ウェブブラウザのJavaScript(ジャバスクリプト)の設定が無効になっています。Javascriptが無効になっていると、サイト内の一部機能がご利用いただけません。 ジェノサイ小話つめつめ2015年12月30日 22:36[chapter:小ネタ]●人形ジェノスと先生 [jump:2] こんな二人の話。続かない人形ジェノス 自分の意志で動ける人形。ほぼ人間と同じに見えるくらいに精巧な作り。 西方のどこかで作られたが作られた理由がわからず自分探し中。サイタマ 西方との国境の高い山に住む世捨て人。若いのにどうしてそこにいるかは麓の村人も知らない。 時々ふもとにある村々の頼みを聞いて土木工事や獣退治の手伝いをしている。●髪があるけど白髪な先生 [jump:3]ぱぺ弟子:はげなまこは白いふさふさの毛で覆われているそうですよというぱぺ弟子のネタ振りに乗ってみた結果。続かない●にょたま先生とジェノスの小話2 [jump:4] 前の話からのぼんやりとした続き物機械の体でどうやっていちゃいちゃさせるか考えた結果。[newpage][chapter:人形ジェノスと先生] 何枚も屏風が重なるように連なる山々の麓に、いくつかの集落があった。 村に数人いる子供たちは、雨があがったあと、こっそりと大人たちの言いつけを破って高い山から流れてくる急流の横を歩いていた。 時折山から鉄砲水がくるかもしれないからと口を酸っぱくして言われていたが、子供たちはそれでも山を越えた先から流れてくる異国の物がないかを探しに、こっそりと山に登ってきていた。 「やーっぱり来てたか。」 上流に近いため大量に転がっているヒトよりも大きい岩の一つに座っていた男に、子供たちは隠し事が見つかってばつの悪い顔をした。 「今はまだ危ないからもう少ししてから来いよな。いきなり水が来るかもしれないだろう」 「だ、だってせんせー。雨が上がってすぐじゃないとお宝が無くなっちゃうよ」 「お宝ー?」 そうだよーお宝だよ-。 子供たちが次々とわめき、先生と呼ばれた男はあーうるせーと耳をふさぐようなそぶりを見せて岩から飛び降りた。 子供たちからすれば巨大すぎてとても上ることも降りることも出来ない岩から、表情も変えずに降りてくる男を、子供たちは内心尊敬していたが口には出さなかった。 「山の向こうから流れてくる変な物だよ。ほら、こんなの」 一人の子供が取り出した異国のおそらくは服の装飾品を、男はふーんと眺めて、 「西方にあるって言う国のもんだな。なるほどな」 男は頬を掻いてまいったなーと呟いたが、 「いいか、俺がたっている線から奥には行くなよ。助けてやれないから。」 「はーい」 子供たちは元気よく答え、わらわらと男の脇に集まってきた。 「なー先生。いつになったらうちの村に来る?父ちゃんが居てくれたらなーって言ってたよ」 「え、いや、それはほら。俺高いところの方が好きだからさ」 男は言いながら視線をそらした。 「あれ、せんせ-。なんか、浮いてるよ」 「なっ」 川を眺めていた子供の一人が指さした先を見て、男は思わず子供たちの視界を遮るように彼らの前に立った。 ちらりと見えたそれに、男は思い当たる節があった。当たってほしくはないが。 「ちょっと見てくるから、お前らここから動くなよ」 男はそういって川の中に入っていった。 「うわ、つめたっ」 当たり前のことだが、川の水はかなり冷たく、男は思わず呟いた。 それでもかまわずざぶざぶと進み、中州のわずかに木が生えている中に手を伸ばした。 ずるりと、人の手だけが藪から引っ張り出され、思わずうめく。 やはり、山の向こうから流れてきた死体だったか。 せめてあまり痛めないようにしてやろうと、男は枯れ枝をよけてのぞき込んだ。 「なんだ、これ」 目に飛び込んできたのは鮮やかな金色。 