ニベアは油分が非常に多くて肌表面の保湿機能が高いので乾燥肌におススメ、また髭剃りで荒れた肌に美容液を加えそれを閉じ込める役割があるのでした。
逆にオイリー肌で皮脂の分泌が十分な方はお風呂上がりに非常に薄く塗るか全く塗らなくても大丈夫です。ただし、オイリー肌でも洗顔後は皮脂膜がなくなるので美容成分が肌に浸透しやすく化粧水を使う方は多いと思います。
その場合は成分を肌に閉じ込める、蓋をする意味でニベアクリームを薄く塗ると良いです。
さて、ニベアクリームについて調べるとどこでも「保湿効果が高い」と書かれていますが、具体的にどのような保湿機能なのかご存知でしょうか。
今回は保湿を2種類の成分から考え、疑問に思ったことをニベアの製造元である花王さんに聞いてみたQ&Aと、化粧品とニベアの効果的な使い方をみていきます。
角質層の外・中で活躍する成分
ニベアの保湿成分
ニベアクリームの成分の中で水分をしっかりとつかんで肌で保水の役割をするものは何かご存知でしょうか。
それはグリセリンです。
ニベアの主成分はミネラルオイルやワセリンなどの油性物質で皮脂膜の代わりをしてくれます。しかしこれら成分には肌に蓋をする役目はあっても保水の機能はありません。
その点グリセリンはとても保水に優れた高アルコールで、精製水を除けば3番目に含有量が多くがっちりと水分を掴み保湿クリームとしての働きをします。グリセリンが配合されているからこそニベアは保湿力が高いと言えます。
ニベアには配合されていない保湿成分
保湿成分はなにもグリセリンだけではありません。
最近の研究では、保湿のためには油分で肌に蓋をすれば良いだけでなく、皮膚(角質層)内部の水分保持を正しく行われている必要があると言われています。
角質層は表皮の中でも一番外側にある約0.02mmの薄さで約20の層があり、この中で水分とそれに結合する脂質がバランスを取ることで肌のバリアを作り、同時にハリが良くなりみずみずしいものになります。
そして今日テレビや雑誌でもよく目にするように、角質層での水分保持に欠かせない脂質、特にその主成分であるセラミドに注目が集まっています。
しかし残念ながらニベアにはセラミドは配合されておらず、別途他の化粧品で補充する必要があります。
ところでグリセリンとセラミドの違いは?
ニベアに配合されているグリセリン、配合されていないけど最近注目されているセラミド、どちらも保湿能力が高いことはわかりましたが一体何が違うのでしょうか。
今回はこの違いについて花王株式会社の生活者コミュニケーションセンターに電話で問い合わせをしてみました。
ニベアに配合されているグリセリンと、保湿機能が高いと言われているセラミドの違いは何ですか?
A:グリセリンは多価アルコールの一種で分子が大きいので角質内に浸透せずに肌表面で保湿効果を発揮します。
吸湿性が高いのがグリセリンのいいところでもありますが、逆に水分であれば何でも掴んでしまうのでむやみに使用すると肌が本来持っている水分も奪ってしまいます。グリセリンは水溶性なのでニベアほか多くの保湿化粧品で使用されています。
ニベアを使用した時の作用としてはミネラルオイルやワセリンなどの膜の下で水分保持をして皮膚表面に密接します。
一方セラミドは水には溶けないため化粧品に配合するのが非常に難しい成分で、抽出も難しいのでこれが配合されている化粧品は商品として売り出す時には高価になります。
このデメリットを解消するために植物性セラミドや動物から抽出した天然セラミド、つまり疑似ヒト型セラミドを生成して配合しております。
セラミドの効果としましては角質層内の細胞間脂質として水分を強固に掴んでラメラ構造を整えます。保持力はグリセリンよりも強いので乾燥肌やそれで起こるトラブルに悩む方に効果的です。
いただいた回答から、グリセリンは肌表面外側で保湿をし、セラミンは角質層内の保湿をするという具合です。簡単に言うと肌の外か内が大きな違いです。
グリセリンが肌表面で保湿すると
皮膚の表面で保湿できると何が良いのでしょうか。一般的なイメージでは肌内部の保湿をしっかりと行うことでハリがある肌になれる感じがします。つまりセラミンの方が保湿にとって重要だと感じます。
しかし、肌の外側で保湿を行うグリセリンも美しい肌を保つために大切な仕事をします。
「肌理(キメ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「肌理が整っている」「綺麗な肌理になりたい」と言った具合に、肌の美容を考える上では避けては通れないものです。
