納車時から自分仕様で乗れるパッケージ

ジープ ラングラー アンリミテッド タイガーパッケージ (WRANGLER UNLIMITED Tiger Package) vol.1

オーナーの果てしない欲望を高い次元で満足させる

新車時からカスタムジープに乗れるというコンセプトのパッケージモデル・タイガーパッケージは、オンリーワン的な満足感とともに、そのままの状態でディーラー整備が受けられるという、オーナーの欲望を高い次元で満足させてくれるのである。

更新日:2015.03.10文/石山英次 写真/古閑章郎

4ドアモデル登場で劇的に変わった

 ラングラーと言えば、誰もが知るのは2ドア&ショートホイールベースのジープであるが、このラングラーの日本仕様が劇的に変わったが2007年。モデル初の4ドアモデル「ラングラー アンリミテッド」が登場した時だった。

 2ドアジープとBピラーまでのデザインは同じであるが、ホイールベースを520ミリ延長することで全長を拡大し、4ドアモデルを誕生させたのである。これにより後席のレッグスペースには余裕が生まれ、荷室も2ドアラングラーの倍以上の奥行きが確保されるようになったことで、乗車定員が2ドアの4名に対して、4ドアは5人に増え、加えてハードトップ仕様となったことで、実質ファミリーカーとしての機能をも持ち合わせることになったのである。

 この4ドアモデルの登場により、ラングラーの販売台数は劇的に増えた。極端な話、「販売台数の95%がアンリミテッド」と言っても過言ではない。すなわちそれは、ジープの一般化を待ち望んだユーザーが多かったということを示しているのである。

 このラングラー アンリミテッドは、2007年に登場し2012年に一度大きなマイナーチェンジを行っている。搭載エンジンとミッションの変更である。それまでの3.8リッターV6OHVから3.6リッターペンタスターV6DOHCに換装され、馬力が85psアップの284ps、最大トルク35.4kg-mを発生させるに至っている。同時にミッションが5速ATとなり、あまり知られていないが、ガソリンがそれまでのハイオクからレギュラー指定へと変更されているのである。
3インチリフトアップにて迫力が増しているにもかかわらず、走行性能が犠牲にならず、同社のノウハウを注ぎ込んだ足回りの完成度の高さに驚きを覚える。
タイガーパッケージの概略としては、2インチアップの「Aタイプ」、3インチアップの「Bタイプ」があり、取材した「Cタイプ」は「Bタイプ」をベースとし、よりハードな仕様としてカスタマイズが施されている。
具体的には35インチマッドテレーンタイヤが装着され、ステアリングダンパーが装備されるなど、走行性能向上とオフ性能アップが施される。
フロントマスクにAEV製ウインチバーが装備されたり、リアにデュアルマフラー装備されるなど、「Cタイプ」のパッケージパーツの他にいくつかのカスタムパーツが別途装着されており、同社のデモカーとしての役割を果たしている。
搭載されるエンジンは、3.6リッターペンタスターV6DOHC。284ps、最大トルク35.4kg-mを発生させ、5速ATと組み合わされている。ちなみにレギュラーガソリン指定である。
豪華で質感の高いインテリアでは決してないが、エクステリアや全体の雰囲気には非常にマッチしており、デザインに華を感じるのは嬉しい驚き。
アンリミテッドには、「スポーツ」と「サハラ」の2種類のグレードがあり、今回はサハラベースのデモカー。サハラのロゴがステッチされたシートは布地のスポーティなものとなる。

ミニやビートルといった個性豊かな輸入車と同様の華

 ラングラー アンリミテッドは、古典的なラダーフレームシャシーにサスペンションは前後リジッドのコイルスプリングを採用するのだが、意外にも車体の剛性は高く、路面からのショックが非常にマイルドになっているのが特徴的である。

 特にホイールベースが延びたことで直進安定性が高まっているということは言わずもがなだが、予想以上にシッカリした走りが得られるのには驚きすら感じるのである。また、車内は驚くほど静かであり、エンジン音、風切り音、ロードノイズがさほとんど気にならないのは新しい発見だった…。