さらに目を向けると、それは人間のよう、ではあるが、少し、妙だった。見た目で言えば昔聞いた西方の国の人間のようだが、変わった形の服に身を包み、水に濡れて泥がついているが明るい金色の髪を持っている。 先ほど引っ張り出した腕の持ち主だろうか。それにしても何か様子がおかしい。 「・・・おい、大丈夫か」 思わず声をかける。 すると、それは小さく動き、ゆっくりと目を開いた。 「い、生きてるのか?」 髪と同じような色味の瞳がすうっと男をとらえる。 「・・・誰だ」 「あ、えーっと通りすがりのただの木こりだが・・・。これ、お前のか」 思わず手に持っていた腕を差し出すと、それはゆっくりと体を起こして腕を受け取り、そのまま空っぽの胴体にはめ込んだ。 「・・・助けてくれたことには礼を言おう。見ての通り、俺は自動人形と言われる物だ」 「ふーん・・・とりあえず、動けるならよかった。ほら、そんなとこにずっと浸かってたら寒いだろ」 「俺はヒトではないから寒さは感じない。」 「そうなのか。まあ、でも水の中にいるのはどっちにしろ嫌だろ」 ほら、手を出せ、と男に促され、青年-の人形はおそるおそるといった様子で手を伸ばした。 「どうした」 「水が胴の中に入ってうまく動けん」 「うげ、ちょっと待ってろ。今からだ引っ張るから」 男は重くなった人形の体を抱えると、人形の言葉通り大量の水が胴体から流れ出て行った。 「どうだ。動けそうか」 「・・・あ、ああ」 もはや全身が冷たい川の水で濡れた男を、人形は見つめる。 「なぜ、そうまでして助ける。気味の悪い人形ごときを」 「いや、そういわれても・・・普通助けるだろ」 男は特に大したことではないと、肩をすくめて人形を抱え上げた。 川岸では様子を見ていた子供たちがせんせーせんせーとおろおろと手を振っていた。 心配ないと手を振る男を、人形は不思議そうに見つめる。 「・・・せんせい、というのか」 「え、いや、違うぞ?ありゃ勝手にあいつらが呼んでるだけだって。」 「・・・ジェノス」 「は?あ、お前の名前か」 人形に視線を向けると、彼はゆっくりと首を縦に振った。 特に寒さを感じないと言っていたが、その動作は寒さに震える人間のそれに酷似していた。 「・・・おまえ・・・えーっと、じぇのす?大丈夫か本当に」 「・・・名前」 「は?」 「あなたの、なまえ」 うとうとと船をこぎそうな危うげな青年に、男はおい本当に大丈夫かともう一度声をかける。 「・・・サイタマだ。」 「・・・サイタマ・・・せんせい」 「いや、後ろのせんせいってのは余計だからって、おい?」 すーっと寝息を立てている人形を小脇に抱え、サイタマは川からあがる。 「せんせい。なにそれー?ヒト?」 「あー、まあな。うるさくするなよ。疲れているみたいだから」 医者に診せるのは・・・やめた方が良いか。 サイタマは村に帰るよう子供たちに言い、家のある森の中に入っていった。 「なーんか、変なの拾ったな-」----------長い間生きている人形と世捨て人な先生っておもしろいかなと思ったら話が進まない系だった、という・・・[newpage][chapter:髪があるけど白髪な先生] トレーニングを始めていつからだったか、髪に白いものが混じるようになった。若白髪というやつだろうと思っていたら、気づけば頭は全体が灰色になり、ある日目が覚めて鏡を見たら、完全に真っ白になっていた。頭が。もちろん心も。 ヒーロースーツを着ればなんと言うことかマントとフードをかぶったような不思議な格好、というか生まれた時代を間違えた十字軍とかの兵士みたいになり、普通の格好で歩けば老人と間違われて三度見される。 