300 覚せい剤が怖いのは

有名女優の息子さんがまた覚せい剤所持で逮捕された例でもわかるとおり、覚せい剤の依存症はとても治りにくいものです。脳障害で判断力が衰えるほか、うつ病なども出て病状が錯綜する場合もあります。さらに恐ろしいのは社会的生活が破壊されることです。

若者は好奇心で手を出すようですが、売り手は暴力団。 次に買うことを拒否すると「ばらすぞ」など家族ぐるみで脅迫されることもあります。薬を手に入れた相手と二度と連絡を取らないことが重要です。

初期の症状はイライラする程度ですから家族は気付きにくいですね。 薬を買うため多額のお金を使うことからわかる場合が多いです。 薬を隠したり、隠れて連絡を取ることのないよう日頃から居室の出入りはオープンに。 たまには一緒にお掃除をどうぞ。 治療は専門施設で行います。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/12/07

299 抗うつ薬の移り変わり・・・うつ病患者の数は増えている?

うつ病患者数の変化についてお話しましょう。

今から10年ほど前では、うつ症状がある女性のうち、治療の対象となる人は1割程度だったそうです。それは、抗うつ薬の副作用を懸念したためでした。 どのような副作用であったかですが、当時の薬は循環器系に副作用があり、血圧を低下させました。一般的に、女性は男性に比べ血圧が低く、この薬によるめまいなどから転倒事故が多発したり、頑固な便秘も多く出現しました。女性はうつ症状があっても治療しないことがほとんどだったようです。

現行の抗うつ薬は、副作用の少ない薬が日本でも採用され、多くの人が治療できるようになりました。「近年の複雑な社会情勢で、うつ病患者が増加している」と、世間で言われることがあります。しかし、かつては約9割の女性患者が治療を受けていなかったのですから、現在うつ症状を訴える人が実際に増えているかどうかは不明です。 薬の作用は、脳内神経伝達物質の乱れを修正し、継続的な服用により正常の状態に戻します。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/12/01

298 クリスマスが近づき、浮き浮きするこの季節がとても辛いのです。

「クリスマスが近づき、浮き浮きするこの時期が私にはとても辛いのです。周りの人たちにもなぜか現実感が感じられません。そして、自分が自分でないようなこのふわふわした感じ、これは『こころ』の問題を抱えているからでしょうか。」こんな話を聞きました。

仕事や勉強で疲れきった時、例えばこんな経験はありませんか。 周りの景色が書き割りのように空々しく見える、夢の中にいるようで現実味がない・・・。 このようないわゆる離人症状は、健康な人でもしばしば体験するものです。しかし特に注意を要するのは、これにフワフワした感覚が結びついた時、今年も一人ぼっちで孤独なクリスマスを過ごさなくてはならない・・・この時期そんな実感ある「こころ」の苦痛が強い衝撃になって引き起こされるフワフワ感には、不安障害をはじめとする様々な「こころ」の病気が起因しているケースも少なくありません。

頭痛、肩こり、軽汗、のぼせ、冷えや便秘、下痢等の症状があったり、夜眠れない、物忘れがひどい等の自覚症状があれば「こころ」の病気の赤信号。 加えて、クリスマスの賑やかさが騒音に聞こえたり、イルミネーションに刺すような眩しさを感じれば感覚的な疾患も疑われます。更にこのフワフワ感には癌や膠原病など身体疾患が原因の場合もあります。 いずれにせよ早めに専門医を受診し、原因を探ることが大切です。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/12/06

297 トラウマに悩まされてはいませんか

ショックなことがあると落ち込んだり、眠れなかったりすることがありますよね。せっかんや上司からのいじめ、結婚直前に相手にキャンセルされてしまったなど、心に傷を負った状態で、よく「トラウマになってしまった」という言葉を耳にすることがあります。

実はこの「トラウマ」という言葉は専門用語で「PTSD(外傷後ストレス障害)」と呼ばれ、アメリカのベトナム戦争の帰還兵に悪夢や幻覚などの症状が現れたことが始まりです。本来、地震や火災などの災害、事故、戦争やテロなどに巻き込まれたり、身内が自殺してしまうなどの状況を目の当たりにするなどして、非常に大きな心理的ダメージを受けることによって起こります。

