この写真は右の脇にできた粉瘤に細菌が感染して、腫れてしまった患者さんです。
感染性粉瘤といいま す。感染性粉瘤の治療法にはいくつか選択支がございます。
それぞれの方針について説明します。
1.切開排膿(麻酔をして切って膿をだす)する。
膿を出すためには、針で刺すだけでは出し切れません。数日は自然に出続けるような穴を切開しておかなければなりません。しかし、わずかな麻酔注射で簡単に施行できる処置です。傷痕は残ります。袋をとりませんので、必ずしこりが再発します。今度は感染する前に摘出しなければならなく、再度手術を要します。
2.切開排膿した上に、感染した粉瘤の被膜(袋)をくり抜き摘出する。
1に加え、排膿した穴から粉瘤の被膜を引きずり出す、あるいは切り出す、あるいは掻き出して取り除く努力をする方法です。しっかりと内部まで操作するので、麻酔注射も炎症が強くある中に打ち込み痛みが強いように感じます。この方法では粉瘤の摘出をするので再発率はかなり下がります。
3.抗生剤の内服だけで様子を見る。
注射や切ったりするのが嫌でしょうがない方は、抗生物質の内服だけで様子を見ます。うまく治っていくなら数日後から痛みや赤みが改善してくると思います。しかし、この方法も根治はさせていないので、いったん良くなってもしこりは残存し、またいつ感染性粉瘤となるか不安です。しかも膿がたまってしまった状態では、内服のみで寛解する保証もなく、1週間内服しても症状の変化がない、もしくは悪化する可能性もあります。
直径4㎜の穴から感染性粉瘤の組織を摘出しました。この穴の傷は縫合せずに開放しておけば1週間で治癒します。
余談ですが、その時、中から塒(とぐろ)を巻いた毛が出てきました。専門的な話ですが、毛包上皮も表皮とともに皮内に迷入し、狭い部位で毛が成長したのでしょう。結構長そうですが。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック しこり おでき できもの 粉瘤 アテローム 脂肪の塊 感染 手術 に関する投稿
感染性粉瘤の一般的な治療方針
粉瘤の根治的な治療法は完全摘出です。しかし、感染している感染性粉瘤では、根治的な摘出がしづらいので、ひとまず排膿のみ行い、後日感染が治まってから根治的摘出を行うことが多いです。
摘出手術のデザイン
また、摘出方法には一般的に単純な皮膚切除(紡錘形デザイン)と嚢腫摘出が行われます。紡錘形デザインは粉瘤の最も表皮の浅いところを切除範囲に含めます。長さは直径に合わせます。嚢腫を破らずに完全に取ることができます。この摘出方法は傷痕が線状に残ることになります。距離のある線状の傷痕が気になる部位では好まれませんが、確実性の高い治療方法です。
感染性粉瘤とくりぬき法
傷痕を最小限にするために、くりぬき法があります。粉瘤の最も浅く存在する場所を中心に小さな皮膚パンチで皮膚をくり抜き、そこから粉瘤の内容物をまず圧出して無くし、その後嚢腫壁を剥離して摘出する方法です。
傷痕が小さな丸い瘢痕で済みますが、小さな穴から嚢腫壁をはがしていくと良く見えないところや癒着の強いところで破ってしまい取り残すリスクがあります。嚢腫壁が取り残されると再発の危険性が増します。粉瘤の中には嚢腫壁が大変脆弱なものがあり、すぐにズタズタに破れるので心配です。また感染した粉瘤は紡錘形デザインで取ろう思っても感染のためほぼ確実に嚢腫壁がズタズタです。それならばまずくり抜きで排膿し、取れるだけ嚢腫壁を取りだし、取り残した恐れのある部分は書き出すように組織を引き出し綺麗にするしかありません。粘って丹念にこの操作をすると、たとえ感染性粉瘤でも割と再発せずに過ごすことが多いと思っています。
岐阜市薮田南3-7-7 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック おでき、できもの、粉瘤、アテローム、脂肪の塊、くりぬき摘出法に関する投稿 大垣市 羽島市 各務原市 瑞穂市など近隣都市からもご来院いただいております。
皮膚の表面にできるできものについて、インターネットでいろいろ検索すると、患者さんは粉瘤(アテローム)が、自分にもある!と気付かれるようです。当院は粉瘤(アテローム)の患者さんが多く来られますが、意外にも「粉瘤ができました」と訴えてくる方は80%で、その他の方は「なんかしこりができたんですけど・・・」という方です。
