あの人のにおいが気になる!ワキガとは
ワキガとは、医学用語で「腋臭症(えきしゅうしょう)」といい、腋から強いにおいを発する病気です。汗をかくことによって起こります。
人間の体には、エクリン腺とアポクリン腺という汗腺(かんせん・汗を排出するための分泌腺)があります。汗をかくメカニズムとともに、ワキガになる過程をご説明しましょう。
■エクリン腺とは
エクリン腺は全身に存在する汗腺で、成分のほとんどが水分です。体温調節に関係し、発汗することによって体が体温を一定に保とうとします。
体が熱くなると、自律神経が体温を下げるように指示を出します。このとき、血液中のミネラル分や水分がエクリン腺の中に取り込まれます。
ミネラル分の多くは血液内に再び吸収され、残った水分と塩分、そしてわずかな量のミネラル分などは汗として体外に排出されていきます。体表に出された汗とともに熱も気化され、体温が下がります。
これがエクリン腺からの発汗のメカニズムです。成分のほとんどが水分なので、ほぼ無臭と言えます。
■アポクリン腺とは
一方、アポクリン腺は腋の下のほか、乳輪や陰部など限られた場所に存在します。思春期頃から発達していくため、生殖機能と関連性があると言われています。
腋に汗をかくときには、アポクリン腺から水分や脂質・アンモニアなどが汗として分泌されます。
■ワキガとは
アポクリン腺から出た汗が時間経過とともに細菌によって分解されると、その成分が強いにおいを発することがあります。これがワキガの症状です。
アポクリン腺からの発汗は、エクリン腺とは異なり「においを発するため」だと言われています。白人や黒人の間ではワキガは当たり前の症状で、これがフェロモンの働きをしていると考えられています。
においに敏感な日本ではこのにおいをよしとしない文化があるため、ワキガが敬遠されがちなのです。
自分でわかる!6つのセルフ診断チェックリスト
においが強いとどうしても他人に迷惑がかかってしまいがちです。しかし、ワキガに自分で気づいていない方も多いのです。
そこで、自分がワキガかどうかをチェックする方法をまとめてみました。当てはまる項目が多い方は危険かもしれません。
■チェック1:腋に大量の汗をかく
腋の汗の量はアポクリン腺の量と比例します。そして、アポクリン腺が多いほどワキガになる可能性も高いと言えます。
■チェック2:腋の汗染みが黄色っぽい
黄色い汗染みの原因の一つとして、細菌によって汗の成分が分解されることが挙げられます。これは、アポクリン腺から排出される汗の中に、黄ばみの原因となる「リポフスチン」という色素成分が含まれているためです。
汗染みが黄ばむのはそれ以外にも、制汗剤(デオドラント剤)の使用や精神的な緊張による発汗の場合などがありますので、「黄ばむ=ワキガ」ではないことも追記しておきます。
■チェック3:耳垢(みみあか・じこう)が湿っている
耳と腋がどう関係しているの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、耳垢の湿り気はアポクリン腺の量が多いことを示す指標になります。
アポクリン腺の量とワキガの関連性は前述しています。耳にアポクリン腺が多いということは、腋にもアポクリン腺が多数存在するケースが多いのです。
■チェック4:両親のいずれかがワキガ
ワキガは遺伝的要素が強いと言われています。両親のうちのどちらか一方、もしくは両方がワキガの方はワキガになりやすいです。
ちなみに、耳垢も遺伝性のものです。遺伝の詳しい説明は省略しますが、湿った耳垢とワキガの遺伝性は関連があるようです。
■チェック5:腋毛の部分に白い粉がつく
腋毛や、服の腋毛が当たる部分に白い粉がついている方も要注意です。実はこの白い粉、アポクリン腺からの分泌物の結晶である可能性があります。
■チェック6:ラップを当てる方法
腋の毛を避けて(もしくは剃って)ラップを地肌に密着させます。10分ほど当てた後、においを嗅いでみましょう。強い臭気を感じれば、ワキガ陽性の可能性が高いです。