 同時にインテリアが非常に特徴的であり、ミニやビートルといった個性豊かな輸入車と同様に華を感じさせる。直線基調の切り立ったダッシュボードにガラス面の狭いフロントウインドー、ところどころに見えるボディカラーと同色の鉄板、それに高そうには見えずとも、デザインされているインテリア各種のパーツ類。正直、四角四面の簡素かつ無愛想なインテリアが多いアメ車の中にあっては、かなり個性的と言えるだろうし、特別なクルマに乗っている感が伝わってくるのが嬉しい。

 とはいえ、日本仕様は右ハンドルだからペダル類やATシフトノブの操作に若干のクセがあり、リア後席の背もたれの角度がかなりせり立っているなど(それらが購入を諦めさせる理由にはまったくならないだろうだが)、オーナーとして受け入れなければならない特有の個性の持ち主であることも忘れてはならない。

 だが実際に走り出せば、ドライバーズシートからの視界はよく、ステアリングはほどほどに軽く、かなり運転しやすいことがすぐにわかる。これなら女性でも普通に運転できるだろうといったレベルだ。ただし、アンリミテッドの最小回転半径は7.1メートルもあるので、Uターン等の切り返しや駐車には注意が必要である。普段より一回多く切り返して済むレベルではあるが、これまで慣れていたクルマと動きが違うことは知っておく必要があるだろう。

必ず現れるカスタムしたい衝動

 こういったノーマル状態のラングラー アンリミテッドに興味を持ち、もしくは憧れていた方が実際にラングラー アンリミテッドを手にすると、必ずと言っていいほど感じるのが「なんかいじりたい」衝動である。「ちょっと個性出したいな」「人と違う風にしたい」というライトな欲求からはじまって「ホイールを変えたい」「普通と違うワイルドなイメージにしたい」とか「サスペンション変えたい」とか…。だが「何か変えればディーラーで面倒見てもらえないからね~」と諦めていた方も多いのでは?

 最近、どのメーカーにおいても「ストップ・ザ・カスタマイズ」的な指令は顕著であり、だからこそ「ディーラー車=大人しい」というイメージを持たれている方が多いというし、面白みの面で他車に向かわれた方も実際に多い。

 そんななかラングラー アンリミテッドの魅力を一段も二段も引き上げたタイガーパッケージに出くわした。このタイガーパッケージは、「新車から乗るカスタムジープ」をコンセプトに新車販売時にすでにパッケージ化された「Aタイプ」「Bタイプ」「Cタイプ」から好みの状態を選ぶのだが(それぞれに装着内容&価格が変わる)、どのパッケージも車検対応であり、ディーラーにてメンテナンス等のサービスを普通に受けられるのが特徴である(その理由は後述します)。

 加えて、たとえば上記タイプ別のパーツ類を後日別々に装着するとなると、パーツ手配や工賃等で費用がかさむのが普通であるが、新車納車時にすべてのパーツを装着した状態で納車されるタイガーパッケージでは、納車時に好みの仕様で乗れるというメリットとともに、単純計算でタイプCをチョイスした場合と個別単体でそれらパーツを装着した場合とでは約41万円弱もの差が出るのである。

 今回取材した車両は、タイガーパッケージの「Cタイプ」。それに同社のカスタムパーツが別途装備されたデモカーとなる。2013年モデルのラングラー アンリミテッドサハラをベースに足回りを3インチリフトアップし、オリジナルの減衰力調整式ショックやコイルスプリングが装備された足回りにMKW製ホイールとBFグッドリッチ製35インチマッドテレーンタイヤ、LEDヘッドランプ、デュアルマフラー、AEV製ウインチバンパーなどがおごられた、オフスタイルが得られる仕様である。

