治療が必要なワキガではないのに、そう思い込んでいる人がたくさんいます。「汗の量が多い気かする」とか、「体臭がある」というだけで治療・手術を受けようとする人もいます。
体臭が深刻なコンプレックスになりやすいことは事実ですが、ワキに汗をかく人、体臭がある人がすべて腋臭(ワキガ)症というワケではありません。実際、診察を受けてみると、「単に汗の量が多い」だけだったりすることも。
では、どうすればワキガかどうか判断できるのか?そこで、これから『今すぐわかる ワキガ・チェックポイント10』をご紹介しましょう。それぞれのポイント項目についても、詳しく解説しています。気になる人は早速、チェックしてみて下さいね。
1 アナタのワキガ度がわかるワキガ・チェックポイント10
本当に自分はワキガなのか。このことは他人に聞きにくいだけに、正しく判断するのは簡単ではありません。単に、自分のにおいを気にしすぎている方もいますし、本人が気にするほどひどいワキガではない方もいます。独特のにおいを知っていれば、嗅いだだけでも判断できますが、気にするあまりの思い過ごしということも少なくありません。
気になっている方は、ご自分でチェックしてみてください。
ワキガ・チェックポイント10
- 汗をかくと白い衣服や下着のワキの部分に黄色いシミがつくことがある
- 靴や靴下が強くにおう
- 緊張、興奮すると汗がたくさん出る
- よくワキの下に大量の汗をかく
- ワキ毛の量が多い
- 耳アカが湿っている
- 肉や乳製品を好んで多く食べる傾向がある
- 両親のいずれか、もしくは両親ともにワキガがある
- 自分で自分のワキの下のにおいが分かる、自分のにおいが分かる
- 体臭の強さを他人から指摘されたことがある
10のチェックポイントで、当てはまる数が多いほど「ワキガ」である可能性大。では次に、それぞれの項目についてご説明していきましょう。
ワキガ・チェックポイント解説
1.汗をかくと白い衣服や下着のワキの部分に黄色いシミがつくことがある
ワキガの人は、汗で下着を汚すことがあります。すぐに黄色い汗ジミができる人はワキガ体質の可能性が高いといえます。
エクリン腺から出る汗は、成分のほとんどが水のため色がつくことはありませんが、ワキの下のアポクリン腺から出る汗には糖質やタンパク質や鉄分、ピルビン酸、アンモニア、色素リポフスチン、糖質などさまざまな成分が含まれ、これが着色の原因となるのです。
とくに白い物を身に着けているとよく目立ちます。ただし、制汗剤などで色がつくこともあるので、注意が必要です。服や下着の黄ばみは、アポクリン腺の分泌が盛んな思春期に多い現象で、成人した人も若いころ、そういうことを経験したかが、一つの判定材料となります。
2.靴や靴下が強くにおう
足にも汗腺が多くあります。とくに靴を履いて汗をかくと蒸れやすく、においが分かりやすい状態になります。
3.緊張、興奮すると汗がたくさん出る
気温に関係なく、つねにワキが湿っている人。興奮したり緊張したりしたときにたくさん汗をかく人、さらに、その汗に粘り気があるようなら、可能性が大きいといえます。
4.よくワキの下に大量の汗をかく
アポクリン腺の汗は温度や精神状態に関係なく、つねに汗腺から分泌されます。ワキの下が湿りやすいという人はワキガの可能性があります。アポクリン腺の汗は温度や精神状態に関係なく、いつも汗腺から分泌されています。
5.ワキ毛の量が多い
アポクリン腺や皮脂腺は毛根部分にありますから、ワキ毛の多い人は可能性があります。ワキ毛が太い人、一つの毛穴から2~3本生えている人も要注意です。そこにアポクリン腺があることも考えられます。ただし、ワキ毛が多いからといって、アポクリン腺が多いとは限りません。
ワキ毛だけでなく、乳輪のまわりに毛が多いことも判断材料です。ここもアポクリン腺が存在する場所です。
6.耳アカが湿っている
ワキガ体臭の人は耳アカが湿っています。外耳道には普通の汗を出すエクリン腺がありませハ。それでも湿っているということは病気があるか、もしくはアポクリン腺(と似た汗腺)があるためです。耳にある、ということはワキの下にもアポクリン腺が多いと推測されます。
耳アカが乾いている人はにおいが少なく、反対に、耳アカに湿り気があり、粘り気がある人はワキガの可能性があります。とくにキャラメル状にベタベタしていて、自分でもにおいが気になるようでしたら、専門医に相談してはいかがでしょうか。
大人になってから急に耳アカが湿ってきた、ということがあれば、「外耳道炎」の可能性がありますから、診察を受けるべきです。
7.肉や乳製品を好んで多く食べる傾向がある
おススメするのは食物繊維やミネラルが豊富な海藻類です。とくに「メカブ」はフコイダンやアルギニン酸が多く含まれており、におい成分を体から出す働きが強いとされます。