最近はきっと厳しいトレーニングをして力をつけた結果なんだと、思い込むようにしていたが、ジェノスの話だとそこまで大変でないトレーニングだったらしい。ならばどうしてこうなってしまったのか。 もはや仏にすがるしかない。神は何となく違う気がする。 ご飯にごま昆布を乗せ、味噌汁は増えるワカメを投入し、海苔と長芋の小鉢という髪に優しい朝ごはんを前に、サイタマは手を合わせた。 「いただきます」 「いただきます」 向かいに座るジェノスはもはや何も言わない。 サイボーグが目で感情を訴えるというのも変な話かもしれないが、ジェノスの場合はどうしたことか如実過ぎるくらいに目で色んな物を訴えてくる。 今も、あえて見ないが言いたいことは分かっている。 「海藻には髪の色を濃くすることも髪を増やすことも無いのですよなぜなら云々」と冷静に論文などを引用して説明を彼は一度している。してはいるがサイタマは俺の希望を取るのは止めろとジェノスの口に蓋をした。物理的に。 それ以降は表向きは協力的だった。表向きは。 「ご希望通り海藻をふんだんに使ったメニューにしてみましたが、どうですか」 「うまい」 こくこくと満足気に頷くサイタマにそうですか、とジェノスは答えた。 「変化は何か有りましたか」 「そんなすぐに結果が出る訳ないだろ」 サイタマの頭部を何かスキャンし始めた弟子を手で遮る。 「ですが、人の細胞の新陳代謝は大体一週間程度ですから、髪の成長もそれに合わせている場合、毛根に近い部分に変化があっても」 異常なし、とスキャンモードの音声が告げ、不思議ですね-とジェノスは白々しい口調で呟く。 「お、おまえは俺の髪になんか恨みでもあるのか」 サイタマは箸を握る手に力を入れないようにしながらふるふると震える。 この間も髪色が戻るシャンプーやらを買おうとして何か科学的な御託を並べ出して阻止した弟子を思い出し呻く。 ちなみに白髪戻しを買おうとしたときも「先生は世間の目を気にして髪の色を染めるのですか」と宣いやはり購入を阻止された。そういわれると何となく買うのを躊躇うのを知ってのことだった。本当に、腹が立つ。 「事実を言ったまでです。それに俺は先生の今の状態が良いです」 「何でだよ」 「綺麗だからです」 率直にバッサリと言われてサイタマは思わずうぐっと喉を詰まらせた。 「大丈夫ですか先生。流石に喉に物を詰まらせた場合は先生でも生死に関わると思いますよ」 口で言う割に大して心配してないのかジェノスは涼しい表情のままお茶を差し出す。 「おまえが変な事言うからだろ」 お茶を受け取りながらサイタマは非難がましく言い募る。 「?特に変な事を言ったとは思ってませんが」 なお悪い。間髪いれずに言いそうになり、サイタマは黙る。もし思わずツッコミを入れれば、またえらい長話を聞かされる事にのる。そして大体それは聞いている側が居たたまれなくなるような、場合によっては布団にもぐって耳を塞ぎたくなる様な内容である。 「先生は気にされていますが、戦っている時の先生の姿は荘厳ですらあり、その構成要素の一つとして」 「結局語るのか、ていうか長いだけじやなくて恥ずかしいわ。もうその話禁止!」 「そんな!まだ十分の一も説明していません!」 「うるさいそれ以上言ったらもう俺布団もぐるからな!退かないから!」 家事をする側からするとかなりの嫌がらせであるこの攻撃予告もしかし、ジェノスは大して打撃を受けなかったようで、それは困りましたねーと軽い調子で答えた。 「今日は天気が良いので先生の布団を干そうた思っていたのですが」 干した布団で寝たく無いのなら俺は構いませんが 「お、まえ、師匠を苛めて楽しいか!」 「とても胸が痛みます。ですから、そんな事させないでください。先生」 さわやかな笑顔で平然と言い切られ、サイタマは思わず黙り込む。 いかん、またいつものパターンだこれ。 