【べにや無何有】いま、一番泊まってみたい極上宿。加賀料理と薬草玉スパが楽しめる、全室露天風呂付きの高級旅館

いわゆる、一度は泊まってみたいハイクラス宿、そんな風に言われるお宿が日本各地に存在します。皆さんも、写真や記事を目にして、ため息を漏らすことがありませんか?しかし、そういったホテルは、その分お値段もお高め。気軽に泊まるといったわけにはいかないのが現実です。となれば、絶対に失敗をしたくはないですよね。そこで今回は、確実に皆様に満足してもらえるのではないかと思われる、とっておきのお宿を紹介したいと思います。

竹敷きの広縁からの景色がお勧めの極上宿、「べにや無何有」

その宿は、石川県の代表的な温泉郷、山代温泉の中にあります。東京からは電車を使い、加賀温泉駅まで約3時間。そこからはホテル専用の無料シャトルバスが運行しており、たった15分で到着することができるのです。距離はあるものの、東京から一気に加賀までは迎えるので、アクセスは比較的良好なお宿と言えると思います。人気の山代温泉の中にあるとはいえ、温泉街からは1歩奥に入った、自然の中でひっそりとたたずむお宿となっています。

まるでその存在を隠すかのように、木々や葉っぱに覆われるエントランス。否応なしに期待感が高まってきます。

アプローチを抜けると、普通一般のお宿にはある、宿名を記した看板や暖簾が見当たらない、そんな不思議なエントランスが見えてきます。このお宿の名前は「べにや無何有(むかゆう)」。無何有とは「何もない、自然のまま」といったような意味があり、この宿のまさに目指すところでもあるのです。

エントランスを入ると、こちらのロビーが迎えてくれます。最初にまず感じるのは、色が最低限に抑えられていること…。ほぼ白一色。しかも、目に突き刺すような刺激的な白ではなく、ややグレーがかった、自然界にさもありそうな、そんな優しい白です。

そのため、このロビーを形作る壁や床、椅子にいたるまで、すべてはニュートラルな感覚で見つめることができます。その分、硝子戸の向こう側に見える木々の姿が、色鮮やかで、より生き生きとして感じられるのではないでしょうか。この空間は滞在するために存在はするものの、自然があくまでも主役。まるで、ないものとして存在する…ここを建てた建築家のコンセプトを伝える、そんな印象がするロビーです。

「べにや無可有」は、箱根の旅館「強羅花壇」と同じ設計者である竹山聖さんと一緒に、今までに4度ほど大きなリノベーションをされています。

そしてこの宿は、世界的権威を誇るホテルとレストランの会員組織「ルレ・エ・シャトー」の厳格な審査を通過したホテルとしても知られています。日本で認められている施設は、2015年の時点でたった15軒。そして2013年には、500を超える会員施設の中から最も優れたおもてなしに送られる、「ウェルカムトロフィー」を受賞しています。ということは、世界でも認められている、そんな凄すぎる旅館が、この「べにや無何有」の正体なのであります。

大きな秘密を皆さんに明かしたところで、次は客室をご紹介していきます。この宿に宿泊される場合には、こちらのラウンジでチェックイン手続きやドリンクでの歓迎をうけたのちに、各客室に向かうこととなります。

ウェルカムドリンクは、搾りたての甘くて美味しいリンゴジュースでした。ロビー兼ラウンジは白い壁で統一されており、ソファー席と窓の配置が絶妙でした。木々の隙間から柔らかい陽の光が入りこみ、居心地の良い空間を演出してくれていました。

客室

こちらの宿は全部で17室。和室、洋室、和洋室、特別室に分かれており、すべての部屋から山やお庭など、自然の景色を堪能できるように設計されているのが特徴です。さらに、全ての客室に温泉露天風呂が付いていますので、湯あみをしながら、その眺めを1人占めすることが可能なのです。しかも一番狭いタイプでも60平米と、一般のお宿よりも広々とした造りとなっていることも挙げられます。また、全館でWi-Fiを使うことができるのもポイントです。