また女性の方は肌理の状態次第で化粧の乗りが大きく変わります。当然肌理が整っている方が乗りが良くなります。
肌理とは肌表面の三角形の皮丘とそれ同士の間にある皮溝でできた模様のことを言います。
皮丘が小さくて皮溝が細い、それらの状態で規則正しく並んでいる形がいわゆる「肌理が細かく整っている」と言います。
ただ単に皮丘が細いだけではかえって皮溝をしまいます。この皮丘一つがふっくらとして丸みを持っている形が健康的な理想の肌理の状態です。
皮丘、皮溝をしっかりとした形にするためには「保湿」が重要になります。
では皮丘に水分を与えるためにはどうすればいいかというとグリセリンのように保水機能が高い成分を使用することです。さきほどのQ&Aにもあった通りグリセリンは肌内部には浸透しないため表面で水分を抱え作用します。
水分保持したグリセリンがただ表面にあるだけではいずれ乾燥してしまいその効果はなくなりますが、ニベアでは多くの油性分で膜を作るため作用が持続します。
このようにしてグリセリンは肌表面で保湿を行い、肌理が整・細かくなるよう頑張ってくれるのです。
セラミドの効果とは
グリセリンが皮膚表面で保湿をする一方、セラミドは肌内の角質層でそれをします。
こちらは角質層を拡大して角質細胞、細胞間脂質、水分を表したものです。角質層では細胞間で画像のように「脂質・水・脂質」という形にサンドイッチ状態になっています(ラメラ構造)。
角質細胞間の水分は15%前後存在しており、これを守るための細胞間脂質があります。脂質の主な成分は以下の通りです。
- セラミド:40~50%
- コレステロールエステル:約15%
- 脂肪酸:約20%
- コレステロール:約5%
ご覧のように水分をしっかりと掴んで保持する役割を持つセラミドの割合が半分にも及びます。セラミドの量が減ってしまうと角質層内の水分保持ができなくなり角質細胞やラメラ構造が乱れて肌荒れになります。
先ほど紹介した肌理の美しさは内部の水分量も関わりがあるため、水分と細胞間脂質はそれほどに重要な役割を果たしているのです。
角質層の乾燥、それによる乱れは色々なトラブルのもとになりますので心当たりがある方は一度セラミドでの保湿を意識してみてはいかがでしょうか。
逆に水分、ラメラ構造が正しく保てていると肌にハリや潤いが出来てもっちりとした美肌を手に入れられます。
外側と内側の保湿
グリセリンとセラミドの違いを簡単にまとめると
- グリセリン:肌表面を保湿して肌理の美しさに
- セラミド:肌内部の保湿をして乾燥その他のトラブルを予防、ハリ・潤いを保つ
といった形です。あくまでも成分の一部なのでこの2つだけで必ず保湿が出来るわけではありませんが、肌の水分を保つために有効な成分であることは間違いありません(ただしグリセリン単体を過剰に塗布すると肌が本来持っている水分まで吸い取ることがります)。
乾燥肌でカサカサに悩む方はセラミド配合の化粧品+ニベアで外から内から保湿すると効果が出るかもしれませんので一度試してみてください。
ニベアと他の化粧品を一緒に使っても大丈夫?
ニベアと他のセラミド配合化粧品を一緒に使っても問題ないですか?
A:はい、問題ありません。
基本的に弊社(花王)の商品同士を使用しても問題ないよう製造されております。また、たとえ弊社商品と他社さんの商品を同時に使っても、化粧品レベルでは成分が混ざり合ってトラブルになると言うことはほとんどないと考えております。
したがいまして本来の用途である限りご安心して使っていただいて大丈夫です。
お持ちの化粧品とニベアは合わせても全く問題ないようです。
普段化粧水、乳液を使っておられる方は最後に皮脂膜代わりにニベアを塗布してそれらの成分を閉じ込める使い方をしてもOKです。
ただ一つ注意しておくと、セラミドの性質上それを配合している化粧品のほとんどは乳液ですが同時に油分も含んでおり「蓋をする」機能も兼ね揃えているものが多いです。なのでよほど乾燥肌でない限りセラミド配合乳液+ニベアで合わせる必要はありません。
乾燥しやすい季節にはそれら2つを使って保湿するといいでしょう。
セラミド配合乳液にグリセリンも入っているかどうかはわかりません。お使いの化粧品の成分一覧で有無を確認してください。
保湿をニベアだけに頼ってもいいか
ニベアだけで保湿は十分できますか?
