トマトとは
「トマトのある家に胃腸病なし」「トマトが赤くなると医者が青くなる」などのことわざがあるほどヨーロッパでは薬効ある食材とされてきたトマト。トマト(tomato)という呼び名はナワトル語で「膨らむ果実」を意味するトマトル(tomatl)が語源とされています。このトマトルという言葉は元々はホオズキを指す時に使われていた言葉のようです。
トマトの丸く赤い形がりんごに似ているため、イギリスやフランスでは「愛のりんご」、ドイツでは「天国のりんご」、そしてイタリアでは「黄金のりんご(ポモドーロ)」という呼び名があります。イタリアンでよく聞く「ポモドーロ」の意味、意外と知らなかった方も多いのではないでしょうか? 日本語の別名では赤茄子のほか、漢名に倣った蕃茄(ばんか)をはじめ唐柿(とうし/からがき)・珊瑚樹茄子(さんごじゅなす)などがありますが、これらは概ね国外から伝わった・赤い色をしている・ナスの仲間などの意味を持っています。
植物分類上トマトはナス科ナス属に分類される茄子の近縁種で「赤茄子(あかなす)」という呼び名もあります。色なら赤系・ピンク系・緑系の3つに、実の大きさなら大玉・中玉(ミディ)・ミニの3つに、と様々な分類がなされます。世界規模で見るとトマトの品種は8,000種以上、日本でも100~150の品種が登録されており、スイカのような縦縞があるものやプリーツと呼ばれるヒダが入ったもの、ピーマンのように中空になったものなど様々なトマトがあります。
トマトというと赤色の印象がありますが、日本で生食用として栽培されているのは“ピンク系トマト”と呼ばれるタイプが主流。ファーストトマトや桃太郎などの品種もピンク系に含まれます。わかりやすいピンク色をしているわけではありませんが、切った時に中が淡い色をしていること、皮が薄く果肉が柔らかいことが特徴とされています。
赤色系はイタリアントマトなど皮が分厚く香りが強いことが特徴で、主にケチャップやトマトジュースなどの加工品用として利用されていました。しかし近年はトマトの赤色系色素リコピンの健康効果が知られるようになり、赤系トマトの需要も高まっているようです。
トマトの歴史
トマトは南アメリカ・アンデス山脈高原地帯が原産と考えられており、既に「チェリータイプ」と呼ばれる現在のトマトに近い形のものが自生していたことが分かっています。10世紀頃には北アメリカ(メキシコ)に伝えられ、栽培も行われるようになったと考えられています。16世紀にヨーロッパ人がアメリカ大陸に到達すると、とうもろこし・じゃがいもなどと共にトマトも母国に持ち帰ります。
しかしヨーロッパでは伝来当初、その強い匂いや鮮やかな赤色・毒薬として用いられたベラドンナに似ていたことなどからトマトも毒草であると考えられ、観賞用植物として扱われました。ちなみに学名の種子名であるlycopersicumはギリシャ語で狼を表す「lycos」と桃を表す「persicos」を合わせたもので、トマトと似た植物のベラドンナが狼男を召喚する為に用いられるとする伝説が元になっていると言われています。
ヨーロッパでトマトを食用にしようとしたのは飢餓で食べるものがなかったイタリアの貧困層の人だと言われています。止むを得ず口にしたところ案外食べられるということに気がつき、野菜としての栽培や品種改良が行われるようになります。ヨーロッパに持ち込まれておそよ200年後、18世紀頃になってやっとトマト=野菜という感覚が定着し始めたのだとか。はじめは揚げ物として食べていたようですが、18世紀末頃にはトマトソースを始めとしたトマト料理文化が開花しています。
日本には17世紀半ば江戸時代にトマトが伝えられ、狩野探幽の「唐なすび」などがありますが、日本でもトマトは野菜ではなく珍しい観賞植物という扱いでした。トマトを食用とし始めたのは文明開化後で、西洋野菜の一つとして改めて欧米から導入されたものを栽培するようになります。明治の後半くらいからは洋食の普及とともにケチャップが普及し、家庭の味としても徐々に受け入れられるようになります。野菜として広くトマトを食べるようになったきっかけは、20世紀にアメリカから日本人の口に合いやすいピンク系大果品種が導入されたこと、もしくはそれを元に品種改良されたトマトが流通するようになってからと言われています。
トマトはこんな方にオススメ
- 胃腸の調子が悪い
- 疲れやすい・疲れが抜けない
- 風邪・インフルエンザ予防に
- 老化(酸化)が気になる
- 生活習慣病を予防したい
- 血圧・体脂肪が気になる方
- むくみやすい方
- ダイエットの効率を高めたい
- 肌のアンチエイジングに