この症状は心の傷を受けた数ヵ月後に現れるようです。フラッシュバックが起こり、そのシーンがまざまざと再現されたり、悪夢に悩まされたりするそうです。 また不安症状が出現したり、抑うつや睡眠障害に悩まされてしまうこともあるそうです。 心の傷は本人にしか分からず、このトラウマから抜け出したいと長年悩んでいる人も多いでしょう。 これらの精神的苦痛から少しでも早く開放されるためにも専門科に相談してみてください。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/12/06

296 パニック障害(1)

パニック障害という言葉がよく聞かれるようになりましたがどんな病気なのでしょうか。  昔は不安神経症と大きくくくられていましたが、今は不安障害の一つとして分類されています。パニック発作とパニック発作の予期不安、パニック発作を避ける回避行動の3つのケースを、パニック障害といいます。

 それでは、パニック発作とはどんな症状なのでしょうか。  突然、胸がどきどきして息苦しくなる、足元がフラフラし冷や汗が出る、かつてない恐怖感を感じることです。 特定の場所で起こるもの、場所を問わないものの二通りあります。

 特定の場所とは、電車や長距離高速バスの中、エレベーター、デパートや繁華街の人ごみ、教室などです。本人が逃げ出せないと感じる場所です。典型的な例は、電車や教室でしょう。ある日突然電車の中で息苦しくなり、その後電車を避けるようになるケース。授業中におならが出るのが恥ずかしい、急にトイレに行きたくなるなどで、教室にいられなくなるケースがあります。

 パニック障害に、心理的な原因というのは基本的にはありません。 脳の神経伝達物質の異常による、神経のネットワークの障害で、突然起こります。 興味深いことに、単独で罹る場合、性格的な傾向があります。活発で積極的、人間関係も良好な、リーダーになるような人が罹りやすいと言われています。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/12/06

295 私は、自分の体臭が気になってしかたありません。

「私は、自分の体臭が気になってしかたありません。周りの人がいやな思いをしているのではと思うと、外出するのさえ耐えられなくなります。家族は『そんなのは気のせいだ』と取り合いませんが、『こんなに臭うのに』とイライラします。」こんな相談を受けました。

体臭が気になる、という相談者のようなケースでは、臭いが本当にあるのかどうかをまず見極める必要があります。実際に、毎日習慣的に食べる食べ物が口臭の元になっている場合もありますし、過度な飲酒や喫煙が原因になることもあります。これらは食生活の改善や摂生で防げるものです。 また、強い体臭を放つアポクリン汗腺からの分泌量の多さが影響することもありますが、これは皮膚科での治療が有効です。

しかしこのように原因が取り除かれた後も臭いと感じたり、臭いがないのに臭うと思い込み、教室やオフィスで居づらさを感じてしまうといったケースでは、自己臭妄想症や社会不安障害などといった「こころ」の病気が疑われます。 そのときは早めに専門医を受診して下さい。 投薬によりかなりの確率で改善が期待できます。 また最近は、周りからの臭いにまいって、うつ症状を訴える患者さんが増えてきました。 煙草や香水、ポマードなど日常の臭いに過敏に反応してしまうのが、一因ですが、周囲の人も十分に配慮してあげることが必要です。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/11/29

294 原因不明の体の体調で悩んではいませんか

めまいやふらつき、動悸や息切れなど、さまざまな身体の不調を感じて、内科などを訪れてもなかなか改善されないということはありませんか。 また、下痢や便秘などでいろいろな検査を受けても、異常が見つからず、我慢して生活を続けていたり、仕方ないなと諦めている人も多いのではないでしょうか。 こういった場合、交感神経と副交感神経のコントロールがうまくいかず自律神経のバランスが崩れてしまう自律神経失調症という診断が下されることが多いようです。

背景に心の病気が関わっている場合も多く、原因もうつ病や不安障害、統合失調症、摂食障害などさまざま。 心の病気が原因の場合、胃カメラや腸の検査をしても自律神経の中枢に障害があるため、カメラには何も写りません。また、中途半端に改善しても症状が残ったまま生活を続けていると慢性化してしまったり、急なストレスがかかると再発、悪化してしまうことがあります。 調子の悪い状況が続くと、仕事に通えない、家事、子育てがうまくいかないなどの辛い悩みを抱えてしまうことにもなります。我慢しながら生活を送り続けるより、専門科で原因をきちんと診断し適切な治療を行うことをお勧めします。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/11/29