なお、においを嗅ぐ前にコーヒーを飲むというやり方も。コーヒーの香りで鼻をリセットでき、正確性が高くなります。
ショック!自分もワキガだった!そんなときどうする?ワキガの予防・対策法
残念ながら、前章のチェック項目に当てはまるものが多い方はワキガの可能性が非常に高いです。
では、自分がワキガだった場合どうしたらいいのでしょうか。ショックを受けるよりも、少しでも予防したり、対策を取ることが大切です。
■腋の汗をこまめに拭く
これは基本でありながら大切な事項です。理想は下着をこまめに替えることですが、日常生活ではなかなか難しいでしょう。そのため、できるだけ頻繁に汗を拭くという対策が必要です。
タオルを常に持ち歩き、こまめに汗を拭くことでにおい発生の予防ができます。ただしタオルにはにおいが染み付いてしまうので、専用のものを用意するのがおすすめです。
また、タオルの代わりに汗を拭くための市販の使い捨てシートを利用したり、使い捨ての汗わき用パッド(汗取りパッド)を服に付けておくのも良いですね。
■制汗剤を使用する
汗をかきやすい時期や環境にいる場合、制汗剤の使用も有効です。ただし、体質によって合わなかったり腋部分の黄ばみの原因になることもありますので、自分にあった制汗剤を見つけましょう。
また、使いすぎも逆効果になりますので、正しい用法・用量を守ってくださいね。
■肉料理・脂ものは控えめに
ワキガの直接の原因になるというよりも、汗やにおい(アンモニア)を増長させるのが肉料理や脂っこいもの。アポクリン腺の働きを活発にしたり、皮脂の分泌が増えてにおいが発生しやすくなります。
体臭の強い方は、食生活を改善することで体臭を飛躍的に抑えることができる場合もあります。栄養素のバランスもあるので「食べない」のは体に良くありませんが、量を減らしてにおいを予防しましょう。
■飲酒・喫煙を控える
これも前項と同様に、においを増長させやすい生活習慣です。本当はやめることをおすすめしたいのですが、中毒性もありなかなか難しいことだと思います。
どうしてもやめられないのであればせめて量を減らしましょう。におい予防だけでなく体質改善にも効果があり、一石二鳥です。
■ワキガクリーム
ワキガクリームにもいろいろと種類があります。選ぶ際のポイントとしては、制汗力(発汗自体を減らす)・殺菌力(汗を分解する細菌を殺す)・保湿力(皮脂の分泌を抑えて発汗を減少させる)などが挙げられます。
また、香料入りのものはワキガのにおいと相まって強烈なにおいを発する可能性がありますので、無香料のものを選ぶとよいでしょう。
■腋毛処理
腋毛のケアをするのは女性が圧倒的に多いですよね。男性からしてみれば「腋毛を処理するなんて・・・」と思う方もいらっしゃることでしょう。
しかし、腋毛はワキガのにおいを悪化させる原因にもなります。腋毛がボーボーに生えた状態では、汗をかきやすく蒸れやすい状況です。また、排出された汗が長く留まるのでにおいが発生しやすいのです。
剃るのに抵抗のある方は短くカットして、清潔な状態を保つように心がけましょう。また、抜く(脱毛)という方法もあります。剃る場合も抜く場合もメリットとデメリットがありますが、ご自身の環境に合わせて処理方法を選んでみてくださいね。
また、清潔を保つという意味合いでもしっかり洗うということが大前提です。雑菌の繁殖を抑えるためにも清潔を心がけましょう。薬用石けんの利用も有効と言われていますが、肌質に合うかを確認してからの利用が良いですね。
徹底的に治したい!ワキガの手術とは
ここまでさまざまなワキガ対策法を見てきましたが、ワキガの治療には手術という手段もあります。
保険適用が可能なものもあるというワキガ手術、一体どのような内容なのでしょうか。詳しく見ていきます。
■切除法
ワキガ手術の中では最も古くから行われているものです。腋毛の生えている一帯を皮下組織ごと切除するというダイナミックな手術です。