8.両親のどちらかor両親ともにワキガがある
ワキガは親から子に遺伝しやすいため、両親のワキガの有無は一つの判断材料になります。親や兄弟、姉妹の耳アカが湿って柔らかいか、ということも参考にできます。
遺伝的な要素を知るのはよいのですが、そのことについて子どもが親を責めたり、規が子どもに負い目を感じたりして親子関係がギクシャクすることがあります。このようなことにならないよう注意が必要です。
9.自分で自分のワキの下のにおいが分かる
自分で自分のにおいが分かる、というのも判断材料になります。ただし、気にしすぎているため、過剰に敏感になっていることもあります。
10.体臭の強さを他人から指摘されたことがある
他人からの指摘ということで自己判断より客観性があり、正確なようですが、人間、誰しも多少のにおいがあるものです。たまたま大量に汗をかいたとか、前日、入浴していなかつたということかもしれません。
1回くらい指摘されたことを、あまり気にとめることはありません。気になるようでしたら、思い切って、親しい友人や家族に確認してもよいかもしれませんが、専門家である医師のアドバイスを受けることが、より適切な対処といえるでしょう。
ワキガの悩みは専門医に相談
先述のチェック項目で、「ワキガ」かどうかはある程度自分で判断できます。しかし正確に判断するなら専門医による医学的な診断が必要です。一人で悩みを抱え込んでいるより、一度、専門医に相談してはいかがでしょうか。ワキガの治療は、「皮膚科」「美容形成・形成外科」「美容整形・美容外科」で受けられます。
医療機関ではどのように「ワキガ診断」がされる?
医師がワキガを診断する方法として一般的な方法は、患者さんのワキの下にガーゼをはさみ、数分後、医師がにおいを唄いで判断するというものです。
医師だけでなく、看護師にも嗅いでもらい、確認するクリニックもあります。複数の人間が確認することで、患者さんに診断結果をより納得してもらうためです。患者さんのご家族も同行してもらうことを、すすめるところもあるようです。これらは「自臭(じしゅう)症」の人に対する配慮です。一人の医師の言葉だけでなく、複数の人の判断を聞くことで安心してもらうようにするのです。
診断の結果、たしかに腋臭(ワキガ)症だということになれば、程度に応じて対策、治療を行うことになります。
ワキガの治療は、主に
- 汗腺の働きを特殊な菌で抑える「ボトックス注射」
- 皮膚を切開しアポクリン腺を除去する「外科手術」
- 電気レーザーで毛穴にダメージを与える「電気凝固(ぎょうこ)法」など
- 最近は電磁波で毛穴にダメージを与える「マイクロ波治療」
などの方法もあるようです。
残念ながら、「飲み薬」や「塗り薬」だけでワキガを根本的に治療できる方法は、まだ確立されていません。さらに、ワキガ治療は「保険外診療」であるため、クリニックによって料金が異なります。
自分でできる基本のワキガ対策
ワキガの原因となる発汗そのものにおいをつくる細菌、ワキ毛に関する対策がいくつかあります。
基本のワキガ対策
- ワキの下の通気がよいものを着用する
- 汗をかいたら時間をおかずに拭き取る
- ワキの下を清潔に保つ
- ワキ毛の処理を行う
- 市販のデオドラント製品を適切に使用する
- 食生活を見直す
市販のデオドラント製品を使用するときに気をつけたいのは「過剰な殺菌」です。においのもとになる物質が皮膚の表面に存在する「常在菌」によって分解され、体臭が発生します。
では、常在菌を殺菌すればいいかというと、常在菌は必要性もあるのです。これらの菌がなくなると、悪玉菌やカビが棲みつくことになります。その結果、体臭がより強くなってしまうのです。
さらに「食生活の見直し」も不可欠。次の項目について心当たりはないか、チェックしてみてください。
食生活を見直すポイント
- 肉、乳製品の食べ過ぎはないか
- ケーキなどの甘い物なとりすぎていないか
- アルコールを飲みすぎていないか
- 辛い物なとりすぎていないか
- 野菜類が不足していなしか
- β-カロチン、ビタミンC・Eなどの抗酸化物質の摂取は足りているか
- 食物繊維が不足していないか
- 食べ過ぎていないか
肉類や乳製品、また乳製品を多く含む菓子類の過剰摂取は皮脂腺の活動を活性化してしまいます。また「過酸化脂質」をつくることで体臭がきつくなりがち。そして、これを防いでくれるのが「抗酸化物質」というものです。
理想的なのは、「昔ながらの日本の食文化」でしょう。言うまでもなく、これらの食習慣の見直しは全身の健康を維持するためにも役立つものですから、ぜひ実行するようにしてください。
日本人が陥りやすい「自己臭(じこしゅう)症」とは何か?