293 中間管理職の夫が最近元気をなくしています。

 「中間管理職の夫が最近元気をなくしています。 もともとストレスを受けやすい人で、もしや、うつ病になってるのではと心配です。 見分け方はありますか。 また、ストレスを受けない性格に改善するのは難しいことでしょうか。」 こんな質問を受けました。

最近、各種の報道で「こころ」の病気が注目されてきたこともあり、こんなふうにお父さんの不調を心配なさっているご家族も少なくないと思います。自分からはなかなか症状を語らないというのがうつ病の特徴。

例えば次のような点・・・食欲がなく痩せてきた。逆にイライラと食べ過ぎて太ってきた、目覚めてもなかなか布団から出てこない、新聞・雑誌を読まなくなった、すぐチャンネルを変えるようになった、ささいな物音に怒りっぽくなった、等に心当たりがあれば対処が必要です。

その際「こころの病気だから」とあからさまに治療を急かしたりすると、プライドが傷つき頑なに拒むケースも出てきます。「辛そうだけど大丈夫?」とさりげなく聞いたり、「うつ病のチェックシート、私やってみたけどお父さんもどう?」と気を向けたりして本人の自覚を引き出すことが大切です。 早めに対処すればうつ病はかなりの確率でよくなります。

更にストレスに上手に対処することを学ぶプログラムを用意している専門医院もありますので、相談してみてください。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/11/22

292 いつも自分の悪口を言われていると感じていませんか

周りの人たちが話していると、「もしかしたら自分の悪口を言っているんじゃないかしら」と不安に感じることはありませんか。

そんなことを気にしながら、仕事のミスが多く繰り返してしまう場合は、職場や仕事に適応できない適応障害の場合もあるようです。 ミスが多いと評価が下がったり、職場に居づらくなるなど社会生活が円滑に営めなくなってしまうこともあるでしょう。そうなる前に、”この仕事は向いていないんだわ”と転職して環境を変えるのが良い場合もあります。

しかし、うつ病など他の心の病気のこともあり、安易な転職はお勧めできません。身体がだるい、疲れやすいなどの症状がみられる場合は要注意です。特にこんな時転職を繰り返すと、新しい職場に慣れるためのストレスから悪化することもあります。

周囲は「根性がない」などと、ついお説教をしたくなるかもしれませんが心の病気が原因の場合、理解してもらえない辛さや、どうしたらよいのだろうと悩んでいる人を追い詰めてしまうこともあります。

このような場合、何の心の病気が関係しているか見極めが難しいこともあるので、集中力がない、休日寝込んでいる、夜目が覚める、だるいなどの症状がある場合は、早めに専門科を受診したほうがよいでしょう。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/11/22

291 大人の発達障害

「最近ではメディアでも多く取り上げられるようになっているこころの病。数年前と比べて変化してきたことはどんなことが挙げられますか?」 こんな質問を受けました。

ここ数年のこころの病についての最大のトピックは、発達障害についての理解が進んだことが挙げられます。 発達障害というと「子供の病気」「子供の障害」と想像される方が多いと思われますが、マスコミの宣伝や研究が進んだことで、大人の発達障害についての理解が進んできています。

子供のころから発達障害があるわけですが、知能が高く学業においては通常の健康の人と同等に生活することができる人もいます。 しかし、社会人としての生活の中ではより多くの適応の技量がどうしても必要とされ、大人になってから問題が表面化するのです。

発達障害の特徴として、その場の空気がなかなか読めず周りと同調して行動することができない、人とのコミュニケーションがうまくいかないということが挙げられます。

最近では「自分はアスペルガー症候群かもしれない?」「だんなは広汎性発達障害ではないか?」など、疑問をもって受診をされる方が増えています。 従来、自分はうつ病だと認識されてた方が広汎性発達障害にあてはまるような気がするとおっしゃられる方も増えています。

ハートクリニック院長 浅井逸郎 07/11/22