要注意!見分けにくいニキビと脂漏性皮膚炎の症状と違い
思春期や生活習慣の乱れ、ホルモンバランスが乱れたときなど頻繁にできるニキビ。皮膚が赤くポツポツしてる、少しの痒みを発症していることからニキビと思い込んでいる人も多いようです。しかし、そのポツポツはニキビではない可能性があることをご存知ですか?
私たち素人の目ではなかなか見分けることが難しく、ニキビと同様のケアをしてしまうと、症状を悪化させてしまうかもしれません。
ニキビと間違えられる原因はいくつかあります。
まず1つ目は、ニキビ同様に顔面や頭皮、太ももの付け根部分など皮脂分泌の多い場所に出来るという点です。一般的にニキビが出来やすい場所として認知されているため、自然とニキビだと思い込んでしまいます。
2点目は、前述したとおり症状が酷似していること。ポツポツと表面に凹凸が発症したり、かゆみを伴うことで勘違いしやすい状況となるのです。また、皮膚表面が薄く剥げるという点も似ています。
3点目は、ニキビと同時発生することです。これがニキビと脂漏性皮膚炎の判断において一番厄介なのではないでしょうか。一つ一つじっくり観察をしたところで、症状も酷似していますから見分けがつきにくいですし、一気に複数のポツポツが出来てしまうと確認することすら面倒ですよね。
このように、ニキビと脂漏性皮膚炎は症状も発症する部位も良く似ています。ニキビのケアを行う前に、一度、脂漏性皮膚炎を疑うことをおすすめします。
では、この脂漏性皮膚炎とは一体どんなものなのでしょうか。
脂漏性皮膚炎とはどんな疾患?
脂漏性皮膚炎とは、別名:脂漏性湿疹とも呼ばれる皮膚疾患の1つです。脂漏性皮膚炎は赤ちゃんの時に発症することもあり、その場合は乳児脂漏性湿疹と呼ばれます。
頭部・顔面・髪の生え際・耳の裏・わきの下・前胸・上背部・足の付け根など皮脂分泌の多い場所に発症しますが、左右対称ではありません。
ニキビ同様にポツポツしたり痒みを伴う他に、頭皮のフケや脂っぽいベトッとした細かい皮が無数についていることがあり、症状が悪化してしまうと頭部全体にフケが広がったり、油っぽい皮が剥がれ落ちたものがこびりつき赤い楕円形状の斑が出来ることもあります。さらに、頭皮の症状が悪化し、柔道の炎症を起こした場合、脱毛してしまう可能性も考えられるます。ニキビとの一番の違いは皮膚が剥がれ落ちることですが、気づかないことも多いので注意して観察しておきたい点です。
思春期の発症が多いニキビとは違い、この脂漏性皮膚炎は思春期以降に発症し、良くなったり悪くなったりを繰り返し、自然治癒は困難と考えられているので、病院を受診し、長期的な治療が必要となります。ただし、乳児性脂漏性皮膚炎については生後2~3週間に発症し、生後4~8か月頃までに自然治癒します。
脂漏性皮膚炎を引き起こす原因
長期的な治療を必要とする脂漏性皮膚炎の原因は、残念ながら明確に判明していません。しかし、遺伝的要因・環境的要因・精神的(ストレス)要因など様々なことが関わる多因子疾患と考えられています。
環境的要因では、ビタミンB不足など食事の偏り、洗顔や洗髪時の洗いすぎ・すすぎ不足などが挙げられ、精神的要因では、ストレス・生活環境の変化などになります。
日々、脂漏性皮膚炎の研究も進んでおり、最近では、皮脂が過剰分泌することで、皮脂が大好物のマラセチア菌というカビの一種が異常繁殖することが大きく関わっているという報告もあるのです。カビと言っても、マラセチア菌はヒトの皮膚に誰でも持っているカビ(真菌)であり、部屋が汚いから、肌を清潔にしていないからという訳ではありません。皮脂に本来からあるマラセチア菌が、皮脂に含まれるトリグリセリドという物質を分解し、炎症の原因を作る遊離脂肪酸(血中に溶けだした脂肪酸のこと)に変形させることが根本的な原因となるのです。
マラセチア菌が好む皮脂の分泌は、男性が多く持っている男性ホルモンも促す働きがありますし、女性もホルモンバランスの乱れによって左右されます。そのため、男性も女性にとっても発症し得るという訳です。
大人の脂漏性皮膚炎の原因は、マラセチア菌が大きく関係していますが、乳児脂漏性皮膚炎では少し原因が異なります。赤ちゃんは元々皮脂の分泌が活発であり、毛穴が完全に発達している訳ではないので、分泌された皮脂が毛穴に詰まることで発症するのです。