- シミ予防・改善を促したい
- 内側からも美白対策をしたい
- 肌荒れ・乾燥の予防に
トマトの主な栄養・効果
トマトはビタミンCやビタミンA、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンP、ビタミンHなどの豊富なビタミン類、セレンや鉄、カリウム、カルシウム、カリウムなとのミネラル分のほか、クエン酸、リンゴ酸、アミノ酸、水溶性の食物繊維であるペクチンなど、健康野菜と呼ばれるのが納得できるほど様々な栄養素を含んでいます。
疲労回復・風邪予防
トマトに含まれているβ‐カロテンは体内でビタミンAに変換されることによって、皮膚や粘膜の保護や強化に利用されます。カロテンというと美肌効果が知られていますが、喉や鼻などウィルスの侵入口となる部分を丈夫にすることで風邪やインフルエンザなどにもかかりにくくなると考えられています。ビタミンCもインターフェロンの分泌促進作用やコラーゲン生成促進によるウイルス侵入抑制などによって、免疫力を高めてくれるでしょう。
またクエン酸やリンゴ酸などのトマトの酸味成分は胃の粘膜の保護し、胃もたれやむかつきを緩和する働きがあり、クエン酸はクエン酸回路によって糖質や脂質のエネルギー代謝を促進する働きもありますので夏バテや疲労回復効果も期待出来ます。β‐カロテンと相乗することで疲労・夏バテ気味の時の風邪予防も役立ってくれるでしょう。「トマトが赤くなると医者が青くなる」も納得ですね。
老化・生活習慣病予防
トマトの栄養素で特出しているのがリコピン。リコピンはトマトの赤い色の元となっている色素成分でカロテノイドの一種で、トマトだけではなくスイカやピンクグレープフルーツなどにも含まれています。リコピンが注目を浴びるきっかけと言えるのが、1989年にβ-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍とも言われる強い抗酸化作用が報じられたことで、活性酸素を取り除くことや老化防止や生活習慣病予防をはじめ、がんの予防まで様々な働きが期待されている成分です。
トマトにはリコピンだけではなく、同じくカロテノイドの一種であるβ-カロテン、フラボノイド系ポリフェノールのケルセチンなどの抗酸化物質も含んでいます。これら抗酸化物質の働きで悪玉(LDL)コレステロールの酸化を抑制し血液をサラサラに保つ働きが期待出ます。また香り成分のピラジンにも血液サラサラ効果があるとされていますし、ケルセチンは血管を丈夫にする働きがあります。
加えて近年ではトマトに含まれる13-oxo-ODA(13-oxo-9,11-octadecadienoic acid)という脂肪酸に脂質代謝異常の改善・中性脂肪を減らす働きがあることも報告されており、これら成分が相乗することで動脈硬化や脳梗塞・心筋梗塞などの予防に役立つと考えられています。メタボリックシンドローム気味の方にもオススメです。
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むくみ・高血圧予防
トマトは血圧を下げる働きのあるビタミンCやケルセチン、ナトリウムの排出を促すことで血液の中の水分量を調節し高血圧を予防・改善するカリウムが含まれています。カリウム含有量は100gあたり210mgとさほど多いわけではありませんが、ミネラルの吸収を助けるクエン酸やリンゴ酸が含まれているため補給源として役立ってくれるでしょう。
カリウムは血中のナトリウム量を調節することで余分な水分を排出させる働きがありますから、むくみの改善効果も期待できます。加えてトマトには抗酸化物質が豊富に含まれていますので、血液循環をサポートすることで血行不良によって起こるむくみ改善にも役立ってくれます。特に同じ姿勢でいることで足などの下半身・指先などの末梢部にむくみが生じやすい方は血行不良の可能性が高いので効果が期待できるでしょう。
ダイエットに
夜トマトダイエットで話題になったように、リコピンは成長ホルモンの分泌を高めることで基礎代謝を上げて脂肪燃焼へと導く効果や脂肪蓄積を抑制する効果が注目されています。加えてリコピンを含む抗酸化物質の血液サラサラ効果から、血行促進による代謝向上効果も期待できるでしょう。またトマトに含まれる脂肪酸13-oxo-ODAも動物実験では脂肪を燃焼する作用があることが報告されていますから、リコピンと相乗して脂肪燃焼促進に役立つと考えられています。