今回はこの宿にたった1室だけある、特別室「若紫」をご紹介したいと思います。

玄関を入ると、まっすぐに伸びた廊下の先に、光の差し込む窓が見えます。

窓から漏れる灯りに引き寄せられるように進むと。この、あまりにも印象的なスペースが広がります。

床には竹がひかれ、籐のチェアが2客と、飲み物を置けるちょっとしたテーブルが。いわゆる広縁にあたるスペースとなります。

スペースの片隅には、ほのかな灯りをともす行燈と、自然の風を楽しめるうちわが置かれています。

そして、主張しすぎない蚊取り線香と…。それ以外は一切何もない、シンプルな広縁になっているのが特徴です。

手前には、寝室にあたる和室と、本間が控えています。

障子で仕切ることができるので、独立した部屋としても使うことができますし、就寝時は閉めて眠れば、朝、障子を通したやわらかい朝日で目覚めることができるのです。

この特別室は、110平米。かなりの広さがあるのにも関わらず、余計なものが一切ありません。それがかえってこの空間に、ある独特の空気感を生み出しているような気がいたします。まさに「無何有」が実現されている客室と言えそうです。

リビングスペースには、一枚のテーブルに座布団のみが置かれています。こちらもシンプルで、研ぎ澄まされた雰囲気を醸し出しています。

テーブルは、全長3メートルもある長いもの。ふき漆の艶感が美しい、上質な一枚です。

本間は、一部土壁になっており、モダンでスタイリッシュな雰囲気となっています。

寝室も土壁にダークブラウンの床と。落ち着いた雰囲気で好感がもてます。

傍らには、ちょっとした執務机がしつらえてあります。

とにかく、見るものすべてが美しく、思わず言葉を発するのもためらわれるほど。

「何もない、からっぽの中の豊かさ」…

そんな宿のコンセプトを知るには、あまりにも十分な、そんな部屋となっています。

なお、次に水屋をご紹介します。客室を紹介する2枚目の写真で、お気づきになられた方もいるかもしれませんが、客室のドアをあけてすぐ、廊下に面した形でしつらえてあります。少し不便と思われる室外に置かれているのは、客室に余計なものを置かず、無の状態に近づけたかったからではないでしょうか。

冷蔵庫の中には、各種アルコールのほか、清涼飲料水、お茶などが揃えられています。ビールだけでも銘柄別で揃えられているのに、感心させられます。ほかにもお茶セットやポット類など、必要なものはこちらにすべて揃えられています。

次にトイレなど、水回りをチェックしていきます。

洗面室にはかなりのスペースをさいており、洗面台はツインボウル式。さらに作業スペースも十分にあります。

アメニティはこちらのお宿オリジナルのもので、クレンジングジェルなどのメイクオフ系から、エマルジョンなどの潤う系までそろっています。ボディローションまで備えられているので、全身ケアが可能です。

アメニティ類は一般的なものとなりますが、パッケージがお洒落で好感がもてます。またボディタオルは高級感のあるものなので、その点もうれしいところです。

ドライヤーも完備しており、タオル類はきれいにまとめられています。

では、次にシャワールームを見てみましょう。

シャワールームは、石が貼られた高級感のある空間で、くりぬかれた部分にシャンプー類はすっきりと収納されています。大人の場合、ちょうど視線の先には窓があり、緑の景色が堪能できるようになっています。

そしてお風呂はこちら、外にあります。お湯はアルカリ性単純温泉です。

そして何よりも素晴らしいのはこの景色。何にも代えがたい、そんな魅力のあるお風呂となっています。

秋には色づく葉っぱが、冬には雪景色と、一年を通して楽しむことができるのではないでしょうか。

着き菓子をいただいてから、ゆっくりと湯あみをお楽しみください。

館内施設

なお、この宿でぜひ体験していただきたいのが、スパ「円庭施術院」のトリートメントです。

2012年スパジャパン・クリスタルアワードプロフェッショナル・ジャパン部門賞を受賞されています。通常のアロマトリートメントもありますが、温泉や薬草を調合して施術する薬師山トリートメントがお勧めです。

まずは、カウンセリングをうけ、その結果から見えてくる体質や希望をふまえたうえ、薬草玉を作って下さいます。

山代温泉の温泉水と薬草や生薬を加えたクリームでマッサージされると、身体が軽くなり、珍しく眠ってしまうほどでした。また、マッサージ後にも日頃体調面で気になっているところに対しての予防方法や、自分でいつでも出来るストレッチなども丁寧に指導して下さいます。高級ホテルなどにある、癒やし効果の高いスパ施設とは少しかけ離れてはいますが、近くにあれば何度でも通いたいと思える技術的にかなり素晴らしいスパでした。

