出産で起こるカラダの変化
妊娠中、自分の身体は「自分のモノのようで自分のモノではない」という感覚があったと思います。赤ちゃんをお腹に宿した瞬間から、どんどん変わってゆく自分の身体。それは全て赤ちゃんを守ろうと、女性の身体に備わっている「ホルモン」によるものなのです。
女性の身体は「エストロゲン」と「プロゲステロン」という二つのホルモンが交互に働くことにより、日々の健康を維持しています。「エストロゲン」は妊娠中に増加し、お腹の中の赤ちゃんを守るために様々な働きをしてくれます。しかし、出産を終えるとすぐに通常の分泌量に戻ろうとします。産後に起こる身体の変化は、この「エストロゲン」の急降下によるものなのです。
産後の抜け毛の原因
慣れない育児生活の中、ふとした時に抜け落ちる髪の毛の量を見て、愕然とする方も多いのではないでしょうか? もしかしたら、何かの病気かも……なんて疑う方もいらっしゃるかもしれません。「産後の抜け毛」は、出産を経験した方の70%の方が経験することなのでご安心を。では一体、産後の抜け毛の原因は何なのでしょうか?
■ホルモン
妊娠とともに増加し、赤ちゃんを守るために身体に様々な影響を与える「エストロゲン」。その作用の一つとして、『毛を育て、抜け毛を防ぐ』働きもあるのです。妊娠中に毛が濃くなるという経験はありませんでしたか? 特に、お腹周りは顕著に出るかと思います。今まであまり生えていなかったお腹周りに、沢山毛が生えてきた。これは、お腹の赤ちゃんを守ろうとする、女性の神秘的な機能によるものなのです。
ところが、出産を経ることで今まで沢山分泌されていた「エストロゲン」が、急激に元の量に戻ろうとします。そうすることにより、妊娠中に抜けなかった毛が一気に抜け落ちてしまい、「抜け毛が多くなった」と感じてしまうのです。これを「産後脱毛症」や「分娩脱毛症」と呼びます。発毛機能そのものに問題があるわけではないのです。
■ストレス
産後の抜け毛の大きな要因は「エストロゲン」の急降下ですが、「ストレス」もその要因のひとつなのです。慣れない育児生活は、可愛い我が子を目の前にしたとしても大変です。24時間付きっ切りの日々。夜中の授乳や、睡眠不足。常に赤ちゃんを気にかけなくてはいけない生活に、ストレスを感じないというのは無理があります。ストレスは血圧などをコントロールしている自律神経を乱し、血管を収縮させ血行を悪くさせます。血行不良は、髪の毛を育てる毛母細胞への栄養が不十分になり、毛が細くなってしまったり、抜け毛が起こりやすくなってしまうのです。また、母乳育児や過激な産後ダイエットによる栄養不足も、抜け毛の原因になります。
産後の抜け毛は、いつからいつまで?
産後の抜け毛は、症状の程度や期間なの個人差があります。しかし、一般的には、少しだけ育児に慣れ始めてきた産後2~3か月くらいから抜け毛が始まる方が多いと言われています。抜け毛のピークは産後6か月~1年頃。その頃になると、月経の回復によりホルモンバランスが妊娠前の状態に戻るからなのです。
髪の毛は、一度抜けてしまうと2~3か月の休止期間を設けます。その後、個人差はありますが一日平均0.35~0.4ミリのスピードで伸びてくれますので、初めはツンツンした髪の毛が目立ってしまいますが、しばらくすれば元通りの毛量に戻ります。
産後の抜け毛対策5つ!
■生活リズムと睡眠
もちろん、出産後すぐは難しいでしょう。しかし、生後半年くらいすればお子さんの生活リズムも整ってくるので、ママもそれに合わせて「睡眠」「食事」「リラックス」の配分をしていきましょう。
産後の抜け毛を気にしながら、ダラダラと毎日を過ごしていても回復はしません。「規則正しい生活」は難しくとも、とれる時にしっかり睡眠をとり、3食キチンと食べ、適度に身体を動かすというメリハリのある生活を心がけることが大切です。
特に睡眠は発毛に一番大切です! 睡眠中に増加する「成長ホルモン」は発毛促進に非常に効果的です。3時間はまとまった睡眠がとれると、身体の方も非常にリラックスし、成長ホルモンも分泌されやすくなるので、心がけてみましょう。
■髪の毛のための食事と栄養
特に授乳中のママは、摂取した栄養がそのまま赤ちゃんの栄養になります。しっかりと食べているつもりでも、忙しかったり、時間に追われてしまったり……ついつい自分のことは後回しになって、栄養不足に陥ってしまう場合があります。毛髪に効果のある栄養素は「ミネラル(鉄、亜鉛)」「タンパク質」です。
■タンパク質
大豆、肉、魚、卵などに含まれているタンパク質は、髪の毛の原料になります。特に、大豆に含まれる「イソフラボン」は女性ホルモンの「エストロゲン」との似た働きがあり、発毛を促進します。1日の必要摂取量は40~50㎎ なので、納豆1パック分に相当します。大豆製品は手軽に摂取できるので、積極的に食べていきましょう。
■ミネラル(鉄、亜鉛)
髪の毛を育ててくれる原動力になるのがミネラルです。昔から、ワカメやひじきは髪の毛に良いといわれていますが、海藻類にはミネラルが豊富に含まれていることからきているのです。また、貝類には亜鉛、小松菜、ほうれん草、レバーなどには鉄分が多く含まれており、こちらも健康的な発毛に効果があるといわれています。
■ストレス解消方法をみつけて