ひとまずサイタマはもぐもぐとご飯をかき込み、味噌汁で流す。 「先生。かむ回数が足りません。もっとよくかまないと歯に良くないですよ」 「お前は母親か」 しかしやはり思わず声が出る。 「何とでも。先生のためなら何でも言います」 「・・・あ、そ」 結局言い負かされるんだよな。 サイタマは自分の頭の悪さを呪いながらごちそうさまと頭を下げた。---------------ノーマル先生バージョン。某喰種にいそう。ジェノスと並ぶと別の漫画になりそう。にょた先生バージョンでは弟子がかいがいしく髪の手入れをしてくれるけど割と燃やされてちりちりにされる。[newpage][chapter:にょたま先生とジェノスの小話2] ジェノスはまどろみから浮上した。 体の大部分は機械になっているから疲労は感じないが、脳はやはり休息を必要とする。故に数時間ほどノンレム睡眠をとる必要はあった。 一人旅をしていたときは脳の休息のため、基本的に2~3時間の休息だけで対応していたが、サイタマの下に弟子入りをしてからは、師が眠りについている間は布団に潜ることにしていた。そのせいか、機械の体になってから感じることの無かったまどろみを体験するようになっていた。 浅い眠りは夢を見るから好まないのだが、廊下に座り込んで休息をとろうとした自分を哀れんだのか、サイタマは予備の布団を自分の横に引いてちゃんと横になって眠る様に厳命したため隣で寝る事を許されている。 周囲に異常は無い。 視界には応急修理した天井が見える。 センサー類はサイタマが眠っている事を示しており、安定した寝息が聞こえてくる。 どうして目が覚めたのか、ジェノスは不思議に思い、体を起こした。途端に足首付近に激痛が走り、思わず口を押さえた。横目で師の様子を伺い、まだ眠っている事を確認して、息をつく。 痛覚など機械の体になると同時に捨てたはず。それでも、痛みは足から伝わってくる。 「・・・具合でも悪いか」 「っ・・・先生。すみません、起こしてしまって」 さっきまで寝ていたはずだったサイタマは、もぞもぞと起き上がって、大きくのびをする。 目をこすり、寝ぼけた目であるが、声に寝ぼけた様子はない。 「歯食いしばってるぞ。ほら、どこが痛いんだ?」 見せてみろ ジェノスの体を気遣ってはいるものの有無は言わせない程度に力を入れ、サイタマはジェノスを自分の方に向かせる。 「痛覚はありません。これは所謂錯覚のようなもので・・・」 言いつのるジェノスの声を右から左に流し、サイタマは布団をめくってジェノスの足を引っ張り出す。 当然機械の足は人のような怪我の形跡はなく、ジェノスは息をついた。 「・・・先生は、幻肢病を知っていますか」 「知らない。何それ」 痛みが続いているのか、ジェノスは若干こわばった表情でサイタマに向き直って正座をした。 「おい、もっと楽な姿勢になった方がいいだろ」 「いえ、これは錯覚ですから」 ジェノスは小さく息を吸って目を閉じた。 「・・・事故などで四肢を切除した患者に現れるもので、脳の錯覚により無くなったはずのの部位に対して痛みやかゆみを感じると訴えることを言います。あくまでも脳の方に問題があるため、当然ですが痛み止めなどの対応は効果がないと言われています」 「ふーん・・・脳が生身の足があると勘違いして痛みを感じてるのか」 「俺の場合はそんなところです。博士にも言われましたが、体すべてをサイボーグ化する場合、脳と肉体の間に乖離が生じやすく、こういう事が起こるだろうとは言われていました。」 それ故に博士は何度もサイボーグかをあきらめさせようとしたのだが。 ジェノスは頭の中でだけ言葉を続けた。 「ん、じゃあいったいどうやって治すんだ?」 