なお、こちらのスパは、1名用が1室、2名用が2室と、合計3部屋のみ。チェックイン前後に予約がうまりがちなので、事前に予約をとっておくことをおすすめいたします。

そのほか、朝は女将によるヨガクラスも行われます。この宿に宿泊することを通して体の調子を整える、そんなことも可能なお宿になっているのです。

そのほか、24時間利用可能な大浴場もあります。

内風呂のほか、露天風呂も備わっています。「こもれびの湯」という名前の通り、昼間は葉と葉の間から、木漏れ日が楽しめる、そんなお風呂になっています。

そのほか、ライブラリースペースも備えられています。

入浴後のクールダウンとして立ち寄ってみられるのもおすすめです。

そのほか、都心にある雑貨店のような、洗練されたショップも置かれています。取り扱っているのは、無何有オリジナル商品のほか、小物や食品、それから加賀の工芸品など多岐にわたります。厳選された品ぞろえなので、チェックアウト前にはお立ち寄りいただくことをおすすめいたします。

お食事

お食事は懐石料理となります。お料理の鍋物をお寿司に変えることも可能で、今回はお寿司を含んだ懐石料理の一例をご紹介いたします。

まずは先附から。ちょっと変わったお皿がつかわれています。黒いお盆を池にみたてて、まるで魚が泳いでいるかのような演出です。

次は、自慢の岩ガキに加賀産の毛ガニです。こちらで3名分になります。

次は、冬瓜を器にしたてた一品。この宿は、器や料理の見た目にも非常にこだわっているのが感じられます。

いちじくに煮卵、ほおづきなど、ちょっとずついろんな味が楽しめるのが嬉しい一皿。マットな黒い皿で、料理一品一品がより一層、引き立てられます。

加賀という立地を活かした白エビやお魚を盛り込んでいるのも嬉しいところ。

こちらは鮎の里、庄川の若鮎笹籠焼きです。

今回は夏のメニュー例となりますが、秋にはのどぐろや、冬には鱈白子雪鍋など、季節に応じた加賀の味が愉しむことができます。つまりいつ来ても美味しい食材とお料理が楽しめるのが特徴です。

お寿司コースを選ばれた方は、ここで鍋の代わりににぎりが運ばれてきます。

どこでその食材がとれたのか、誰が作ったお皿なのかを、その都度丁寧に説明して下さいました。食事の途中、おしぼりやお箸を何度も交換して頂けました。また、少しでもテーブルが汚れていると、さりげなく拭いて下さる気遣いが良かったです。

最後は水菓子で締めくくります。

旅館で頂くお寿司としては、かなり美味しいと思います。他の懐石コースも味わってみたいと思えるほどでした。

なお、夜食には海苔巻きをいただくことができます。

次は、朝食をご紹介いたします。こちらはダイニングルームです。眺めを楽しみながらお食事ができるのがポイントです。

こんな手書きのメニュー表がいただけます。ちょっとしたことではありますが、なんだか温かい気持ちになりますね。

牛乳のほか、美味しそうなフレッシュジュースがいただけます。

ふんわりとしたオムレツにパンなど、洋食のメニューの定番といった印象です。

そのほか、ヨーグルトとデザートがつきます。デザートは、5種類のフルーツで、ボリュームが多めなのが嬉しいですね。

なお、朝ご飯は和食をチョイスすることもできます。

和食は、洋食と比べて、ややボリュームが多いように感じます。食いしん坊の方は、和食がおすすめかもしれません。

和食と洋食を前日に選ぶことが出来ますが、仲居さんのお勧めでもある和食にされた方が良いと思います。どちらも頼みましたが、和食の方が品数も多くて美味しかったです。明太子は、希望すれば炙って出して頂けます。

独特の空気が漂う「べにや無何有」、写真だけではきっと伝わらない魅力がもっとあるはずです。

車2台で伺いましたので、到着すると同時に男性従業員2名で荷物を取りに来て下さいました。どちらも若い方でしたが、笑顔・言葉遣い・振る舞いの全てが完璧でした。

ルレ・エ・シャトーによる、最も優れたおもてなしに送られる「ウェルカムトロフィー」を受賞しているだけあり、接客にも定評があります。

そういった意味で、一度は泊まりたい高級宿の中でも、特におすすめのこの「べにや無何有」。ぜひ一度足を運んで見てください。