ワキガの原因となるアポクリン腺だけではなく、エクリン腺やその他の組織も取り除くので、痛みや出血やダウンタイム(回復するまでの期間)の面でリスクが大きいと言えるでしょう。
■剪除法(せんじょほう)
剪除法は腋の下を数cm切り開き、皮膚を裏返してアポクリン腺を直接目で見ながら取り除く方法です。除去後は皮膚を元に戻すので、切除法に比べれば安全と言えるでしょう。
ただし、医師の腕によっては、取り残しがあったり切りすぎて他の組織を傷つけてしまうなどのデメリットも考えられます。
■皮下組織吸引法
脂肪吸引と同じような施術です。カニューレという吸引器を使用して、アポクリン腺を吸引しながら除去します。美容外科で行う手術で、保険適用外です。
根の深いアポクリン腺は除去できなかったり、直接目視するわけではないので取りこぼしも多いのがデメリットと言えるでしょう。
■超音波吸引法
皮下組織吸引法を応用させた術式です。カニューレの先端から超音波を発し、その熱でアポクリン腺を破壊しながら吸引します。
皮下組織吸引法よりも効果が高いと言われていますが、他の組織にも超音波の影響が及んだり、根強く残ったアポクリン腺から症状が再発することもあるようです。
■皮下組織削除法
使用する器具に特徴があるこちらの施術法。ハサミの形をしているのですが、片方はローラー状、もう片方はカミソリの刃のような構造です。
腋の下に切り込みを入れ、器具を差し込んでアポクリン腺の辺りを挟み、ローラーで滑らせながら切り取っていきます。
多汗症の方にも効果があります。
ワキガ手術のデメリット
術式や執刀医の腕によっても大きく左右されますが、ワキガ手術には失敗例を含みデメリットも存在します。どのようなものがあるのか見ていきましょう。
■においが消えない・再発する
高い費用を払って施術を受けたにも関わらず、あまり効果がなかったりすぐに再発してしまう方も。
これは、アポクリン腺をきちんと除去できていなかったことが原因です。保証制度があれば再手術を受けることができる場合もありますので、手術を受ける前にしっかり説明を聞いておきましょう。
■傷跡が残る
縫合が上手くできていなかったり、体質などによっては傷跡が残ってしまいます。
ワキガの手術ではほとんどが「切る」処置を行います。切開する範囲が狭い場合など、目立たなくなることはありますが、傷跡が残る可能性は頭に入れておいたほうがよいでしょう。
■ダウンタイム
ワキガ治療に限らず、手術を受ける場合はダウンタイムが必要になります。術式によっては数週間~1ヶ月ほど、痛みや内出血・腫れが残る場合もあります。
手術を受ける病院でアフターケアを行ってくれるかどうか、事前にきちんとチェックしておきましょう。
■費用がかかる
保険適用かそうでないか、保険適用外の場合はどこの病院で施術を受けるか、などによって費用はまちまちです。安いところでは5万円前後から、場合によっては30万円ほどかかることもあるようです。
■副作用・後遺症が出る
腋からの発汗が減った分、「代償性発汗」といって別の部位から汗をかきやすくなることがあります。また、痺れが出たり、皮膚が壊死したりただれたりというような後遺症(失敗事例)が生まれることもあります。
術後に腋毛が生えなくなり、喜んだ女性がいる反面、無毛になった腋に悩む男性もいるようです。
自分に合ったワキガ対策で快適に過ごそう
こうして見てみると、ワキガにもいろんな対策があることがわかります。
自分がワキガだと判明しても落ち込まないでください。これまで述べてきた予防・対策を取ることで、においを減らすことができます。
手術は手っ取り早い方法ですが、デメリットも多いので注意が必要ということもお分かりいただけたと思います。病院での診断を希望する方は、医師にしっかり相談して、自分にとって適切な方法を探っていきましょう。
この他にも、ワキガに関する記事をいくつかご紹介していますのでぜひ参考にしてみてください。