
鼻孔と頬部の太田母斑です。眼瞼には色素斑がないので、ゴーグルで眼球を保護してレーザー照射します。
※撮影のためゴーグルを外しています。
照射中
Qスイッチレーザーの照射により、鼻は褐色の色素斑が白く変色し、頬部はすでに色が濃くなっています。真皮色素細胞が破壊されました。
照射後
照射により炎症が起きます。色が薄い場合は炎症は半日程度でおさまります。眼瞼の照射や色が濃い場合は2~4日炎症が続きます。
照射出力を変えることで、炎症のコントロールは可能です。
弱い出力では炎症の期間は短くなりますが、効果も若干減少します。
治療後
治療5回後の写真です。傷を残さず大田母斑が消失しました。
診察から治療までの流れ
▼初診受付
電話にて予約をしていただき診察となります。太田母斑・遅発性両側性太田母斑様色素斑であることを確認して麻酔方法を含めた治療の説明をします。初診の予約では診察のみの予約となり、治療の予約はできません。麻酔方法や治療の範囲が決まり、ダウンタイムに関する説明(レーザー照射後に治療部に炎症が起こり、一過性に色調が濃くなることなど)をご理解いただき、治療するかどうかをお決めいただきます。
▼治療
原則、後日の治療となります。治療方法、治療後のダウンタイムに関することをすべてご理解いただき、当日に治療を希望される場合は、その日の治療枠の空き状況で治療可能な場合があります。
▼再診(照射後1か月目)
初回のレーザー照射後のみ、1か月後に受診いただきます。大田母斑・遅発性両側性大田母斑様色素斑ではレーザー照射後の照射部位の色が濃くなるのが特徴ですので、これを確認します。
▼2回目(以降の)照射
初回から4か月以上空けて、2回目の照射をおこないます。
太田母斑の治療料金
▼初診料金(保険)
¥850(保険診療3割負担)
▼テスト照射料金(自費)
¥2,160
※初診にて太田母斑かどうか不明な場合のみ(7×7mm程度)
▼目保護用コンタクト使用料金(自費)
眼瞼に太田母斑がある場合はレーザーより眼球を保護する目的で特殊なコンタクトレンズを使用します。
¥2,160