様々な要因が考えられる脂漏性皮膚炎は、自身で原因を取り除くことは非常に困難ですし、発症すると慢性化するケースが多く、再発を繰り返すことからも、完治させるためには皮脂の分泌を正常に戻すなど正しい治療を必要とします。そのため、ニキビと違うかもと違和感をもったら、早めに病院を受診することが良いでしょう。
脂漏性皮膚炎における治療とは
脂漏性皮膚炎における皮膚科での治療の基本は、①皮膚の炎症を抑制する②マラセチア菌の増殖を抑制するという進め方です。同時に強い痒みを伴う場合は痒みを抑える薬、炎症部分が細菌感染をしている場合は抗菌剤が適宜処方されます。
①皮膚の炎症を抑制する
まずは炎症を抑えるために、外用ステロイドを使用します。別名:副腎皮質ホルモン剤とも呼ばれており、このステロイドは炎症を抑えるのに特化したくすりです。脂漏性皮膚炎の原因とも言われるマラセチア菌を減少させる効果はありませんが、炎症した皮膚の状態を落ち着かせるために使用されます。ステロイド剤はWeak(弱い)・Medium(中程度)・Strong(強力)・Very strong(かなり強力)・Strongest(最も強い)の5段階に分類され、大人の場合は顔などの繊細な部分であれば中程度、頭皮や身体には強力なものが用いられ、これは配合されているステロイドの量ではなく、体内に吸収率によって分類されたものです。
ステロイドには様々な副作用があります(使用したすべての人が併発するわけではなく、稀に副作用を伴う)ので、自己判断で使用をはじめたり、使用途中で中断したりせず、必ず医師の指示を守ってください。
②外用抗真菌薬
これは、増殖したマラセチア菌の撃退をしてくれる薬です。一般的に処方される薬はルリコン、アスタット、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾールのようなイミダゾール系抗真菌薬です。
<強い痒みを伴う場合>
強い痒み・強い炎症がみられるときには、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服が指示され、内側から炎症を抑えるように働きかけます。
<細菌感染がある場合>
症状が悪化し、何らかの原因で細菌感染を起こしている場合には、外用薬と併用して抗菌剤の内服を処方されます。
症状が軽度であれば、ドラックストアで手に入る市販薬で治療を試みることも可能です。その際は、適切な使用方法・量を守り、改善が見られない・何らかの違和感や悪化した場合は直ちに使用を中止し、病院を受診してください。
ドラックストでもア抗ヒスタミン剤や外用ステロイド(作用が強くないもの)を購入することが可能ですので、病院の治療と同様にまずは炎症を抑えることから始めましょう。ステロイド剤に関しては、作用が強くないものであっても、自己判断で使用量を増やすことは危険です。
また、抗真菌剤が含まれたシャンプーや洗顔料なども販売されています。使用することで大きな影響を受けることはありませんので、上手に利用しながら治療を行うと良いです。ただし、肌に異常を感じた場合はすぐにやめてください。
脂漏性皮膚炎の基本的な治療をご紹介しましたが、漢方で改善に向けて治療をすることも可能です。病院で上記の薬と併用して処方されることもありますし、興味のある方は直接、漢方専門薬局に相談してみるのも良いでしょう。
主に処方される漢方は以下になります。
①十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
皮膚病の多くの治療に用いられ、脂漏性皮膚炎の治療においても治療の入り口として処方されることが多いです。
②黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
皮膚に強い赤みが出ていた場合に服用する漢方薬になります。
③柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)
炎症や痛みを和らげるために用いられる漢方薬です。
④消風散(しょうふうさん)
皮膚の痒みの元となる分泌物を抑え、痒みを抑えてくれる働きと同時に、分泌物が正常に戻るように体質改善を促してくれる効果も期待できます。