親しい友人や家族から「体がにおう」と言われたことがあるでしょうか。とくに多感な思春期にそのような体験をすると、かなり心が傷つくものです。
長い間悩み続けていると精神的ダメージになる
制汗スプレーを使ってみたり、風呂で念入りに体を洗ったりしているのに、
- 「においが薄まらないような気がする」
- 「生まれつき異常な体質なのではないか」
- 「このにおいのせいで人に嫌われてしまうのではないか」
と思える。そうやって長い間、悩み続けているうち、精神的にまいってしまうのです。
他人に、体臭や口臭について指摘されたことがきっかけとなり、そのことを強く意識するようになり、やがて話しているとき、
- 「相手がしかめ面をしたようだ」
- 「自分が近づいたら席を立たれた」
- 「いきなり窓を開けたのは臭いからではないか」
とか、偶然の出来事も、自分のにおいに結びつけてとらえてしまうようになるものです。
あまりに強くとらわれると妄想が生じて、本当は存在していないにおいを感じてしまう「幻嗅(げんきゅう)」が伴うこともあります,これが「自臭(じしゅう)症」です。「自己臭(じこしゅう)症」とか「自己臭恐怖症」ともいいます。
「多汗(たかん)恐怖」といって、緊張すると大量の汗が流れ、そのことに恐怖を感じる症状もあります。「汗が出ていないか」「汗を出してはいけない」と強く思うほど、かえって汗が出やすくなるのです。
自己臭恐怖や多汗恐怖などの対人恐怖には、「ヒポコンドリー性基調」という性格の傾向があります。「几帳面・潔癖・完璧主義」な人がなりやすく、日本人と多いとされます。
体臭、口臭は誰にでもあるものですが、自臭症の人は少しの臭いも許せなくなります。社会からの逃避現象が起こり、うつ病や引きこもりに至ることもある深刻な神経症です。
まずは専門医のカウンセリングを受けよう
自臭症の人はワキガの手術を受けたがることがあります。本当は治療の必要が無い人が手術を受けても、当然、何も変わりませんかち、「治療が失敗したのではないか」と思い込み、再び治療を受けようとすることにもなります。
そのため、ワキガの治療では、本当に治療を受ける必要があるのか、ワキガなのか診断してもらうこと、また必要であれば、その治療について、ていねいに説明を受けることが重要です。
思い過ごしということも少なくありませんが、もし自分のにおいが気になるのでしたら、専門医に相談されてはいかがでしょうか。もし体臭があるなら、それを軽視してならないのは、ときには病気のサインだからです。
体臭をともなう病気として代表的なのが「糖尿病」と「甲状腺機能亢進(こうしん)症」。ほかにも「パーキンソン氏病」や「中枢神経障害」などでも体臭が発生します。
神経症に至らない段階の悩みであれば、専門医に科学的、客観的に診断してもらうこと思い過ごしであることが分かれば、安心できるハズ。神経症に移行することを防ぐこともできるでしょう。
まとめ
ニオイだけでなく「汗」で悩んでいる人も、やはり専門医に相談することをおススメします。「汗」そのものに対する治療も受けられることはもちろん、ときには「糖尿病」などほかの病気の早期発見・治療につながります。