「そうですね、一般的に行われているのは別の人間の足などを自分の足と誤認識させて、脳の錯覚している状態を修正するとかそういう事をするそうです。もっとも、俺にはこれは使えませんが」 ジェノスは大きく息を吐き、立ち上がった。 「どうしたジェノス」 「先生にご迷惑をおかけしてしまいますので、少し、落ち着くまで外を回ってきます」 「え、だってお前、今何時だと思ってるんだ」 2時だぞ夜中の。 「ええ、大丈夫です。だいたい1時間もすれば落ち着くはずなので」 「いや、ちょっと待ったジェノス君。俺の前に座りなさい。おい、ちょっと!」 サイタマの声に応えず、ジェノスは飛ぶように外に飛び出していった。 残されたサイタマはとりあえず立ち上がり、少し考えてまた布団の上に座り込んだ。 何処に行ったかわからない以上、ジェノスの言った通り帰ってくるのを待ったほうが良い、だろう。 自分の身を守ることは出来るし、情け無い話だが自分よりもしっかりしている。 カチカチと時計の秒針が動く音がやけに耳についた 痛い。苦しい。 一人で居るときもまれにこんな事が起きることはあった。 今までは一人だったから、この状態をやり過ごすことで対処してきたが、この状態を師に見せることはジェノスには抵抗があった。 あまりにも情けない。 空気を求める肺など無いのに、無意識に荒くなる呼吸を落ち着かせるために喉を押さえる。 子供が、泣いているような無様な姿だ。 店主の居なくなった店の、まだ割られていないショーウィンドウに移る自分の姿を見て、思わず罵声が口から出る。 神経の通っていない指先がひんやりと冷たい金属の喉の質感を知覚する。 違う。これは知覚した感覚ではない。ただの錯覚だ。 思わず喉を押さえていた手に力が入り、みしっと自分の首がきしむ音がする。 博士にも、サイタマにも言っていないが、ジェノスの痛みを知覚するという症状はさらに段階を進んだのか、あるいは、数年かけて脳が何かしら変化をしたのか、ジェノスは博士が考えているよりも多くの知覚情報を機械化した四肢から感じ取れるようになっていた。 気づいたのは、サイタマの家に寝泊まりするようになって数日たった時だった。 「悪いな、掃除手伝わせて」 「いえ、お手を煩わせてしまってすみません」 ジェノスの荷物を入れるために、サイタマは部屋の中の荷物の整理して彼の収納スペースを用意していた。 「でもさー、ここゴーストタウンなんだし、わざわざこんな狭い部屋に一緒に住まなくても、隣の部屋とか借りればいいんじゃないか」 「それでは先生の側にいられません」 「え、うん、だから居なくていいって言うか」 何か違うんだけど。 サイタマの言葉に、ジェノスは首をかしげた。 「弟子が師匠の身の回りの世話をするのは当然です。先生の強さの秘密はきっと先生自身が無意識に行ってきたことも関わっているはずです。それを解き明かしたいのです」 「う、うーん・・・うん?」 サイタマは少し考えた末、ぺしっと自分の頭をたたいて掃除を再開した。どうやら深く考えるのはやめたらしい。 「よっしと、こんなところか。そんじゃ、クローゼットの上3段はお前のものを入れていいから」 「すみません、先生」 「ま、ゴミとか処分必要だったしな」 雑誌やよれた服をゴミ袋に放り込みながらサイタマはひらひらと手を振る。ジェノスは後で分別し直そうと密かにやることリストに追加した。 「…にしても、随分荷物あるな」 「はい、簡単なメンテナンスは自分でしているので、工具がどうしても欠かせないんです。それと替えのパーツですね」 こんな風に。とリュックから引っ張り出した箱を開け、ジェノスは指のパーツの一つをサイタマに見せる。 「おーホントだ。これは小指かな」 ジェノスの手を掴んで交互に見つめ、サイタマは言う。 「はい、これは左手用にストックしているやつです」 「ふーん。」 