トマトを食べてから小腸で栄養素が吸収され各器官に届けられるまでの時間はおよそ6~8時間と考えられています。リコピンを効率よく摂取して働かせたい場合は夜の摂取が良いとされる理由としては、代謝が最も落ちる就寝中に脂肪の蓄積防止や脂肪燃焼を行ってくれるように、ということを考慮すると夜が好ましいという結論になるためだとか。
ちなみに食物繊維の補給源としてトマトは便秘解消に良いとする説もありますが、トマトの食物繊維量は野菜類は最も下のグループに属し100gあたり1.0g(うち不溶性0.7g、水溶性0.3g)となっています。健康維持のついでにと考えれば問題ありませんが、「食物繊維が豊富で便秘の解消にもなるし、お腹も膨れる」ことを期待して食べる場合はサニーレタスなどトマトよりも低いカロリーで倍以上の食物繊維が摂れる野菜がありますから、そちらをチョイスした方が良いでしょう。
老化防止・美肌作りに
美肌野菜としても女性に人気があるトマト。リコピンの抗酸化力は勿論ですが、トマトには抗酸化三大ビタミンと呼ばれるビタミンACE(※ビタミンAはβ-カロテンから体内で変換される)も含まれていますので、相乗して活性酸素によるシミ・シワ・たるみ・角質化などの肌老化を予防してくれると考えられています。
リコピンには抗酸化作用によるアンチエイジング効果以外に、コラーゲンの合成を促し皮膚や粘膜を整える・メラニン色素の合成を抑える美白効果があるなどより直接的な働きが期待できるという報告もあります。ビタミンCもリコピンと同じくコラーゲン生成促進・メラニン色素生成抑制がありますので、内側からの紫外線対策や美白に役立つ野菜と言えるでしょう。
加えて抗酸化物質による血液サラサラ効果・毛細血管を強化するビタミンP(ケルセチン)・毛細血管拡張作用によって血液循環を促すビタミンEも含まれています。コラーゲン生成促進効果と合わせて肌のハリやキメの細かさの維持や、ターンオーバーを促すことで出来てしまったシミの改善を早めるなどの働きにも期待できます。
トマトにはそのほかに皮膚や毛髪の健康を維持するビオチン(ビタミンH)や、ビタミンAに変換されることで皮膚の健康維持に役立つβ‐カロテン、同じく皮膚粘膜の健康を維持し炎症を予防するビタミンB6なども含まれています。このため乾燥肌や肌トラブルの予防にも効果が期待できますから、肌のお悩み全般に役立ってくれる存在と言えるかもしれません。ちなみに美肌作りにおいてもトマトの摂取タイミングは夜のほうが良いとされています。
トマトとミニトマトの違いについて
同グラムあたりの栄養価で比較した場合はビタミン・ミネラル・食物繊維ともにミニトマトのほうが若干含有量が多くなっています。ただし100gあたりのカロリーもトマトが19kcalであるのに対し、ミニトマトは29kcalと高くなっています。ほとんどの含有量の差は水分量の違いから来ていますから、どちらかが際立って優れているというわけではないと言えるでしょう。
ただしβ-カロテン量はトマト540μgに対してミニトマト960μgとなっていますし、リコピン含有量についてもトマトが3.0㎎・ミニトマトが8.1㎎と大幅に差があります。ただしこの数値はベーシックなピンク系トマトの数値であり、改良種であれば5mg程度、赤系トマト(完熟したもの)であれば10~20mgになるそう。多く流通しているものの中ではミニトマトのほうがリコピン補給源として優れていると考えられますが、トマトかミニトマトかというよりは「赤色」がどのくらい濃いか・中まで赤いかで判断したほうが良いでしょう。
トマトの選び方・食べ方・注意点
生のトマトは体を冷やす食べ物に分類されてます。冷え性や胃弱の方は生のものを食べ過ぎると逆効果担ってしまう可能性がありますので、煮る・焼くなど火を加えたものを食べるようにしましょう。加熱することでビタミンCは減ってしまうものの、リコピンの吸収率は向上する(油と合わせることで更に効率的に吸収出来る)と言われています。
トマトは緑色から赤色に変化していくことで色素成分であるリコピンが増加するだけではなく、ビタミンC、Eや食物繊維料も増加していきます。真っ赤に熟れた完熟ものを選んだほうが、甘味も強く栄養価も豊富です。
トマトのオススメ食べ合わせ
- トマト+ジャガイモ・ブロッコリー・玉ねぎ
⇒老化防止 - トマト+オリーブ油・鶏肉・アボカド
⇒脂肪燃焼・美肌作り
- トマト+鶏卵・リンゴ・ニンニク
⇒疲労回復に - トマト+キャベツ・チンゲン菜・トウガラシ
⇒血行促進に
トマトの民間療法
同量のトマトとキャベツをジュースにして、毎日噛むようにコップ1杯ずつ飲むと胃潰瘍が改善すると言われています。
トマトジュースでうがいをすると口内炎の緩和に役立つとされています。