脂漏性皮膚炎は長期的に付き合っていかなければならない疾患ですので、最初から自分自身で完治させると考えず、まずは、皮膚科を受診し、正しい治療法を指示してもらうことが完治への一番の近道と言えるでしょう。
有効なホームケアと日常生活で注意したいこと
自宅で行える有効なホームケアをご紹介します。
1.皮膚は清潔に保つ
皮膚が清潔でないと、細菌感染の原因を作ってしまうことになります。ただし、ゴシゴシと強く洗うことは避けましょう。肌にやさしいボディソープやシャンプーを使って、たっぷりの泡で撫でるように洗います。それだけでも十分に汚れを洗い落とすことが可能です。
2.ビタミンB群を積極的に取り入れ、バランスのよい食事を
ビタミンBには皮膚の代謝の働きを正常にしてくれる効果が期待できます。
ビタミンB1:玄米、胚芽米、焼き豚
ビタミンB2:卵、納豆
ビタミンB6:マグロの刺身、バナナ、大豆、小麦
ビタミンB12:牛や豚のレバー、牛乳
3.規則正しい生活を送る
睡眠不足は皮膚の免疫力低下につながりますので、しっかりと休息をとるようにしましょう。また、ストレスも免疫力低下の要因です。運動や趣味をみつけて適度にストレスを発散するようにしてください。長い治療期間ですから、治療に対する不安や悩みも抱えることもあると思います。身体を動かしたり、好きなことをすれば他に気持ちを向けることが出来ますのでリフレッシュにも結び付きます。
次は、普段の生活で注意してほしいことです。
・紫外線
紫外線は皮膚のさらなるダメージを与えます。日傘・帽子・カーディガンなどの羽織物・刺激の弱い日焼け止めを利用して紫外線から肌を守りましょう。最近では、TシャツやパンツでもUV加工してあるものが多く存在していますので、上手に取り入れるとストレスなく紫外線をカットすることが出来ます。
・脂っこい食事
脂っこい食事が続くと、皮脂の分泌量を増やすことになりマラセチア菌の増殖を手助けすることになるのです。出来ればカロリーの高いファーストフードも避け、ホームケアでもお伝えした通り、栄養バランスのとれた食事・和食中心の食事を心がけるように、いま一度食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
・入浴
ボディソープやシャンプーは刺激が弱く、肌にやさしいものを選ぶようにしてください。シャンプーは抗菌剤が含まれたものやアミノ酸系のものがおすすめ。身体も頭皮もゴシゴシと強い力でこすらず、泡のみで洗うようなイメージで洗うと良いです。また、洗浄後は、すすぎ残しがないようによく洗い流すようにしましょう。
入浴の際は、熱すぎるお湯を避けてください。身体にとって理想とされる温度、つまり身体に負担をかけない身体に近い温度である38~40℃に設定して浸かることをおすすめします。
・飲酒や喫煙
タバコに含まれるニコチンは血管収縮の作用があります。そのため、皮膚細胞に栄養や酸素が正常に送られず、結果、欠乏することになります。また、タバコには体内のビタミンCを消費しますので、ビタミン不足に陥るのです。皮膚の正常な働きを保つためには飲酒や喫煙をやめることが肌にとっても、健康のためにも良いですが、ストレスになるといけないので、徐々に吸う本数、飲む量を減らしていきましょう。
・ヘアワックスやヘアジェル、ヘアケア用品の使い過ぎ
ヘアワックスやヘアジェルを使用したまま就寝すると、毛穴を塞いだ状態が続いてしまうので、しっかりと落として、必ず清潔な状態で就寝するようにしてください。言うまでもありませんが、自身に合わないヘアワックスやヘアジェルを使い続けることは髪にも頭皮にも影響を及ぼします。購入後すぐに肌に合わず勿体ないと感じることもありますが、頭皮のためですので諦めましょう。
ヘアケア用品も同様に自分の肌に合ったものを、適量のみ使用してください。ヘアケア用品・ヘアワックスは毛先まで塗布することがあり、頭皮だけでなく、髪の毛が触れる顔の皮膚や他の肌への影響を与えることになります。用品を選ぶとき、使用する時、使用後と全てにおいて気を付けなければいけませんが、自身の皮膚のためです。
脂漏性皮膚炎は薬や生活の改善などによって一時的に良くなることもあります。しかし、再発する疾患ということを念頭に置き、根気よく治療とケアを続けていきましょう。