A:ニベアの商品コンセプトは高レベルな美容を目指すと言うよりも幅広く多くの方にお使いいただける形で製造しております。それこそ乳児からご高齢の方まで使っていただける商品です。
そのため特定の美容(例えばハリを出すことに注力するなど)のみを目的にするのは少し商品のコンセプトとずれます。
成分上保湿の効果が高いのは確かですが全てのタイプの乾燥に対応できるかというとそうではありません。その人が必要とする効果があるならそれに特化した商品を使いケアし、そのサポートという形で使用していただくのがよろしいかと思います。
グリセリンのところでお伝えしたようにニベアは表面の保湿、皮脂膜代わりの機能に優れています。
乾燥の原因がそこにある方にとってはニベア一つで改善しそうですが他の要因で乾燥している方はこれだけでは不十分と言えます。
ニベアの正しい使い方
ニベアは化粧水、乳液使用後につけた方がいいですか?
A:はい、使用の順序としては最後に使っていただくのが適切です。
ニベアの成分自体油分がかなり多く皮脂膜の代わりとして機能します。最初にニベアを肌に広げてしまうと化粧水の成分を弾いてしまうので十分に皮膚に届きません。
最後に使用することでそれまでの化粧品の効果を最大限に高めます。
普段から化粧水、乳液を使用されえいる方は最後にニベアを使うとより効果が出ると言うことです。
これは実践されている方は多いと思いますが、特に順序を気にせず使っているかたはこの通りケアしてみましょう。
以上、花王さんに問い合わせをしていただいたお答えです。
一つ一つ非常に丁寧に答えていただいたので難しい内容もしっかりと理解できました。
余談:セラミドのあれこれ
ちなみに花王さんのセラミド配合商品では疑似セラミドとして人工のものを使用することで浸透性を高く、コストを低くしておられるようです。
例えば角質層の保湿に特化した「キュレル」と言う商品では疑似セラミドとして「ヘキサデシロキシPGヒドロキシエチルヘキサデカナミド」や「長鎖二塩基酸ビス3-メトキシプロピルアミド」が使用されています。
名前は覚える必要がありませんが、各化粧品会社ではこのように高浸透・低コストを実現するために人工セラミドを開発して配合しているものがあります。
ナノテクノロジーで有名な富士フィルムでも「ヒト型ナノセラミド」としてジェリーアクアリスタなどの商品に配合しています(この商品のセラミドや他の成分は非常に優れているのでお値段も高いです)。
各社のセラミドの名前は色々なのでどれがそれに当たるのかわからないことが多いです。
ただヒト型セラミド(ヒトが本来持つセラミドと非常に近い構造を持つセラミドで別名バイオセラミド)に関していえば、成分一覧ではセラミド2、セラミド3と言った形で1~6までの数字が付きます。
それぞれの違いを簡単に紹介しておきます。
- セラミド1:外の菌や刺激に対してのバリア生成
- セラミド2:水分保持
- セラミド3:水分保持とシワの抑制
- セラミド4・5:角質層の脂質バリア層を作り、保持
- セラミド6・6Ⅱ:水分保持とターンオーバー促進
セラミド配合化粧品の中でも大変よく使われるのがセラミド3でその力も強いです。
ニベアクリームの保湿効果についてのまとめ
ニベアに配合されているグリセリンは肌表面の保湿をして皮丘、皮溝を規則正しくして肌理を整える効果があります。
一方肌内部で保湿効果があるセラミドは細胞間脂質であり角質層内の水分をがっちりと掴んで離さないので、「脂質・水・脂質」のサンドイッチ型であるラメラ構造を保ちます。これによって肌のハリや潤いが出ます。
ニベア自体は油分を多く含み外側の保湿に優れていますがすべての乾燥をケアできるわけではありません。
グリセリンを含むニベアとセラミドを含む化粧品を同時に使用して外側・内側から保湿することに問題はありませんが、順序としてはニベアは最後塗るのが適切です。
化粧水、乳液を使っているけどもそれでも感想が気になる方、さらに成分の効果を出したい方はこのようにニベアを使用して美容を楽しみましょう。