粉瘤(アテローム)も皮膚良性腫瘍の代表格ですが、上記の80%の中で、本当に粉瘤であることは70%程度といった印象です。30%は他の良性腫瘍ということです。ではどんなものがあるのか、この9月に手術した腫瘍をご紹介します。(以下、術中写真がございますので、苦手な方はテキストのみ読みたいとお問い合わせください)
粉瘤(アテローム)
これは大変わかりにくいのですが、5㎜程度のしこりと、皮膚の表面に孔があります。小さな粉瘤を疑う所見です。
これも小さな粉瘤です。極力小さな傷で袋ごと綺麗に摘出するようにします。
この写真も粉瘤(アテローム)です、切り取った腫瘍から、内容物が出てきているところです。角化剥離物と呼ばれる、垢のような粥状物が充満し、とても臭いです。
石灰化上皮腫
この腫瘍は皮膚表面に石ころが入っているかのように固い腫瘍です。表面から透けて青っぽく見えることがあります。(これはよくお子様の顔面で見られます)写真は成人まで育て上げた少し大きめの石灰化上皮腫です。粉瘤や脂肪腫に続いて割と頻度の高い良性腫瘍と思います。粉瘤と同じく、感染することもたまに経験します。
血管拡張性肉芽腫
これは足底にできたものです。何らかの原因で、毛細血管が拡張し、このように赤く盛り上がった腫瘍になってしまうものです。教科書的には手術で摘出するのが最も確実で、小さい物は液体窒素で冷凍凝固することもあります。次の写真は頭皮にできた血管拡張性肉芽腫です。
脂腺嚢腫
今回は単発でしたが、多発性脂腺嚢腫という疾患もあります。一見粉瘤ではないかと思って手術しましたが、剥離すると薄い皮膜に包まれた脂腺嚢腫ということでした。
腫瘍ではないですが・・・
乳輪にあるブツブツで、モンゴメリー線です。美容外科にはこの乳輪のブツブツを除去してほしい方がお見えになります。小さいですがわずかでも傷痕が残っていしまいますが、ご希望により摘出します。写真はおそらくモンゴメリー腺とその周囲の結合組織と思います。モンゴメリー腺は生理学的な意味があります。
・わきがで有名なアポクリン腺という汗腺の一種で、乳腺が開口しているモンゴメリー腺もあります。児の哺乳意欲を高めるような匂いを分泌すると言われています。したがって、モンゴメリー腺の数が多いほど、生後の生理的体重減少が少なく済むと言われています。
・一つに乳輪に7~8個と、ある程度数が決まっているようです。また、乳輪の中でも上外側に多く分布します。この場所は乳児の鼻が当たりやすい場所です。
岐阜市薮田南 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニックできもの・おでき・粉瘤・アテローム・脂肪の塊などの切除に関する投稿
脂漏性角化症はありませんか?
色は褐色調ですが、黄色っぽいものから黒色調のものまでさまざまな濃さのものがあります。大きさは数mmから2~3cmくらいで、平坦なもの(老人性色素斑とも言われます)やわずかに盛り上がるものから突出したしこりになるもの(老人性疣贅やアクロコルドン)まであります。
写真は背中の脂漏性角化症で、茶褐色の小さな点々があります。(写真下方の左右にある濃い黒い点はホクロですから、脂漏性角化症とは全く違います)
良性ですから放っておいても問題はありません。アンチエイジングの観点から考えると、やはり肌老化を感じさせ、老けた印象で、決して若々しくありません。また、多発すると、自分でも見た目が気持ち良いものではないなと、思ってしまいます。
治療法の主体はレーザーで取ること。
小さく平坦、もしくは若干の盛り上がりのあるものは炭酸ガスレーザーによる除去が良いと思います。病変は皮膚のとても浅いところにあるので、除去しても正常な皮膚が再生するため、痕が残りません。ちなみにホクロはレーザーで除去しても、病変が深いので少なからず痕が残ります。
写真は除去後の同じ部位です。(ホクロは痕が残るので取らなかったケースです)治療直後ですが、若干の赤みがあります。少し擦り剥けた状態ですから、数日軟膏を塗布しておいていただければ綺麗に治ります。