サイタマは掴んでいたジェノスの手の指を見つめる。 「ジェノスの手って結構あったかいんだな」 焼却砲のせい?サイタマは首をひねってジェノスの金属の手を触る。 「そうですか?…確かに今の体表温度は35℃程ですから平均的な人間の体温に近いですね」 ジェノスは、無意識に自分の指を触るサイタマの手を取って体温を測る。 「先生の体温は36.66℃ですね。高温k」 「俺のは良いの。てかなんで婦人体温計表記なんだよ」 ぺしっと小突かれジェノスは衝撃でウッと呻く。 「すみません。先生の手が温かったのでつい」 「なんだそれ。あ、あと30分で掃除終わらせないと、タイムセール間に合わないじゃん。ジェノスそっちは自分で何とかしろ。まだ台所が終わってない」 ジェノスの後ろの隙間を通り、台所に入ったサイタマを見やり、ジェノスはふと先ほどサイタマが触れた指先に残る温もりに気付いた。 すうっともとの温度に戻るのをセンサーで認識しながら、思わず左手でサイタマが触れたところをなぞる。 別に何も感じない。 気のせい…か?それにしても。 「ジェノス。出掛けられか」 「え、あ、はい」 「どうした?ぼーっと突っ立って。」 「いえ、ちょっとパーツのつなぎ目が緩んでいたように見えたので」 「え、大丈夫か」 大丈夫と言おうし、ジェノスはふと思いついて右の指先の第二関節を指す。 「この辺なんですが、分かりますか。」 「んー?」 サイタマは首をかしげる。 「全然分からん。」 「先生なら触ればわかると思いますよ」 「えー、なんか更に悪くしそうだな」 「大丈夫ですって」 サイタマは壊れ物を扱うようにおっかなびっくり手を伸ばし、ジェノスの右の人差し指の第二関節に触れる。 「…っ」 人の手の温度と生身の体の柔らかな感触が確かにジェノスの指に伝わる。 わずかにジェノスは息を吸い込む。 「え、どうしたジェノス。今のヤバかったか?」 「…いえ、何でもありません。」 「調子悪いなら買い出しは俺だけで行ったほうが良いな。留守番しててくれ。」 「いえ、大丈夫ですよ。お手伝いします。」 ジェノスは無意識に手に残った皮膚の感触が消えないようにぐっと手を握りこんでサイタマの後を追った。 夜が明けたら博士のところに行かなくては。 自分の症状を自覚した日以降、ジェノスは博士に相談しないでいた。もしこの症状が問題のあるものだった場合、直す必要があるのだろう。 今までならば悩むことなく修理をしていたはずだ。 ぐっと、ジェノスは拳を握り込む。 ふらりと目に入ったうち捨てられた公園に立ち入り、まだ壊れていないベンチに座り込む。 頭を抱えて地面を見つめ、痛みが引くのを待った。 こんなに長引くのは初めてだ。 痛みを取り除けば、きっと師の手の温かさを感じることはなくなるだろう。それが、いやだと自覚できるほどにはあの人に甘えていた。 あの人の温かさを感じないで、生きられるだろうか。 考えごとをしていたせいか、ジェノスは近づいてくる生体反応に気づくのが遅れた。義眼のセンサーの警告で初めて気付いたジェノスは慌てて立ち上がり、反応のする方に目を向けた。 「おーいたいた。こんなところまでふらついてたのか。」 「…せ、先生…、どうして」 「どうしてって、具合悪いのに出て行ったから探しに来たんだぞ」 「そんな…こんな時間にそのような格好で出歩いては風邪を引いてしまいます。」 パジャマに上着なども特にかけないまま、サンダルをつっかけて来たのか、サイタマは小さくくしゃみをした。 「先生は先に帰っていてください。俺は大丈夫ですから」 「椅子にへたり込んでいる奴に言われてもな。まだ痛いんだろ」 「これ以上、先生に迷惑は」 コツンと指先で額を小突かれ、ジェノスは後ろに仰け反る。 「そんなに俺は頼りにならないか?」 「そ、そんな!