 とはいえ、実際にオフに走りに行くための仕様(もちろん走れるが)というよりは、「他の方とは差別化したい。けどマッドテレーンはハズせない」というあくまで本格派スタイルを得たいという方々からの圧倒的支持が得られているという。
乗降時のサポート役として地味な役割を果たしてくれるグラブハンドル。地味であるがゆえに、純正パーツかと思うほど自然で、かつ必要不可欠なパーツでもあり、必需品とさえ断言できる。一度使えばわかるが、無いと不便極まりない。
ラングラーの弊害の一つであるペダル位置の違和感。ブレーキとアクセルペダルとの高低差を減少させるアクセルブラケットと左足をレストできる大型フットレストを独自装着。これはノーマル純正状態のネガティブ要素を解消する役割を果たすパーツである。
こちらはパッケージに含まれてはいないオリジナルパーツ。アンリミテッド用のリアシートリクライニングキット。リアシートの背もたれの位置を改善し、好みの位置に角度を変更できるスグレモノ。乗ればわかるが、純正車のリアシートはほぼ直立の角度で長時間移動には向いていないのだ。
こちらもパッケージ外のカスタムパーツ。リアシートユーザー用のモニター。シートに掛ける用と別途センターに鎮座するモニターと、あえて複数付けてデモ車として体感させるようにしている。
2~3インチアップ用として専用設計されたタイガーオートオリジナルの8段階減衰力調整ショック。リフトアップによる対策が施されており、また長年施工してきているノウハウを生かした精度の高い足回りが実現できる。
リフトアップされた足回りにMKW製7.5J×17+35インチのホイールとBFグッドリッチ35インチマッドテレーンタイヤが組み合わされる。

欲望を満たしつつ車検対応かつディーラー整備可能

 取材クルーを3人引き連れ試乗させてもらった。まず見慣れない乗降時のアシストバーを握り車内に乗り込む。3インチアップしているから一瞬乗り込むための儀式が必要になるが、このCタイプは難なく乗車可能。ちなみに、先ほどのアシストバーは、グラブハンドルというカスタムパーツであり、タイガーパッケージに組み込まれている(単純なパーツだが素晴らしく役立つ)。

 目線の高さが若干違うが、シート位置を調整し、いざスタート。走り出した瞬間からその差が歴然だった。まず、アクセルペダルが普通になっている。しかも左足のフットレストも増設されており、それだけでまったく違う印象になった。

 ラングラーは、アクセルペダルが奥まっており、足の短い、もしくは背の低い方(=女性とか)だと座席をずっと前位置に移動する必要があるのだが、それをすると当然ステアリングとの位置関係がおかしくなり、ひじょうに窮屈な思いをするのだが、それが個性&儀式的な要素として認識されている。

 だがこの車両にはそれがなく、まったく普通に運転できることに感心したとともに、これらパーツ装備しているタイガーパッケージ(もちろん単品装着も可)の優位性にも、一瞬にして心奪われたのであった。クルマを運転する以上、適切なドラポジで運転するのは至極当たり前のことである。そこを重んじるチューナーにいい加減な方はいないだろうと、誰もが思うはずだからである。

 同時に、リアにはシートリクライニングキットが装備されており、せりたち気味だったリアシートがリクライニングするようになり快適要素を増している。ここら辺のパーツは、ノーマル重視のオーナーでさえも食指を伸ばさずにはいられないはずだし、逆に積極的に装着してノーマルのネガティブ要素を消すべきである。

 実際に3インチリフトアップしたタイガーパッケージCタイプは、視界が広まったことでより一層運転しやすくなったとともに、3インチリフトアップ+マッドテレーンタイヤ装着といったネガをそれほど感じさせることなく街中を走りドライバーを満足させ、それは同時にオリジナルの減衰力調整式ショックとコイルスプリングの組み合わせが絶妙であるということを意味しているのである。

レンタカーサービスも好評

 加えてオンリーワン的なワイルドなイメージをもたらしてくれるとともに、そのままの状態でディーラー整備が受けられるという、オーナーの果てしない欲望を高い次元で満足させてくれるのである。

 ちなみにこの車両、タイガーオートにてレンタカーとして貸出されている。その理由としては、隣に営業マンが乗った状態で近所を数分試乗したところで、「緊張感もあり、大したことがわからないだろう」と想像したタイガーオート代表・山中哲治氏が新たに始めたサービスであり、ディーラー試乗では物足りないと感じる方々に非常に人気があるという。

 借りるにはレンタカーと同様の時間に応じた料金体系等の注意事項はあるものの、自分のリズムで試乗運転を楽しめ、同社のタイガーパッケージを直接肌で感じることができるというメリットもあり、ラングラー購入検討者のみならずタイガーパッケージ装着車の購入を検討しているユーザーには、非常に価値ある体験となるはずである。
見晴らし良く、最高に気持ちいい走りが可能となる。
デュアルマフラーが奏でる野太いサウンドも気分を高めてくれる。