麻酔は無しでも耐えられることが多いです。ご不安な方には麻酔クリームを塗布します。
他の治療法としては、大きいものは手術することもあります。また、液体窒素による凍結療法も行う施設があります。電気メスで焼く施設もあります。手術は別として、凍結療法や電気メス焼灼は脂漏性角化症の病変周囲にも損傷が広がることもあり、その結果、炎症後色素沈着という、治療後の数か月続くシミになったりするリスクが高くなると思います。炭酸ガスレーザーは周囲組織への影響を最大限抑えるように工夫されているので、最も愛護的な除去方法と思います。
下の写真は治療翌日です。治療部位が赤い点状に見えます。数日で治ってしまいますが、顔や首など、見える部位の場合は施術時期を考えた方が良いかと思います。
多発症例のレーザー治療
前述のとおり、大変優れた治療方法ですので、デメリットは少ないです。ぜひとも治療されることを希望します。下の写真は頸部の脂漏性角化症、アクロコルドンと呼ばれるものやスキンタッグ、軟性線維腫といった首のイボです。左は治療前、右は治療後1週間目です。とてもきれいになっていますし、清潔感と若々しさが戻った印象です。
・治療は麻酔をしなかったので、若干の痛みがあること。
・沢山の個数を治療すると時間がかかり、痛みと焦げ臭い匂いで少しつらいこと。
・手間をかけて治療した分、大変エクセレントな結果になること。
当院での工夫
上記のような多発例には向きまんが、孤発例の治療では、拡大鏡(ダーモスコープ)をしようして、綺麗に取れているか確認しながら治療しています。
このように拡大鏡を使用すると、除去できているかよくわかるので、極力浅く最小の侵襲で治療することが可能です。また、逆に取り残しの可能性も少なくなります。
首にできる多発するイボや、上の写真のようなレジャーで良く日焼けする中高年の顔のシミやイボは、脂漏性角化症であることが多いです。綺麗に治療できる可能性が大きいので相談にいらしてください。
岐阜市薮田南3-7-7 形成外科・美容外科ぎふスキンケアクリニック 脂漏性角化症、老人性イボ、首のイボ、炭酸ガスレーザーによる除去に関する投稿
見た目にわかる「できもの」には、幾つもの種類があります。とても多く見られるのは皮膚内にできる粉瘤です。小さいものはよく「脂肪の塊」と言われれますが、粉瘤の中身は粥状物ですから、脂肪の塊ではありません。
脂肪腫というできものがあります。これは皮膚の下や、筋肉の中にできる良性の腫瘍です。正常な脂肪細胞が、大きくなっておできになります。本当の脂肪の塊です。全身どこにでも出来うるものです。
ガングリオンや滑液包炎は関節部にできるもで、別項で紹介する予定に致します。
さて、脂肪腫ですが、CTや超音波検査などで診断がつきますが、触診でも十分わかります。以下に粉瘤と脂肪腫の違いをまとめました。
1)見た目
粉瘤は皮膚の浅いところにできやすいので、皮膚を透かして青っぽく見えたりしますが、脂肪腫は表皮や真皮には異常がないのでただ皮膚が盛り上がっているだけです。
2)触った感じ
粉瘤は弾力が強く、固いことが多いのですが、脂肪腫は弾力はありますが、柔らかいです。
3)つまんだ感じ
粉瘤はつまみ上げると皮膚とくっついた感じで持ち上がります。皮膚の下とはくっついていない感じです。脂肪腫は皮膚とくっついた感じではなく、その下にある感じがわかります。同様に皮膚の下とはくっつている感じはしません。
4)放置した場合
粉瘤は良く細菌による感染を起こします。脂肪腫は感染は少ないです。いづれも増大してくることはよくあります。
5)治療方法
摘出が唯一の治療です。粉瘤はporeと呼ばれる皮膚を含めて切除摘出しますが、脂肪腫は皮膚は切開のみで摘出します。粉瘤にはくり抜き法といって、皮膚パンチで小さな穴をあけて袋を取り出す方法がありますが、脂肪腫にも小さな穴から脂肪吸引を行って脂肪腫を縮小させて取り出す方法があります。
脂肪腫が多発する場合があります。小さいものが腕などに多発して、時に痛みを感じることもあります。これらは血管脂肪腫と呼ばれています。
写真は血管脂肪腫ですが、このように黄色い脂肪の腫瘍を取り出すことができます。
こちらは粉瘤(アテローム)を取り出しているところです。同じ「脂肪の塊」と思っていた方もおられると思いますが、全く違うものです。