先生ほど頼りになる方はいません」 話が長くなりそうと判断し、サイタマは先に手で弟子を制する。 「じゃ、少し静かにしてろ。」 サイタマは言いながらジェノスを軽々と抱えあげた。 「せ、先生、自分で歩けますから」 「はいはい」 ジェノスの抗議を受け流し、サイタマはスタスタと歩き出した。 家に入り、サイタマはジェノスを降ろした。 「すみません、先生」 しょんぼり、としか言いようのない顔でジェノスは項垂れる。 「あんまり根詰めるなよ。もう少し肩の力抜いて楽にしろって」 布団の上に座りサイタマはちょいちょいとジェノスを手招きする。 「ほら、痛いとこ見せてみろ」 「?こうですか」 サイタマの横に座り、ジェノスは足を差し出す。 ズキズキと痛みを訴える足首を、サイタマの手が触れる。 じんわりと、足首に温もりを知覚し、ジェノスは困惑と驚きに呻いた。 「痛かったら、ちゃんと言えよ。」 「すみません。先生の手が温かくて」 すうっと息を吐き、ジェノスの眉間の強張りが解け、脈打つような痛みが徐々に引いてく。 サイタマは小さい子供にするように、ゆっくりとジェノスの足首を撫でる。 「・・・先生、ずっと黙っていたのですが、俺の体はあまり調子がよくない状態でした」 「そうなのか」 「はい、こうして、先生が触れていると、機械の体であるはずなのに、脳が錯覚を起こして、ぬくもりや、人の手の感触を知覚したと判断するんです」 「・・・それは、調子が悪いってことなのか?」 サイタマは首をかしげるが、ジェノスはうなずく。 「・・・余計な感覚は不要です。機械の体を手に入れ、痛みも疲れも捨てたのですから。ですから、明日、博士のところに行って直してもらいます」 「・・・いや、良いんじゃないのか。」 「なぜですか」 「えーっと、だって人間だろ、お前」 「それは、まあ、生身の一部はまだ残っていますから」 「それならさ、痛いのもあったかいのも感じるのは普通だろ」 サイタマはジェノスに目をやった。 「どうだ、痛いのは」 「・・・・・・ありません」 ジェノスはまじまじと自分の脚を見つめた。痛みは嘘のように消え、サイタマが触れていた部分はほんのりとぬくもりが残っていた。 「・・・ありがとうございます。先生」 布団に潜り込もうとするサイタマに声をかけると、サイタマはあーうーと何かうめいてそのまま布団に潜り込んだ。 時間はすでに3時を過ぎている。 このままだとサイタマは寝坊するだろう。 寝返りを打つ衣擦れの音が少し落ち着いた頃、サイタマが声をかけた。 「・・・博士のところ行くのか」 「・・・先生に迷惑はかけられませんから」 「・・・別に、痛くなったら俺に言えばいいだろ」 背中を向けているからジェノスの方からはサイタマの表情は見えない。少し考えて、ジェノスは布団に潜り込みながら、サイタマの背中に声をかけた。 「手が、痛いんです」 反応はないと、思っているともぞもぞと布団が動いて隣の布団から手が伸びてきた。頭の先まで布団をかぶっているのか、顔は全く見えないが、ジェノスはそっとその手を握りしめる。 「おやすみなさい、先生」 眠りに落ちるジェノスの手はサイタマの手のぬくもりを感じていた。 サイタマは、眠るジェノスをそっと布団の隙間から見つめ、しっかりと握り込まれた手に目を向けた。 気のせいか、今まで見た時よりも緊張がほぐれた寝顔で、サイタマはまあいいかと考え直した。 「おやすみ」 サイタマは眠るジェノスに返事をして目を閉じた。------------割とありきたりネタで申し訳なく。でも幻肢病はやりたかった。うちの先生はきっと保護者感覚でジェノスを扱っている。以降ジェノスは隙あらば先生に頭が痛いとか手を包丁で切ったとか油が跳ねて痛いとかでスキンシップを図るようになりますはい。