産後の育児に追われている女性にとって、ストレスを感じるな……という方が無理があります。特に、初めての育児の場合は、先が見えない分、不安や孤独に押しつぶされそうになることも。二人目以降の育児の場合でも、上の子、下の子両方のお世話は本当に大変です。ストレスはあって当たり前、と考えた方が楽かもしれません。そんな中で、ストレスに対抗できるのは「自分なりのストレス発散方法を見つける」ことです。なかなかまとまった時間がとれなくても、大好きなお菓子を食べる、好きな音楽を聴く、好きな漫画を読む……なんでも良いと思います。今ある現状の中で、出来るストレス解消方法を見つけて、うまく付き合っていきましょう。
■頭皮の血行促進
産後の骨盤の歪みは、全身の血行不良を引き起こします。よって、当然頭皮の血行不良もそうです。また、産後の不規則な睡眠リズムによって自律神経が乱れてしまい、血行不良の原因にもなります。頭皮の血行不良を治すには、全身の血行不良改善が望ましいのです。骨盤の歪みを治したり、ストレッチをしたり、冷温浴をしたりして全身の血行促進をしましょう。
また、発毛には毛細血管の血流が欠かせません。髪の毛を洗う時に、頭皮マッサージをしてみるのも良いと思います。
■頭皮の保湿
産後からしばらくは、身体も頭皮もデリケートな時期が続きます。抜け毛だけではなく、授乳などで栄養が届かず、髪の毛がパサパサになってしまう場合もあります。そのため、産前まで使用していたシャンプーが合わなくなってしまう……なんてことも。シャンプーが合わないと頭皮トラブルも起こり、頭皮が乾燥してしまうことによってフケ、かゆみの原因になり、ますます抜け毛を促進してしまいます。その時々の体調変化に合わせたシャンプーを使い、頭皮の保湿を心がけ、抜け毛を予防していきましょう。
抜け毛が多くなった時の、シャンプー&育毛剤
では、抜け毛の対策として体内の改善はもちろんのこと、体外から何か改善できることはないのか……と考えた時に、思いつくのが「シャンプー」と「育毛剤」です。では、育児中のママがシャンプーや育毛剤を選ぶうえで気を付けることは何でしょう?
■シャンプー
産後の抜け毛対策のシャンプー選びで、気を付けて欲しいのは「成分」です。洗浄力成分が強い石油系界面活性剤を使用しているシャンプーは避けることをお勧めします。成分名でいうと「ラウリル硫酸・ラウレス硫酸」で、安価のシャンプーにはほとんど含まれています。少し値段も上がってしまいますし、洗浄力も劣ってしまいますが、髪の毛や頭皮に優しい「アミノ酸系シャンプー」や「植物由来の成分」が配合されたシャンプーを使うようにすると、抜け毛対策になるでしょう。
■育毛剤
産後体調が落ち着いた半年くらいまでに改善がなければ開始しても良いでしょう。ただし、授乳している時に使用しないよう注意書きされている商品はNGですので、使用の際は商品の選択に注意が必要です。また、男性用の効果の高い育毛剤は、女性に副作用を及ぼす可能性や、授乳中の使用は禁止というものもありますのでご注意下さい。しっかりと成分を確認し、産後や授乳中でも使用可能のものを使うようにしましょう。
抜け毛がひどい時におススメの髪型
産後の抜け毛が気になるとき、鏡に映る自分の髪型も気になりますよね。そんな時におススメの髪型を紹介します。
■毛の生え際が気になる方へ
毛の生え際が薄くなってしまうと、何となく顔周りが貧相に見えてしまいます。そんな時は、集めの前髪を作ってみて下さい。後ろから髪の毛を引っ張ってきて、前髪のボリュームを出せば、薄くなった生え際をカバーでいますよ!
■全体にボリュームが減ってしまった方へ
髪の毛全体的にボリュームが減ってしまった方は、やっぱりパーマがおススメです。少なくなってしまった毛量を、ふんわりボリューミーに見せてくれるので軽やかで素敵になります。パーマはセットも簡単ですので、忙しい朝にも大助かりですね。
■新しく生えてきたツンツン毛が気になる方へ
抜け毛がようやくおさまったかと思いきや、今度は新しく生えてきた短いツンツン毛に悩まされます。短い毛は、ドライヤーなどでねかせようとしても効果がなく、難しいですよね。そんな時は、思い切ってベリーショートにするのも良いかもしれません。全体の毛が短くなり、ツンツン毛と一緒に全部の髪の毛を伸ばしていこう! と、気分も一掃されそうですね。
■小物もうまく活用してみて
美容院に行きたいけど、なかなかそんな時間も取れないし……でも、髪の毛の生え際が気になるし。という方は、ヘアバンドがおススメです。最近はターバンのような太めのヘアバンドが流行っていますので、生え際隠しにピッタリですね。カラーのアレンジをきかせて、その日のファッションによって変えれば気分も上がります! 肌寒い季節には、ニットの帽子も髪の毛トラブル隠しに重宝しそうですね。
まとめ
妊娠中もたくさんの身体の変化に悩まされ、生まれたら元に戻る……と期待していたところ、元に戻るまでにも色々な体調の変化を経なくてはいけないなんて、慣れない育児の中ママたちは本当に大変ですよね。けれど、たくさんの抜け毛も身体が妊娠前の状態に戻る合図です。「また、こんなに抜けた……」と落ち込むのではなく、「抜け毛が終わったら、身体が元にもどるんだ」と前向きに考え、乗り切りましょう!